2020/12/31

大晦日だよ!没ネタ整理!19

目が覚めたら相棒ではなく巨大なナナシが目の前で寝てたんだけどなんで。パチパチと目を瞬いてとりあえずナナシを揺する。緩やかに目を開いた彼は私をみると「冷えるぞ」と抱き枕のごとくぎゅっとして布団に引き込み、しばらくして勢いよく起き上がった。そして私の肩を掴むと揺らす。
「んなっ!?ナマエ!?起きたのか!!」
「何事。なんでナナシおっきいの?」
「覚えてないのか!?お前この世界にきてからずっと眠っていて……」
「あー、回避する為に鏡に体当たり決めたんだっけ。ってことはミラーワールド的な感じかな?」
「いや……俺も疑ったんだが違うようだ……消滅もしていないしな……って関わったことあるのか?」
「あるよ。確か結構初期で子供の姿だったし、ネムが敵ライダー扱いで私は蓮さんことナイトにぐっさりされたかな」
「は?」
「いやー、あの世界、確か病んでるネムの持ってる人形がミラーワールドで意志を得てるテイだったから私人間の子供みたいだけど違うかったんだよね」
そういえばナナシは動きを止めた。私は近くにある鏡を見に行く。うむ、その時の私の外見である。イコール人間じゃないと思われる。
「やっぱり姿がミラーワールド準拠っぽいな?私人形じゃないかな?」
「人形?お前が」
やっと動き出したナナシが背後に立つ。その先にうつったのはナナシではなくネムである。目を見開いた彼らは私を見下ろした。向こうがわ、ネムがいる方の私は人形なんですよね。しかもカラーバリエーションが違う。まぁ向こうも同じような感じになってるんだろう。私がついに分裂したのか、タイミングがずれてるか並行世界的なアレなのかは分からないが。
「どうなっている?この世界はミラーワールドじゃないぞあの独特な反面世界じゃない」
「鏡を通して移動しちゃったからかなぁ」
そう鏡に手を伸ばす。向こうの私も手を伸ばす。まぁ、お互いにくぐり抜けれないだろう。ナナシがネムをみてから私を見下ろした。
「待て、じゃあこの世界において俺はネムのリュウガみたいなものだと?」
「そこは不明だなぁ。向こうに見える人形も私の意識持ってそうだしね」
「じゃあ周りにとってお前はどういう認識になる?」
「多分人形だねー。リューキの世界では完璧私は子供の姿した人形で、ネムがブツブツ独り言いってた設定だったみたいだし」
「……待て。俺は先生に相談したぞ。お前が起きないって」
「おっと……」
そう苦笑いする。頭を抱えた彼に、鏡向こうにいるネムもまた頭を抱えている。扉が開く。ちらりと見ればその先にいた耳が燃えてる猫ちゃんと男子高校生にナナシは振り返った。
「オイ、ナナシ。何をブツブツ独り言いってるんだゾ!」
「ナナシくん、朝ごはんできたよ」
「お前たちにはコイツがどう見えてる?」
そう言って彼は私を抱えて1人と一匹に見せる。2人とも困惑した声をだした。
「お前、夜中にコソコソしてると思ったら人形に話しかけてたのか?」
「ほらね、人形認識。私の声も君しか聞こえてないから」
「嘘だろ」
ナナシを見上げれば彼もまた困惑しているというか絶望している。
「いろんな世界飛ぶとこういう世界もあるもんだよ。私が動いてんのも周りからしたら君の幻覚処理だかんね」
「えーと、可愛い人形、だね?この子の名前は」
「……ナマエだ」
「へぇ、ナマエ、っていうんだ」
「……よろしくしてやってもらえると嬉しい。人形じゃない。俺の大切な婚約者だ」
コイツ開き直ってやがる。そしてどさくさに紛れて婚約者名乗りやがった。もうドン引きされてもいいどうでもいいみたいな開き直った顔をしている。婚約者と繰り返した彼らはヒソヒソと話し出す。私は彼を見あげた。
「何故に婚約者?」
「鏡向こうにいるネムは妹と言ってるんだったら妹じゃない方がいい。かと言って他人ではな。あと、アイツと兄弟はいやだ」
「それが本心だな」
ひょいっと私を抱えたナナシは「朝飯だ」と連れて行く。1人と一匹が固まっているぞ。

