2021/12/31

2021年オフラインネタ帳大放出祭87


・遠呂智世界

「ふふっ、私は貴殿のような悪党は好きだぞ?」
そう言ったナマエさんに、松永久秀はなんとも言えない顔をした。それを聞いていた法正さんもなんとも言えない顔をした。というか他もなんとも言えない顔をした。かわりに、半兵衛殿が口を開く。
「法正殿はともかく、ナマエ殿、趣味悪くない?悪党だよ?みてよ、松永殿なんて見るからに悪党でしょ」
「憎めないじゃないか」
「ダメだよ、馬岱殿。ナマエ殿、超お人好しだから。誰にでも好き好き言うからね」
「お人好しというわけではないよ、半兵衛殿。私は嘘をつけない人も好きだし、嘘をつかない人も好きだ。それと同等に嘘だとバレない嘘をつく人も好きだ」
「嘘だとバレる嘘をつく人は流石に嫌いなの?」
「いや?私が叱らなくてはいけないからと言うだけだな。でも、どうせ私に嘘をつくならバレない嘘をついてほしいとは思うが」
いっそ夢から覚めさないくらい。
ケラケラと笑った彼女に俺は目をパチパチする。この人が笑っているのを見ると、明るい話題のように感じるが、実のところ明るい話題じゃない、気がする。半兵衛殿が眉間に皺を寄せた。
「ナマエ殿、一旦元の世界に戻って何かあった?」
「……いや、何も」
「何もなかったようには見えないよ?」
「ははは、向こうの世界に天女様とやらがいてね」
「天女様?」
「恐らくキミと同じように違う世界からの来訪者だろう。天から戦場に降りてきたから天女とされたようだ。まぁその実、彼女は一定時間願いを叶える力を持っていたようだ」
「へぇ、その天女様の力でナマエ殿は元の世界に戻ってたってこと?」
「近くにいた徐庶や荀攸殿を巻き込んでな。まぁ、その天女様に、あの世界が乱世になったのは私のせいだと言われてしまったよ」
そう笑った彼女に俺は首をかしげる。人間一人のことで乱世になったりするのだろうか。こういうものは今までのこととか色々積み重なって乱世になるものではなかろうか。
「それってナマエさんの責任なのか?」
「私の言動が一石を投じたのは確かかな。まー、成長した弟に叱られたよ。もっと他に道はあったはずだってね。私がいれば結果は変わったとね。あの世界の多くの意見はそうらしい」
ケラケラとナマエさんは笑う。
「なんか腑に落ちねぇな」
「まぁ、自分で言うのもなんだが、周りに崇められていたからな。憧れは理解から遠く、盲信はさらに遠ざかる」
「あぁ、キミはそれで求めていたものを失ったたーー」
ち、と松永が言おうとしたら、上から退いてくださぁぁい!と少年少女の声がした。ナマエさんが、弥太郎!と声がすると、どこからきた弥太郎さんが女の子の方をキャッチした。が、鹿の角をつけた男の子は松永に衝突する。俺はそれをみて「は?」と声を上げた。
「いててて」
「あ、元信さん!」
降ろされた少女はそう言ってナマエさんに駆け寄る。
「……なんで鶴姫がこちらに?」
「話すと長くなるのですが、バビューン!と、鹿くんをお供にやってきました!」
「その長くなる話を是非とも聞きたいんだが」
「簡単です!占いついでに、バビューンと……」
「えっ、えっ!?ホントに元信様じゃないですか!!えっ、ってことは、僕……」
「もー!鹿くん!今は私は元信さんと話してるですよ!めっ!」
ナマエさんが頭を抱える。
「鹿之助、君達は生きてるから安心してくれ」
はーー、と、ナマエさんがため息を吐く。



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雑多 

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