2018/06/12
↓続き?
・馴染んだ
丈さん不足である。ライちゃんを抱きしめて「丈さんからのメッセージはないの?」と尋ねる。ない!と即答したライちゃんにつかえねぇ、といいつつ顔を埋める。そんな様子を見ていた同い年な凪くんが首をかしげる。
「その丈さんって人、どんな人なの?」
「天晴さんをマイルドにした感じの科学者」
「見事に想像ができない組み合わせだ……って、科学者?」
「科学者だねぇ。だから、私が住んでたのもそういう施設の中の職員寮だったし」
「え?ナマエちゃん、そんなとこ住んでたの?」
「うんまぁね」
「もしかして、霞ちゃんなみに頭いい?」
「さぁ?」
同い年と比べたことがないため首をかしげる。そんな中、ライちゃんが通信ガオと吠えた。通信?と首を傾げた私達にライちゃんは数秒だまり、もしもし?という聞きなれた声を出す。
『あーあー、きこえてんのか?』
「その声は丈さんだ!!」
そう言ってライちゃんを抱きしめる。うお!?と驚いた彼に、「帰る連絡!?」と期待して聞けば、違う、と言われるのだけど。
『最低半年ってちゃんといったろ?』
「丈さんならそれより早く終わらせてくれると信じてる」
『はいはい、ありがとな』
『何照れてるの丈』
『うるさいぞ、恵。ナマエ、悪いんだけどな、アカデミア行って俺の研究データ送ってくれないか?』
「それで丈さんが早く帰ってくるならいく……」
しょんぼりしながら言えば、恵さんがふふっと笑うのが聞こえた。
『ナマエちゃんは相変わらず丈のことが大好きね』
「うん」
『……ところで隣にいるのは誰だ?』
そう話を切り替えた丈さんに、見えてるの?と聞けばこっち側はな、と言われる。まじかよ。
「あーえーと、松尾凪です」
「同い年の従兄弟にあたる人」
『あぁ、伊賀崎の……ナマエ抜けてるとこあるだろうがよろしく頼む』
「あ、いえ、こちらこそ何時もお世話になってます」
頭を下げた凪くんに、丈さんは「とりあえず、ナマエ、データ頼んだぞ」といい、通信が消えた。消えてしまった。
「ライちゃん〜、もっと丈さんー!」
「無理ガオ。頼まれたお使いを実行するガオ」
つん、と、そっぽを向いたライちゃんに仕方ないかともう一度顔を埋める。
「凪くん、ちょっとでかけてくる……」
「え、あ、うん。付いてかなくて大丈夫?」
「大丈夫」
ヒラヒラと手を振り、ライちゃん片手にスケボーを取りに向かう。すれ違ったタキガワさんがお供しようか?と聞いてくれたけど結構ですといっておいた。
久々のアカデミア!である。事務員のお姉さんと話しつつ、丈さんの研究室を開けてもらう。モニターを立ち上げていつもの様にデータを丈さんの端末に送信した。これでよし。
……それにしてもまぁ、久しぶりなわけで。ここにいると丈さんに会いたくなるなぁ、と思いながらライちゃんのお腹に顔を埋めた。
「疲れて眠いからちょっと寝る……」
「お昼には起こすガオ」
==
懐かしい夢を見た。ここじゃなく、昔いたあの世界の夢を。
目が覚めたら誰かに白衣をかけられていた。ライちゃんは私の枕であるので違うだろう。誰だ?と思いつつ目を擦る。めちゃくちゃ眠たい。
「お目覚めになられやしたか?」
そう尋ねたのはタキガワさんである。何故にタキガワさん……?と思っていたら、「ナマエお嬢ちゃんが起きそうにもないので迎えにくるようにライちゃんに言われやした」といった。
「お前がライちゃんっていうながお!」
「痛っ……くらないでございやせんが、その噛み癖どうにかならないのでございやすか?」
安定のやりとりである。ぼうっと寝起きの頭でそれを見ていれば、タキガワさんは一つ咳払いをした。
「まぁ、迎えに来たらナマエお嬢ちゃんが気持ちよさそうに寝ていやしたので、かけてあった白衣を借りたんでございやす」
