2021/12/30
2021年オフラインネタ帳大放出祭18
「うーーーーん」
そう言いながら蓮にもたれる。うざったいと言った彼に気にしない。私は今迷ってるのだ。どうかしたの?と聞いてきたシムシムに、悩んでるんだよなぁと返した。
「はー、苗字ナマエ選手ともあろう方が悩みなんてあるんか」
「畑の中の俺ってどんなイメージなの?」
「でもナマエが悩んでるなんて珍しいな」
「うーーん。妹にあって欲しいって申し入れがあって、しかもテレビなんだよ」
「……ん?」
「あー、お前それ告知すると感動系話か胸糞悪い離しとしてまとめられるもんな」
蓮が私をのかしながら動かす。反対側にいるハナちゃんが本を閉じて私を見た。
「……でも、会いたくないのか?」
「会いたいけど恨まれてるかも。まぁそれだけのこと俺やってるんだけどさー」
「何?何の話?」
「俺が半袖着ない話」
そう言って頬杖をつく。半袖と向いた視線に私は息を吐いた。
「うーーーん。まぁいいか。俺さー、両親に虐待されてたんだけど」
「は?」
「両親に殴られて倒れて死にかけてるところをたまたま来たお巡りさんに助けられて生きて施設で途中まで育ってなんやかんやあって今なんだけどさー」
「は?え?」
「俺が12歳の時、親に2歳の妹殺せって言われたんだよね」
そう言えば凝視される。いやー、懐かしい。
「ナマエ、殺人犯だったの?」
「いや、熊本の病院まで妹つれて行った。連れ帰ったら両親に殺されるかもだし、そん時両親に半ば洗脳的なことされてるから両親と警察グルだと思ってたし、警察にはいかなかったんだけど、そこなら妹が安全だと踏んで置いてきた。そっちの方が妹幸せになるかなって。でもさー、妹にとって俺ってさ、捨て置いた人じゃん」
「年に一回プレゼント送ってるならそれはないだろ」
「でもさぁー。……俺今でもわかんないんだもんな。それが正解だったのかどうかって。プロになったら迎えに行こうと思ってたけど、喜ばしいことに他所の子になってたし……」
そう考える。ヘビーすぎるという表情を皆さんしてらっしゃる。ジョーさんが私を見下ろした。
「まー、たしかにメディアが伝えてるお前らしくはないわな」
「絶対次スポーツ紙とか週刊誌に俺の二面性みたいな記事並ぶ。俺のファンが幻滅してしまう」
「妹に会わずに妹に幻滅されるよりマシじゃないか?」
「それもそうか」
==
妹に会ってくると過去がバレるので先にフロントに確認してから行くことにする。まぁ心配されつつ行ってこいみたいな感じになったけどな。先にフロントお抱えの記者にインタビューされたけど。
さて、日本のテレビ局である。まー、事案紹介VTRをみる限り妹に恨まれてはいなさそうだ。年に一回手紙とプレゼント、あとは学費出すあしながおじさん的な立ち位置になってしまってる。まぁ、幸せそうに生きているのがわかって一安心したが。大きくなってまぁ。このカーテンの向こう側に妹がいるらしい。卒業おめでとうっていうべきか、誕生日おめでとうというべきか、と思いながらスタンバイする。会うべきか会わないべきか、何にも知らない芸能人のジャッジがはいり、会いにきたか来てないかそんな話にうつる。私のあしながおじさんっていう紹介はどうかと思うけど、カーテンの向こう側に移動した妹に息を吐いて、カーテンが開くのを待つ。司会とかの言葉を聞くに私がいるかどうかはガチで知らないらしい。まぁギリギリまで返答を保留してたからだろう。カーテンに開いた瞬間、足を一歩前に出す私に向いた視線、そうして全員叫んだ。それもそうだ。妹は妹で叫んだが。私は今年送るはずだったプレゼントを手に、妹を見下ろして笑った。
「18歳の誕生日おめでとう、カナ。会いに行くのが遅くなってごめんな」
その瞬間、妹は泣き出したのだが。私はそれをゆっくり抱き止める。うっわ、泣きそうだ。というか泣く。ごめんな、と繰り返す。
「ごめんな、会いに行くのが遅くなって」
そうぐしゃぐしゃと頭を撫でる。え?苗字選手?みたいな反応されたので、一旦妹から離れる。司会がまた口を開く。
「現日本代表の苗字ナマエさんです!」
「えっ!?本当に!?」
「マンチェスターの苗字ナマエです。今回、この番組に出演するにあたりフロントの許可取ってきました。本日付で恐らくクラブの記者から何かと記事が上がると思います」
そう芸能人に告げて、私はあの日置いて行った妹に合わせて屈む。
「こうして、ちゃんと会えたんだから、ちゃんと説明しないとな。本当は二十歳の誕生日にその手紙送るつもりだったんだけど」
「うん」
「あんまり聞いてていい話じゃないし、というか、嫌な話だと思うけど、お前もちゃんと知ってた方がいいだろうから」
