2018/09/16
下記主が審神者
下記主が審神者
さてはて、なんの因果、嫌がらせなのだろうか。あのまま死なせてくれればよかったのに、神様はそれを許してくれなかったらしかった。審神者になれ、と言われてどれくらいの月日が流れたかははわからない。いや、きちんとした審神者なんかではなく、同業者を処分する立場、粛清を下す立場だ。壊れていた狐面は元に戻り、それと漆黒の着物をまとっているのも相まって私は死神と呼ばれていた。私はともかく刀剣たちに失礼な話ではないのだろうか、と思う。
縁側でぼんやりと狐面を眺めながらそう考えていれば、私の初期刀がとなりに並んだ。子供のような外見の刀。暗殺にはそちらの方がいいだろうと送られた刀。ごめんね、と零した言葉に彼は何も言わない。君もこんな汚れ仕事、嫌だろうに。そう言えば、彼は口を開いた。
「大将、俺達は大丈夫だぜ」
そう私の頭を撫でた彼に狐面からそちらを見る。そっか、といって笑う。そろそろ時間だと立ち上がった。
「行こうか、薬研」
「あぁ、そうだな」
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その姿に見覚えはあった。
私がそこに降り立った瞬間にザワザワと周りは死神だと声を上げ、道を開ける。厄介なのは善良な審神者と自覚している審神者だった。同じような仮面をつけて私の仕事を一緒にこなすのは短刀や脇差といった見た目が子供の存在だけなのである。厄介なことに彼らには兄弟刀というものが存在しーー善良な審神者も、それに育てられた彼らも私の前に立ちふさがり、嫌味、罵声にも似た言葉を吐くことが多々あるのだ。陰口だけなら楽なあのだけど。
ザワザワとそんな声がする中を進む。進路の前に立ちふさがった存在に、またか、と足を止めてそちらを見た。あろうことか、見知った顔である。確か、見廻組にいた同じような経験を持つ青年だ。
「こんにちは、狐野郎。ご機嫌はいかがかな」
胡散臭い笑顔で笑った彼にため息をこぼす。
「真っ黒の黒助より喧嘩っ早いのが来てしまった。演練のやる気がそれた、みんな帰ろう」
そうくるりと背を向け用とすれば待てやゴラァだなんて言葉と共に首根っこを掴まれた。
「俺はなぁ、テメェに言いたいことがあるんだよ、まぁ喋ろうや」
「そうか、私は……」
「あぁん?」
「……大往生ハッピーエンドおめでとうぐらい?」
首を傾げてそう言えば、彼は目をすこし見開いて手の力を緩める。ザワザワと周りがうるさい。でも、それは何処か遠くに聞こえる。
「……お前、もっとほかにあるだろ。あいつらは元気か、とか。つーかお前なにやってんだ」
「いつも通りさ」
そう言ってまた引き返す。
「成り行きだよ、ただの」
淡々としたかったというのに、つい感情を乗せてしまった言葉。手を離した彼に帰ろうかと告げて引き連れて帰る。
「君が相手にならないことを祈るよ、君に限ってそんなことはないだろうけれど」
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狐面を被った死神はあろうことか鬼兵隊の狐である。あぁ、可哀想な狐。天上に来るだろう天パの商いにも、地の下にいるだろう人斬りにも会えることがない。いや、その実可哀想なのは商いと人斬りの方だろう。会えると願ったのに行ってもいないのだから。今も何か拗らせ感情が乗らない言葉を吐く彼女に色を灯せるのは商いと人斬り、そして鬼達だけだ。そんなものがいない今彼女は殆ど色をつけることはないのだろう。だというのに、会話の中でほんの少しついた色。頭の中にいる真白の制服を着た女が過ったが、所詮は赤の他人だ。過ぎ去った彼女をみおくれば、刀剣達に無茶なことはしないでと怒られているが、昔の知人であることを言えば目を瞬いた。
「え、なに、主、あの死神と知り合いなわけ」
「まぁな、殺しあったこともあれば共闘もした仲だ」
はぁ、なにそれ!と騒ぐ周りに、俺はため息をついた。
