2021/12/30
2021年オフラインネタ帳大放出祭4
「ジュリア?」
そうかかった声に少し反応してしまったのは仕方ない。ジュリアは昔帽子屋の少女をしていた時に名乗っていた名前だったと覚えている。手を引かれて振り返った先にいたのは恐らくジュリアと仲良かったゲーテ青年だろう。彼は私をじっとみて、もう一度口を開く。
「貴方はジュリアでは?」
否定も肯定もしない。私はただ口元に笑みを浮かべて彼を見るだけだ。それを肯定とした彼は言葉を続ける。
「ジュリア、どうして貴方がこの図書館に……貴方が引っ越していった街は戦火に包まれたと……」
彼はそう言って緩やかに手を離した。そして目を伏せる。
「謝ろうと思っていたのです。私は貴方の秘密を垣間見てしまった。だから貴方はあの街からいなくなってしまった」
悲哀だ。でも、そう言う物語だったのだから仕方ない。
「……もう、喋りかけてもくれないのですね」
しゅんとした彼に、あぁ、と私は目を伏せる。違うのだ。彼女の物語は終わりを迎え、いくつかを挟んだうちに私の物語にかわったのである。
「叔父様、申し訳ありません。ジュリアという名の彼女の物語は終焉を迎え、今の私の名は違います」
私の秘密を知る貴方ならご存知でしょう?
そう今度は私が彼の手を取り、礼をする。
「ーー改めまして、はじめまして。ゲーテ博士。私の名は苗字ナマエ。
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