2022/12/31

2022年度没ネタ整理21


めぇめぇと泣く小僧にやれやれする。まぁ、この小僧は足利義輝に育てられたみたいなものなのだ。うちの蘭丸とは違い大人しめまだ優等生タイプであるが故に妖魔に操られた足利義輝(仮である。フルフェイス鎧なために顔面がみえなかった。似た武器はもってたが)に攻撃されたのがショックなのだろう。子供だなぁ、と思いながら見下ろす。十二歳、とは本人談であるが、松永に聞いた話だと十歳らしいからなコイツ。子供である。恐らく俺たちと同じくあの世界に転がり込んだのだとは思うのではあるが。何歳で転がり込んでんだこいつは。
「ほらほら泣き止め、小僧。魏の奴らが心配してんぞ」
「だってぇ、義輝様がぁ、お父様がぁ、敵になっちゃったぁ」
びぇぇとなく声に悪化である。お手上げだ。つーかやっぱり実は父親呼びしてんのかこいつ。そしてそのカミングアウトで周りは固まった。父親?将軍が父親?みたいな。コイツの指す義輝が違う世界の将軍だとは理解されているだろうが。
「仮だろ、仮。まだ義輝公だと決まったわけじゃないだろ」
「あの動きの癖も武器もお父様だもん、私が見間違えるわけない」
「……婆娑羅込めて殴ったら戻るかもしれねぇよ」
適当にそう言えば、びぃびぃ泣きながらお父様に勝てないと至極真っ当なことを言われた。そりゃそうだ。2度目のお手上げである。なんとかしろこの世界の保護者。そう思いつつ曹魏にいる荀攸殿をみれば、彼はやってきて背中をなでた。しばらくうずくまってぐすぐすと泣いていたが、何か気付いたらしい。半泣きでうずくまりながら首を傾げた。あれれー?とでも言いたそうである。
「……義輝さま、愉快犯だから操られてるふりをしてる可能性あるな?」
「えっ」
「私の小手先調べられただけかな??違う場所でも鍛錬怠ってないか調べただけな気がするな???」
そう顔を上げたコイツは泣くのをやめたらしい。切り替えがはやい。頬をパチンと叩くと、同じく屈んでいた荀攸殿をみた。
「そうな気がする!」
困惑してる荀攸殿にかわり俺が口を開く。
「何がどうなってそうなった」
「だってさ、義輝様、私殺せるはずじゃん。でも、私を殺さずに退いたから!多分そう!」
ぴょこぴょこと跳ねた小僧に、父親陣があんまりいい顔をしなかった。
「そうときまれば、義輝様を一発殴るために頑張る!」
変に前向きだなコイツ。曹操殿がふっと笑って小僧を見下ろした。
「そうだな、ナマエ。一発殴るために策を立てつつ、武を高めるしかあるまいよ」
「はい!」
「あーー……あーー策な、策だよな、そうだよな」
そううめきながら俺は小僧の耳を塞ぐ。うぇ!?と驚いた小僧に俺は口を開く。
「ぶっちゃけて言って、俺たちの世界の義輝公やばいやつなんだわ。一対一の個人戦じゃ負けない。複数人で叩くしかない」
「複数人で?」
「俺たちの世界では基本的に婆娑羅が扱える人間が、扱えない人間よりも強い。その中でも国主が一番強い。その婆娑羅扱える人間が義輝公に全員負けてる」
「相対してやばい人だなぁとは思ったけど、やっぱりそんな強いの?」
「あの人は化け物だからな。俺たちの世界では宝玉に属性が宿るんではなく人の身に宿る。普通は一つの婆娑羅しか扱えないがあの人は全ての婆娑羅を扱える。その上、何度か打ち合いをすれば動きを理解して習得してくる。個人戦では勝てる見込みはない」
「……では、集団戦では?」
「こいつが来る前の記憶で、義輝公がちぎっては投げちぎっては投げしてるの覚えてるっつってたろ。それは婆娑羅を扱える国主と武将が義輝公にほとんど全員でかかったからだ」
「しかし、貴方はこう言ったはずです。深手を追わせた、と」
「あぁ、そうだな。小僧を囮にしてな。本当の親子ではないとは思うが、お気に入りの小姓であることには間違いない。義輝公は情を捨てることをよしとしない、だから情を捨てた豊臣にコイツを囮にされた。まー、小僧も小姓だから火の粉は十分に払えるが体力が違うからな。コイツにとどめを刺そうとしたら義輝公が庇った」
「話を聞くとほんっとに別人だよね。恒興殿の世界とこっちは」
「同じ名前の別人だっつってんだろ。あっちのお前とかその豊臣秀吉に心酔してる冷徹軍師だぞ。まぁ、何はともあれ、小僧抱えながらと負傷してるっていう状態をつくりだしたけどガチギレされ……多分全員のされたんだと思うけどよ……気がついたら義輝公と小僧は行方不明」
「負けてるじゃん」
「アホ、そんだけやべぇんだよ」
「ナマエは義輝公の子供なのかい?」
「コイツが物心つくかつかないかくらいに拾って育ててたっていう話は繋がりがあるやつに聞いた。だからコイツも複数婆娑羅使えるわけじゃ……」
「いや、使える」
「は?」
「はい、私達はナマエが氷と光を扱うのをみました」
その言葉に手を離す。は?と言いながら見下ろせば、不服そうに見上げられたが。
「小僧、お前複数婆娑羅使えんのか?」
「バレちゃった?」
「バレちゃった、じゃねぇんだわ、どあほう!松永久秀がお前お気に入りのわけだよ!!ぜってーアイツお前育てて公方にけしかける気だっただろ」
「久秀さんそんなことしない。お茶と作法の先生してくれる」
そう言ってから、ぼそりと、たまに女の子の着物くれる、と言った小僧の言葉に頭を抱える。葵上計画されてんじゃねぇか。
「で、お前何使えんだ」
「光と氷は自由に使えるけど、雷と風と炎は武器によっては使える。闇と震は使えない」

2/3



 Comment(0)
未分類 

次の日 top 前の日