2020/12/31

大晦日だよ!没ネタ整理!1

「ケン、迎えに来ましたよ」
彼女はそう言ってこちらに笑いかける。おかしな話だった。自分を見放したように恐れたようにここに連れてきた両親ではなく、ただの隣人である彼女が迎えにくるなんて。ただ職員を見るとそう言う問題でもないのかもしれない。さぁ、帰りましょうと手を引いたのは地獄の使いでも、冥府の使いでもない、奇術師だったのだ。


懐かしい夢を見たものだ。そう少し息を吐く。がさごそごつん、という音を聞くに彼女もまた起きているらしい。そういえばもはや双子に近い存在が昨日やってきて荷物を置いていたのだ。恐らく彼女は昨日はなかったそれにぶつかったのだろう。ベッドから起き上がり手早く着替える。そうして廊下に出れば彼女は蹲っていた。やっぱり荷物にぶっつかったらしい。
「アキさん、大丈夫ですか?」
声が聞こえたからか彼女はこちらを見上げる。半泣きだ。何かを訴えるように口を動かすが彼女から声が出ることはない。が、内容はわかる。そもそも彼女の唇の動きを読めば理解できる。
「ヤマトが置いていったんですよ……アキさん、やっぱり一人暮らしは無理そうですね」
そういえば抗議するような視線が飛んできたのだが。

彼女は目が見えていない。とある事件に巻き込まれ目を潰されてしまったからだ。それと同じく彼女は声を発することはできない。同じく喉を潰されたからだ。意識を失っていた彼女に人形のようだ、とは誰かが告げた言葉だっただろうか。奇術師として華やかな舞台に立っていた彼女を妬んだ人物の犯行だったのだ。彼女は奇術師を辞めざる終えなくなったのが10年前。僕が16歳の時である。そこからしばらく事件が起きたアメリカで生活していたのだが、日本に帰ることにしたらしい。僕は彼女についてアメリカに渡っただけであるし、ヤマトもたまにこちらのFBIに呼ばれることはあれど基本的には日本で活動しているから別に不満はない。だがなにを思ったのか彼女は一人暮らしすると言い出しーー僕たちが止める羽目になっていたーー。のであるが。
「さすが奇術師」
ふむ、ともぬけの殻になった彼女の荷物をみる。ヤマトと志保が「感心している場合じゃない!」と怒ってみせた。


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彼女の持っている写真に写る人物を僕はよく知らない。今は監獄にいて死刑の執行をまっているというその人物と彼女の接点を僕は知らない。どうやら冥王星と呼ばれる組織が組織ぐるみでやっていたことを彼は一人で行なっていたという。彼が計画した事件による死者は多く、死刑になるのも当たり前、と言う認識が一般的な考えだろう。ただ、ヤマトとアキさんにとっては少し違うらしかった。ヤマト曰く、僕が引っ越してくる前にいた兄のようなアキさんの昔の恋人。恐らく彼女は彼に会いにいく決心がついたのではないか、とはヤマトの言葉だ。ということは必然的に僕も彼に出会うことになる。
日本に降り立ち、彼女を追いかけるように向かったその場所。彼女は檻の柵の前にいて、男がただ喋りかけている声だけが聞こえる。恐らくタブレットと彼女の杖は預けられたのだろう。でも、恐らくはきちんと会話できている。男は怒っているようだった。彼女にではなく、彼女をそうした人物に。おかしな話だ。彼がそうした人間は何人もいるだろうに。
「アキさん」
離れた場所からそう呼べば彼女は振り返った。首を傾げた彼女に、もう一度「アキさん」と彼女を呼ぶ。男が彼女に尋ねる。
「知り合いですか?……ああ、なるほど、てがみにかいてあったヤマトくんの双子のような……世話をされてる?アキ、恐らく君は目が見えないから見えていた頃の感覚なんでしょうけど彼は大人ですよ。……弟だから?まぁ、あなたにとってはそうでしょうね。あなたにとっては」

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雑多 

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