2022/12/31

2022年度没ネタ整理24

「は?いや?えっ??」
「……ここは……」
「攸さん、知ってる場所です?」
「ええ、心当たりはあります。とりあえず、ここは危険です。ナマエ、俺から離れないように」
「わかりました」

「わー、古い感じの建物なはずなのに新しいですね」
「やはり……」


==

「うっわ、ここはやばい」
そう言って回れ右する。なんか色々世界が混ざってそうだとは思っていたが。これは想像してなかったでござる。いやこれ前世関係詰め合わせだとしたらそうなるかもしれないが、私だけ架空すぎないか??と思いながら攸さんにもらったフードを深く被って退散する。何がやばいって見つかったらやばい。
「いやー、攸さん、私引きこもるね」
「是非とも、と言いたいところですが」
「何かありましたか?」
「いやー、知ってる場所に出たんだけど、私そっちではあんまり良くない存在だから攸さんや曹操さん達に迷惑かけたくない」
荀ケくんの問いかけにそう言いつつつけられてきてないか確認する。うむ、大丈夫そうだ。
「……それはナマエの前世的な?」
「前世的な」
うむうむと頷く。まさに前世的なやつである。まぁ、彼らとは違いこちらは御伽噺として昇華されたものであろうが。じっとこちらをみおろした彼らに私は口を開く。
「いやー、私の姉と兄がいたんだけど、まぁー、親含めて暴君気味だったわけよ。で、私自分で言うのも悪いけどまともだから結構虐げられてたんだよね。まぁ、そうなると国民せめてくるじゃん。そしたら親兄弟に私が原因って罪なすりつけられることになって私が処刑されたから。あっちでついてるあだ名悪逆非道な魔女だから」
ひらひらと手を振る。
「貴方が」
「そう」
「悪逆非道な魔女」
「御伽噺として残ってたからなんだ夢想かって思ってたのになぁ」
「御伽噺?」
「御伽噺としてはハッピーエンドでしょ。悪さをしていた魔女は国民に討たれて、王様達は救われました、めでたしめでたし」
肩を竦める。仲が良かった人もみんな敵に回ったし、あんまりいい思い出ではない。一対国民や元友人って詰んでるからな。
「あとはラスボスごっこ楽しかったぐらいですかね」
「ラスボスごっこ」
「アンタはやっぱりメンタル強いな」
「いや、メンタル強くなきゃやってけないと言うか。一対国民元友人国軍家族連合ですよ。どうあがいても無理ゲーだし、ラスボスごっこすれば私以外はハッピーエンドなわけですし。まぁ、あの城が私がいた時代のそれなのか私の死んだ時代のそれなのか私が死んだ後のやつなのかわかんないんですけど、近づかない方がいいとおも……」
うーん、攸さんにハグされた。なんでだ。俺たちは何があっても味方ですって嬉しすぎんよ。湿っぽいの嫌いだからハグし返すけどな。
「私は!元気です!」
「そう言うのは暗示というんだよ」
郭嘉さん正論で笑った。

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軍服に黒色と白色があるらしい。なんで??私の時白一色に変えさせたよな??と思ったが、恐らく明確な線引きが行われたんだろう。詰んでんなあの国。黒色は多分身分が低いとは攸さんの言葉だ。
「いやー、攸さん、私の世界ではですね」
「はい」
「鞘と言われる人とそれ以外の人がいるんですよ。鞘は私がいた時代は身分が低いというか、下手をすれば優秀な人でも奴隷扱いだから」
「自分の体から武器を取り出すから鞘ですか?」
「あー、みましたか。そうそう。綺麗な剣だと王族の剣って言われて王族にあてがわれたりもしますよ。武器が壊れるとその人は死にますが、逆手にとれば壊れない限りは死なないから都合がいいんだと思います」
そう言えば、満寵さんが口を開く。
「ナマエにもあてがわれた人がいたのかい?」
「いましたよ。仲よかったんだけどなぁ、その人が敵側ついちゃって決別した」
徐庶さんみたいな感じ。

