2021/12/30
2021年オフラインネタ帳大放出祭19
覚えていないのが普通だ。しかも、今回は関わりがあったわけではない。私は色々あって養護施設からとある夫婦に引き取られて元からイギリスにいたわけであるし。同い年かといえば、私の方がほんの少し年下だ。同じ性別なら同じ場所に立てると思っていたが、これは逆でいいのだろうか、とも思うわけで。招集された、それは喜ばしいことには変わりないが、私一人ある意味アウェーなワケですよ。まぁ、デビュー戦でいい意味でやらかしたら当然だなとはチームメイトの発言ではあるが。
「嬉しそうだな」
そう言ったチームメイトに素直に頷く。なんやかんや言いつつ結局は私は嬉しいのだ。一緒にボールを追いかけることができるのが。
まぁ、当然アウェーなわけですが。そりゃあアンダー18とかから結構持ち上がりが多いから仕方がない。この空気やだな〜、と思いながら自己紹介しろと言われて前に立つ。何いえばいいんだと思いながら助けを求めてコーチを見れば、日本語喋れるだろ、と促されたが。
「あー、と、マンチェスターのニンジャとか言われてる苗字ナマエです。JFリーグ見てるので、皆さんとプレー出来ることを光栄に思います。JFリーグのマスコットのぬいぐるみ集めてるので良ければ俺に寄贈してください」
そう言った瞬間持田蓮にゲラゲラ笑われたが。周りがなんとも言えない顔をしてるが志村さんが普通にしてるのを見る。志村さんと仲良くしよ。まー、蓮はフックがくるぞ。プライド多分刺激してるからな。まー、いくしかない。
「何でJFリーグ見てるの?下手だなって?」
「持田」
「えっ、何で自国の人のプレーみちゃいけないんです??俺この人らとサッカーできんの!ってワクワクしてるのに。アンタ持田蓮だろ?なぁなぁ、四月のさー、マリナーズ戦のロングシュートをえぐかったけどあれどうやったの」
キラキラしながら見てみる。ハナちゃんがジトってこちら見てるがまぁ置いといて。
「俺さー、遠距離のシュート超苦手なんだよね!この前真似しようとしたらキーパー正面で弾かれて、ちゃんと決めろって怒られたもんね!なんか秘訣とかあんの!?」
「ないね!」
ゲラゲラ笑いながら即答である。私は的を変える。
「くっそー、これだから天才肌は。いいもんね!多分花森圭悟なら優しそうだし教えてくれる。なぁなぁ、清水戦の時のえげつないカーブシュートどうやったの?」
「あ、あれは……」
「たまたまだろ」
「ちが……」
「偶々」
「そっかー、たまたまかー。でもたまたまでできるってことは出来るからそうなったってことだろ?なぁ、普段どんな練習してんの?俺もっと上手くなりたいんだよ〜」
そう言いながらハナちゃんの手をブンブン振る。苗字、それくらいにしておけ、と言われたので「はーい」と返事する。
「あとで教えて!」
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「そもそも何でお前そっちにいんの?」
「簡単に言うと持ち上がり」
「……そうだったのか?」
「俺の今の両親がイギリスに住んでるからさー、俺もイギリスに住んでてスクールとかユースとかもそっちだったから持ち上がり」
そう言いつつ水分を取る。二人は私を見下ろしたのだが。私は首を傾げる。日本ではあんまり放映されないんだろうか?と首を傾げた。
「何?」
「……いや……持ち上がりか」
「うん。そんないきなり学校通ってて目をつけられたとかあるわけないない。ユースで頑張ってたから目をつけてもらった」
「のわりには今まで参加してないなお前」
「多分存在知られてなかったんじゃない?って両親には爆笑されたよ。俺もそう思う」
ケラケラ笑いながらそう言う。そんなことよりうまいシュートの運び方教えてくれ。
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「お前黙ってると女みたいだよな。特に顔が」
「ソレ気にしてんだけどなー……」
がっくしと肩を落とす。イケメンって言って欲しい。こっそり同意したのが何人かいたのが見えたが気にしない。
「ガリヒョロと女顔」
「だ、だれがガリヒョロだ……」
「お前しかいないだろ」
「まー!顔は生まれ持ったものだから仕方ないか。仕方ないトキメキを与えてやろう」
「地獄だろ」
「俺の顔面お勧め角度はねー、髪軽くかきあげて上げたこの角度」
そう言って髪をかるくかきあげて少し憂いを帯びた表情プラス少し俯くくらいの角度をつける。蓮が「うわガチだ」と零し、越後さんもなんかびっくりしてる。
「苗字、ソレ、秋森にやってきてくんない?」
「……やめとけ、秋森の新しい扉開いたらどうするんだ」
「ソレどう言う意味だよ!」
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「なんかこう、苗字たまに試合中表情変わるからびびる」
「えっ、なにそれ」
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「きっぺーー!!」
「ナマエーー!!」
わーい!ときっペーちゃんにハグをしたらクルクルされた。く、くやしい。同じ場所にいた彼は違う家族に引き取られたわけだが、お互いオリンピックで再開できたらいいねとは言っていたのだ。嬉しや。顔合わせというかそんな感じの会だ。なんだなんだと見られたが知らん。私はきっペーちゃんと仲良しなのである。
