2019/01/24

Q&A?


Q&A??
・転生アキと探偵学園?
・飯塚龍一名義で作家してる?
・ヤマトがいない??
・アキが明るい
・ケンさんで書こうとしてるのに七海さんにになってる。

久々の帰国である。親類に振り回されたと言えばいいのか、周りに振り回されだというのか。しばらくは家でゆっくりしたいな、と願いながら家に帰る。しばらく寝ようと時差ボケでうまく頭が回らないまま家に入りーーベッドの中に突っ伏した。

目の前でキラキラとした瞳でこちらを見上げてくるのはお隣のキュウくんである。家がとなりだからと昔から付き合いがある彼は探偵なんて(私からすれば)物騒なものになりたいらしい。事件が探偵を呼ぶのか、探偵が事件を呼ぶのか、どちらかはわからないが(事件によく直面する私としては)やめといたほうがいいとは思うのだけど。今日も海外でどんな事件があったのかと尋ねてくる彼に仕方ないなぁと紅茶をカップに注いで口を開く。少しの眠気を我慢して。

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ごめんなさいね、アキちゃん。そう眉尻を下げたキュウくんのお母さんに、出かけるついでなので、といっておく。どうやら学校に行くのにお昼を忘れてしまったらしい。土曜日に学校、進学校かな?と思ったが、どうも彼は有名な探偵学園に合格したそうだ。確か探偵学園ーー通称DDsーーを運営しているDDCと言えば偶に事件に鉢合わせたときにいる探偵役であるけれど、早く帰りたいがために彼らよりさっさと謎を解いてしまったりしてしまうのは仕方ない。あと、七海さんがいる場所という認識である。
「なーんでお前がこんなトコにいるんだ?アキ」
探偵学園に入ってすぐ、そう腕を組んでこちらを見下ろした七海さんに、ああちょうどいいと彼を見あげた。
「七海さん、相変わらずタイミングがいいご登場で」
「まて、お前がそう切り出す時は何か厄介ごとを俺に持ち込む時だ」
そう身構えた彼に、まぁ、ある意味厄介ごとだなぁ、と人ごとのように思う。
「七海さん、このままでは一人の少年が……」
「……なんだ?珍しい。依頼か?」
依頼と言えば依頼である。こちらを真剣な目で覗いた彼に、お弁当を手渡す。
「はい、依頼です。お隣のキュウくんがお弁当を忘れて絶望しているようなので、届けてあげてください」
そうニコニコしながら言えば、彼は「パシリか!」と突っ込みを入れる。彼のこういう相槌というか、私に対する反応が楽しくて何時もからかってしまう。最終的に彼はお人好しだから私のお願いごとを聞いてくれるのだけど。
はぁぁ、とため息をついた七海さんは、帽子を被り直す。
「しばらく噂を聞かないから大人しくしてると思ったら」
「少し海外に行ってたので。日本は平和だったでしょう?」
そうクスクス笑いながらいうと、彼は顔をしかめて口を開く。
「お前がいようといまいと、事件は起こるんだよ。お前は死神じゃない。ただのガキだ」
そう告げた彼にどうもと言いつつ頭に乗せられた手を退ける。彼は優しい人である。
「とりあえずキュウくんのお弁当は頼みます」
「キュウっていうと……あのキュウか?」
「Qクラス?にいるキュウくんですよ。家がお隣なんです。私はこの後予定があるので」
「待て、その予定についていく」
「何も起こらないと思うんですけどね、授賞式みたいなものですし」
「何もなかったら何もなかった時だろ」
さっくりとそういった七海さんは近くの生徒を呼び止めてキュウくんに渡すように告げる。彼は相変わらず心配症である。まぁ、当然の如く起こった事件を彼とパパッと解決できたから良かったのだけれど。