そんな話をしていたのはつい三週間ほど前なのだが。なんか捕まえた人がどうのこうのって言われたので魏に指定された区域以外出歩かないようにしていたのにこの仕打ちである。目の前でわんわん泣いている黒い軍服にえーー、と遠い目をする。なんか両膝つかれて一生懸命謝られてるけど。助けてくれーーと念じていたら、兵士に呼ばれたのか攸さんが飛んできて私の前に割って入った。
「ユージン殿、こちらには入らないようにと告げたはずです」
わー、名前からして私の元護衛兼あてがわれた人じゃん。年重ねてるあたり私死んだ後だな。ボロボロになっちゃってまぁ。
「どうして……そこは……俺の……貴方が立つべき場所では……あぁそうか、俺が裏切って、あぁ、彼女を、」
うえー、闇堕ちしかけてるのか、錆びっぽいあざが広がってるんだよなぁ、と思う。私はコソコソと攸さんに耳打ちをする。
「攸さん、鬱々としてるからこれ良くない状態だし、こう、フォローした方がいい気がする」
「……ナマエは怖くありませんか」
「大丈夫です。というか攸さんに危害与えられるほうが怖い」
そう言って二人でちらり見する。うーん、絶望感漂ってんな。ああ俺には貴方様に触れる権利は、と告げた彼の額にデコピンした。また呆然と私を見上げた彼に私は攸さんに口を開く。
「攸さんとりあえずこの人水に落としていい?」
「……それは」
「汚いから川の水で清めて欲しい」
「あぁ、わかりました。攸さん上半身持って。私下半身持つから。川にぶん投げる」
そう言いつつ彼を運ぶ。なんだなんだとこちらを見た周りを置いて私はポーイと荀攸さんと二人で近くの川に落とす。何やってるんですか!と荀ケくん飛んできたけど。
「入らないように告げていた場所に入ってしまわれて」
「汚いから清めて欲しくて」
そう言いつつ起き上がってた彼に、うわっ、化け物味が増した、と思う。
「清めると言っても方法が……」
「ユージン、何回も言うけど、私はもうちょっと身なり気にして欲しいよ。せっかく綺麗な姿なんだから。清めてからなら近づいてよし」
またボロ泣きするんだもんなぁ。ほら早くするって言ったら清め始めたけど。荀ケくんがやれやれと服やらタオルっぽいのを持ってきた。まぁ私破廉恥だからって攸さんに目隠しされたけどな。外された頃には着替え終わってたけど。今にも泣きそうな彼に前髪をひょいとあげる。多少清められたものの、やはりあざが全体的に広がってる。攸さんや荀ケくんもそれを見た。
「このあざは……」
「刀とかで言う錆に近いですね」
「錆、ですか」
両膝をついている彼の胸元に手を当てる。
「できるかなぁ……生まれ変わったわけだし。まぁ、試しか。ーー気高き白薔薇よ、示せ、世界を革命する力を」
そう言えば、彼の胸元から美しい剣が現れる。まぁ、一部錆びてるけど。
「ほらね、錆びてる」
「……本当ですね。これは落ちるのですか?」
「一応は落ちますよ。なんでこんなになるまで置いてたんです?折れやすくなるのはあなた方が一番わかってるじゃないですか」
そう言いながら彼を見下ろす。
「はやく折れたかった……貴方を裏切った俺は生きる価値はない……」
「私は君達に役目を与えたね。君達は国を守る剣であれと。だから君の選択は正しかった。君は私を討つことで国を守ったんだ。だから君の言動は正しいものだよ。君はまごうことなく英雄だ」
ぽんぽん撫でれば彼は目を見開いて、首を左右に振る。違う、違う、と。うーん、アザと錆がどんどん広がってるな。
「俺はそんなものになりたいんじゃなかった、ただ、貴方を守りたかった、国なんて、」
「ユージン、その先を口にしてはいけない。役目を違えたらどうなるかわかるでしょう。私は貴方に折れてほしくない」
そう言えば彼はめぇめぇと泣きながら口をつぐむのだが、錆はどんどん広がる。
「……役目を違えると錆が広がるのですか?」
「そうです。王族に直にあてがわれた鞘は約束をかわし、役目を与えられます。鞘にとっては名誉といわれてますが、それは鞘以外の人間による主張です。私から見たら約束を交わし役目を与えられたら最後、隷属になると等しいと思っています。基本的に絶対服従の主従関係ですからね。まー、ほら、御伽噺だから、感覚的には呪いとかそっちに近いです」
「呪い。なるほど、だからその役目を違えると錆が広がるのですね」
「そう言うことです」
「では、基本的に絶対服従とは?」
「王族が個人の約束をし役目を与えると主はその人だけになります。私のように国を守るという広義を与えると私より国の比重が重くなるみたいです。まぁ、あんなことにならなきゃ国を守ると私を守るはイコールですし」
「約束を変えることは?」
「……祝福を与えることによって可能ですね。錆も取れますし」
「祝福」
「……キスですね」
そう言えば攸さんが固まった。荀ケくんも固まった。いやこれ旦那の前でキスする奴がいるかって話なんですよ。
「……唇ではないんですね」
「違います」
「……しのごも言ってる暇はないようですね。貴方を守るように役目を変えた方がいいでしょう」
そう言って無表情に告げた彼に、ポーカーフェイス、と思う。ええい、と私も腹を括ってもうほとんど錆になってる剣にキスを落とす。すると剣は綺麗になるんだよな。
「汝、無垢な白薔薇であれ。我らを守る剣であれ。どうか、私と私の大切な人を守って」
そう言って手を差し出す。ほとんどアザだらけになった彼は私の手をとって傷を落とした。その瞬間、薔薇の花びらと一緒にあざがひいたが。まぁ、彼はぶっ倒れたので抱えて止めたが。
「やはり、御伽噺ですね」
「私もそう思います」
そう言いつつ剣を彼の中にないないする。そのまま部屋に連れて帰った。