「なんか悔しいから俺もきっペーちゃんクルクルしたい」
「やめとけ怪我すんぞ」
「きっぺーあんま食べすぎんなよ、お前すぐ太るんだからな」
「うるせー。お前は食べろよ」
「食べてる食べてる」
「はー、お前いたら通訳なしでいけるわー」
「競技違うからあんまり話せなくない?つーか自分で覚えろよ」
「選手村とか」
「ん〜〜、俺、他国のフットボールの人と話したい」
「塩対応か」
ムニっとほっぺをつままれたので同じようにほっぺをつまんどいたが。
「苗字、そろそろあつまれ」
「はいはーい。じゃなー、きっペー、また!」
「おうよー!」
手をひらひら振ってサッカー陣に戻れば、持田蓮がこちらをみた。
「何?知り合いなの?」
「小学校一緒だった!」
「ふーん」
「いひゃい」
「よく伸びんなー」
ムニムニぐらいならいいが痛いぞ。
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あれれー?おかしいなー。前なら蓮が怪我したりするけどそんなこともなく、普通に三人揃ってメダル取ってしまうことになってしまった。いやでもこれ三人揃ってるから当たり前じゃんって昔の蓮なら言ってるな。
延長の末のPK戦である。持田花森決めて私が決めたら即メダルなところで決めてしまった。えっ、私普通に凄くない??もみくちゃにされながら潰される前におもクソハグされたんだけど。栄光の架橋かけちゃったよね!!まぁ私基本的にマスコミ対応適当だしなー、と思いながらインタビューに答える。
「いやー、かけちゃいましたね栄光の架橋。というかみんなで建設しちゃいましたねー」
ケラケラ笑いながら言ってたら後ろにひっついているハナちゃんと隣でインタビュー受けてる蓮にふるいってと言われてしまった。いやーすまん。あんま五輪の日本のテーマ曲聞く機会ない。
「これ前の大会のフレーズでしたっけ?まぁいっか」
ケラケラ笑いながらそう言う。
「まーなんだろうなー、でもとりあえず言えるのはすっごく楽しかった!今回集まったこのメンバーでフットボールできたのもそうだし、色んな国の人とフットボールできて、楽しかった!やっぱりスポーツは言語も国境もほとんど関係ないなって思ったし、これからもいろんな国の人とフットボールしていきたい!それとは別にメダル嬉しい!」
日本語で言ってたら他言語で質問されたりするのでその言語で返す。イギリス慣れてるけど他の国慣れてないんだよな。同じような言葉を返してからふと思う。
『あ、間違えてませんか?大丈夫?他の言語勉強中なので間違えていたら申し訳ないです』
『大丈夫ですよ』
『よかった。じゃあ失礼しますね!ニンニン!』
そう言ってニンジャポーズしてからその場を離れる。イギリスメディアもニンジャポーズしてくれるから好き。周りが結構ノリいいのでニンニンポーズで掻い潜ってて笑った。
「何だあれ」
「ニンジャポーズ」
「侍じゃないのか」
「俺里から追われて国から出て行った忍者設定だから」
「……抜け忍がいて大丈夫なのか」
「周り侍出身だから擬態するって言ったけど何人か忍者ポーズしてたから忍者設定になったかもな」
「そもそもなんで忍者設定なんだよ」
「え?忍者だから詳しく言えないって言ってたらなんか納得されるし、マスコミにクールな対応しても許してもらえるから」
ケラケラ笑いながら言えば、なんとも言えない顔をされた。ちなみに日本に忍者がいるのかと言う問いには笑顔で流すか、シッ!と言うかでいいのだ。
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うーん。ハナちゃんも蓮も多分無事海外に来ますよね!蓮がイギリス来るかとワクワクしてたらインテルに行ってしまったり、ハナちゃんは変わらずドイツだしちょっと悲しみ。でもユーロ圏内だから一緒に遊びたい。向こうちょっと歳上だけど。チームメイトと遊んでそれどころじゃないかもだけど。あと綺麗なおねいさんに童貞を狙われてるから回避しようとしたら処女狙われる。何これつらみ。そんなこんな思ってたら今度はA代表ですってよ、皆さん。まだ持田花森コンビは移籍前なので五味さんと一緒に日本に行くよ俺は。だがしかし。
「んーーー!!」
「苗字どうした?」
「五味さんとフットボールできて嬉しい!!でも付け加えて!成田さんに!会いたかったのに!今回いない!!!サイン欲しかったし、練習でもいいから一緒にフットボールしたかった!!」
五味さんに駄々こねても仕方ないが。スタッフが子供かみたいな顔してるが、うるせ〜こちとら持田花森コンビの二つ下、未成年である。私は普通に拗ねるぞ。
「お前プレーは大人っぽいことする癖にそうしてると結構未成年だな」
「未成年だからね!」
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日本の広報さんにあった瞬間タヌキのぬいぐるみもらえた。嬉しいのでスーツケースの上にタヌキおいて合流するとする。なんかそのまま写真撮られてるけどあんまり写真パシャパシャされんの嫌いなんだよな〜と思いながら合流した。ハナちゃんにはマリーのぬいぐるみ貰えた。うれしみ。でもまた自己紹介なんだよなー。今回は持田花森コンビと一緒だけど。視線怖いのはハナちゃんの後の持田蓮がやらかしたからです。私はそんなキャラじゃないので。
