2019/06/02

兼任司書カルデア没三巡目 1


・転生した兼任司書と兄が双子な藤丸とリツカとマスターしてる話。
・ちゃんと魔術師なりなんなりしてる二人と記憶があるリツカ女子と受け流せる藤丸。又の名を小学生と中学生と高校生二人
・分野が妹/錬金術関連(父方)、兄/刀剣関連(母方)に偏っている。
・チュートリアルに出てこないサーヴァントとかを持ってる謎さ

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「シェイクスピア先生……?」
「おっと、吾輩のマスターはお嬢さんでしたか」
「本物……?」
「本物よ、習わなかった?英霊ってそういうものなの」
そう言った所長に、妹は珍しくこれでもかと目を輝かせる。そうだよなぁ、妹は大変読書が好きなわけで。シェイクスピアといえば偉大な作家であるわけで。ナマエはバッと所長の方を見た。
「シェイクスピア先生の新作が読めますか!?」
「知らないわよ」
「読めますぞ」
「やったぁ!」
「こんな状況で喜ぶ話じゃないでしょ!」
「じゃあとっとと片付けて、シェイクスピア先生の新作を待ちます」
そうはっきりと告げた妹はテンション爆上がりらしい。珍しくニコニコと笑ってうずうずしている妹に所長がこれだから子供はと吐き捨てた。
「ほら、ナマエ、大人しくしとけ。所長の逆鱗に触れるからな」
「はい、兄様」
そう言ってシェイクスピアの隣でニコニコしている妹はあまりにも周りには不釣り合いである。藤丸さんとリツカさん、マシュが良かったねぇと言葉をかける。面倒見が良さそうで何より。
「ナマエちゃん、アンデルセンが来ても喜びそうだなぁ」
「アンデルセン先生もですか!兄様、アンデルセン先生をお願いします!」
「お前じゃないから無理だろ」
そう言って札をポイっと入れる。その瞬間、金色のカードが現れた。そうして現れたのは、まぁ、俺の関係だからだろう。柳生宗矩ときた。目をまん丸にしたリツカさんは何かに驚いているが、俺はそれどころじゃない。
「柳生の祖!手合わせ!いや、手習い!お願いします!」
そういえば見下ろされただけだけども、そのうち教えてくれるって信じてる。
「アンデルセン先生じゃなかった……」
「おや、マスターは吾輩だけでは不満で?」
「そんなわけないです!」
ぴょこぴょこと跳ねた妹、目を輝かせる俺を見て「だからこの兄妹は!」と所長が怒るのが聞こえる。おっと、大人しくしておこう。

しかしながら、俺はともかく妹には随分といい人が来たものだ。自分が早々に戦闘向きではないと言ったシェイクスピアであるが、恐らく言葉を綴ればそれなりに詩なりなんなりになるのだろう。それが妹には好都合である。俺は俺で柳生のじっちゃんに三日月渡したらどうなるんだろうなとかは思うが。ちなみにリツカさんがエミヤさん、藤丸さんがタマモキャットだった。双方面倒見が良さそうで何より。手帳を取り出して詩を強請っている妹を他所に、所長は話を始める。まぁ、妹は見かけは小学生の中学年くらいの姿である。多少わがままをしていても年のせいだと思われるだろう。しかし、この所長は生きているんだろうか。

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「ナマエちゃんとシェイクスピア、性格的に相性いいなぁ」
恐らく二人のやりとりをみてリツカさんが告げる。マシュさんが、はい、テンポの良い掛け合いです、と返した。所長は呆れているが。たしかにそうだ。シェイクスピアの台詞引用などを全て把握できている妹は解説員であり、敵にやられた感想をききにいくという暴挙をするシェイクスピアのストッパーとしても機能していた。
「いや、妹とあの人魔術的な意味でも相性いいと思うぞ」
「どういうこと?」
「そのうちわかる」
「でも、ナマエちゃん、頭良いんだね。あんな年なのにシェイクスピアの作品がほとんど全部わかってるってことでしょ」
「まぁな」
「謙遜はなしか」
「妹が頭がいいのは確かだからな。まぁ、色々あんだよ、色々と」
そうエミヤさんの足を叩いておく。いやもうホント色々あるのである。

