きみの好きなやり方でキスして
まだ全身が震えるなか、斉藤の胸に頬を寄せてドクドクと脈打つ心音に耳を傾けながら、名前はゆっくりと息を整える。
自然と彼の両手が背中に周り、優しく包み込まれるようで、とても安らかだった。
「…」
相変わらず斉藤は無口なままで、互いの吐く息の音だけが聞こえる静かな空間。
甘い睦言なんて期待できないけれど、それでも今は、この空気が心地よかった。
ただ、このままで居る訳にはいかず、名前を抱き締めたまま上半身を起こした斉藤は、恥ずかしそうに自身を彼女の中から引き抜こうとするが。
『や、抜かないで…出ちゃう…』
「ッ!」
名前はギュッと抱き着いて、離れることを拒否する。
言葉のとおり、中の白濁が溢れ落ちてしまいそうで。言われた斉藤は身動きが取れずに、またガチリと固まってしまった。
では、どうしたらいいのだろう。
斉藤は困惑に瞳を揺らしていたが、そんな事は気にした様子もなく、名前は甘えるように唇を塞いでくる。
「ッ…」
もう何度目かの口付けだと言うのに、緊張に身体を強張らせる斉藤が相変わらず可愛くて。
名前が悪戯に腰を揺らせば、また顔を真っ赤にしながら慌てた表情を向ける。
そんな一挙一動が名前の心をくすぐるようで、目を細めて斉藤を見つながらすり寄ると、濡れた唇を開いて懇願していた。
『終兄さん…このまま、もう一回…』
「!!」
その台詞に、口を大きく開けて、思わず叫びそうになる。けれど、斉藤の中に拒むなんて選択肢があるはずもなく。
彼女に翻弄される夜は、まだ終わらない
──── …
END.
きみの好きなやり方でキスして
君の心が満たされるように。