「えーとマンチェスターの苗字ナマエです!一時的かもしれませんが、皆さんと一緒にプレーができることを光栄に思います!とりあえず相手に舐められないよう頑張ります!!あと色々教わりにもきたので教えてください!」
そう言って愛想を振り撒いておく。パチパチ起こった拍手にホッとしておいた。
うーん、注目されてる。が、私が動けなかったら蓮が、蓮も動けなかったらハナちゃんが動くので特に問題がなかったりする。機能しちゃうあたりが流石だというか。自分の部屋だと絶対寝るので適当な場所というかホテルのロビーでリプレイを見ていたが、流石に眠たい。うーん、ホテルのロビーで丸くなってうつらうつらしていればハナちゃんが通りかかったが。
「……苗字?ま、まさか、ぐ、ぐあいが悪いのか!?」
「うーん……ねむたいだけ……」
ゆっくり起きあがって目を擦る。ハナちゃんは私の返答にパチパチと目を瞬いて、ホッと息を吐く。
「……こんなところで寝るな。部屋にいないと思えば……」
「うーん……勉強してたけど部屋戻る……」
ずるずるとDVDプレイヤーを持ちつつ歩き出す。ハナちゃんになんか落ちたぞ、と言われたのはまぁ手紙なのだがそれを受け取ってから向かう。心配したハナちゃんがついてきたのだが、私はちゃんと部屋で寝るぜ。
「……苗字、そっちはお前の部屋じゃないと思うが……」
「うーん……ハナちゃん連れてって」
「……仕方ないな」
ハナちゃんはやっぱり優しいのである。
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「なんだ、寝てるじゃん」
「……静かにしろ」
「寝顔も似てんなコイツ」
「……やっぱり本人じゃないか?」
「さーな、男だし。でもナマエとサッカーできたらこうだったとは思う」
「……そうだな」
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「お前レトリバーっぽいもんね」
「それって褒められてんの??」
「……だが、事実犬っぽい」
「えー。でも、全員喜んでボール追いかけてるから犬じゃない??蓮はドーベルマンで、ハナちゃんは……ハナちゃんは……ボルゾイ」
「シロさんは?」
「シロさんは秋田犬」
「越後」
「越後さんはハスキー。古谷さんがシュナウザー」
「俺は?」
「ジョーさんはコーギー!」
「ぶはっ」
「ふふっ」
「苗字ー!?俺が身長低いの気にしてんの知ってんのか〜!?」
「違う違う!ジョーさんの愛嬌はコーギーだから!でもみんな犬の中タヌキが紛れてるの笑えるな〜」
「タヌキ?」
「タヌポン」
「ふふ……コーギー……」
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「
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オフシーズンで日本のテレビ出ることになったのは良い。今の両親も日本で過ごすらしいし。サッカーvs野球な感じの、テーマパーク的な奴である。最年少枠は私ときっペーちゃんである。ハナちゃんとか蓮とかいるかな?と思ったら越後さん達だった。まぁ良いよ。サッカーのマスコットも野球のマスコットもいるし。とりあえずダンス対決的な奴である。ゲーセンで見たことあるなこの手のやつ。選曲この回最年少のお前でいいよって言われたので適当に選ぶ。
「よっしゃ!歌のお兄さんごっこしようぜー」
「テレビだぞ」
「ハッピージャムジャムとかマルモリとかあるじゃん」
「お前待って。ガチで待って。今更お前選ぶと絶対ろくでもないやつ来るだろ。小さなお友達いないと失笑買うからな」
「爆笑してくれるだろう蓮いないもんな〜……あ!これは多分きっペーが勝つな〜。これ選んでんのに、お前勝たないとおかしいな〜」
そう言って曲目選ぶ。いやー、面白い曲目がカバーされている。ライオンズの応援の曲だ。
「何?お前何選んだの?は?」
「これはきっペーにボーナスだわー」
「は?……!無理、無理!レオ交代交代」
「はー!隣チラッてみたらきっペーの代わりにレオが踊ってた!すっげー!放送録画してもらおう!」
「なんでナマエ踊れるんだよ!」
「そりゃあ、幼馴染みのきっペーのチームだからなー」
「本音は」
「息抜きに野球のマスコットのダンス集見てたら覚えた」
「出たよおまえの無駄な記憶力!興味あることはすーぐおぼえようとする!」
そんなきっペーのツッコミは気にしない。ケラケラと笑いながらレオと肩組んでたらそのまま野球側マスコットに誘導されるのでそのまま野球陣に帰る。写真撮りたい。私の扱いに慣れた越後さんと古谷さんに手招かれる。
「苗字ー、ウチのたぬきが悲しんでるから戻ってこい」
「うーん、もう一声!」
「もう一声って、だいたいお前野球できないだろ」
「そりゃそうだわ」
「すいません、ウチの問題児トリオの一人が」
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「んー、俺は今の両親のこと魔法使いだと思ってるんですけど。というか俺が今まで会った中で何人か魔法使いと思った人がいるんですけど」
絶対失笑買うだろうなー、と思いながら言ったらガチであいたたたーみたいな反応されだけど知らん。
