2019/01/22
飯塚先生(26)と番犬さん(26)と飯塚姉(37)
・飯塚先生と番犬さんと飯塚姉
これは、珍しくダブルブッキングケースでは。ヤマトの話やケン、QくらすやAクラスの話を聞いて浮かんだのはそれである。恐らくは犯人が二人いる。一人は十二神の誰か、もう一人は冥王星に指示を仰いでいた誰かだろう。ヤマトやケンもその言葉に行き着いたのだろう。なぁ、アキ、と伺うようにヤマトが口を開く。
「これ、犯人が一人だと思うか?」
その言葉に首を左右に振る。
「では、ダブルブッキングと捉えても?」
今度はケンの言葉に恐らくはと口をパクパクと動かす。頭を抱えたらしいヤマトと頭を抱えたらしいケンは大きくため息をついた。
「俺十二神行くか……」
「仕方ないな、冥王星を引き受けよう」
なんやかんやいって、この二人は仲がいいのだとクスクス笑う。二人は笑い事じゃないのだ、と釘をさしたが仲がいい二人を見るのは好きなのだから仕方ないと思う。
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ケンという少年と出会ったのは彼が幾つの時だったのだろう。たしか、ヤマトがまだ小学校のころ隣に引っ越してきて、私のように一人で過ごしていたから無理矢理一緒に食事をとるようになったり出かけたりするようになった。まぁ、その後、国の施設に入れられた彼をヤマトと一緒に連れ戻した記憶はある。そんなこんな、所謂ヤマトの幼馴染として育った彼が何故あそこの事件現場で給仕のアルバイトをしていたかわからないが、とりあえず彼は間が悪いことに私に拗れた気持ちをむけた男の殺人事件に巻き込まれ、私が負傷しーー今に至る。どうも私の記憶の中では16歳ぐらいの姿で彼は止まっているので、子供扱いしてしまうのは仕方ないのだ。
だから、勝手に動いてしまうというか。
ヒラリと落ちた花びら、私を刺したと勘違いして動きが止まった犯人をニコニコしながらマジック用品の手錠で拘束する。どうだまだ衰えてないんだ、と言わんばかりに笑えば周りは静まった。それに首をかしげる。ヤマトが声にならない声を出した。
「〜〜っ!アーキー!!!」
しかしながら近づいてくるのはケンの足音である。ペタペタと無言で私を触った彼は崩れ落ちたらしい彼は、よかった、と絞り出すような声で告げた。
「怪我はないようで。アキさん、後で説教ですからかね」
とても圧力を感じる。その言葉に逃げるよう小走りすれば、物の位置が記憶と違ったらしくてぶつかった。痛い。
「ヤマト、止め方は他にもあるでしょう?せっかく無傷だったのに、怪我したじゃないですか」
「お前が犯人捕まえといてくれるならいいけどな。いや、七海配置してもよかったんだぜ」
「彼は靴音でばれる」
「大丈夫?アキさん」
と駆け寄って来てくれたQクラスの面々は優しい。それに比べて、と少しジトッとしたようにいるであろう場所を見れば、ケンが口を開いた。
「残念ながらアキさん、私たちはそこにいません。言うなればもっと右です」
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ケンの説教はわりかとあっさりしている。ヤマトの説教はわりかしこってりしている。ダブルで怒られてソファでぐったりしていれば、あの、と声がかかりゆっくりと顔を上げた。
「あの、アキ・飯塚さんですよね、」
その言葉に頷いて、彼がいるだろう場所を指差す。貴方は、と口を動かせば彼は察してくれたんだろう。
「僕はAクラスの、白峰隼人と言います。昔から貴女のファンでした!」
あぁ、では彼はマジシャンの白峰隼人くんだろうと彼の手を取り掌に文字をかく。
「……?あ?、あなた、の、?」
ーー貴方の活躍は耳にしております。貴方のマジックをこの目で見れないことを、また、ともに舞台に立てないことをとても残念に思います。
その意味が伝わったのか彼は動きをピシャリと止めた。奥からやってきたケンが私の手をやんわりと外したけれど。
「アキさん、何をしてらっしゃるんですか……あぁ、彼がマジシャンだからですか、なるほど」
「貴方は、飯塚先生のご友人の」
「ケン・L・ベルローズ。アキさんの付き人です」
恐らく人の良い笑みを浮かべているのだろうな、と思う。声色から判断するに。
「さて、アキさん、そろそろ帰りましょうか。ヤマトくんも探偵学園の面々も引き上げるようですし」
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アキに憧れる、とこぼした美南に何処がといえば、ポーとした状態で口を開く。
「アキさんって、いつも素敵な服を着て素敵なメイクをして……」
「アレはケンがやってるぞ」
正しくはケンが甲斐甲斐しく買ってきた服を着せて、ケンがメイクとか髪をくくったりしてるのだ。即ち、ケンの好みを諸々に組み込んだ服装なのだが、それはお口にチャックだろう。話を聞いていたキュウが首を傾げた。
「アキさんって、何歳なんですか?」
「何歳だと思う?ま、俺よりは上だな」
「そもそも飯塚先生が何歳かわからない」
「オレとケンは26だぞ」
さらりと言えば、え、と言う視線をいただいた。何歳だと思ってたんだ、コイツら。
「てっきり、アキさんがそれくらいかと……」
「ってことは、それより上だから……28歳?」
「30はいってなさそうだし」
「30はいってるぞ」
「えっ」
さらりと言えばQくらすが固まる。コイツら本当に何歳だと思ってるんだ。まぁ、確かにオレの家族は老けない。母親が今それくらいの年齢に見えるくらいだろうか。いや、これは叔父の影響だと思うが。
「カズマの両親と変わらないくらいじゃないか」
「え、え?えええ?」
「お前達の夢を砕いてやろう。アキは今年37歳だ」
そう宣言すれば、Qクラスが叫びーー七海さんも叫んだ。いたのか七海さん。
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「アキはまぁ、年下を可愛がるからなぁ」
「年下がタイプなのか?」
「というよりは加護欲が湧くんだろ。恋愛対象にはならない」
「えええ、じゃあ、ケンさんは?」
「アレはそれを理解した上で、アキをデロッデロに甘やかして自分がいなければ何もできないように仕向けてる。ストックホルム症候群狙い」
「おい、」
「でも、まぁ、アキもそう一筋縄ではいかなくて、ケンに黙って何処かに行ってはーー」
「ヤマト!!アキさんがまた勝手にいなくなった!!」
「……こうやってケンがオレのとこにくる。ここには来てないぞ」
「おかしいな、いつもの場所もいないし、ミスター明智も知らない……金田一さんも工藤さん達もだ。連絡もなかった」
「おい、それ、わりかとガチでやばいやつじゃねぇか。オレも連絡きてねぇよ」
==というところから始まる話
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