STAGE.1

STAGE.27

残念ながら、当然のごとく今回の訪問が社長の予定に入っている訳がない。しかし、落ち着いた物腰の青年の柔らかな笑みに思わず息を飲む女性二人。

「す、すぐに確認いたしますので、少々お待ちくださいッ」

何か此方の手違いがあったのだろうかと慌てた様子で手元の資料を確認しだした受付嬢たち。

そんな姿に名無しくんは満足気に笑うと、銀時に向かって「早く行け」と言わんばかりにヒラヒラと手を振る。

それを合図に赤ん坊を連れた銀時はエレベーターに乗り込もうとした。瞬間。


──── ドォン!


建物を揺らすような衝撃音が吹き抜けの上層部から響き、受付嬢も驚きに声を上げる。が、その間にも銀時はエレベーターの中に入っており。

「あ、あー!ちょっと勝手に入っちゃ困ります!ちょっとォ!」

「あぽ」

「あぽぉ」

制止の言葉を無視して、赤ん坊と一緒に手を上げ別れの挨拶(?)を済ませるとその扉を閉じた。

一人残された名無しくんだったが、少し別行動で情報を集めようと受付に向き直ると。

「今の音…詳しくお話を聞かせていただいてもよろしいでしょうか?」

有無を言わせぬような満面の笑みを浮かべながら問い掛け、ズキュンと胸を撃たれた受付嬢二人は思わず「はい」と頷いていた。


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(チョロ甘ですね)
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