STAGE.18
しばらくして名無しくんが携帯電話での通話を終了し私の元へ戻ってきた。
少し困ったような笑顔で。
『行かないといけない、のかな…?』
言いにくそうに感じたため此方から質問すると、小さく「はい」とだけ返答があった。
いつも仕事内容は詳しく教えてくれないけど、断れないことだけは知っている。
分かっているけれど、離れるのが怖い。
私にとって家族は名無しくんだけだけど、名無しくんはそうじゃない。
私だけが一人なのだと、実感することが怖い。
「姉上…」
まるで迷子のようだ。
行かないでとわがままを言うように、弟の服の裾を握ると肩に顔を埋めた。
きっと困らせる。
理解しているけれど、少しだけ。
すぐに笑顔になって送り出すから。
私の行動に文句を言うでもなく、名無しくんは黙ったまま、優しく頭を撫でてくれる。
その手の温かさに泣きそうになった。
今だけは、このままで…。
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繋げた絆が、どうか途切れないように