2019/10/29
カゲデソウロウ 6
・本編後
(ナマエとヤマトがくっついている)
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「いやコイツ多分もう直ぐ結婚すると思うぞ」
そういってみせたマゴイチに同い年連中の視線が向いた。いや事実そうなんだけど、もうちょっとこう、なんていうかだな。サクラちゃんやイノちゃんが「今後の参考のために!」と食いついてきたのがわかる。私は苦笑いをしておいた。
「結婚式は!?結婚式はあげるの!?」
「結婚式はあげないと思う。お互い忙しいしね」
「勿体無い!絶対綺麗なのに!」
「というか相手誰!?いつから付き合ってたの!?」
「プロポーズの言葉は!?」
「それは難しい問いだなぁ」
どちらかが好きといったわけではない。まぁお互いそういう感情があるのだとは理解できるけど。一緒に長年住んでいたから、もうこのまま結婚しちゃう?と流れで決まったことである。きっと二人が望んでいるような答えじゃない。そのままのらりくらりとお酒を飲みながら交わす。ここの酒は美味しい。ある程度でかわすのが面倒になり、ヒナタちゃんに話を振ってみる。きゃあきゃあと話す彼女たちが可愛い。
「みてよシカマルくん、私にはない可愛さがある」
「うるさいだけだろ、めんどくせー。つーか、結婚するなんて話初耳だぞ。六代目知ってんのか」
「言ってないから知らないと思う。向こうも言ってなさそうだし。そもそもそういう関係だって知ってるのかわからないや」
「つーことは結構上の立場の奴ってことだな」
「マゴイチが言わなかったらいう気なかったんだけどなぁ」
そう言いながらぐでっと机に持たれた。明日は休みであるからいい。ヤマトさんはヤマトさんで今日は飲み会だとか言ってたし。不意に隣の席を隔てている布が上がる。そこにいたのは六代目である。シカマルくんと二人で「何やってんだアンタ!」と叫んだのは仕方がないと思う。その言葉に周りは六代目をみた。
「カカシ先生!?」
「聞いたことある声がなんか盛り上がってるなって思ったから」
と、いうことはその奥にはやはりヤマトさんやバンサイ先生がいる。苦笑いされた。どうやら馴染みの上忍達で飲んでいたらしい。あれよあれよとナルトくんが店員さんに声をかけ隔たれていた布があがる。そのまま六代目の奢りよ、という騒ぎになった。一気に騒がしくなった周りに私はお酒をあける。周りは出来上がりつつある。これ絶対聞かれてた奴じゃん。
「で、誰が結婚するの」
こちらをみて告げた六代目に、お酒に口をつける。あ、これ美味しい。よし、六代目をつぶそう。そう思い立ち、「六代目これ美味しいですよ」とお酌をする。ついでにシカマルくんにもついでおいた。向いにいるマゴイチにも薦める。
「あ、これ美味しい」
「でしょう?」
「お前酒の引きいいよな。お前の飲んだやつはだいたい外れないし」
「まー、数飲んでるからね。大名様に頂いたり色々するからなぁ」
「お前が行くと角たたないしな」
「カゲマルは気に入られるからねぇ」
まぁちらほらと危うい展開になったり、女装強要されたりするのだが割愛しておく。女の姿で一度むかってそれこそ危うい展開になったのでカゲマルでしか行かないと決めてる私である。なんとなく聞いていたんだろう。ハッとしたように近くにいたテンテンさんが告げる。
「まさか相手は大名?」
「ははは、それなら私は玉の輿だ」
「え、ナマエ結婚するの?」
「多分?」
頬杖をついた六代目が驚いたようにこちらをみたので私も頬杖をついて彼をみる。じっと見つめ合うこと数秒である。
「ナマエはわかりづらいからヤなんだよねぇ。そうならそうと言ってくれればいいのに」
「六代目の心配には及びませんよ。何も変わりませんから」
「いやいや、違うでしょ……ところでナマエ、テンゾウが痛いほどこっちみてるんだけど」
その言葉にそちらをみる。フゥム、六代目に怒っているというよりは私に怒ってるなあの顔は。ひらりと手を振れば、ため息をついたけど。
