STAGE.1

チョコより甘いキスをして

眠らない街、かぶき町。

深夜になってもネオンで輝き、呑み歩くサラリーマンやホストの客引きなど多くの人が行き交い、その喧騒は失われることがない東洋一の歓楽街だ。

その独特な雰囲気と飲酒の影響も相まって、所謂そーいった関係に発展する男女も少なくないだろう。

だから、これはよくあることであって。

決して自分の下半身がだらしない訳ではないと、坂田銀時その人は頭を抱えながら己に言い聞かせていた。

(また、やっちまったーーー!!)

その反面、過去に経験した修羅場を思い出し、心の底から絶望していた。

「……」

宿泊施設の白いベッドの上で、上半身裸の銀時は隣の大きな膨らみにチラッと視線を移す。

白いシーツにくるまり小さな寝息と共に上下に揺れるソコには、確実に誰かはいる。

昨晩、久しぶりにパチンコで大勝ちしたからと何軒も飲み屋をハシゴしたことは覚えている。…が、本当にこの人物には心当たりがない。

見ず知らずの女だろうか。

(まさか、またババアじゃねーだろうな…)

以前は、このシーツを剥がすとお登勢という妖怪が出てきた。そして次々に周りの女どもから関係を持った責任を迫られ、何重もの仮の結婚生活を強いられた記憶が銀時の脳裏に甦る。

結果、それは自分の素行不良を改めさせるために行われた大掛かりなドッキリだったのだが、例えまた粗相があったとしても同じ手を使ってくるとは考えにくい。

だから、思い切って確かめるしかないのだが。

しばらく逡巡した後、恐る恐る伸ばした手がシーツを掴もうとした時。

──── ゴソッ

「…ッ!」

その白い塊が急に動き出した。

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