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私に対してツンツンしている女の子に、ははぁ、これはキュウくんに恋をしてる女の子だな、と理解する。幼馴染のお姉さんは年下に興味はありません。弟にしか見えません。……とは言わずに面白いので少し放置しておくことにする。七海さんに呆れたような顔をされたが。そんなこんなで七海さんやキュウくんと話していれば天草くんが首を傾げる。
「七海先生と、飯塚さんはお知り合いなんですか?」
「彼だけ、というよりはDDCの探偵さんの一部とは知り合いですね。敵意を向けられたり、怯えられたり色々しますが、総じて事件現場でよく鉢合わせます」
私の答えに年が近そうなキンタくんが苦笑いした。
「大人しそうな顔して、何したんだ……?」
「彼らより早く事件を解いてしまうからですかね?」
そう最初はライバル視のような感じで私を見ていた七海さんを見上げる。七海さんは顔を背けたが。
「おじさんがそんなことをしても可愛くないですよ」
「うるせぇな。俺は協力してるだろ!」
「今はね。でも、助かります。私は家に帰ってのんびりしたいんです。なぜ密室を作り上げるのか、なぜ第三者がいる中で殺人をしてしまうのか」
「それ小説も言えるだろ……」
「小説はそちらの方が映えるからに決まっているでしょう。確実に予定通りに動きますからね。しかし現実は人間なんて百パーセント動きを予測するなんて無理だ」
そういえば七海さんが深くため息をつく。
「よくいうぜ、犯人の動きを予測するくせに」
「そこはほら、慣れです、慣れ」
「慣れてたら俺もできる」
「じゃあ、私が犯人たちの思考回路に似てるからということで」
「なんでそうなる……」
呆れた七海さんに私は言葉を続ける。
「……貴方が犯人の行動を突き止めきれないのは、彼らが欺くことに快感を覚えているのに対し、貴方が真実を解き明かす事に使命を感じているからでしょう。私も彼彼女らも人を欺く側なのでだいたいは予測できます。二つは平行線だから交わることはない」
そこまで告げて、それが嘘なのだというようにやれやれと手を挙げた。
「まぁ、私が憶測で動けるのは小説書くために出版されている殺人プロファイルを色々と読んだからなんですけどね……ふふふ、騙されちゃいました?」
ニコニコしながら七海さんを見上げる。目を泳がした彼に、「騙されちゃいました?」ともう一度笑いながら詰め寄れば大人をからかうんじゃない!と帽子を私の顔に被せられた。前が見えない。

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目の前にいる人は、なんて計算尽くされた人なのだろうと感動する。私の好きなものを理解し、同じような趣味の話を並べ、偶然ですね、と人の良い笑みで告げるのだから。私も本当ですね、と笑いながら紅茶を淹れる。どこか高遠さんに似た人だと思う。おそらくは、内側が。まぁ、彼はどういう意味か隠しているのだけれど。紅茶を飲んでさようなら、ならいいが、こういうものは続くことが多いのは理解しているつもりである。一応は。

さてさて届いたのは山内恒星からのお手紙である。なぜ届くと言えば、彼と親交があったから、なのだが、やはり内容は遺産相続に関することである。断りの電話をいれたいところであるが、電話番号が書かれていない。迎えが来るとなっているから住所も不明である。熨斗をつけて断りの書状を送りつけることもできない。と、いうことは彼の遺稿を取り寄せて財産の権利を破棄、あのメイドさんに譲渡すれば事件を未然に防げるのではないか、と思う。サクッと解決させるために丁度埋った原稿用紙、正しくはドキュメントファイルを積み重ねる。この際遅れて登場することになっても仕方ない。七海さんの手が空いてますように、と願いながらUSBにファイルをコピーした。