「六代目はともかく、ナマエ、飲み過ぎ」
「お酒が美味しいので、つい」
「明日に響くよ」
「明日はお休みなので」
そう言いつつお酒の瓶を開けようとすればヒョイっとお酒をとられた。
「ダメ」
「はー、わかりました。もう飲みません」
「……結構飲んでたんだな」
シカマルくんが私の周りにある瓶を見ながら告げる。私ももう一度数えてこれは飲みすぎたな、と思う。
「話をかわすために飲みすぎたな……」
「はぁ、これだからナマエは。ちゃんと立てるかい?」
「立てます」
「歩ける?」
「歩けます」
「歩けるわけないでしょ、道の途中で寝るのが見える。送ってくから、帰るよ」
仕方ない、と立ち上がり適当なお金を置いておく。ドロンと忍術で通路側に出れば「こんなことに忍術を使わない!」と怒られた。
「お兄さん的なヤマト隊長がダメダメ星人なので苗字ナマエ、一抜けします」
「ほら、結構酔ってる。帰るよ」
そのままヤマトさんに手を引かれ周りに手を振る。店の外に出た瞬間、かなり酔ってるなと理解した。
「あー、これは確かに酔ってますね、話を交わしたいが故にやってしまった」
「歩ける?」
「無理ですね」
キッパリと言えば「ったくもう」という小言と共に抱き上げられた。俵担ぎでよかったのに姫だきである。そのまま住んでいる部屋に行くと慣れたように彼は鍵をあけた。
「眠たい……」
「このまま寝るかい?」
「うん」
「鍵は閉めていくし、あまり遅くにはならないとは思うけど、用心して」
「大丈夫ですよ」
「あのね、キミ、いつもよりかなり無防備だってわかってる?」
「……だって、ヤマトさんだから安心してこういう態度をとってるもの」
ふふふ、と笑いながらベッドに沈む。彼はため息をついて私の頭を撫でた。
「おやすみ」
「おやすみなさい」
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これでまぁバレただろと思ったのだけども、案外周りが疎くてバレなかった。なんだ?なんでだ?と首をしきりに傾げていれば、ヤマトさんが「ボクには勿体無い。幸せになってくれればいい」と言ったらしい。シカマルくんからの垂れ流しである。あの人慎重すぎるんだよなぁ、と息を吐いてあたまをかく。なんだろう、外堀埋めたらいいのか。急に入った任務に向かうため、そのまま任務が入ったのでと書き置きを残して家に出る。本当に不服だ。
「シカマルくんだけでいけるのでは」
そう六代目に告げてみる。まぁまぁそう言わずに、と六代目は宥めるように告げた。五影対談である。本来ならばシカマルくんだけでいいそこだ。木の葉開催でもないので、見張りもいらないはずである。仮面をつけたまま堂々といるからか霧の里の暗部の視線がひしひしと痛いし、部屋に入れば五影の視線も私に向いた。なんなんだ、と思いながら会談をきく。里がどう国がどうという話が長く続き、シカマルくんやカンクロウくんという見知った顔が偶に口を開く。ようやく終わった話に、私が来た意味とは?と思っていればまた私に視線が向いた。
「そ、この前話題に出てた子。うちの暗部で一二を競う子だよ。俺の黒色バージョンとか言われてる子」
何紹介してるんだこの人。ちらりと六代目をみてまた口を開く。水影様が私をみた。
「じゃあこの子が」
「恐らくは」
話が見えないんだよなぁ、と思っていれば、カゲマルと六代目が告げる。
「そのままで面を外して」
「……いいんですか」
「今回は仕方ないんだ」
その言葉に六代目様のご命令でしたら、と告げて仮面をとる。開けた視界。とりあえず謝っておくかと口を開いた。
「仮面をつけたままのご無礼をお許しください」
「彼がカゲマル。ね、俺じゃないでしょ」
「……僕が六代目説でも出てましたか?」
「それもある。でも、問題はそこじゃない。本来なら、霧の里とだけの話になるんだけど、キミの先生が絡む以上そういうけどにもならない」