「やぁ、眠り姫を連れているということはこの子は目覚めたのかい?」
「ああ」
「確かに綺麗なお目目が見えているね」
そう覗きこんだのは半透明だ。わー、ゴーストか。カートゥーン寄りだなぁ、と思いながらそれを見る。
「安心しろ、悪い奴らではない」
「怖くないよ」
私をテーブル備え付けの椅子に座らせるとナナシは朝ごはんを食べる。
「食べれるのか?」
「食べられない。お腹空かないんだよねー。でもホットミルクと砂糖菓子は好きだよ」
「ホットミルクと砂糖菓子……覚えておこう」
「この世界の世界観が迷子なんだけど、学園?」
「あぁ、寮制の学園だ。流れで入学することになった。ここはオンボロ寮という寮として機能していない寮だ。あっちの猫みたいなのがグリム。あっちの人間がユウ。ユウはおなじく迷い込んできた」
「ハロー」
そうひらりと手を振る。ひそひそ話していた2人に、ナナシが「ハローとナマエは言っている」と代弁した。困惑たっぷりに2人は「は、はろー」と告げた。

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開き直ってやがる。ケラケラ笑ってしまうのは仕方ない。ナナシがヤベェやつ認識になっているのが笑ってしまう。第一印象はそうでもなかったのに、とは周りがコソコソいうやつである。うんうん、ネムも同じ目に遭っていた。まぁあの時は私にもよくわからなかったし、ネムは認めたくなくて余計に悪い循環に陥っていたが。お前の幻想を打ち破ってやる!みたいな感じで殺されたから私は。でも蓮さんは好きだぜ。個人的に。
「あら可愛い人形ね」
「……先輩は何を言ってるんだ?ナマエは人間だ」
彼の言葉にピシリと綺麗な男の人がかたまった。
「ノリノリで病んでる人間やるんじゃないよ」
「別にいいだろう。お前は(俺には)喋るし動く。あぁ、ヴィル先輩、ルーク先輩。コイツは婚約者のナマエという。1人でいたら俺の元に連れてきてもらえないだろうか」
「……わかったわ」
「ありがとう」
ふっと笑ったナナシは次は魔法史だな、と私を抱え上げたまま廊下を進んだ。やめなさい。

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魔法学園っぽい世界観なのであるが、疑問がある。ナナシはライダー世界で確か魔法が使えるのだ。ライダー世界寄りの服装をしているし、何より私自身がライダー寄りの設定を継いでるのだ。ということはだ。
「ナナシって魔法使わないの」
「何言っている。俺は魔法は使えないぞ」
「あれ?ヴィザードで使ってなかった?」
「無理だろう。世界が違うんだ」
そう言った彼に私は鞄から指輪を取り出す。は?と首を傾げた彼に私はドヤ顔をした。最近気づいたんだな、この機能。あとこの機能持ってたのキバ世界だったからやっぱりライダー世界観準拠っぽいよね。
「なんでお前が持ってるんだ?」
「色々かばんから出せる」
「メリーポピンズか?」
「魔法つかってみ?」
「……コネクト」
そう言ってドーナツを取り出した彼はなるほどと頷いた。ドーナツは私にくれた。……ベルトも多分出せることは黙っておこう。

「可哀想に。お前らにはナマエが人形に見えるのか」
そう今の状況をネムと違って楽しんでいるらしいナナシに、エースくんが「いや、それが人間に見えてんのはお前だけだっつーの」と突っ込んだ。
「はぁ?」
「はぁ?って言いたいのはこっちなんだわ」
「そりゃそうなる。エースくんがただしい。というか関わりがない人には怖がられてるじゃん」
「俺は別にナマエがいるからいい。理解者なんぞいらん」
「無駄にいい顔いい声で話すな」
そう頭にチョップする。痛い、と言った彼に周りはドン引きしている。慣れてるユウくんがクッキーをつまみながら口を開く。
「でもさー、不思議なことにさ、ナマエちゃんに紅茶とか甘いもの出すというか目の前に置くじゃん?そのあとそれ口に含むと味しなくなってるんだよね」
「なんだよそれ」
「ナマエちゃん、あーん」
そう言ってクッキーを口元に持ってこられるのでパクリと食べる。うまうま。
「美味しい。もっと食べたい」
「そうか、美味しいか」
「食べてみ?」
私が食べたはずのクッキーをそんな馬鹿なとエーデュースくんが食べて固まった。
「ね?」
「は?なんで?」