「家族とか子供とか、この先どうなるか全然わかんないというか、多分持たないだろうけども、俺も他者にとっての魔法使いになりたいなって思います」
それだけ言ってインタビューを終える。ネットで結構騒がれたらしいけど知らんがな。私はそう思ってるだけだっての。まぁでもニンジャに魔法使いって盛りすぎだな。すまん。ちなみにチームメイトは知ってる話なのだが、オフレコっていってあるから黙ってくれてる話だ。
代表戦招集かかったし、絶対ついてくるよな〜、と思ってたら持田蓮がさっそくついてきた。
「なぁ、魔法使いって何?」
その発言に周りが興味があるのかこちらを伺う。
「シンデレラの魔女的な意味だったんだけど説明してないしなー。ちなみに俺にとって魔法使いは五人くらいいるからな」
「多いな」
「……マジシャンなのか?」
「ううん。そう言うことではなき例え話だよ。シンデレラってさ、魔法使いの魔法があったからこそ舞踏会に行けて、王子様とハッピーエンドなわけじゃん」
「あぁ」
「だから、俺の魔法使いはこの人に会ってなかったら今の人生生きてないなって言う人を指してる」
そうハナちゃんと蓮をみる。ちょっと不思議そうな顔である。まぁ、多くのひとにとって両親は会うものではない。
「うーん、今年はまだ言う気ないし、聞き耳立てる人も合わせてオフレコなんだけど」
「うん?」
「俺12歳まで児童施設にいたんだよね。サッカー選手とか良く訪問してくる感じの」
頬杖をつきながらそういえば周りが凝視したが知らないふりだ。
「普通さー、あんまりそれくらいの年になっちゃうと引き取り手って少なくなるのな。俺はまぁ色々あって、結構歳重ねてからそこに入ったのもあるけど。だから漠然とこの先高校には奨学金とかで入れてもその先は就職コースかなって思ってたんだよね。サッカー選手とか言う選択肢はまず無理。スクールや近くのクラブなんてもちろん入れないし、強豪校に入るのも難しいし。サッカーボールは共用であっても自分用のサッカー用具ないし。でもお前サッカーやれってスパイクくれた人がいたり、チビ達見にきてたのに結局俺がいいって選んでくれた両親がいたりして、それがなんか、シンデレラの魔法使いがきてくれたみたいだったからさー、今でも魔法使いって呼んでんの」
「ふーん。お前苦労してんのね」
「いや、全然。別にそれが当たり前だったし」
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なんか飛んできたな、と思ったので、思いっきりボールをそれの軌道に向けて飛ばせばボールはなんかを弾いてピッチの外に弾かれる。なんだあれ?と首を傾げたらそこに相手チームの人が向かおうとしたので落ちた何かとの間に割り込んで近づいてはダメと伝える。まぁ何かわかってないからは?みたいな顔されたが。審判がやってきた時くらいに何か降ってきたことを教えようとしたら、それはけたたましい音を立てたのだが。耳がキーーンとして、ぐるぐるする。とりあえず相手選手と審判を押して距離をとらせ、ちょっと屈む。まぁ、そのままチームメイトに引っ張られたが。これやばい。とりあえず蹲み込む。うぇ、目眩に似てる。爆竹かなんかだろうか。
「めまいみたいな感じだし、すぐ治ると思うし待って。耳が変な感じになっただけだし」
そう言ってもタンカーきたし交代指示された。ぐぬぬぬ。仕方ない。引き下がる。引き留めた審判と相手選手に引き留めてごめんなーと言ってからドナドナされる。医務室に寝てるけど、すぐ良くなるんだよ。
「ドクター、結局何あれ。爆竹?」
「多分な」
「マジかよー。爆竹とか花火とか飛んでくることあるって噂には聞いてたけど、ガチか〜。もう平気。目眩みたいなの治ったし。戻れるよ」
「耳は?」
「おかしくないと思う。後ろから小声で話しかけてみて」
冗談でそう言ったらガチでやってくれた。お覚悟!って言った?と聞けば笑いながら大丈夫そうだなって言われた。でも一応医者行けとな。うーん、乗り気ではないが、昔が医者に行くの渋っててそうなったから行こう。そのままベンチの方に向かっていれば、なんか選手が戻ってきていた。何故に。
「ナマエー!大丈夫かお前!」
「大丈夫大丈夫、でっかい音に耳が変な感じなったからめまいになっただけだし。なんで撤収してんの?試合は?」
「あの後相手チームにもう一回爆竹投げられてノーゲームどころかホームゲームの俺たちが負け扱いだ」
「はぁ??何?爆竹投げたやつなんのつもりで投げたの?あれ完璧ウチのサポーター側でしょ?俺たちの力になってくれてると思ってるだろうけど迷惑だからやめてほしいな。でもとりあえず他の観客に俺無事ですアピールしてくる」
「ついてく」
「ウィルさんの心配性さーん。でもありがたい!監督ー、ちょっと俺無事ですアピールしてきていい?」
「いいぞ。気をつけてな」
「はーい」
ということでウィルさんと一緒にスタジアムに向かえばカメラが気づいて映像流す。あと観客も気づいて歓声も上がった。ので、とりあえずボールをもらい軽くリフティングし、キャッチして、手を振っておく。まぁウィルさんに引き戻されたけど。帰ったら海外組含めてすぐメッセージがきてたので大丈夫だと返しておき、両親にも電話しておいた。
==
