STAGE.1

STAGE.3

『皆さーん、お茶入りましたよぉ』


一通り、屯所内でのテレビ撮影が終わる頃を見計らって、名無しさんが用意していたお茶を振る舞う。


『まだ、撮影は続くの?』


冷たいお茶を渡しながら、沖田に聞いてみる。


「まだ続くようですぜィ」

「マジ面倒くせー」と周りを気にせずに言ってのける様に苦笑いを浮かべる名無しさん。

昔はもっと素直だったような気がするが、何だかふてぶてしさが増していると言うか、色んな意味で逞しくなったように思う。

10年の歳月は幼なじみをどのように変えたのかと、思索していると何やら後ろから声を掛けられた。


「ねぇ君、女中の子?可愛いねェ。突然で悪いけど、少しインタビューいいかな?」


カメラに捉えられ、マイクを向けられる。

え、テレビ?
私、今映ってるの?
どどどどど、どうしよう?!
お母さーん!!

焦って返答に困っていると左肩をグイッと引き寄せられ、顔の横から誰かの腕が伸びて来た。

何かと思いきや、その手はカメラのレンズを鷲掴みにしている。


「いいですぜィ。インタビューなら俺がたっぷり答えてやりまさァ」


え、総悟?
いや、インタビュー受けるって、レンズを覆っているから何も映ってないでしょうに。

総悟がその手にグググと力を込めているのが分かった。


「え、いや、ちょっと‥‥」


テレビ取材の人たちが冷や汗を垂らしている顔が見える。
自分の位置からは総悟の顔は見えないけど、なんかものっそい見てはいけない気がした。

そして、

バキィ!!

‥‥‥‥‥‥‥え?

機械的な何かが盛大に破壊されたような音が聞こえると、目の前に見てはいけない光景が広がっていた。

パラパラと総悟の手からこぼれる残骸。

いや、コレはアレだよね。
とりあえず落ち着こう。
カメラが素手でなんて、ナイナイナイナイ。

てか、カメラが‥‥カメラが‥‥

キャメラー!!!
(錯乱)


私含めてその場にいる全員が顔面蒼白。
何故か、破壊した張本人が一番冷静だ。

両手をパンパンと叩いて、手に付いていた残骸を払っている。

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