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ナナシは全力で引かれるのを楽しんでいるようである。メンタルが強い。ネムはメンタルやられてたからなぁ。まぁ、カラクリがわかっていれば大丈夫だろうが、カラクリがわからないままだったからな。私も私で仮面ライダーが詳しくなく、平成仮面ライダー怖いってなってたし。周りの私への扱いもモノ扱いでひどいってなってたし。今思ったらもの扱い当たり前だわ。人形だもん。お前ら絶許ってなったんだけどしかたない。
まぁ閑話休題。私を抱っこして向かった先はハーツビュラルと呼ばれる寮である。お菓子がたくさん並べられたお茶会に人形が出席云々という規律があり、その人形が壊れただか無くなっただかで代理で私が呼び出された、とはコソコソとエーデュース達が告げたことだ。ちなみにナナシはそれを理解した上で表面上は私も招待されたということできている。
「ケーキめちゃくちゃあるじゃん、嬉しいー。しかもなんかホテルのバイキングみたい。ぜったい美味しい。座ろうよ」
「先にパーティホストに挨拶するべきだ」
そう言ってナナシは赤毛の子と緑の髪とオレンジの髪のお兄さんに近づいた。
「リドル寮長、先輩方、お招きいただきありがとうございます。ナマエもさっきからケーキに目移りしてるみたいで」
「うわっ、マジでそんな感じなんだ……」
「ケイト。いや、こちらも急ですまないね」
「あぁ、二人で楽しんでくれ」
「ありがとうございます」


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ちょっと危なかったので、あっぶなーい⭐と魔法使ってユウくんを守ってみる。まぁ、タイムジャッカーよろしく時間止めてるんだけどね。え?と動きを止めた周りに私は彼に駆け寄った。
「大丈夫?」
「え?」
「上上」
そう言って彼の上を指差す。彼は上を見上げて「うげっ」と告げた。魔法薬が降り注ごうとしているタイミングで止まっている。とりあえずそのまま彼の手を引いてナナシの近くに立たせ、犯人一派だろう人の1人をそこに連れてくる。私はナナシの近くに戻ってから未だ困惑している彼に手を振ってから指を鳴らした。カチリ、と動き出した周りに上から液体を被った犯人のうちのひとり、ナナシだけが何が起こったか理解したように私を見下ろした。うーん、流石にライダー世界によくいるからナナシは耐性があるか。周りがひどい騒ぎになる。ナナシがちらりとユウくんをみた。
「ユウ、運が良かったな。自滅してくれて」
「えっ」
「なんだ?散々お前達が人形だというナマエが動いて見えたか?」
ふっ、と口角をあげて笑う。ナナシは結構二号ライダー寄りなんだよなぁと思う。相棒ことネムは主役よりだが。私を抱き上げたナナシは何事もなかったように席に座る。かかった魔法薬は結構えげつないものだったようだ。医務室に運ばれて行く生徒を見る。
「自業自得だけど、可哀想なことしちゃったなぁ」
「お前が気を病む必要はない。アイツらが悪いんだからな」
そう私の髪を撫でた彼にまぁいいかと私も騒ぎをみた。


夜ご飯のあと、ナナシがお風呂に入ってる間に遊びにきている1年ズを眺めていた時だ。その薬学の授業の話になり、ユウくんが寄ってきた。なんだ?と私は首をかしげる。向こうには動いてないように見えるんだがな。やっぱり動かないかー、と肩を落とした彼にまわりがなんだなんだとやってきた。
「ナマエちゃんがあの時助けてくれたと思うんだよね」
「は?」
「いや、なんだろう周りの動きが止まったと思ったらナマエちゃんが動いて助けてくれたんだよね。そもそもあの生徒のところには俺がいたはずだし」
「はぁ??お前もそっち系になった感じ?」
「いや.えっ、幻覚かな」
「いや、違和感が僕もした。あの魔法薬が人間にかかると思ってペンを取り出しかけていた。あの時僕の視界には人間がいたが、瞬きをした瞬間にあの生徒に変わっていた。まぁ、それが人形がしたかどうかは別としてだ」
「ナナシがなんかやったんじゃないのか」
「ありうるな」
「うーん、でも、助けてくれたのはやっぱりナマエちゃんだったと思うんだよなー」
そうじっとこちらを見た彼を私は見上げる。私ですよ、といっても彼には聞こえないのだが。