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年俸が上がってくのめちゃくちゃ怖いのだが、とりあえず老後の貯金とかしつつちょっと募金関係にお金を落としつつと言うスタンスでいく。いやだって今まででも十分に生活できるし、デカい家立ててもなって。昔くらいのやつが丁度いいのだ。年俸にあった生活といわれましてもごにょごにょ。まぁ今回は育ちが育ちだったからもあるが、そういうことにお金を落としたいと言うか。男だから蓮とどうもないというか、向こうはそう言う趣味ではないだろうし私自身もどうとか不明である。多分家族も持たないだろう。今の両親の家計は歳の離れた弟が継いでくれるから大丈夫だろう。
さてはて、いつネタバラシをするか、と思う。気がつけば二十歳になっていた。
野球で活躍しているきっペーも私も、あとは三人くらいが同い年であの場にいたのだが実は私が最後に引き取られたというか。きっペーは爺ちゃん婆ちゃんに引き取られ、後の三人と私は赤の他人に引き取られていったのであるが、みんな10歳あたりでバイバイしたのである。しかも全員なんか活躍してる。いやぁ、人生何があるかわからない物だなぁ、と、同窓で集まることになって思う。オフシーズンだから。
「いやー、なんかすごいなー、ピアニストとアイドルと漫画家と野球選手とサッカー選手って」
しみじみとそう言えば、きっペーが「まーな」と笑った。きっペーは袴なんだなー、と思う。私は向こうで仕立てたスーツである。
「ううっ、ナマエくん」
「えっ、泣く要素あった??」
「お前が他に連絡なく貰われてったから」
「いやー、貰われないと思ったんだけどさー、何回か来てた人がさー、俺がいいっていってくれてさー」
「うん、うん、」
「泣いたら化粧落ちちゃう落ちちゃう。ユートもキリちゃんも泣かない。仕方ないお兄ちゃんがハグしてあげよう」
そう手を広げれば三人飛び込んできたのでそのまままとめて抱きしめとく。まぁ、きっペーがその後ろから抱きつきサンドイッチ状態になり、全員の保護者に写真を撮られることになるのだが。
「どうせなら同じ場所で写真撮りたい」
「それ楽しそうだしやりたい」
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ニュースをみてカチンときたのは私がそう言う施設にいたからであるのだが。いやー、久々にカチンときたわー、と、思うので反対声明を出そうとは思うのだが、Twitterだと面倒なことになることも多々あると学んでいるのでTwitterはやめたい。ってフロントに言ったらインタビューの時言っていいよって言われた。うーむ、あんまり勝利に酔いしれてる時にいう話ではない気がするなー。だけどそれくらいしかいいタイミングってない。ユニセフとか脚長おじさんとかそう言うのはもうオフシーズンに知られてしまった。実名でやらなきゃよかったと思ったらこの前あった全員が同じことしてて呼ばれて笑ったのは閑話休題だ。
「あんまりこう言う場所で政治の話とかしたくないし、あんまり皆さんも聞きたくないと思うんですけど、少しだけお話しさせてもらいます。この前から、児童の養護施設で育った人間にまともな人間がいないなどと言う話が出ているのをニュースで騒がれています。本気で言ったのかと思って俺なりに詳細を調べたんですが、本気で言ってて引きました。信じられませんでした。でも、もしかしたらそれは色んな国の人の色んな人が思っていることかもしれません」
インタビュアーの女性が目をパチパチ瞬いて、別の男性が俺に尋ねる。
「そう言う意見、確かによく聞きますね。ナマエ選手的にはどう思うんですか?」
「うーん……じゃあ俺もまともな人間でないと言いたいのかな?って、ちょっとと言うかだいぶ傷ついた」
静寂が広がる。まぁだってイコール私がそう言う存在だって言ってるもんな。
「俺、実は両親に虐待うけて、最終的にネグレストされて、6歳の時、このままいけば餓死するかどうかってぐらいの時に日本の児童養護施設に保護されたんです。12歳で今の両親にもらわれるまでずっと施設で育ちました。あんまりこうやって昔のこと喋りたくなかったんですけどね、その頃の両親が来て金くれとか言って脅されたりしたら俺未だに怖い思いするし。でも、今回ので話した方がいいのかなって」
そこで区切って汗を拭う。
「なんていうか、うまく言えませんけど、『施設から出た人にまともな人間がいない』って、本当にそうなのだとしたら大人というかサポートができていない社会が問題だと俺は思います。現に俺も施設にいる頃は将来の道にサッカー選手なんて道はありませんでした。奨学金借りて高校を出て18歳で独り立ちしてどこかで働く。それが日本の養護施設では当たり前です。それ以上の学習はちょっとというかだいぶ難しい」
そう言ってうーんと少し考える。どう伝えればいいのか。わかりやすくなんて難しい。
「仮にスポーツでは公平に扱われていたとしても、社会はやっぱり不平等だと俺は思います。二人の親がいる子供、ひとりの親がいる子供、親がいない子供。裕福な家庭の子供、貧困家庭の子供。先進国の子供、後進国の子供。周囲の治安もそうだし衛生面とか戦争とか性別とか人種とか色々で、やっぱり将来に関わる選択肢や与えられるチャンスは平等じゃない。施設にいる子供と経済力がある両親を持つ子供のチャンスが平等といえるのか。大学への進学率とか、やりたいことをできたのかとか。すくなくとも、この国や他の国はわかりませんけど、日本においては決して平等じゃないと俺は思うんです」