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無理やり連れてこられたのはあの白い制服を着ていた男の本丸だ。騒いでないのは私と私の付き添いの薬研、彼だけで、彼の刀剣は騒ぐ。でもまぁ私が彼に敵意はないのだと理解しているのか敵意はないのだけども。一応は、と出された茶菓子。お面をつけたまま食べるのは失礼かと狐面を外す。私の薬研もまたくるりとつけていた面を横にずらた。私の素顔をみた刀剣達が目を見開くのを無視して、お菓子を口に入れた。
「美味しい」
「口にあったようで何より」
「どこで売ってるの?」
「あぁ?燭台切が作ってんだよ。お前んとこの燭台切はつくらねぇの?」
「燭台切……眼帯の人だっけ。何人もみたことがあるけど、大きいからうちにはいないね」
「あぁ?なんだそりゃ」
「短刀と脇差しかいないから。それより大きい刀はないよ」
サラリとそう言って薬研と舌鼓をうつ。他の子にも食べさせてあげたいなぁ、と思っていれば彼が口を開く。
「おま、初期刀は!?」
「薬研だね」
「初鍛刀じゃなくてか!?」
「こっちは手入れはともかく鍛刀できねぇようにしてあるからなぁ」
淡々と告げた薬研に、ねぇ?と言えばなぁ?と頷かれる。ポトリ、と落とされた湯呑みを地面につく前にキャッチする。どうやら混乱しているらしい。
「多分、同業者の粛清だけを目的に作られた本丸、そういうことなんだと思うよ。あぁ、大丈夫、上から下るのは刀に酷い扱いしてたり他人の本丸を乗っ取ったりしてる審神者だけだし、そうなるにも段階があるから」
「……つまり?」
「私達が粛清するのは何回も助けの手があったのに、それを拒んだ人だけ。偶に変に片腕だけ奪っとけとかがあるから私が死神死神言われるんだよねぇ」
サラリとそう言えば彼は頭を抱えた。ソウデスヨネー、と片言で告げた彼は私の行いを知っている人である。ちなみにこの帰りに有りっ丈のお茶菓子とかをくれた刀達はいい人達だろう。
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政府の役人から送られてきたのは三味線である。なんで三味線?と脇差や短刀達と首を傾げた。とりあえず政府にコンタクトをとるか、と背を向けた瞬間に人の気配がして振り返る。そして、私は目を見開いた。そこにいた人物もゆっくりと目を開く。そして私の姿をうつした瞬間、手を伸ばした。倒れる為に傾いた体を支える。頭の中がぐしゃぐしゃだった。どうしてこの人がここにいるんだろう、とか、嬉しい、とか、恋しい、だとか。そういうものが一気に頭の中を駆け巡った。しかし、彼がナマエと私の名を紡いだ瞬間、それは涙となって零れ落ちる。やっと会えた、とこぼされた言葉、そして意識を失ったらしい彼の重さにそこに彼がいるのだと安堵する。しかし、同時に倒れ込んだ彼の体から香った血の臭いに目を見開く。手にべっとりとついた血に、手当て、と小さく声をあげた。その声を聞いて様子を見ていた脇差や短刀達がバタバタと走り出す。万斉さん、とただ叫んだ私は飛んだ無力なのだ。
政府の人曰く、三味線はある意味の依り代、私がこれまでなしてきた事の報酬、そんなものであるらしかった。短刀や脇差達にとってなんと傍迷惑な報酬だろうか。私は嬉しいそれだけども。主のいい人?だなんて頬杖をついてこちらをみた乱に、そうだね、と穏やかに返す。あぁ、でも、私が死んだ後にいい人を見つけているのなら別の話になるわけだ。そうウダウダと短刀や脇差達と話していたら荒い足音ーー成人男性の荒い足音が聞こえて障子が勢いよく開いた。
「ナマエ!」
「おはようござます、万斉さん」
そう緩やかに微笑めば、彼は動きを止めた。一歩、一歩、何かを確かめるように私の名を紡いで、私に手を伸ばす。そんな様子が少し滑稽で、どうしたの、だなんて言いながら彼の手に手を絡めた。
「……う、して、」
こぼされた言葉に首をかしげる。彼は昨日の私のように、私が実在すると理解して、叫ぶ。
「どうして先に逝った!!!!どうして、ナマエでなければならなかった!それこそ政府の御庭番を使えばよかったのでござる!!お主である理由はそこになかった!!」
あぁ、彼は怒っている。最期の私に、とても怒っている。喚き散らすほどに、涙を流すほどに彼は怒っている。