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視線を感じる。主にライダースーツっぽい服をきた水色の腕章をつけた集団から。コソコソ話をしているのを聞くにナナシ氏は同類、ドール趣味などなどいう声を聞くに多分オタク系男子だろう。アレはぜったいお高いドールですぞ、とかなんとか言われてるがこちとら人間である。だから更衣室に連れて入るのはどうなの?と思って告げたのだ。
「ということで少しの間預かってほしい」
そう言って私はユウくんに渡される。
「できれば離れたくないんだが、男子更衣室に自分が入るのはいかがなものかとナマエに言われてしまった」
「確かに」
「確かにじゃねぇんだわ。ただの人形なんだわ」
エースくんの言葉を無視してナナシは授業に向かう。私はユウくんを見上げてみる。彼は「よいしょ」と私を抱き上げたのだが。

おい。エースくん、雑に扱うんじゃない。いや、物だからまぁいいんだけど。
「bad boy、レディを雑に扱う物じゃないぞ」
「でも先生、人形ですよ?」
「されど人形だ。彼女は恐らく魔法石が組み込まれたアンティークドールだが、軽く数百万マドルはするモノだぞ」
「えっ、数百万マドル?」
クラス中の視線が向く。エースくんの扱いが丁重に変わった。
「学園長が言うには本来ならば動くが、恐らくは中の魔法石が破損している可能性があるらしい。だが、彼女にかかった魔法がまだ作用しているようだ」
「魔法?」
「窓ガラスに映る彼女を見てみろ」
その言葉に私も窓ガラスをみる。いやー、人形だなー。
「え?」
「は?」
「え?なになに?なんでみんな驚いてんの?」
そうユウくん達を見上げる。こちらを見下ろした彼らは困惑した声を出した。
「姿が映るものを通せば動いて見える。鏡や窓ガラスの反射なんかにはな。かけられた魔法が作用している」
「マジか。ナナシにはこう見えてるわけか……」
「先生よく気づきましたね」
「昔同じような人形を持った先輩がいてな。その人は妹と言っていた」
ああー、それネムだ。多分これキバ形式というか鏡の先にいたネムは過去というわけだ。
「へー、その人はどうなったんスか?」
「人形と共に鏡の中に消えてそれ以降行方不明になったらしい」
「え?」
「俺も詳しくは知らん。俺やサム、教師の一部が扱いに慣れているのはだからだ」
ははぁ、なに、やっぱりミラーワールド的な場所にネムは消えたのか。あと過去なのね。あとでナナシに共有しよう。
「魔法石を入れ替えたりはできないんですか?」
「難しい話だ。同じものはないからな。性格が変わる可能性もある。魔力の補填で補うことはできるかもしれないがな」
ふむ。私が目を覚ましたのは恐らくはナナシの魔力を補填したからだろう。これはどれだ。私がこの先ネムとこの世界の過去に行くのか、私の魔法石が壊れたから記憶がなくなったのか、そもそも私が分裂したか。
「ナマエちゃん、なに考えてるの?」
そう尋ねられた言葉に私はユウくんを見上げる。まぁ彼は窓ガラスを見ているのだが。


迎えにきたナナシに色々と報告する。まぁ些か驚いたようだが、私の考察をふむふむと聞いてくれる彼は良い人だ。二号ライダー気質だけど。
「なるほどな、ナマエから話は聞いた。よく似た人形を持つ男か。心当たりはある」
「え?」
「ナマエの兄を名乗る男がいるのは確かなんだ。ただ、ナマエにそいつとこの学園似通っていた記憶があるかと言われたらノーだ。本人も魔法石が破損しているからそうなのかそれがよく似た他人なのかわかっていない」
「ナナシとナマエはどうやってあったんだ」
「出会いを話せば長くなるが、この世界あの入学式に迷い込んだ時はナマエが助けてくれたからだな。ナマエが攻撃を回避するために俺を掴んで鏡に突っ込んだらあそこだった」
「ん……?」
「え?」
「あぁ、言ってなかったな。言う必要もないから言ってなかったんだが。俺もナマエも、その消えた男もこの世界の住人じゃない。異世界人だ」
さらりと告げたナナシに一年ズと周りにいた生徒が固まった。混乱してるな。
「世界を超えると不意に役割が与えられることがある。ナマエに与えられた役割が人形だからお前らには人形に見えてる」
「えっ」
「お前ガチで言ってる?余計に痛いんだけど」
「信じるも信じないもお前らの勝手だがな、お前らの見てる世界だけが世界じゃない」
そうはっきり言った彼に周りはパチパチと目を瞬いたのだが。これ、ユウくんも多分異世界人って彼らは分かってるのだろうか。