「そうですね」
「施設出身にまともな人がいないと大人が嘆くなら、まずは子供達を同じ土台に立たせてあげることが必要だと俺は思います。というか、どうしてそう思うような感じになっているのか、子供が同じ土台に立つにはどうすればいいのかを社会を築く人なら批判する前に考えて欲しいな」
まぁ誰とは言わないが。
「多分、俺の話を聞いて『いや人生は平等だ』って思う人もたくさんいると思う。でも、それはきっと、貴方が今までずっと恵まれていた証拠だからそれはそれで俺は嬉しいよ。貴方にもきっと今までたくさんの苦労もや挫折もあったんだろうし。でも、きっとなんやかんやで幸せだったんだんじゃないかな。だから、これからも幸せに過ごしてほしいな。でも、もし他に目を向けてくれるなら、負け犬の遠吠えっていってくれてもいいんだけど、貴方の当たり前の生活が当たり前じゃないって言う人がいることも知ってほしいかな」
真面目にそう言いつつ、ヘラリと笑う。
「まぁこんな偉そうなこと言ってるけど、俺は二十歳になって、日本の法律では大人になったばっかりですし、そのことに対してどうしたらいいかなんて俺はまだわからないです。せいぜいそういう基金に募金をするくらいしかできないですし。でも、いつか、昔施設にやってきた魔法使いが俺にガラスの靴をプレゼントしてくれたみたいに、俺がいいって選んでくれた両親が魔法みたいにチャレンジするチャンスを与えてくれたみたいに、いつか俺も誰かにそう言う魔法をかけてあげれたらいいなって思ってるよ。以上、恥ずかしいからインタビュー終わり!」
ケラケラ笑いながらマイクを下げさせる。顔見知りのインタビュアーに、いやナマエ、魔法使いの節をファンはきっと知りたいよと言われたのだが。
「やだよ、俺の人生は他人のお涙頂戴物語にしたくないもん」
「いやでも、ほら、参考に」
「えー……うーん……話長くなるし、俺の主張が消されちゃうし……」
「そこをなんとか!少しだけでも!」
「んー……本人の迷惑になったら困るから名前は出さないよ。本人にとって俺は関わったであろう大勢いる子供のうちの一人で覚えてるかわかんないけど。最初の魔法使いは日本のサッカー選手だったんだけど、俺とボール蹴ってくれて、スパイクなんてないって言ったら新品のスパイクくれたんだ。お前はサッカーを諦めないで続けろと、お前だってサッカーを続けていいんだって言ってくれて。そのスパイク履いて毎日練習してたらいいことがいっぱい起こったから、俺は魔法使いって呼んでる。いつか面と向かってお礼言いたいのに、会えないんだよ」
「えっ、引退したの?俺もぜひお礼を言いたいね」
「ううん、まだまだ現役。ずっとずっと俺が大好きなフットボール選手。あっ!イタリアの持田ドイツの花森は別だかんな!すぐ二人は俺だろって顔すんだから!じゃあ今度こそ終わり!」
バイ!とニンニンポーズをしておく。歓声がすげえ。
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色々推測がでていて、ケン様説が有力である。ケン様確かにきてたけど他の子に人気すぎて私は近づかなかったんだよ。と言うかそもそも代表きてるからチビ達のお世話しなくていいし、隅の方で私がひっそりリフティングしてるを成田さんが見つけてくれたのだが、後から思えば職員が私がそこにいるって言ってくれたのか不明であるが。いやでもTwitterの私がフォローしている欄見てほしい。幼馴染みとほとんど同期と青色以外はケン様と成田さん当たりしかいないから。いや海外選手とかも入り乱れてるからわかりにくいのかー。と思って映像見てたら、ケン様のインタビューで自分ではないけどその人物に心当たりはあるね!って言ってて衝撃を受けた。食べてたサンドイッチを落とした。
「でも、彼が言いたいのはいかに自分が幸運だったかという話ではなくて、そもそも育ちによって夢を諦めさせてしまう環境がいけないよねって話だと思うんだ。俺もそうかもしれないって思ったし、いかに自分が恵まれてたかを考えたね」
キラキラしている。やっぱりケン様は偉大である。あとはきっペーもミートゥーするなーってきたからお立ち台ミートゥーするらしい。公表したら同じ施設だぜ!って言おうな!っていっておいたのだが、その後日幼馴染みメンバーが私が魔法使い説をだして私がびっくりした。いや、なんでよ。
「あれ成さんでしょ」
お前めちゃくちゃ成さんのファンなのだからでしょって言うことを電話で言われたが私は昔から成田さんが好きだぞ。でも間違いではない。
「成田さんだよ!俺成田さんすっげえ好きだかんね!成田さんいなかったら多分蓮ともサッカーできてないから蓮も感謝したほうがいいよ!!」
「しない。成さんが見つけてなくても俺が絶対見つけてた」
うっわー、口説き文句。顔が絶対赤いと思う。
「蓮それ俺が女なら完璧に口説き文句だよ」
「お前だから言ったんだけど」
「……それは、嬉しい。私も、また蓮とサッカーしたかったから、そう言ってくれて嬉しい」
そう言って、あ、やべ、と思う。思わず素が出てしまった。恥ずかしい。持田蓮が息を詰めたのがわかる。うーん、気持ち悪かったか!