編集部さんに自分の原稿を渡し、山内恒星の遺稿に解説文を書くから、あとがきを書くから、といって原稿のコピーを貰い受ける。それを流し読みしつつ昼食を食べ、露西亜館の権利などを調べ上げた。そのまま、知り合いの弁護士事務所に行く。彼に手紙を見せて権利を破棄したいことを言えば、彼は驚きつつも手伝ってくれた。事務所で少しまったりし、七海さんをスカウトしにDDSに向かう。ここまでは順調だったのに。
「え、七海さんはしばらく留守?」
片桐さんの言葉にピシッと固まる。どうやらQクラス、Aクラスの付き添いの役割で今日北海道にたったらしい。北海道といいますと。
「それって遺産の相続謎解きバトル的な?」
そう伺いながら彼女を見れば、個人情報保護ということで教えてくれなかった。残念。片桐くん、という呼び声と、カラカラと車輪が回る音がしてそちらを見る。彼女が団先生、と呼んだということは彼がかの有名な団探偵なんだろう。
「おや、彼女は」
「はじめまして、飯塚アキと申します。七海さんにはいつもお世話に」
「あぁ、七海や他から話は聞いているよ。こんなお嬢さんだとは思っていなかったが。飯塚龍一さん?」
「え?娘さんではなく、ですか?」
「あー、七海さんから聞きました?ペンネームを男にしないと色々と面倒だったんです。なので、飯塚龍一……の娘のふりをしていますが、その実私が飯塚龍一です」
「面倒?」
「デビューしたのがカズマくんごろといえばご理解いただけるかと」
完璧に苦笑いである。片桐さんはきょとんと目を瞬いた。変な話になる前に話を変えよう。
「今日は七海さんに依頼があったんですが?」
「貴女が依頼?珍しいわね」
これは普段パシッてると思われていそうである。いや、パシッてるとは否定できないけど。なんやかんやお願い聞いてくれるし。
「……よければ話をお聞きしよう。普段なら君が解決してしまうだろう?」
「今回ばかりは彼の変装が嬉しいといいますか。彼に変装で飯塚龍一になって欲しかったんです」
「それだけですか?」
「いえ、恐らく殺人事件が起こるであろう場所に向かうので、未然に防いでほしいというか……」
そうはっきりといえば表情を変えて団先生が詳しく話を聞こうと言ってくれた。

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さてさて、私と山内恒星との接点はまぁあの楽器演奏集団の中に私がいたというか。彼は私が飯塚龍一本人であると調べ上げ、それを弱みにするつもりだろうが別にいい。お金はまぁ世界中の印税がある。とりあえず、山内恒星の遺産相続人に名前が上がったことを告げ、恐らく呼び集められたのはその演奏会メンバーであること、行われる場所の説明をする。
「これは山内恒星氏の遺稿なのですが。簡潔にいえば、今から私が赴く露西亜館で起こる『誰もいなくなった』です。登場人物は七人、主人の友人であった挿絵作家、評論家、編集者、愛人、メイド、隣人、そして作家仲間の娘が出てきます」
「……それって」
「今回呼び集められた人と同じですね。そしてこれと同じようなことが起こり得ると思うんです」
そう言いつつ遺稿を彼らに渡す。
「憂いで終わるならばいいのですが、調べていくと同じようなことがわかりましたし……」
「驚いた、君は本当に鼻が効くらしい」
団探偵の言葉に、伊達に死神って言われてませんからね、と笑う。笑い事なの?と困惑されただけで終わった。私にとってはもはや笑い事である。
「こういう時、私の話をまじめに聞いてくれて手助けしてくれたり助けてくれるのが七海さんだったので、七海さんがいないのは困ったなぁ、と」
本音をポツリと言って足を見た。随分と子供のような仕草が癖になったものだ。昔はそうではなかったのに。
「ふむ、飯塚さん、一つ、朗報なのかわからないが……今七海が向かったのも君と同じ場所だ」
「ということは、」
「遺産相続の謎解きをしてほしい……と二つの依頼があってね。人命に関わらないのだからと生徒を向かわせたのだが……君のいう危惧もある。七海くんと他の教員を差し換えよう。片桐くん、手配を」
「はい」
そうテキパキと動いた周りに目を瞬く。疑わないんですか?と尋ねれば、団探偵はどうして?と尋ねた。
「大人からよく疑われるので」
「七海くんが君を信じている。それ以上の理由はないさ」
ぽん、と頭を撫でた団探偵に、あぁできた大人の人だなぁ、と思う。彼も七海さんも、できた大人の人だ。

