巻き戻してもう一度キスをしよう
「いやいやいやいやっ!ちょっと待てぃぃぃぃぃ!!」
何考えてんのぉぉぉ?!お前ぇぇぇ!!
この前のこと忘れたっつーのかぁぁ?!
混乱の中、叫ぶ土方。
あの夏の日に。あの狭い空間で。
未遂で終わったものの互いに触れ合ったのは、つい先日のこと。
寸止めをくらった男と一緒に寝るって。
どういうことになるか。
「分かってんのか、お前」
『えー、何ですかー?』
脅すように上から睨み付けてやったが、効果は全く無いようで布団から出て行く気配はない。
むしろ、酔いが回って気分が良いのかニコニコとしたまま手招きしている。
「いい加減にしろ、一緒に寝れる訳な――」
一向に退かない相手に痺れを切らし、力ずくで引きずり出そうかと手を伸ばした。
が、名前の両手がスルリと土方の首元に巻かれて。
グッと顔が近づいたと思ったら、唇を塞がれていた。
あまりに唐突なことで固まっていると、名前は愉しそうに一言。
『あ、やっぱりタバコの味がする』
ただの好奇心か。
深い意味はないだろうに、ふいにキスされてしまっては。
土方の中にあった副長としての立場とか、あの日は気の迷いだったからとか、その他諸々の感情や耐えようとしていた理性全てが吹っ飛ばされてしまって。
クソッと盛大に舌打ちし、少しだけ乱暴に相手を布団の上に押し倒すと同時に、今度は土方から唇を深く重ねた。
『ん――ッ』
そして角度をつけながら舌をいやらしく絡めていけば、それだけで互いの身体は熱を帯びていく。