STAGE.1

喩えるならキスできそうな距離

何故[なぜ]
理由・原因などを問うのに用いる。
どうして。なにゆえ。どういうわけで。

今、一人の男の脳裏には何度も何度も何度も何度も、その言葉が駆け巡っていた。

土方十四郎[ひじかた とうしろう]
クールで熱い真選組の副長。「鬼の副長」と呼ばれ恐れられる真選組のナンバー2。

その男ーー土方の視界には何度も何度も何度も何度も、目を疑いたくなるような光景が広がっていた。


『んっ…や、…土方さん』

「…苗字っ」


己の部下である真選組唯一の女隊士にして三番隊隊長 苗字 名前を組敷き、その秘部をいやらしく愛撫し鳴かせている。

クール?
鬼の副長?
超絶イケメン?(そこまでは言ってません)

それが、聞いて呆れる。
まだ幼さを残す彼女の声に、すがるよう裾を掴まれた手に、こんなにも狼狽えているなんて。


―――チュクリ

『ん、ふ…』


中に差し入れた指を動かせば、ビクリと腰は揺れ薄ら開いた口元から甘い吐息が漏れる。
そんな仕草に、目眩がするほど身体は熱く反応した。

どうして、こうなったのか。

夏の暑さが。
非日常な出来事が。

互いの理性を掻き消したのか。

答えは分からないままだ。


でも、


『…は…ぁ、土方さっ…』


止められないーー

2/8
(2/103)
ALICE+