STAGE.1

キスは契約違反です

『あ、は、ァ…銀さん…』


堪らずに漏れる吐息。

背中に回した手は彼を離さないようにとトレードマークの白い着流しをギュッと強く握りしめる。

絶頂を求めて奥を何度も突かれる度に、耳元では熱気に包まれた声で名前を呼ばれ、名前の身体は火照って仕方なかった。


――――グチュッ!ジュプ、ジュプッ!

『あっ!は、ァ…ん!だめ…ッ』

「…ッ、もう――…」


止まらない。


荒く息を吐きながら、限界が近いと言わんばかりに銀時の動きは更に激しく。
奥へ、奥へと自身を刻み付けるように、腕の中の少女を蹂躙した。


そして――…


「・・・ッ、くぅ・・・・・・ッ!」

『ん、んん――ッ!』


一際、肌を強く打ち付けた瞬間、その熱は中へと吐き出されて、同時に彼女の身体はビクビクと震えた。

まるで。

火傷したように熱くて。
あまりにも甘美な感覚。

目眩がするほどの快楽に、二人は瞼を震わせる。


『は・・・ァ』


その余韻が全身に残るなか、大きく息を漏らした名前の瞳の先には、肩で息を整えながらも見つめてくる双眸があって。

どちらからともなく距離は縮まり、本日、幾度目かの口付けを交わしていた。

それは、あまりにも甘く。

何故か沸き上がってくる心地良さに、胸の中までも満たされていたーー…


◇◆◇


後日。

真選組屯所の玄関には、紋付き袴姿の男がひとり仁王立ちしていた。


「旦那ァ、何ですかィ…その格好…」


その人物ーー坂田 銀時を出迎えた沖田は、心底呆れた表情で声を掛けたが、何か覚悟を決めたような緊張した面持ちに、察したように「あー」と呟く。

そして同情の念を込めた視線を向けながら、銀時の肩にポンと手を置くと。


「アイツは流されやすいだけなんで、深く考えねー方が旦那のためですぜ」


そう一言だけ告げると、諦めて帰るよう促してから、その場を立ち去った。

一人ポツンと残された銀時。


「…………え?」


困惑の声を漏らすだけで、ただただ立ち尽くすしかなかった。

流された、という点は否定しない。

けれど、戸惑いながらも手に入れた温もりに後悔もなくて。


END.

キスは契約違反です。
こんな想いを抱くなんて。
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