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なんかめちゃくちゃ面白……面倒くさい展開になっている。目の前にいるいわゆるオバブロしてる女の子は異世界人なのであるが、なんだろう。自分がユウくんじゃないことにキレてるというか。
「些か理不尽すぎない?なに?ミラーワールドからきたユウくんかな?」
「ほう……ユウは女装趣味か」
「えっ、ないない。そんな趣味ないんだけど」
そう首を左右に振ったユウくんに、ジャックくんが苦笑いした。
「なにがどうなってそうなった?」
「そこの人形抱いてる奴もよ!!アンタも原作にはいないんだから!」
「原作にいない云々はまぁ理解はしてるが俺は決してここにきたくてきたわけではないし、同じく存在しないお前に言われる筋合いはない。よってお前には関係がない話だ。うせろ」
はっきり言うなぁ、とナナシを見上げる。ナナシの眉間にシワがよっている。きげんがよろしくなさうだ。なんか怒りに任せて魔法使ってくる予感がするなぁと思ったら彼女の周りに真っ黒な水みたいな渦ができてた。ただの水じゃないな、これ、と思いながら時間を停止させる。周りの生徒達がは?みたいな顔をしたが。
「なんだこれ?止まってる?」
ナナシと唯一わかっているユウくんが私をみた。私は口を開く。
「それ触らない方がいいよ」
「え?」
「この黒い水ただの水じゃないと思う」
そう言えば周りは私が話したと理解したらしい。驚いたように私を見た。
「え、動いて……喋った!?」
「今の話し合うべき論点はそっちじゃない。あの女だ」
「私の力が持たないから動かすね。悪いけど動いてない生徒はどうすることもできないし、動ける人だけでもこっち側来た方がいいよ」
そういえば先輩がちょこちょこよってきた。可愛いな。だいたいがやってきたのを確認して指を鳴らす。カチリ、と動いた周り、黒い水がぶっかかった相手が苦しんでそのままグールというかアンデットっぽい動きになった。こわっ。それをみて阿鼻叫喚になって生徒が逃げ惑う。ナナシは見てるけど。
「ガチでやばい奴だな。使役系の魔法か?」
「うーん、使役系って言っても多分思考能力をグールやアンデット系まで落として使役する感じっぽいよ」
「グールとアンデッドでは対処に雲泥の差があるぞ」
「感覚からすれば下級のファンガイアにも近いんだよね。多分ナナシはシャバドゥビタッチヘンシンでなんとかなるよ。ネムはキバ系統で太刀打ちできたし」
あれ?私今変なこと口走らなかったか?
「……私今変なこと言わなかった?」
「言った。だが今はあとだ。ベルトがないがなんとかできるだろう」
「ベルトあるよ」
そう言って彼に渡す。本来ならこれつけてないとヴィザード関連の魔法使えないんですけどね。えい、とナナシの腹部にベルトをつける。
「ドライバーオン」
「ナナシ何やってんだ!とりあえず逃げるぞ!」
「お前らは下がっていろ。俺の世界関連かもしれん。かたをつける」
彼が水色よりも淡い青の指輪をつけて私をユウくんに渡したけど君の変身ドライバー音声なんでか私なんだぞ。
「シャバドゥビタッチヘンシン!……フリーズ!プリーズ!」
「変身」
「チェンジナウ!」
そう言った瞬間、水色の魔法陣がナナシにぶつかりヴィザードの服着てマスクオフしているナナシが現れた。結構配色仮面ライダーナイトに近いんだよなぁ。女の子が怯んだ顔をした。
「俺が相手をしてやることを光栄に思え。さっさと失せろ、グールども」
まぁナナシが一方的なんですけどね。心なしか周りの目が輝いているような。このままナナシがキックストライクするかな?って思ったけどその前に鏡面世界的な感じに逃げられた。なんだ?
「消えたか」
そう言ってナナシが変身解除すると何事もなかったように私をユウくんから取りに来た。
「ユウ、ナマエをありがとうな。……ナマエ、聞きたいことがある」
「私も調べたりしたいことあるよ。とりあえずオンボロ寮に戻ろう」
「あぁ、そうだな。寮にーー」
「お二人さん。そう簡単に行きませんよ。色々と教えてもらいましょうか。そりゃあ、もう、色々と!」
「あぁ、学園長、そっちから出向いてくれるとはありがたい。聞きたいことがある。俺と同じく人形を抱えた生徒……ネムというかつて在籍した生徒について知りたい」
「ーーなるほど、貴方は彼と関わりがあったのですか。いいでしょう。ついてきなさい」