「拙者は信じていた、ナマエなら帰ってくると!!また側に並ぶと!!信じていた、信じていた、」
その言葉が嘘なのだと彼はわかっていたはずだ。頭のどこかで私は死ぬと理解していたはずだ。だからこそ、膝をついた彼は信じたかった、と小さくぼやいた。
「晋助の作る先に、同じ道を歩めると、信じていた。同じ夜を歩めると、信じていたのでござる」
そう告げた彼の涙を指でなぞる。そっか、と紡いで、私は彼をみて、笑った。
「私もだよ」
政府も良い贈り物をしてくれるものだ、と思う。だからさ、あの時の続きを生きようよ、という言葉を告げればいいのだろう。たったその一言でメリーバッドエンドがハッピーエンドへと変貌するのである。しかし、私はそれを言える立場ではないのだ、今も昔も。ポタリと落ちた涙を知らないふりをして、私は彼に告げる。
「私も貴方の隣を歩めると信じてた」
そう、どうしようもなく、信じていたのである。
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彼に何から説明をすれば良いのだろうか。死後の世界のようで死後の世界ではない、とか。周りにいるのは刀の付喪神で、彼らは基本的に歴史を守る為に戦うのだ、とか。そうツラツラと彼の枕元、正しくは布団の上に座る彼の隣で羅列する。こうしてみると小説の題材になりそうな話である。彼は何となくはここがどんな場所か理解はしているのだろう。あと、一つ、付け加えるのならば。
「私達が知ってる歴史がちょっと違う」
そう言えば彼だけでなく近くにいた刀剣達も首を傾げた。
「それは興味深い、何処が違う?」
「わかりやすい大きな違いは攘夷の対象が天人じゃなくて、南蛮の人なんだよ。南蛮の人が開国を迫って、どんちゃんとなったみたい」
その言葉に彼は目を見開いた。わかる、私も天人相手じゃなければ勝てたのでは?と思ったりもした。
「あと、攘夷戦争後に色々あって江戸幕府から公家中心の政治に変わって一つの時代が終わった扱いみたい……細かいことは色々あるよ、名前が些細に違ったり、組織の位置とかも挙げだすとキリがないぐらい」
「そっちの方が拙者達の現実よりも現実味が帯びているでござるな」
ため息混じりに告げた彼に、ああわかる、と頷く。それを見ていた手当て係堀川君が首を傾げた。
「ちょっとまって、主さん達の歴史はどんなのだったの?」
「南蛮人の代わりに天人ーーまぁ、わかりやすいことを言うと江戸時代に宇宙人が攻めて来た」
淡々とそう言えば堀川君が「は?」とかなり驚いたような声を出した。ガタリと短刀達がなだれ込むようにやってくる。
「なにそれ詳しく知りたい!」
「どう説明すればいいかわからないからまた今度ね」
「えぇー!!」
「あぁ、なるほど、眞白の旦那が『こっちの開国の方が平和に思える』ってぼやいてたのはそういうことか」
ブーイングの中、ぽん!と手を叩いた薬研に、そうだね、と頷いた。
「……眞白?まさかとは思うが」
「見廻の方のまっしろのしろすけ。別の場所に住んでるけど偶に会うよ。彼がやってるのがここの歴史を守る正規のお仕事」
「ナマエは違うと?」
「私は同業者の粛清が主な仕事だから」
そうサラリと言えば彼は私をみた。相変わらず殺伐とした仕事なんだよ、と苦笑混じりに言えば彼は何かをいいかけて、そっと私の手を取った。
「……わかった、拙者もまた手を貸そう」
「いいよ、万斉さんは普通に生きてくれていたら」
「拙者から人斬りを取ったら、ナマエぐらいしか残らん」
「またそういうことをいう」
「それに、昔言ったはずでござる。主の隣を歩むと」
あまりにもまっすぐにいうのだから、こちらが照れてしまうのは仕方がなかった。担当者に聞いてみる、と顔を隠すようにその場を離れる。また逃げられたとぼやく声と、短刀と脇差がワァワァと騒ぐ声がするのは気のせいだと思いたい。
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これは酷い有様だな、とはいつも思う。付いて来ていた万斉さんもそうなんだろう。同じようなお面を被った彼の手がぎゅっと握られるのがわかった。私はただ審神者であったモノを見下ろす。大怪我をした男性も青年も少年も人の姿から本来の刀の姿に戻り、短刀や脇差達がそれを拾い上げていた。