「めちゃくちゃ恥ずかし、私とか色々あれだから今の忘れて」
「……無理」
「なんでさー」
「なぁ、次いつ会えんの?」
「んー……」
カレンダーをみる。しばらく試合が続くし、空いてる日となればまだもう少し先になりそうである。
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昔から夢を見る。二人ではなく、三人であった夢だ。近所にいるかと思ってそいつは探したがおらず、もう一人と一緒にいるかと思ったのにいない。でもある日、違う場所からそいつはやってきた。夢と性別が違う。歳も違う。でも、その表情であったり話し方であったり、プレーは横顔だったりは同じものだったから、ああ生まれ変わったアイツなのだと俺はいつも思うのである。
私も昔みたいに蓮とサッカーしたかったから。その言葉に、跳ねた心臓は。
==
==
==
「ははー、あれが今回の国内組かー!」
そう言って練習しているメンバーをみる。ワクワクすんなー、と言えば、蓮が椿くん見つけた。あ、椿くん、じゃないんだよなー。威圧すんなー。ハナちゃんも凝視すなー。今は関わりないでしょー。と思ってたらハナちゃんの持病が出た。かまってほしいのね、と言うことでわしゃわしゃする。
「大丈夫?」
「……大丈夫じゃない……」
「うーんこっちきたばっかだもんなー」
「ハナ、今日は休みにさせてもらったら?」
「お前のポジション他に取られるけどな」
アレックと蓮で連携プレーすな。ハナちゃんがウッと固まる。今度こそ10番は俺のものじゃないんだよな。蓮がまた突っかかるが仲良しだからほっとこ。
椿くんが蓮のオーラに負けとる。漫画なら邪悪な感じ背負ってるもんなー、と思う。隣にいる岩淵にそれを指差す。
「みてみて、岩淵ー、蓮が椿くん威嚇してる」
そう言った瞬間、岩淵が口元を覆って肩を揺らす。
「……笑うからやめろ」
「そんな威嚇しなくてもいいのになー、どう見てもあそこにいるのはあの世代の天才秀才あたりでしょ。今からどれくらい伸びるかワクワクすんねー」
「自分の地位はいいのか」
「だってさー、それって俺たちより上手い人が出てきたってことでしょ?譲った方が強くなるなら俺は譲ると思うけど……まぁ、使い物になるまでもうちょっとあの年代を育てたいよね。吸収早い子って教えてて楽しくない?」
「……引退すんのか?」
「んーーまだ同じチームで使い物になってるしスタメンおろされてないからまだしない。でも、育成に関わるのも楽しいよなって最近若手に教えながら思ってる。監督は絶対嫌だけどな」
「まだ26だろ」
「うん、ケン様とか成田さん換算だとまだ十四年は現役できんね!!まだ倍以上!!楽しんでいこうぜ!」
いえーい!と肩を組む。岩淵が「十四年は長いな」と笑ったが。うーん、顔が大変よろしい。
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「椿丸ー、大谷ー、今の連携感じだし、どんどんやってこうなー。でも俺たちみたいなのには勘づかれるからな。まぁ俺たちほどいい練習相手はいないんだから、今のうちに色々模索しろよー」
ケラケラ笑いながら二人の背中を叩く。彼らは目を瞬いたが。苗字ー、敵に塩を送るなー、とコーチに言われたが、俺たちも結構当たりきつくしてるし、これくらいは許してほしい。
「うーん、みんなで上手くなりたいなって思うし、椿たちは俺たちの一つ下の世代になるわけじゃん。そのうち目の上のたんこぶはいなくなるから、一緒にサッカーできる今のうちに仕込むしかなくない?」
ホテルで監督にあったのでそう話せば、彼は目を瞬いた。
「年下にはもっと上手くなってほしいんだよなー。あれくらいの年って柔軟だし、伸びるスピードすごいし」
「それはウルグアイの……まぁ今きみのいるクラブチームの10番のことかな?」
「うん、まぁね。来る前から知り合いだけど、来てからも色々教えたり聞いてくるから話したりするけど、コイツは多分下の世代の天才だろうなって思ってる。何人かそう言うやつはいるのは確かだし。……ぶっちゃけ、監督も大変でしょ?」
そう首を傾げて彼を見下ろせば彼は不思議そうに私を見上げた。
「だって、俺とハナちゃんと蓮ってある意味研究されまくりじゃん。相手は俺たち潰そうとするでしょ」
「まぁね、君たちがあれだけ活躍するとねー」
「今んところ全員回避してるけどさー、今までの監督って多分三人のうちの誰かとか全員が怪我とかで離脱することとかをあんまり考えてないと思うんだよね。俺たちは腐ってもピッチにいなきゃ困るみたいな」
私はそう言いつつペットボトルの水を口に含む。「昔」もそうだったのだが、どうにかならないものかな、とは思う。前が前の立ち去り方だったから余計だろうか」
「そのところ、君はどう思ってたんだい?」
「俺たちだけじゃ意味ないでしょって思ってた。だって俺たち全員抜けてパワーが弱くなりましたじゃ、ダメじゃん。怪我はしないようにしても、事故とかに巻き込まれることもあるだろうし。そう言う意味では、俺たちは今から後進に経験させたり、持ってる技術をちょっとずつ刷り込むべきだと俺は思ってるんですよ。だから、監督が結構若い選手連れてきたから俺は嬉しい」
「うーん、君は何にも考えてないようで色々考えるタチだよね。そうは見えないんだけど」
