STAGE.1

after school = ××?

「あーだりー、だりーよー」

『‥‥‥‥』

「もホントだるいー、何もやる気おきねーよー」

『‥‥‥‥‥‥‥‥』

「あーあーあー‥」


『いい加減にしろッ!この天然パーマァァァ!!!』


ドガシャンと盛大な音を立てて、星一徹クラッシュを披露した私。
注:星一徹クラッシュ=ちゃぶ台をひっくり返すこと

何故かと言うと、目の前に座る天然パーマの担任にキレたから。


『さっきから煩いんですよ!先生のせいで、まったく集中できないじゃないですか!』

「おめー、人が貴重な時間割いてまで補習してやってんのに文句ばっか言いやがって。留年させっぞコラ」

『それが教師の言うことですかッ!』


先ほどから小一時間ほど、この教師らしからぬ教師、坂田銀八(先生)と私はこんなやり取りを繰り返している。



悲劇の発端は先日行われた抜き打ちテストだ。

あの3年Z組のバカな連中を押し退けて何故か私だけが赤点。しかしそうなった理由は明白で、


この腐れ天然パーマが私が風邪で休んだ間の授業内容を出題したからだ。


それでも勉強しなかった自分の非を認め、おとなしく放課後の補習を受けているというのに、さっきから妨害されまくっている。


『先生が邪魔しなければ、こんな問題集とっくに終わってるんですよ』

「問題が解けないからって、人のせいにするんじゃありません」

『どう考えても先生のせいでしょーが!』


さっきのクラッシュで床に落ちてしまった問題集とペンケースを取りながら、文句を言う。

まったく、さっさと補習を終わらせて帰りたいのに。


「んだよ、しゃーねーなー」


ふいに先生は呟いて、面倒くさそうに頭を掻いた。そして立ち上がると、机の上に広げられた問題集をパタリと閉じる。


「オラ、カバン持て」

『え‥?ちょ、何でですか?』


困惑したままの私を余所に、先生は教室のドアへと進んで行ってしまう。

相変わらずまったく意味が分からない人だ。


『待ってくださいよ、先生』


言われた通りにカバンを持って追い掛けると、クルリと振り返った先生はまた教師らしからぬ提案をしてきた。


「チョコパ奢りな。それでチャラにしてやる」

『な――‥!』


それが教師の言うことか、と口にしかけたけど、この人が教師であること自体がすでに間違っているんだ。

しかし、チョコパ1つでこの状況から抜け出せるなら安いものだ。私は諦めて、何も言わずに先生の後をついていった。




そして、


「ご注文はお決まりですか?」

「チョコパ2つとイチゴのショートケーキ、あとアイスココアもつけてください」

『調子に乗んなよ、イカレ天パ』


after school = date?
それは、君といるための口実
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