STAGE.1

STAGE.25

神楽を乗せた船を襲ったえいりあんは、船ごとゲートを突き破りその先端がターミナルの外へ剥き出しの状態となっていた。

そして、そのドロドロとした肉体は質量を増し今やターミナル全体を覆っている。


「見てください、皆さん!謎の生物が急激に巨大化しております!」


ターミナルへ続く道路上、多くの人々が逃げ惑うなか、その光景をリポーター役の結野アナとカメラマンは実況中継していた。

えいりあんは蛇のように醜悪な頭を唸らせ、ターミナルと逆方向に走る人々を追うように膨れ上がり今にもその牙が襲い掛かってきそうだった。


「おーう、あぶないぜィ。どいときな」


そんなとき、結野アナたちの後ろから声が掛かり、振り返った先には黒い服の集団が勢揃いしていた。


「真選組です!我等が江戸の守護者、武装警察真選組が駆けつけてくれました!もう大丈夫で…」

「えいりあーん、お前は完全に包囲されている。おとなしく投降しなさーい。…おい、名無しくん」

「ラージャ、隊長。今度はこの曲で!」

「えっ?ちょ、何やってるんですか?」


いつぞやと同じように拡張器を片手に棒読みで叫ぶ沖田と、隣にはラジカセを持つ名無しくん。


「故郷のお母さんも泣いてるぞ。こんなえいりあんにするために産んだんじゃないってな。ねぇ、お母さん。なんか言ってやってください」

今も〜聞こえる〜♪ あのおふくろの声〜♪
僕に人生を教えてくれた〜優しいおふくろさん〜♪

「えっ?マジで?ウソ…つか、何このBGM!」


海の援隊が捧げるバラードが流れるなか、皆が振り返った先のパトカーからタコ型のえいりあんに扮した人物が降りてきた。


「お父さん、最後に何て言って死んでいったかアンタに分かる?!お父さんね、最後までアンタのことー」

──── ドギャン!


が、伸びてきたえいりあんの触手が物凄い勢いで、えいりあんの母こと局長を吹っ飛ばした。


「何してんのォォ?!アンタらァァ!」

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