キスは契約違反です
『あ、は、ァ…銀さん…』
堪らずに漏れる吐息。
背中に回した手は彼を離さないようにとトレードマークの白い着流しをギュッと強く握りしめる。
絶頂を求めて奥を何度も突かれる度に、耳元では熱気に包まれた声で名前を呼ばれ、名前の身体は火照って仕方なかった。
――――グチュッ!ジュプ、ジュプッ!
『あっ!は、ァ…ん!だめ…ッ』
「…ッ、もう――…」
止まらない。
荒く息を吐きながら、限界が近いと言わんばかりに銀時の動きは更に激しく。
奥へ、奥へと自身を刻み付けるように、腕の中の少女を蹂躙した。
そして――…
「・・・ッ、くぅ・・・・・・ッ!」
『ん、んん――ッ!』
一際、肌を強く打ち付けた瞬間、その熱は中へと吐き出されて、同時に彼女の身体はビクビクと震えた。
まるで。
火傷したように熱くて。
あまりにも甘美な感覚。
目眩がするほどの快楽に、二人は瞼を震わせる。
『は・・・ァ』
その余韻が全身に残るなか、大きく息を漏らした名前の瞳の先には、肩で息を整えながらも見つめてくる双眸があって。
どちらからともなく距離は縮まり、本日、幾度目かの口付けを交わしていた。
それは、あまりにも甘く。
何故か沸き上がってくる心地良さに、胸の中までも満たされていたーー…
◇◆◇
後日。
真選組屯所の玄関には、紋付き袴姿の男がひとり仁王立ちしていた。
「旦那ァ、何ですかィ…その格好…」
その人物ーー坂田 銀時を出迎えた沖田は、心底呆れた表情で声を掛けたが、何か覚悟を決めたような緊張した面持ちに、察したように「あー」と呟く。
そして同情の念を込めた視線を向けながら、銀時の肩にポンと手を置くと。
「アイツは流されやすいだけなんで、深く考えねー方が旦那のためですぜ」
そう一言だけ告げると、諦めて帰るよう促してから、その場を立ち去った。
一人ポツンと残された銀時。
「…………え?」
困惑の声を漏らすだけで、ただただ立ち尽くすしかなかった。
流された、という点は否定しない。
けれど、戸惑いながらも手に入れた温もりに後悔もなくて。
END.
キスは契約違反です。
こんな想いを抱くなんて。