「酷い有様でしょう」
「あぁ、これは確かに腐りきっていて救いようがない」
そう血を振り落とすように彼は死体に刺さった刀を抜き、振ると鞘に納める。私が殺したわけではない。万斉さんが素早く殺した。自分を使って欲しいと告げた刀ーーもとはこの審神者の刀ーーを使って。綺麗な太刀筋できった彼に、オォ、と謎の歓声が短刀脇差から上がったのは与太話だろう。
「あるじさま、あつめおわりましたー!」
そうぴょんぴょんとやって来た今剣は刀をいくつも抱えている。
「大将、旦那が持ってるそれで最後だ」
「三日月宗近、流石の天下五剣というところか。一部がかけてはいたが、いい刀だった」
そう言いながら刀を薬研に渡した万斉さんになるほど詳しい、と思う。
「ある意味、武士の昔の教養でござるよ」
「あぁ、なるほど、だから詳しいのか。わたしはゼンッゼン詳しくないからなぁ」
「ナマエは基本、刀を好まぬからな」
「返り血が酷いからね、その点手裏剣は楽。さて、刀を然るべき場所に持って行こう。あとはよろしくね、こんのすけくん、担当者さん」
門の外にいる担当者とこんのすけがコクコクと頷く。青い顔するならやめておけばいいのに、とは私が何回も言う言葉だけども彼は頑なに付いてくるのだ。今回は万斉さんもいるから余計だろうけど。
「然るべき場所?」
「御荒魂を鎮める場所、だったかな」
そう言いつつ刀達に集合をかけて点呼を取り、全員が本物であると確認してからゲートをくぐる。ガシャン、ともいい取れない大きな音が響いた。振り返った先にもうそこにあった屋敷はない。
「最後は皆無くなる、か……審神者もそれで始末すれば楽なのではござらんか」
「人の生命反応があると使えないんスよ、あー、南無南無」
そう言って手を合わせた彼に、別の場所に繋がるゲートを開ける。一瞬にして変わる景色はやはりなれそうもない。掃き掃除をしていた刀剣が私達に気づいたのかやってくる。
「うわぁ、また大量だね、これ」
「ちょっと主と石切丸呼んでくるから待ってて」
「あと、先生にお茶を入れてもらわないと」
そう駆け出した刀に、万斉さんが「……見たことがある服装でござるな」と冷静に告げた。それはそうだ。ここには沢山の刀剣がいるが、一部の刀剣は真選組の服装をしている。それは何故か。
「ナマエ、まさかと思うが」
「そのまさかなんだよねぇ」
そう苦笑いしてお面をあげる。万斉さんはそのままでいいと思うよ、と言っておく。押し黙った彼に、玄関からゆったりとした足取りで綺麗な青年が現れた。その後ろを追うように、真選組の服装をした彼がかけてくる。失った腕が元どおりなのは、ここが死後の世界だからだろうか。しかし、彼もまた万斉さんに気づいたのだろう。眉間にシワを寄せながら私と彼の前に立った。
「夏目さん、」
「お久しぶりです、元気そうで何より」
「……いえ、また貴方は無茶を」
「貴方が私の仕事を一部貰ってくれているので大分楽なんですけど」
「……そいつは」
「同居人です」
それだけ言ってニコニコと笑っておく。彼は「貴方が鬼兵隊だとはわかっているのですが」と冷静に告げた。睨み合いになってるなぁ、と思っていれば、ゆったりとした歩みでやって来ていた綺麗な青年が追いついた。
「何ギスギスしてるんですか、修羅場かな」
「こんにちは、御笠さん。ざっくり言えば敵同士です」
「あぁ、なるほど。彼は?」
「政府が報酬だって言ってつれて来ました」
「鴨太郎みたいに落ちていたわけではないんですか」
いやはや、政府も愉快犯だ、と言った彼には悪いが私も鴨太郎くんも彼が政府で中々に偉い地位にいることを知っていたりする。
「ほら、御笠の旦那、これが今回の刀だ」
「ありがとう、おーい、石切丸ー」
そう玄関に声を呼びかければ、玄関からこちらを伺っていた刀達をかき分けて石切丸が数振現れた。
「一応各自の審神者のもとにいる刀は分霊扱いたからね、こう言うことになるんだよね」
「あぁ、なるほど、だからナマエが持つ刀と同じ刀もあったのか」