そう目を伏せる。椅子に座って、と誘導され、私はとりあえずカメラでも、芸能人でもなく、妹の方を見る。
「俺が君をこうのとりのゆりかごに連れて行ったのは俺が12歳、君が2歳の頃。わずかに貯めたお小遣いで君が好きなお菓子を鞄いっぱいにつめて、東京から熊本まで電車で向かった」
「ちょっと覚えてる。好きなお菓子たくさん買ってもらえた」
「そっか、覚えてたか。……まぁ、はっきり言うとな、あの時、俺たちは両親に虐待されてた」
そう笑う。目を瞬いた彼女に私は言葉を続ける。
「君に暴力が向かないように俺は頑張ってだけど、俺がいない間に多分君も暴力を受けてたと思う。でも、そんなある日、父親に言われた。二人も養えないからお前が妹を殺せって」
スタジオが静まり返る。恐らく両親は罪を私に押し付けたかったのだろう。そりゃそうだ。私はまた口を開く。
「俺は君を殺したくなかった。でもどうすればいいかわからなかった。警察に相談したらよかったのにって君は思うかもしれない。でも、当時、俺は父親や母親の知り合いからも暴力を受けるときがあって、その中に警察官や教師もいるって聞かされてた。言ったらどうなるかわかってるのかって。俺にとって、まわりの大人はみんな敵だった。そんな中、たまたま外のテレビのニュースでゆりかごの話をしてたのを見たんだ」
私は目を伏せた。
「馬鹿な考えだと思うけど、そこに君を連れて行けば、君が助かると思った。君は違う家族に引き取られるかもしれないし、施設に入ることになるかもしれないけれど、あの家よりは君は幸せに生きていけると俺は思った。だから、たくさんの人に嘘をついて君を病院まで連れて行って、俺は一人で来た道を引き返して家に帰った」
「うん」
「……今更言って何になんのかって話なんだけど、これだけは言わせて欲しい。俺は君がいらないから捨てたんじゃなく、俺は君がとっても大好きで、幸せに生きて欲しかったから家に連れて帰れなかったんだよ」
「う゛ん……」
「本当はイギリスに行く時一緒に行く算段も立ててたんだけど、俺当時未成年で権利の関係で難しかったし、そもそも君には新しい家族がいたからやめた。だからせめて毎年手紙は書くようにしてた。プレゼント選んだりとかも楽しかった」
「嬉しかった。全部大事にとってる」
「そっかぁ。よかった……学校は楽しい?」
「うん」
「部活とかやってんの?」
「中学校から吹奏楽してる」
「何の楽器してるの?」
「トランペット」
「トランペット!?凄いな。俺あれ吹けないんだよなー、一回近所の子にせがまれてやったけどド下手って言われたからな」
「ふふ」
「勉強は大丈夫?」
「数学は嫌い」
「俺も嫌いだった。計算はいいんだよ、証明とか意味わからねぇって思ってた」
「体育も苦手。特に球技」
「そかそか、人間誰しもなにかと苦手なことはあるよな〜」
「……怒られるかとおもった」
「俺が得意なことが君が得意なことは一緒じゃなくていいよ。違う人間だし。古典得意?」
「得意だよ」
「俺あれ壊滅的に苦手だったんだよねー。未だによくわかってない。……ここだけの話、恋人できた?」
「……内緒!お兄ちゃんは?」
「俺?俺はいないけど特に募集もしてない。今は色々手一杯で……家族とは仲良し?」
「うん!」
「幸せ?」
「うん!幸せ。お兄ちゃんとも会えたし。まさかこんな有名な人とは思ってなかったけど、また会えて嬉しい」
その言葉に目を見開く。あ、やばいこれは泣く。お兄ちゃんは?と聞いた妹に私は頷く。
「……俺も幸せだよ。本当に色々あったけど、幸せだよ。多分俺ほどラッキーで幸せなやつはいないと思う」
==
「コイツ、ウィリアムの家に住んでるしな」
「えっ!?」
「いや、これには理由があって、アパート住んでて結構そこ好きだったんだけど、フロントから危ないからやめろって言われて」
「うん」
「でも俺家買うほどそこにいれるかわかんなかったし、というか別に一人暮らしでそんな広い部屋もたくさんの部屋もいらなかったし、どうするかなぁって思ってたらウィルが俺の家ひろいから家に住めば?って言ってくれて今」
「今」
「家賃の代わりに家事やってる」
「多分日本に戻ったら俺の家住む」
「えっ、いいの?」
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「……そういや、キリスト教徒なのか?」
「うーーん、わかんね。洗礼名貰ってないしな。でも近所の教会には顔を出したりはする。というかそこにいる人達とサッカーするために顔出してる」
「相変わらずだねぇ」
「そこの牧師さん?神父さん?まぁいいか。その人と仲良しだから、いつでもつける準備してるよ!って言われたことはある」