あー、なるほどなぁ、と理解した。私は一応氷遁使いとなっており、それは霧の里の血継限界だ。それに先生となれば、七分の二が木の葉だとしても残りの五、ないしはその上の一が問題なんだろう。水影様が私をみた。
「貴方、氷遁が使えると聞いたわ。本当かしら」
六代目をみる。頷かれたので答える。
「はい。元は木の葉の生まれではありません。他の子供と森で彷徨っていたところを木の葉の忍に保護され今に至ります。所謂孤児です」
「両親の記憶はないのね」
「全く。僕が物心ついた時には七人の先生がいたぐらいで親は会ったことはありません」
「その先生とやらが」
「えぇ、恐らくは」
六代目をみる。六代目はこちらを見ずに答えた。
「件の大名に仕えていたそれぞれの里の忍だと思われる。でも、カゲマルもあの子も今や木の葉の大切な忍だ。手放す事はできない。何よりこの子自体が嫌ってる。この子じゃないことを祈るしかない」
「いいえ、残念だけど、それはありえないわ」
水影様がそう言って首を左右にふった。そっくりだもの、と差し出された写真には先生と写っている幼児期の私である。あぁこれはもしかしなくとも。どおりでヤマトさんがそんな発言をするのだろう。
「ボクは大名の妾の子でしたか」
「確定じゃないよ。あくまで可能性の話だ」
六代目はそういうが、写真に写るのは私と先生達である。この世界において私が見限った相手は忍の長ではなくなるわけである。父親を見限ったわけだ。
「色々と推測はつきましたが、仮にそれがボクだとしても、ボクは微塵もそこに戻るつもりはないですよ。僕は木の葉の忍です。拾われてここまで育ててもらい面倒を見てもらった以上、僕は木の葉に返す恩があります」
「第一、その写真の子女の子でしょ。カゲマルは男だし、やっぱり人違いじゃないの」
なるほど落とし所はそこだったか。
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里に帰ってことの顛末が書かれた書類をみる。なるほどねぇ、と小さく呟いて六代目を見た。どうやら推測通り私は水の国大名の妾の子であるらしい。あの父親が死に、正室の子だった兄が継ぐと共に出るわ出るわ父親のアラ。その中で私に関する記述をみつけて霧の里に依頼をかけたというわけだ。何で抜け忍ーー先生達を集めてたんだと思ったけど、どうやら情報収集の為に忍び込んだり雇ったりエクセトラしてたらしい。添えられた写真(焼き回し)は先生と私である。
「六代目、この写真ください」
「やっぱりナマエだったの」
「まごうことなく無邪気な頃の私ですね」
「自分の出生きいてどう?家に帰りたい?」
「全く。私の家は木の葉ですし。父親に関してはまぁ私が殺す前に死ねてよかったね、としか」
「ドライだなぁ」
「あと、テンゾウさんが何で最近ちょっと線引いてるのか理解しました」
写真を受け取りつつそう答える。テンゾウが?と六代目は書類の山から顔を上げる。
「ちょっとそっけないといいますか」
「ナマエが結婚するからじゃないの?アイツ、ナマエのこと気にかけてたでしょ」
六代目の言葉に、首をかしげておいた。
「世話してくれてるだけでは」
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寝ている。いや、多分、寝たふりをしているのだと思う。とりあえず貰った写真を机の引き出しにしまい、寝ているテンゾウさんを見下ろす。あどけない顔である。そっと髪を撫でても起きないあたり、本気で寝てるんだろうか。
「今更探されても困るのにな」
兄にあたる人物は何を求めているんだろうか。ただの興味だけではないだろう。恐らく興味だけであるのなら報告を聞いて終わる話である。しかし、会いたいと言われるのはどうかと思うのだ。
「……六代目にきいたのかい?」
不意にこちらに視線が向いた。やっぱり起きてる、と言いながら手をのかす。あやふやにしておこうかと笑おうとすれば、「あやふやにしない」と状態を起こしたテンゾウさんに怒られてしまったが。
