STAGE.1

STAGE.7

『‥‥‥眠れない』


用意された布団の中で、真っ暗な天井を見つめながら静かに呟く。
隣の布団で眠る神楽ちゃんに視線を移すと、スースーと寝息を立ててすでに深い眠りについているようだ。

寝相が悪いようで、布団から飛び出ている手足を戻して布団を掛け直してあげる。

何故か万事屋に泊まることになってしまったけど、外泊なんて初めてのことで、正直、寝にくい。

屯所に残った隊士たちへの連絡は済ませているから心配ないけど、警護のために停泊している名無しくんや総悟たち、真選組の皆は無事だろうか。

さっきから、そんな事をずっと考えているから、眠れそうにないのかもしれない。

水でも飲もうと、布団から出て居間への襖を開ける。台所で適当なコップを拝借し、水を注ぎ入れるとそれを一気に飲み干した。


『‥‥‥‥』


そしてボーッと空になったコップを何となしに見つめていると、隣のトイレから水を流す音とバタンとドアを閉める音が聞こえてきた。
誰かトイレに行っていたのだろうかと、台所から顔を覗かせると、頭をボリボリ掻きながら歩く銀髪パーマの姿があった。


『あ、銀さん』

「んぁ?何やってんの?」

『いえ‥‥眠れなくて‥‥』

「あーそー、んじゃ」


サラッとそれだけを言って、銀さんは居間に敷かれた布団の中へ入ろうとする。

いやいやいや、それはないんじゃない?!

普通ここは話を聞くとか、「大丈夫?」とか、何らかの優しさを見せるのが人ってもんじゃないでしょうか、皆さん。


『ちょ、ちょっと待ってくださいよ!』

「え?‥‥イデデデデ!」

『あ、ごめんなさい』


咄嗟に伸ばした右手は見事に銀髪パーマを鷲掴みしてしまい、髪を引っ張られた銀さんが悲鳴をあげた。
すぐに謝って手を離したけど、恨みがましい眼を向けられる。


「何?何なの?銀さん寝たいんだけど。夢の続きが待ってるんだけど」

『待ってませんって。てかもう少し心配とかしたらどうですか!客人が眠れないって言ってるんですよ?』

「眠れねェ?そんなん羊やら執事やら数えときゃいつの間にか眠れてるもんだ」

『羊ならもう1000匹は数えました!』

「だったら2000匹数えとけー!」


銀さんはどうやっても私の相手を回避したいらしい。

それが大人のすることかよ。
もういいよ!銀さんなんかに縋った私がバカだった!こんのマダオが!!

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