「ありがとうございます」
「寝不足でございやすか?」
「うーん、ここにいると安心するだけだと思う」
そう言いつつ伸びをして立ち上がり、白衣をハンガーにかける。安心、と言った彼に、頷く。
「丈さんがいた気配がするから、安心する」
「伊賀崎にいることが不安、でございやすか?」
「伊賀崎にいることが不安なんじゃなくて……いや、それもちょっとあるけど……それよりも丈さんのそばにいれないことが不安。居なくなっちゃうんじゃないかって不安になる」
スケボーを取り、そう言う。依存してんなあ、とは私も思うけれど。でも多分、丈さんに母親と同じことを言われたらそれこそ制御できなくなる気がする。そう手を見つめてると、その手を掴まれた。
「あっしは居なくなりやせんよ」
「ん……?」
「あっしにもわかりやす、その気持ち。まぁ、あっしの家族はもういやせんが……あっしは居なくなりやせん、安心してくだせぇ!」
ニカッと笑った彼に強いなぁと思いながらハグする。な、ナマエお嬢ちゃん!?と叫んで固まった彼に、安心していいんでしょ、と言えば手が右往左往せる。その際英語でナマエお嬢ちゃんがデレた嘘だろなんだこれ神さまなんてことをしてくれたんだとぼやかれたのはこの際スルーである。胸に顔押し付けとこ。
「ナマエ、お嬢ちゃん、は、意外と甘えたなんでございやすね」
「んー、そうかも」
右往左往していた手が私の背中に回された瞬間、ライちゃんから「そこまでだ江戸口調アメリカ野郎」という丈さんの声が聞こえた。ビシッと固まった彼は素早く離れて周りを見渡す。私はライちゃんに抱きつく。
「丈さんの声だ〜!」
『ナマエ、俺以外というか、ある程度歳が離れたレジェンド以外には抱きつくなっていったろ』
「丈さんがいないのが悪い」
『……一年くらい大丈夫だろと思ったけど、これはダメだな。やっぱ死ぬ気で研究終わらせて帰る』
「……噂の丈さん、でございやすか?」
『なんだアメリカ野郎ナマエに指一本でも触れてみろ、会った時右ストレート食らわすからな』
「ひえっ」
そう飛び退いたタキガワさんに、ライちゃんは心なしか睨んでるように見える。データ届いた?と話をすり替えた。
『ん?あぁ、届いた。悪いな、本来ならいらないはずだったんだが……』
「別にいいよ。事務のお姉さんとか研究員さんに会えたしね」
『またなんか会ったら頼む』
「はーい」
『あと変な奴にはついて行くなよ』
念押しした丈さんに、プツリと通信が切れる。タキガワさんは変な奴に見せかけた足長族の普通の人だからなぁ。ゴーオンメンバー中々厳しいのでは。
「通信切れちゃったし、帰りましょう、タキガワさん。お迎えありがとうございます」
そう言いつつタキガワさんの手を取る。タキガワさんは肩を跳ねさせた。ちょっと可愛いと思ったのは秘密である。
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伊賀崎に帰るとガシリ!と霞さんに手を取られた。タキガワさんが吹っ飛ばされたけど大丈夫か。ナンジャラホイ。キラキラと目を輝かせた彼女は口を開く。
「ナマエちゃんはアカデミアに居たんですね!凪くんから聞きました!今丁度研究で行き詰まっていて」
「私頭いいとは限らないよ?」
そう首を傾げた私に、彼女は数式をいう。脳内で計算して答えを言えば物陰から見ていた凪くんやら起き上がったタキガワさんやらが驚いていた。そこまでわかれば上出来です!と私の手を引いて歩き出す霞さんに、解放されるのは数時間後である。
==この夢主ホント丈さん大好きだな……
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