2021/12/31

2021年オフラインネタ帳大放出祭31



「なにこれー?」
「アンタでじっち知らないの?」
「あー、苗字多分寝てる時間だもんね」
「私良い子だからなー、夜ははやくに寝てるからなー。広報?」
「広報とテレビの利害の一致」
「へぇー、苗字ナマエでーす。こう見えて日本代表ですー、よろしくお願いしますー」
「相変わらず緩い」

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「連れ攫われた宇宙人みたいでこの配置やだなー」
「お前平均ないもんな」
「こらー、蓮くん、私は男じゃないぞー、女子の平均はあるよー」

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「おじさんがお世話になってます」
ゆるゆると達海選手に頭を下げる。達海選手は「お世話してます」と軽く頭を下げた。うむうむ、達海選手には本当にお世話になっている。周りが内心で突っ込んでたけど。
「あと蓮くんとハナちゃんもお世話になってます」
「そっちはお世話かなりしてます」
そう言った達海選手を蓮くんがめちゃくちゃ睨んだけど知らん。ハナちゃんもエッみたいな顔したけど知らん。私は知らない。ゆるい……みたいな顔してるアンダー世代の視線も知らない。

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あの事故の日ーー両親の命日だったから、メンタル死にかけてたけど、なんとか周りと夢の中の二人のおかげで立て直して試合出たら勝った。ハットトリックきめて金メダルをもぎ取る。これは流石に嬉しいから喜べば、久々に力が抜けた。まぁ即座に近くにいたドクターに後ろで支えられたけど。一度視界が切り替わり、その先にいた二人も座っている。二人とも試合後っぽい感じで疲れている。ありがとー、と言えばまだお前は下手くそとか言われが。うるせー、こっちは金メダル金メダルと喜んでたら、うるさかったのか一回戻れと言われて目を覚ます。夢の中でも喜ばせてくれ。ドクターがベンチに私を座らせてたらしい。
「おはよ、ドクター。何分くらい?」
「二、三分だ。大丈夫か?」
「うん。テンション上がって嬉しすぎて体動かなくなっただけ」
「……ほんと、難儀な体だな」
「まーね、でも最近は嫌でもないよ」
ゆるゆるとそう言いながら、ドクターの簡易チェックを受けて立ち上がる。おはよー、と言いながら加われば周りに抱きつかれたが。そういや多数は見たことなかったっけな、この現象。とりあえず相手チームに握手しにいけば、大丈夫?と聞かれたあたりちょっとした騒ぎになったのかもしれない。すまん。とりあえず大丈夫って言っておいたけど。広報さんに流石に今日はインタビュー行けと言われて背中を押される。いや何答えろってんだ。途中で見えた女王様が泣いてるので背中叩いておいたけれども。

「えっ!?おじさんだ!!おじさーーん!!」
インタビュアーがおじさんの衝撃である。なんでなんで!?とぴょこぴょこしてたら「大人の事情だ」と言われた。引退した訳じゃないのになぜ。私があまりにインタビュー答えないからよこされたんだろうか、この人。
「みた!?おじさん私金メダルとったよ!」
「あぁ、見てた。メディアの席で」
「ハットトリックきめた!」
「そうだな。ナマエ、インタビューするから大人しくしなさい。後でちゃんと話は聞くから」
「わかった!」
「すいません、遅れましたが放送席、苗字ナマエ選手のインタビューです。苗字ナマエ選手、金メダルおめでとうございます」
「ありがとうございますー。すごく嬉しいです」
「前半は苦しい展開が続いていましたがいかがでしたか?」
「私がしんでましたねー、毎年今日という日は私の不調が起こる日なので今日決勝戦の予定組んだ人をちょっと恨みましたー。でも、なんか周りの人とか、サポーターの人とか、夢の人とか、色んな人に励まされたりなんかして生き返れました。よかったです」
「……後半は苗字選手のプレーが光りましたね」
「そうですねー、後半は気分が乗ってきてノリノリでサッカーできたし、楽しかったです。多分相手がスタミナ消費したのもあるし、チームのみんなが私の動きやすいようにしてくれたのもありますけど」
めちゃくちゃハッピーみたいな感じでいう。いやー、楽しかった。
「私、今日のこの日がどうしてもあんまり好きじゃなかったんですけど、金メダル取れたのでそれが払拭されました気がします。お父さんとお母さんは会場にきてるかわかんないですけど、両親にもおじさんにもワラビーズにも友達にもサポーターの人にも、とりあえず私は今日この日にこうやって仲間と一緒にメダルを取ったって報告出来ることを喜ばしく思います」
そういえばおじさんが目を見開いた。うん、そうなるわな。
「私にとっても、おじさんにとっても、今日が嫌だと思ってる誰かにとっても、今日は私と私の仲間が金メダルを取った日に変わるので、それも嬉しいなって思います」
「……ワールドカップ優勝、オリンピック金メダルという二冠を達成したわけですが、今後の目標は?」
「ワールドカップは優勝しましたが、オリンピックはまだチャレンジャーという立場での試合でした。これからはチャレンジャーという立場を脱すると思うのでチームも私も研究されるだろうし、もっとやりづらくなるのが予想されるんですが、それを飛び越えるくらい楽しいプレーができる選手になりたいし、どんな試合でも楽しくサッカーしたいと思います」
「苗字選手のインタビューでした。ありがとうございました」
「ありがとうございましたー」
そうひらひら手を振ってから、おじさんにハグをする。びっくりしたおじさんとか知らん。
「私、自慢の娘になれたかな?」
「ああ、きっと二人もそう思ってる」
「おじさんにとっても?」
そう伺うように尋ねれば、彼は少し見開いてから照れたように口を開いた。
「そんなもの、昔からだ」

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