不意打ちキスじゃ奪えない
電柱を抱き締めるように手錠で縛り付けられ、中には異質物。いわゆる大人のおもちゃが振動し、僅かばかりの熱をじわじわと刺激され続けている。
幸い、隊服の上着が長いおかげで、下着が剥がされたままの下半身は晒されずに済んでいるが、この状態で一体どのくらいの時間を放置されているのか。
『………ん…』
もう何も考えれない。
名前の思考回路は完全に停止し、眼を閉じ、ただただ時が過ぎていくことを待った。
が、何事も起こらないはずもなく。
―――ザッ
誰かの足音が後方に聞こえた。
『…ッ……銀さん…』
「……お前」
振り返った先にいたのは、三人目の男。
万事屋 坂田 銀時、その人だった。
片手にはジャンプの束、もう片方には「資源ゴミ」と印字されたビニール袋を持っていることから、ゴミ捨てに来たのだろうが。
目の前の少女が置かれている状況に、寝惚けていたはずの銀時の両目が大きく見開かれていく。
「何だって、警察が手錠されてんだよ…」
驚きを隠せない様子で、ポツリと疑問を口にされるが、これまでの事を話せるはずもなく、名前は視線を反らしながら口ごもってしまった。
『それは…』
「あーいや、大方、てめーん所のサディスティック星から来た王子の仕業だろうが…待ってろ。今、外してやっから…」
銀時は名前の言葉をそう言って遮ると、両手に持っていた荷物を捨て、彼女の元へ駆け寄った。