「よく言われるなー」
ケラケラ笑っていれば、「ここだけの話」とずずいと顔を近づけた彼に今度は私が首をかしげる。
「君の紹介でくる選手は結構有望な子供が多いって聞いたけど、実際はどうなんだい?」
「えっ、それそんなに噂になってます?」
「アジアでは聞かないけど、ヨーロッパではよく聞くよ。なんでも君がお金を出してるみたいな話を聞いたけど」
「一緒にサッカーやって上手いなコイツって思った人とか、俺にサッカーで生きていきたいって言った人ふいろんな国のユース試験とかに適当に放り込んだりはしてますよ。場合によってはお金出したりもしてますけど。なんていうか、そういうやつって意識めちゃくちゃ高いから上手くなるの早いし上手い集団にしがみついてく気はしますね。まぁ、魔法使いごっこです。俺の自己満だから別にプロになってもならなくてもいいし」
「アルバロもかな?」
「アルバロは金出してないな〜。クラブチームのなんかでウルグアイ行った時休みの日に一緒にサッカーして、普通にうまかったし、アドバイスしつつ……また一緒にサッカーやりたいから次はピッチでな!って言ってたら、イギリスまで来たからまた一緒にサッカーしてる。色々教えてたらどんどん上手くなるから一緒にサッカーやんの楽しい」
「君はすぐ塩を送るね〜」
「上手い奴とサッカーするのって楽しいじゃん。敵でも味方でもさー、そうきたかーー!みたいなことあるとめちゃくちゃ嬉しくなる。まぁ、ハートの女王のいうことをきくだけのトランプ兵はもういらないから、ハート女王を倒してくれるアリスを探したいんですよ」
「……そういう意味で目をつけてる日本アンダー選手はいるかい?」
「オリンピック世代なら監督が呼んだ奴と細見。でも窪田と椿あたりが気になる。教えがいがありそう。それ以下の世代なら俺が金出してる奴が鹿島とヴィクトリーにいる」
椿くん前もそうだけど、吸収するスピードが早いのだ。教えてると結構楽しい。監督に背中をバンバン叩かれる。痛い。
「じゃあ若手は君に任せてしまおうかな!」
「いやいやー、俺アルバロとサッカーしたいからなー、余裕あるかなー」
「君ならできるし、できないなら次は呼ばないだけだね!」
「それはヤダ」
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えっ!?みたいな顔をされた。まー、私が弱気にとれる発言をしたからなのか私の意図を汲んだのか意見が合致したかは不明ではある。コーチもびっくりしている。今回は苗字はビブスつけてねーと言われたので、はーいと返事すれば蓮とハナちゃんが監督睨んでた。
「苗字のいうことに僕が同意しただけだから睨まなくてもいいじゃないかー」
おっ、こっちに矛先向いたな!!!ハナちゃんと蓮の視線が痛い。笑っとこ。とりあえずビブスつけて若手たちの元に行く。
「よろしくなー、あんまりプロに言う言葉じゃないけど、わかんないことあったら聞いてくれな。俺にわかることは教えるし」
「は、はい、」
「まぁそんな緊張せず。じゃあ打倒スタメン、奪い取れa代表を合言葉に今日はやってこうぜー」
ケラケラ笑いながらそういえば、ハナちゃんがお腹抱えた。それはふりって私は知ってるんだぞー。
「ハナちゃんのあれはフリだから」
「……ふりなどではない……うぅ、どうして神は天才に試練を……」
「お前は天才じゃないから。あとお前のポジションなくすし」
「それはそれでヤダ」
「はっ、自ら控えに落ちるやつに選択肢はないから」
「やだねー、このエースの片割れ怖いねぇ、」
「はっ!?ま、まさか、体の、ちょ、調子が悪いのか……!?病院……!!」
「俺は元気だよーあんがとなー、ハナちゃん」
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「何故だ……何故ナマエがスタメンにいない……持田と残さないでくれ……」
ハナちゃんがずっとメソメソしてる。まー、私が外れることあんまりないもんな。私と両方、または私と片方、時間の都合で私がいなくなった後に二人になることは多々あるが。ということで最初からベンチである。
「最初からベンチってめちゃくちゃ新鮮な気がする」
「俺たちも観客もびっくりだよ。……調子悪いのか?」
「いやー、全然悪くないよ。ただ、思うことを監督に話したからその関係で外されたのか、戦略上それがいいと思ったのか」
そういえばベンチの方から視線がこちらに向いた。
「何話したんだ?」
「んーー……俺たちの誰かがアクシデントとかでかけたりしたらどうする?って聞いた。俺たち基点じゃなくて、俺は他の奴ら基点を見てみたいみたいな話もした。だから色々試してんのか、俺がいらないのかじゃない?」
ケラケラ笑ながらそういえばそんなわけないッスよと言ってくれたのだが、まぁ真実は神様のみ知ることだ。
と、思ったら普通に後半で交代で出たのでみんなで楽しくサッカーした。ので、試合後俺と交代したメソメソしてるハナちゃんを慰めつつ、直接監督に聞いてみる。
「嫌だってキミ、出場の時間規制があるんだもん」
「あーー」
=浮かばぬ!!
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