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言葉を紡いだ妹に手の中には銃がある。それで相手の頭を狙い撃った妹に、相手はひらりと避けた。しかし、その隙を俺が見落とさず居合斬りをする。まぁ、弾かれて飛んだけどな。コイツ人間じゃない。くるりと宙で体制を立て直し、手をついて減速する。こちらに向いた攻撃に、柳生のじっちゃんが俺との間に入ってくれる。はっきり言って助かった。それが最初の特異点での話だ。

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「あいつの論理は知らん。本の中の概念がーとかなんとか、父親の方の分野だからな。俺は母親の方の分野」
帰ってきて爆睡、その次の日の会話である。ちなみに藤丸姉弟は未だに眠ってる。俺たちの目覚めがはやかったのはあれだ。何回かレイシフトしたからだ。今は食堂にて妹が何処から銃を取り出したのか、という話である。ちなみに妹はシェイクスピアの書いた話を熱心に読んでおり、話はほとんど聞いていないと思われる。柳生のじっちゃんはお茶を啜っている。マイペースだな。
「驚いたな、兄妹で分野が違うのか」
「まぁ、父親と母親で全く違うからな。父親は錬金術とか西洋のそっち、母親は神道とか東洋のそっち」
「政略結婚か?」
「いや、駆け落ちしたって聞いたけど、よくわからん。普段は人里離れた場所に住んでるからな、俺たち。両親と両親の使い魔と暮らしてるし」
「では、どうしてカルデアに?」
「知らん。寝て起きたら両親の友人の職員の人に連れてかれてた」
そう言って肩をすくめる。いや、あの時は驚いたものである。二人して本気の抵抗をしそうになったが、その人が友人だと思い出してやめた。あと飛行機で暴れるのは危ない。シェイクスピアがこちらを見た。
「本当にそれは両親のご友人だったのですか?」
「知らん。それを確認するにもそのスタッフは冷凍されてお寝んね中だし、両親は焼却されてるしな」
そう返した瞬間、あたりは無言になる。なにこれ辛い。俺たちはそこまで気にしてない。妹がぱたんと本を閉じる。
「読み終わりました!もっと読みたいです!」
「よしいいぞ活字中毒、空気を読まない発言だ」
「あぁすいません、あまりにも面白くて話を聞いていませんでした。なんの話を?」
「おまえ、あの職員さんをどう思うよ」
「あの職員さん?」
「連れ出した人だよ」
「あー、あの人……」
そう言い淀んだナマエはコテンと首を傾げた。俺もそれに首をかしげる。
「一応は父親の知り合いだとは思いますよ。鎌かけたけど、避けられたので。まぁ、両親に頼まれて私達を受け取ったが正しいんじゃないですか」
ナマエはそう言ってシェイクスピアを見上げる。
「先生、先生、この作品を頂いてもよろしいですか?もう一度読み返したいのですが」
「構いませんよ、レディ」
そう言われた瞬間、ニコニコと笑って本を抱きしめる様は年相応である。猫をかぶるのが上手いというか。そうしてまた本を開いたナマエに、俺は頬杖をつく。こいつ、面倒臭いから逃げたな。

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「兄様のサーヴァントは見事に武勇に優れた方ですね」
「お前は見事に作家を引いたな」
「はい、大変喜ばしく思います」
「ナマエちゃーん、そろそろ作家いがいのサーヴァントも引いてみようか!」
そう告げたリツカさんに、ナマエはとぼけたように首をかしげる。
「?私は先生たちだけで嬉しいですよ」
「戦力にもなるからね!」
「先生たちは、お強いですよ?」
「確かに、お二人はお強いですが」
マシュの言葉に、ナマエがでしょう!と胸を張った。藤丸がかがんでナマエをみた。
「ナマエが逸れた時、あの二人だけじゃ俺たちが心配なんだ。ほかのクラスがいないと、不利な場合だってあるだろう?ダメかな?」
藤丸さんとナマエが見つめ合う。数秒して、ナマエは向こうが折れないと察したのか、こくん、と頷いた。



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