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時々、七海さんが飯塚龍一役をしてくれるので飯塚龍一像は固定されつつある。見慣れた後ろすがたに、お父さん!と呼び止めれば彼はこちらを向いた。そのままかけよって、外国の娘が父にするようにハグをする。七海さん、助かります、と耳元で言えば彼はため息をついて私の目線に合わせて屈んだ。
「話は団さん達から聞いてる。丁度飛行機に乗る前に変われてよかったよ」
「事件が起こる前に対処したいですが、恐らく弁護士がいることを考えるとむずかしいでしょう」
「お前はどう動くんだ?」
「私はとりあえず、別の弁護士さんを通して権利を破棄するという書面を作りました。ただ、他の人に諦めてというのはできないかもしれません」
「なぜ?」
「あとでわかると思いますが、みなさんお金が必要みたいなので」
そう言いつつ体を離す。ため息をついた彼と空港の外にでれば、迎えが来ていたらしい。そのまま車、船と乗り継ぎーーその館にたどり着いたのである。

中に入るなりあれ?アキさん?というキュウくんの声がした。そちらを見ればキュウくん達である。チラリとこちらを覗いたキュウくん達と彼らの依頼人、そしてDDSの教員、その他エクセトラがこちらを見た。
「あれ、キュウくん?」
「え、え、アキさんがどうして?偶然?」
「君は、飯塚龍一の!」
そう告げた彼は確か編集者だったのではなかろうか。飯塚龍一という名前にざわりとした周り。犬飼くんが、まさか、隣の人が、というのでニコニコしておく。七海さんが少し困ったように「いつも娘がお世話になっているようで」と告げた。
「な、飯塚龍一本人だと!?小娘、お前それはせこいぞ!」
「あら、そうかしら。誰を連れてきてはいけない、なんて話は聞かないわ。ねぇ、アキちゃん」
クスリと笑った幽月さんの隣にはもちろん高遠さんはいない。そのかわり、見知った人がいた。鈴木さんである。彼は私を見て驚いたように目を見開き、困ったな、と頬をかいた。
「まさか、飯塚さんがあの飯塚龍一の娘だったなんて」
「あら、鈴木さんのお知り合いかしら?」
「ええ、つい先日薔薇の展覧会でお会いして」
彼の言葉に苦笑いする。相変わらずの違和感、である。お久しぶりです、と苦笑いしながら会釈する。
「アキさんの、お父さん……」
きょとんとしていたキュウくんが、首をかしげる。まぁ、彼も私の母とはあったことはあれど他は違う。こちらにやってきた。
「弁護士の方は?」
「ええっと、はい、私ですが」
そう手を挙げた彼に、書面を渡す。賄賂か!と騒いだ周りに「いいえ」と首を左右に振った。
「飯塚龍一、飯塚アキ双方はこの遺産の相続権利を永久に放棄するという旨が書かれている書面です。別の弁護士の方に依頼して書いていただきました」
「……たしかに。しかし、申し訳ございません」
ビリ、と破られたそれにぴたりと動きを止める。あの爺さんは読んでいたらしい。
「こちらが故人の書面になるのですが、貴女がこのような書面をお持ちした際は破るように、と」
「……ではこうするのはどうでしょうか。私達は権利を放棄するのではなく執事やメイドの方々に譲渡します」
「申し訳ございませんが、貴女に関してはそれもできかねるのです。どうしてもと」
その言葉にむっとしてしまうのは仕方がない。あの爺さんはどうしても私を殺したいらしい。七海さんが私を見下ろした。
「じゃあこうしよう。私達は基本的に参加しないことにする。最終的に私達に譲渡されるようなことがあるのなら、然るべき人物にそのまま権利を譲渡させてもらおう」
「それなら構いません」
やっと肯定した弁護士さんに、彼は悪くないのだけれど腹がたつ。むーとしながら近くのソファに座れば幽月さんにクスクス笑われた。
「なに笑ってるんですか」
「いいえ、表情がくるくる変わるから、いつもより可愛らしくって」
まぁ、七海さんがいて安心してるのもあるだろうけれど。ちなみにビデオメッセージでは申し訳なさそうな顔をして、是非とも君に譲渡したいからだと言われたけれど嘘だろう。腹がたつなぁとムッとしていればキュウくんと目線があったので、苦笑いしておいた。



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飯塚姉弟関連 

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