要約すれば、ネムは確かにいたらしい。でも異世界からやってきた悪いものを鏡に封じる形で人形(私)が壊れてしまい共々鏡の中に入ったという。なので学園側は元の世界に帰ったと判断した。というかこの世界においてはそう判断するしかなかった。
「しかし、人形が同一とは……確かに同じ名前を持っていたと記憶します。しかし、彼の持つ人形の瞳は赤、その人形は青。カラーが少し違います。その人形に庇われてこの世界に来た。貴方の言葉を信じるならば、二つの人形は別では?」
学園長の言葉にナナシは私を見下ろした。
「どう思う?」
「いや、これネムと私が飛んでる時間軸とナナシと私が飛んでる時間軸が違う気がしてきた。ナナシと合流したのより前かも」
「ふむ?」
「今思うと、ナナシと私が初めて会った時ネムも初めてのはずなのに知ってる風だった気がする」
「……確かに馴れ馴れしい奴だと思ったが。だが、どう言うこと?」
「そもそも私もネムも、まぁ君もそうなんだろうけど、ニチアサ世界はランダムに渡っていく。キバの前にいた世界はリュウキなんだよ。キバの世界で目が覚めた瞬間思ったこと、コイツヤンデレと心配性極めてんな?だったから、もしかしたらここ経由してるのかも。私が壊れてるから知らないだけで」
そう言って紅茶をのむ。うーん、記憶を辿ってもいいが思い出せないんだよな。
「その人形はなんと?」
「ネムが来た時間軸と俺が来た時間軸は別ではないかと。いやこれ言うと面倒くさいが、今の俺は確かにネムと面識がある。が、アイツは初対面から俺を知っているような反応をした。だが、恐らく向こうに面識はない。鏡にいるのは俺と知り合う前のアイツだ」
「なるほど?だから人形は二つあると」
「ナマエが時間を止める力を使わなかったのはだからだろう。あのナマエにはまだできない」
「ならば、彼はなぜ鏡に?」
「そこまで知らん。アイツに興味がない。唯一理解するのはナマエだが、理解してないから無理だ」
「かー、淡白ですね!」
「知らんもんは知らん。だが、俺たちの世界では、何千回に一度鏡が割れた瞬間に鏡の中の世界に入ることができて、その時に願いを叶えることができる争いができる。壊れた人形を戻したかったんじゃないか」
「前の世界で痛い目あってるから違うと思う。ネムは私がいないと自己犠牲に走る癖があるからね。完璧に封じるには自分が鏡に入るしかなかったんじゃない?悪いものと私と一緒に鏡の中で寝たんじゃないかな」
「……おい、ならやばくないのか。鏡に俺の姿の代わりにネムが映るのは?」
そういったナナシに学園長が「なんですって?」と口を開いた。近くにあった鏡台にナナシが寄る。そこに映るのはネムと人形してる私である。
「ほらな」
鏡台に背を向けたナナシに対し、ネムもまた背を向けた。

