2018/01/01

三ヶ日書き初め

・飯塚姉弟と高遠

「あけましておめでとうございます」
アキと初詣に行こうとすれば、人混みの中で不意に聞こえたその言葉。二人で振り向いてみればそこにいた存在にアキは嬉しそうに「あ」と声を上げ、俺は反対に「げ」という声を上げる。何で年初めから凶悪犯に会わなければいけないんだろうか。眼鏡をした高遠はキチンとカラーコンタクトをはめている。それは「遠山」の姿だろう。
「高遠さん!」
「ふふふ、見かけてしまったのでつい声をかけてしまいました」
「あけましておめでとうございます」
そう頭を下げたアキに俺は口をへの字にしながら高遠を見上げた。
「今年はよろしくしたくない」
「コラ、ヤマト」
「ま、世間から言ったらそうでしょうね。しかし、いいんですか?」
高遠が首をかしげる。何が!と言えば高遠はニコリとした笑みを浮かべ俺ではなくアキをみる。
「アキ、昼食の予定は?」
「ありませんが……」
「料亭を予約しています。行きましょうか」
「え!」
アキの手を掠め取った高遠に、俺たちは目を見開く。これは。
「おっと、ヤマトくんは連れて行けませんね。残念です。そこで出される料理も大変美味しいですが、和菓子もお土産の蕎麦ぼうろも大変美味しいんですよ」
「ぐ、」
「私によろしくしてくれない人は連れて行けませんね」
高遠の言葉に睨む。高遠は余裕のえみを返す。
「ま、私としてはアキと初デートになるので喜ばしいのですが」
「ぐ、ぅ、今年も!よろしく!してください!」
そうできるだけ子供のように明るく元気に告げてみる。よろしい、と笑った高遠とニコニコしているアキに肩を落とした。まぁ、この後お決まりのように料亭でコナンと出くわし、事件に巻き込まれたのは予断だろう。


・司書

シャン、という鈴の音の音。笛の音色、太鼓の音。その中心にいる人物は白と朱の服を着て、鈴を手に舞い踊る。やれ初詣だ、やれ宴会だと人が多く出払った図書館で舞い踊るのは司書、奏でるのは彼女に仕える付喪神だ。誰も喋っては行けないような、神聖な静寂に鈴の音だけが鳴り響く。一通り舞い踊ったからか、音楽は糸を引くような余韻を残して止まり、彼女は息を吐いて止まった。隣に並んだ館長にナマエは頭を下げる。目元を彩った朱が美しい。
「これで図書館の結界強化と無病息災祈祷終わりました。あとは残ってる人に鈴シャンシャンして玉串バサバサして終わります」
「こら、主」
「あとは残ってる人に祈祷して終わりです」
そう大人しく笑ったナマエは館長と俺に鈴を向けた。男は玉串を持つ。こうべを、という言葉に頭を下げれば、シャン、という綺麗な鈴の音て玉串を揺らす音がする。彼女の言葉に頭を上げれば、彼女と男は良いお参りでしたと頭を下げた。
「そうしていると一応神職に身を置いているんだな、と思うな」
そう笑った館長にナマエも肩をすくめる。去年、審神者界の神隠しを逃れた彼女は政府管轄の大きな神社で巫女か神主という形でこの世に存在している。巫女の仕事も神主の仕事も呼び出されたらやりますし、とは彼女の言葉だ。
「あと誰残ってますっけ」
「昨日の宴会で飲みつぶれてたから大概いるぞ」
「そこはうちも変わらないねぇ」
そう笑った男にナマエもそうだねと笑う。
「あ、隣は石切丸です。大阪の石切さんの御霊刀。加持祈祷祓いが得意です」
「主が世話になってるね、特に佐藤くんには」
「いえ、こちらこそお世話になっています」
「主さま、神酒を持ってきました」
そうパタパタとかけてきた子供もまた刀なのだろう。盃を渡されて神酒を注がれた。その透明な雫を飲めば、口に甘さが広がる。……甘い?
「……甘いぞ?」
「よかったですね、大吉ですよ」
ナマエはそう微笑んで歩いていく。隣の館長を見れば、俺は普通の神酒だと言われる。
「主様が神酒をつくると、御神籤になっちゃうんですよ!」
その言葉の意味が理解するのは、坂口が苦い!といい太宰が甘い!といい織田作と按司が普通やんと言ってからである。