「……お前もあの惨状を見た口か」
鴨太郎くんがやってくる石切丸を見ながら告げる。
「……先程。どこもかしこも、浮世でさえも腐った部分があるのかと絶望したところでござる」
「腐った部分か。それは同感だ」
鴨太郎くんと御笠さんはそう頷いた。
「ここにいるのは元々、御荒魂だった刀達でね、人間に好き勝手された刀達を保護してるのさ。鴨太郎はその手伝いをしてくれている、ナマエくんの手伝いもね」
「わかりやすく言えば、御用改めして忠告してくれてるんだよね。私の仕事が半減以下になって私はとても助かってる。その手伝いをしてるのが真選組の隊服を来た元こういう刀」
「ナマエにいるところの刀もでござるか?」
「そうなるかな?」
「にたようなものかなぁ」
そう言いつつやってきた石切丸に刀を渡す。御笠さんと元から一緒にいる石切丸さんに玉串を振られて仕事は終わりだ。鴨太郎くんが私を見た。
「ナマエさん、お茶でも、と言いたいところですが……」
「仲良くしなよ、鴨太郎。ナマエくんと同じ場所出身っていうことは、同じ場所から来たんでしょ」
「御笠さん、それ多分無理じゃないかなぁ」
苦笑いしながらそう告げる。何を思ったのか御笠さんが札で竹刀を作り出して二人に渡した。
「じゃあ僕がナマエくんとあれこれ話してるから、ごゆっくり喧嘩して」
その言葉の後である。鴨太郎くんが強烈な突きを繰り出すのと、間一髪で避けた万斉さんが応戦し出すのは。
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万斉さんがいるからと打刀太刀隊が作られた。まぁ、私が短刀と脇差ばかりなのは私がそんな戦い方をするからだろう。担当者が、万斉さんにもひとつ本丸を、と言ったけども万斉さんが断ったらしい。政府の認識が夫婦となってしまったし、担当者がおいおい感涙を流していたけどなんだったんだろうか。報告を聞いたらしい御笠さんに万斉さんが連れられて行ったと思えば、数振り刀を連れて帰ってきた。
「拙者は主ではない。主らの主人はナマエでござる」
またそんなことを言う。
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白と黒と青竹色がであった時、どうなるかしっているか。演練会場である。慣れない万斉さんを連れた私と、鴨太郎くんを連れた御笠さん、そして見廻組の眞白である。眞白は偶然だろうが、鴨太郎くんは御笠さんのわざとな気がする。
「いや、は、はぁ?なんで鬼兵隊と真選組がいんだよおかしいだろ」
「鬼兵隊なら元からいたよ、私が」
「いや、はぁ?なんで鬼兵隊の2番手と真選組参謀がいんだよおかしいだろ」
そう言い直した彼に、それはこちらの台詞でござるよ、と万斉と彼は告げる。
「見廻組がなぜここに」
「見廻組……?」
「あー、と、将ちゃんをめぐる策略があって、新しい将ちゃんが来て、真選組が追いやられた後にできた警察の参謀補助」
「つまりは真選組の敵でござる」
サラリとそう告げた万斉さんに、鴨太郎くんが真偽を確かめるように私を見る。なので、頷く。眞白が焦ったように声を上げる。
「おいコラてめぇ、鬼兵隊さんよぉ、揃ってなに嘘教えてやがる」
「あぁ、語弊でござるな。局長を牢獄送りにした組織の幹部でござる」
「それも語弊だろうが!いや、正しいっちゃ、正しいかもしれねぇが、結局真選組助かってるし……結果オーライだろうよ!」
開き直った彼に私は万斉さんをみた。
「面倒くさいし、真選組と派閥が違う警察の参謀って思ってくれたらいいよ。その結果、どちらの派閥が上に来るかの争いみたいなのが起きたからある意味は敵だけど、同じ仕事には変わりないからある意味は仲間って感じです」
「投げやりかよ」
そう突っ込んだ彼に、御笠さんはケタケタとお腹を抱えてわらった。
「突っ込みキャラが来たね!!鴨太郎真面目だから突っ込んでくれずにスルーするし、ナマエちゃんもスルーだし、万斉はツッコミとボケの表裏一体だし」
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