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・なんやかんやでこちらの世界にきたネム

別の私が放り出されたなー、と思ったらぐしゃりと黒いものを纏った人間に踏み潰されたでござる。ひえっ。ナイトにぶっ刺されるより酷くないか。というか、ネムが病むわ。トラウマ再現だ。ネムが絶叫するのが聞こえる。いかん、確か私の記憶ではリュウキの次がキバ世界だった。そしてネムはファンガイアと人間の間の子供だ。しかもネムはキバ世界で一度やらかしている。ネムがノロノロと立ち上がり人形の破片を拾い出す。
「あ゛あ゛あ゛、ぁ、ナマエ、ナマエ、が、こわれ、もとにもど、なおさ、なおさねぇと、やだ、しぬな、おれをのこしていくな、」
「なぁやばくないか?アイツオバブロしない?」
確かに黒いモヤが集まってんなーと眺める。モヤを纏っていた存在がネムに口を開く。
「頭おかしいわね、アンタ。妹じゃなくただの人形よ。キミワルイ」
「だまれだまれだまれだまれ、おまえらもアイツらとおなじか。コイツはにんげんだ、にんげんなんだ、おれのいもうとだ、あいぼうだ。おれはおかしくなんてない。おまえらがおかしいんだよ」
「これ、リュウキとナイトに対して言ってた言葉だから、トラウマスイッチ入ってるよ。オバブロというより、ワンチャンファンガイアの覚醒がはいる」
「は?」
「そうだ、おれはおかしくなんてない、おかしいのはてめぇらだ、ころしたな、おまえはおれのいもうとをころしたな、おれはおまえをゆるさない、おまえはおれがさばく」
彼の影がステンドグラスのような模様を描く。闇を纏う。
「おまえはおれがころす!」
その瞬間の時間を止める。これ食らうとステンドグラスよろしきか砕けちゃうから。止めたものの、これどうすればいいんだろうか、と思いながら黒いモヤを纏った人の前に立つ。そして両手を広げた。多分周り目だけで私を追えてる。そして指を鳴らす。ネムが目を見開くのとナナシが魔法を使うのは同時である。微かにズレた攻撃は彼女にあたらず、ナナシの魔法に処理される。床に落ちた私の本体を彼女は不思議そうに見下ろした。
「なにこの人形。さっきのと色違い?きみわるっ」
「おい待て、やめろ!」
「何?貴方もそんな感じなの?潰してあげるわ!」
がしゃんと私の体が割れる。おっとこれはナナシも暴走するのでは、と思えば周りが急に夜になった。なるほど理解。私がそっち側になるのね。赤い霧が立ち込める。ピアノの音はネムと共通である。
「いやー、ありがとう。まさか壊れて元の姿に戻るとは思わなかったよ」
いやこれ手元の装飾とかみるに完璧にキバ世界の大人バージョンなんだよな。ウィザードの指輪つけてるけども。近くの窓枠に座る。わー、珍しくピンヒール履いてる。ということはキャラが違うな。いつものキャラでいると怒られるやつ。赤い霧を消しながら笑う。
「ご機嫌麗しゅう、皆々様。今宵は良い月、我らのような存在も心躍ると言うもの」
クスクスと笑ってネムを見る。
「お兄様、いけません。このような方は貴方が手を下す必要はございません。そして魔法使い様、絶望のあまりゲートを開いてはいけません。いくら貴方といえど二度目はよくありませんよ」
「……ナマエ?」
「はい、いかにも。私は貴方の妹、時に良き相棒のナマエです。でも、どうやらお兄様と私ではやってきた時間軸が違うご様子。貴方のナマエの本体はキャッスルドランの中でねむねむ中でございます。早く迎えに来てくださいませ。共に我が王の力となりましょう」
そう彼の手を取る。泣きそうな顔をしているな。
「何よ、貴方、どこから!」
「私はいましたよ。お父様が私の魂を人形に半分移していたようですが、貴方が壊してくれたことで過去の私の半分の魂が解放された。未来で、お兄様と、魔法使い様が、無茶を、なさるので!また人形に魂が移ったのですが、貴方が壊していただいたので。半分と半分が合わされば一となりますゆえに、私はこの姿になったのでしょう」
そういえば動きを止めていたネムが口を開いた。
「……ガチで俺の嫁が来てしまった」
「は?」
「は?聞いてない。長い付き合いだがナマエが彼女だったとは聞いてない。いや、節々似てるなと思っていたが……『鏡面の先の少女、瞳に映るは真実』嬢……」
え?なんでナナシ真名知ってるんだ。私は首を傾げてうっとりしているナナシをみる。ちなみにネムは『鏡面の後の少年、携えるのは裁きの鎌』が真名である。ちなみに二人してキバの強化ユニットだから。私が鏡の盾、ネムが死神っぽい鎌である。
「まぁ、魔法使い様はおいておきます。面倒な気がしますゆえ。壊してくれたお礼です。貴方の真実の姿を私の鏡に写して差し上げます」
そう言ってどこからともなく鏡を取り出して黒いモヤの彼女に向ける。そうするとどうなるか。彼女の後ろにいる生徒教師に彼女の本当の姿が見えるんだな。え、と誰かが声をあげる。うわ、グロ画像とも、吐き気を催すような声も。ナナシがネムを持って魔法で移動したらしい。なに写ってるかわたしにはわからない。ユウくんが眉間にシワを寄せて告げた。
「ーーこの人は死んでるってこと?」
「私の鏡は真実の鏡。そう映っているのであれば、そういうことでしょう。おおかた、彼女はこの世界に招かれたのではなくこの世界に望んできた。方法などはわからない。でも、彼女は絶望を差し出したわけでもない。ならば、命を代償にしたのでは?」
そう首を傾げる。いや、いや、と彼女は口を開く。彼女のモヤが黒くなる。私は生きてる、生きてる、と繰り返す彼女はぐるりと生徒の方を見た。
「私は死んでなんかない!」
「ごめんなさい、言い忘れておりました。私の鏡は真実を写す鏡。その用法は裁きにかける存在への質疑。故に私の鏡の前で三度嘘をつけば裁きが下る。貴方は三度嘘をついた。生きている。一度。生きてる。二度。死んでなんかいない。三度。さぁ、裁きのお時間です」
そうにっこりと笑えば過去のネムの周りが赤い霧が舞い、ネムが鎌を持って彼女を掻っ切った。その瞬間彼女の体はステンドグラスになり、ナナシがストライクヴィザード決めた。凍りついた後に割れたステンドグラスは粉々になる。ネムがぐったりしたのでナナシがつかんだ。私は鏡を謎空間にしまう。
「……ふむ、いけません。魔法使い様、この姿ではお腹が空いてしまいますが故、二人のナマエはしばし眠りにつきます。おやすみなさいませ」
そう言って目を伏せる。まぁ、ぶつかる感覚とかは特にないのだが。