・ヒロとグウェン(amcm軸)
※容易にネタバレ含まれる

「貴方が羨ましい」
そう告げた彼女は頬杖をつく。敵の動きを確認しながら、何が?と尋ねれば、彼女は「同じようなのに」と口を開く。
「セッテイを抜き出して見ればほとんど同じじゃない?コミックオタクでコッチをコミックだって理解してる」
「デッドプールだってそうじゃないか」
「アレはまた違うデショ。貴方はこの世界をどう思ってるの?」
「半分現実」
「ほら、一緒。違うことは貴方のオジイサンがあのトニー・スタークで、父親があのウィル、母親があのロキのお気に入りの方のケイトちゃんってトコね」
肩をすくめた彼女に、僕は彼女をもう一度見た。
「グウェン、もう一度聞くけど、何が言いたいの?」
「私は貴方みたいじゃないってコトよ」
やれやれ、というふうに彼女は告げる。ああ、そういうことか、とため息をついて彼女を抱き上げた。もうちょっと素直に言ってくれたらいいのに。え、ちょ、へ!?と変な声を出した彼女に、肩をすくめる。
「守って欲しいなら言ってくれればいいだろ?」
「……カエルちゃんが泣くわよ」
「カエルちゃん?梅雨ちゃんのこと?まさかそれもコミックに乗ってるの?僕の恋愛事情なんて知って何が面白いんだ?」
「貴方顔がいいから色々引っ張り凧さざゃない。私知ってるのよ?この前はケイト・ビジョップちゃんとイイカンジだった」
「仕事が重なっただけだよ、彼女とはそういう関係じゃない。相棒に近い。あと、舌噛みたくなかったらそろそろ黙ったほうがいいよ。もう一つ付け加えるなら僕は梅雨ちゃん一筋だ」
そう言って、コンクリートを蹴る。ちょっとま、という彼女の制止を全て無視してビルから飛び降り――る前に、彼女を見る。
「if……『もしもグウェンプールがこの戦闘の間だけ超回復の能力があったら』」
「え、嘘、能力使ってくれるの!?」
「仕方ないだろ、君一般人だし。あと、舌噛むよ」
そのあと、着地する時に彼女が舌を噛んだが超回復で治るのだけど、それは違う話だ。

・零とタミヤと弾(這いよれ!軸)

タミヤと弾は身長が高い。だから、僕が挟まれるとまるで宇宙人のようになるのだ。ずるいぞー!と僕がポカポカと二人を叩いても二人は笑いながらおみくじを引いた。可愛い弟さんですね!と言った巫女さんは許さない。どっちの弟に見えます?とか言った弾も、僕におみくじをひかせまいと高くおみくじの入った筒を持ち上げる弾も許さない。
「零はコドモ御籤でいいよな」
「そうだな」
「もう!もう!もう!」
「悪い悪い」
「全く悪びれてない」
む、としたままおみくじの筒を混ぜる。ひっくり返して出てきた数字は零で、それを見て二人はまた笑う。
「零が零をひいてら」
「タミヤは何番だったの!?」
「6」
「タミヤもじゃん!」
「ウルセェ、俺は偶々だ」
グシャグシャと頭を撫でたタミヤに、弾が首をかしげる。
「なぁ、その数字ってなんなんだ?」
その言葉に二人で顔を見合わせる。
「なんだろ、小学校のトキの秘密基地のノリ?」
「秘密基地?」
「あぁ、正しくはアハトとヌルだからな」
「ってことはドイツ語か」
「僕ら三人で作るならなにクラブにする?」
「ダンとヒロシとレイだろ? どうにもならねぇな」
「チーム・イシダ?」
「ダサいな」
そうケラケラと笑った二人に僕もケラケラ笑う。今年も良い年になる気がする。



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雑多 

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