「キミは水の国の大名の子供だ」
「ボクなんかとは釣り合わない?」
先手を打ってやろうかと口を開く。彼は目を泳がせた。
「ボクとキミは違う」
「同じ人間なんかいませんよ」
「それでも、キミは」
「私はあの家に戻りたくなんかありません。私は木の葉の人間です」
「いいや、違う。君は間違いなく大名の子だ。ああ言った家に伝わる教養も仕草も対応の仕方もキミは昔から自然にできている。それは『先生』達に教わったからだ。違うかい?」
それは、そうなので口を噤む。
「君は本来ならここに」
そう続いた言葉に私は口を開く。
「いちゃいけない?私は今ここにいるのに?きちんと育ててもらってもない場所が私の居場所であるべきだと貴方は言うんですか」
それは、それが、どんなに酷いことかこの人はわかっているんだろうか。それが、それは、今ここにいる私の否定であると彼はわかっているんだろうか。ポロリ、と流れてしまったら涙に彼はただ目を見開いた。
「私は今ここにいます。今は自分の意思でいます。それなのに、貴方はそのことを否定すると?」
「ーー違う」
彼はそう言って私の涙を指で拭う。
「それは、違う」
「私は貴方だからここにいるんです。私は貴方を選んだんです。どうして卑下するんだ」
怒っているんだ、という気持ちを込めて告げる。彼はピクリと動きを止めた。しかしそれも一瞬で、ふっ、と息を漏らすと「それもそうか」と頷いてみせた。
「ごめん、考えすぎただけだ」
「……」
「ナマエがそんなこと思ってくれてるなんて、思いもしなかったんだ。長いこと一緒に住んでいるから、擦り込みみたいなものかなって思ってしまって」
「次にあんなこと言ったら」
「……言ったら?」
そう繰り返した彼を押し倒し、見下ろす。まん丸な目がこちらを見上げた。
「既成事実作りますからね。こう見えて何人任務でお相手したと思ってるんですか」
まぁすぐに視線がひっくり返ったのだけど。
「既成事実はおいといて、その話初耳なんだけど」
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「で、ナマエは誰と結婚すんだ」
そう言ったシカマルくんに、誰だろうねぇとかわしつつ六代目の手伝いをする。しばらくカゲマルの任務も私の任務もお預けらしい。アカデミーの先生になるタイミングが来た、と言えば六代目の手伝いに回されてしまった。解せぬ。
「まだその話題続いてたのかー」
ぼんやりとそう言えば「当たり前だろ」と釘を刺した。
「結婚するとなりゃ色々あるだろ。めんどくせぇけど」
「めんどくせぇから黙っとくつもりだったんですけど。シカマルくんはどうなんですか」
「あ?」
「知ってるんですよ、色々と」
「は!?」
「いやぁ、若いっていいね」
「六代目は引き手多数でしょうに」
「俺はそういうのいいかなって。な?テンゾウ」
上を見てそう告げた六代目に、表側の任務だったのかヤマトさんが「ヤマトって呼んでください」と小言を漏らす。
「というか、先輩と一緒にしないでくれませんか」
「ヤマトも引く手多数じゃないの」
「いや、そういうわけではなくて」
「え?なに、お前そういう相手いたの?初耳なんだけど」
デジャヴだなぁ、と思いつつ書類を黙々と仕分ける。シカマルくんは私とヤマトさんを見比べた。
「います。ちなみに結婚する予定です」
「相手誰よ」
「はい」
そう手をあげる。ナマエの話は今は置いて置かせて、と言った六代目にヤマトさんが無理ですねとつげた。
「相手、ナマエなので」
「は?」
「私きちんと手をあげたじゃないですか」
ねぇ、とヤマトさんに聞けば、ね、と返される。めんどくせぇとぼやいたシカマルくんに、六代目は「色々言いたいけどおめでとう……?」と混乱したように返した。
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