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「苗字選手、なんでライオンズなんですか?」
「レオが好きだから」
「そっちか。俺が昔いたからとかじゃなくてそっちか。お前なんでレオ好きなの?」
「身体能力えぐすぎない?めちゃくちゃクルクル回ったりするじゃん。いつ見てもすげーー!ってなってる。あとファンサもしてくれたし」
「サッカーのマスコット押せば?」
「サッカーのマスコットはクルクル回らないんだよ。頭身低いから。でも、サッカーは上手いし、シャチホコに至っては足生えるし、カッパは潰し屋だし、ワッシーはカッコいい」
「結局誰がいいの?」
「レオがいいなーー!」
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「レオ好き好き言ってたら、でっかいレオのぬいぐるみとライナちゃんのぬいぐるみがとどいた。めちゃくちゃ嬉しい。家に飾ってる。俺の部屋のソファの一角に座ってる」
「お前結構ぬいぐるみ好きだよな」
「まーね!時間あれば作るけど今時間ないからね!」
==
「なんか12球団揃った」
「お前の部屋、ワッシーとかもいるだろ」
「うん」
「ぬいぐるみばっかじゃん!」
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「俺がなんで可愛いなんだ……??可愛いのはガチガチに緊張してる椿丸とのほほんしてる窪ちゃんじゃない??」
「ナマエなんでそっちいるんだ?野球側じゃなかったか?レオ達いるぞ」
「ごめん俺ライオンズの一員だったわ!!」
「苗字、だめだぞ。お前はマンチェスターだ。野球じゃない。やめなさい、応援用のユニフォームに着替えるな」
「兄さんワッシーとシャッチーの隣でじっとしとき〜」
「ええーー……」
「ワッシーコイツ迷惑かけないように掴んどいて」
「なんでさー」
「お前はマンチェスターのマスコット枠 だろ。それかそこらへんの保護者」
「ひっでーー!!」
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「苗字選手ー、野球側とこそこそ話さないでくださーい。貴方サッカー側でしょうー?」
「何言ってるかわりませんねぇー」
「兄さん、ガチでハナが拗ねるで」
「ミスするような人は知りませんねぇ」
「ぶっは!!言われてやがんの!!きっペー、サッカーだろ。こっち」
「うーーす」
「こらーー!マスコット並みに自由なことしない!!」
「サッカー側マスコットがとばっちり受けてますね」
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「ほら、歌のお兄さん仕事やで」
「えーーーなんでさーー、八谷行こうよーー、無駄に暑苦しいのみたいんだよーー」
「はっ!?苗字そんなこと思ってたのか!?」
「俺八谷のそういうとこ好きだからさー、絶対子供に人気出るって」
「……仕方ないな!!」
「みた?アナウンサーさん、兄さんの悪いとここれやで」
「好き好きよくいうよな」
「絶対そのうち勘違いされるわコイツ」
「そのための持田だから」
「は?」
「人当たりのいい兄さんとよく炎上してる持田並べたらプラマイゼロ。そこにハナ入れたら兄さんがただの面倒見がいい人になる」
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「成田さんだーーー!」
「おー、苗字、元気そうだな」
「うん!!元気!!成田さんは何でここいるの?一緒に試合できんの??解説とかすんの??」
「一緒にするわけないだろ。成さんジジイじゃん」
「おい」
「成田さんはジジイじゃない!イケオジ!!」
「……」
「えっへっへ……」
「成さん相変わらず事案に見えるよ」
「お前は本当に可愛くないな」
「お前昔もあんな感じだったじゃん。成さんとどうとかならなかったわけ?」
「めちゃくちゃ今更じゃん。まぁ、ならなかったねー、成田さん常識人だし、私が憧れってわかってたんじゃない?」
「ふーん……」
「何?いまさらヤキモチ?」
「お前ら何イチャイチャしてんねん!暑苦しいな!!」
「おっ?畑くんヤキモチ??」
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「なんか元彼vs現彼で争ってるみたいで笑えるなー」
「兄さん他人事やないで。自分のことやで」
==
「いや多分お前
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