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だから1号と2号は仲があまりよろしくないのが定石というか。ちんまりした姿でお腹が空く量を小さくするため幼女形態になっている私である。ネムがナナシをみてというか誰だお前から始まったのだろう彼らの喧嘩を見て、まるでリューキ(ネム)とナイト(ナナシ)の喧嘩に似てるなーと眠気まなこでぼんやり見る。これ普段は突っかかるのがナナシなのだが、いかんせんネムにナナシと過ごした日の記憶がない(出会ってないから正しいが)及び世界を飛び回り始めて浅いタイミング故に逆転しているために起こってるのだろう。やい、お前らうるさいぞ!と告げたグリムと監督生が止めに入るのを尻目に私は毛布を引きずりながら歩き出す。いかん、精神が幼児に引きずられる。
「ふぇ、ふぇぇぇ、」
ぐすぐすと泣き出せばこちらに視線が向いた。ユウくんが「あ!起きた!」と寄ってくる。
「ふぇぇぇ」
「えっ、泣いて、ナマエちゃん、どうしたの!?」
「おなかすいた、ねむい、やだー!けんかやだー!うるさいー!」
ぴえぴえと泣いていれば二人が黙った。グリムが完全に子供なんだぞ、とぼやく。完全に子供である。
「ナマエはねむねむなのに、うるさいのやだー!」
「どうなってるの?」
「この世界で大人の姿だといかんせん代謝が悪いから幼児の姿になったのだと思うが、いかんせん体に感覚が引き摺られるために幼児になってるとみる。あとナマエは基本寝起きが悪い」
「あぁん?なんでお前がナマエの寝起きを知ってんだ」
「お前よりはマシだが寝起きが悪い」
「なんで俺の寝起きも知ってんだよ!」
「俺も知りたくて知ったわけじゃない。迷惑料をとりたいところだ」
まぁ、あれだ……どこの世界だったか……確かスーパー戦隊側の世界で起きたらナナシが投げられて意識飛ばしてるのを私は見ているからな。ノーコメントだ。静かにまた喧嘩を始めた二人に私はユウくんの服を握った。
「おなかすいた」
「ナマエちゃんご飯食べよっか」
「たべるー!けんかするおにいちゃんたちはどっかいってて」
しっしっと追い払うように手を振る。こちとら腹へりである。喧嘩するなら他所でやれ。
「しかたねぇから、ナマエには朝飯を恵んでやるんだゾ!」
「やった〜」



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雑多 

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