「ナマエ、ちなみに貴方に従っていた鞘は何人いるんですか?」
「五人ですね」
「……」
「……さすがに疲れました。攸さん褒めてください」
両手を広げて攸さんにハグすれば、彼は受け止めたが。
「弱音を吐いていいですか」
「はい、どうぞ」
「みんなヤンデレ開花してる気がする。絶対重い感情向けられる。もう今の時点で嫌です。引きこもりたい。でも見方によっては私のせいだし……」
ぐすぐす言いながら攸さんの肩の辺りに額を押し付ける。彼は大丈夫です、と私の背を撫でた。
「俺がついています。俺だけではなく、文若殿達も」

==


「ヤンデレルートが五つあるから」
「やだぁ〜」
そう言って顔を両手で覆う。なにやら私の世界も攸さんの世界もゲーム!!とか言ってる子がきたよ。ちくしょう。
「ユージンの貴方に裁かれたいから俺をどうか折ってくれ殺害嘆願ルート、ジョシューの貴方がいれば国なのだからそれ以外いらない国民全員皆殺しルート、カルチェのここにいれば安全だからずっとこの場所にいましょうね監禁ルート、お前を殺すのは俺だしお前を殺して俺も死ぬニーチャルート、貴方は神様だから永遠に王座にいて微笑んでザンクルート。尚これらの個別ルートに向かうと他の鞘はだいたい折れる」
もうやだ、とうつ伏せになる。救いがない。満寵さんが笑いながら「救いがないね」と告げた。本当にな。ユージンがちょっと顔をしかめた。
「一番救いがあるのはマンチェルートかな。他は俺がどうかするから貴方は元の世界に帰るんだルート」
「……六人ですか?」
「私にあてがわれて役目を与えたのはユージン・カルチェ・マンチェ・ニーチャ・ザンクの五人です。ジョシューは宰相のご子息で、鞘ではないはずですよ」
「ナマエ様、現状ジョシュー様は宰相で裁判関係や法整備などもされてます……」
「世襲制ですか?」
「いや、彼が凄いんだ。頭もいいし、努力も怠らない」
「はい、私の知ってる彼はそんな感じです」
「ナマエちゃん、ちっちゃい頃、年上お兄ちゃんなジョシューくんと鞘と契約の模倣しなかった」
その言葉に思い返して私は動きを止める。いや、それやったな……
「……した。やった。後にきちんとしなければいけなくなるので、今のうちに練習しときましょうって言われて練習した。いやでもジョシューは鞘じゃ……」
「はいそれでーす。ジョシューさんは元宰相の愛人であった鞘の女性の子なので鞘でーす。隠してるだけでーす。練習じゃありませーん。あれ本番です〜」
「……もうやだぁ」
そう言って両手で顔を覆う。ユージンが、あぁ、だからか、とぼやいたのが聞こえた。
「ユージン殿?」
「いや、ジョシュー様は俺への当たりが……いやあたりは同じだけど……俺を見る目が冷たい……」
「そりゃあどっちかというとアンタが主君殺したからだろう」
「ゔっ……」
「……裁判官が皆殺しにしていいんですか」
「そこは良くわかんないや。お話の流れだし」
「……あの国、裁判官は執行官の役割も兼任です。しかし、法が変わっていなければ殺人しても基本的に死罪はありえません」
「死罪がありえない」
「そもそも私を罰する為に死罪が増えたぐらいなんですよ」
「……それ少し変わりましたよ、集団で誰かを死に追いやった時にその集団は死罪にって……リンチとか悪質なものに適用するためと、ジョシューさんがつくりました」
「なるほど、無罪だったナマエを嵌めて殺した周りは、新しくできた法に乗っ取ると有罪と言うわけだ」
「裁判官が執行する立場でもあるから、彼が殺してもそれは法に照らし合わせた上での処刑になるということですね」
「やり手だなぁ」
「よし、ナマエ、まずはジョシューという彼を攻略していこうか」
郭嘉さん絶対いい笑顔だ。顔あげなくてもわかる。女の子が郭嘉さんに尋ねる。
「えっ、なんでそこなんですか?」
「有能な人は引き抜きたいし、彼は唯一ナマエに危害を加えてない」
「そうですね、その途中でマルチェという人が味方になれば幸いです」
諦めた。攸さんがその気なら仕方ない。大丈夫です、と言われたので私は顔を上げる。
「もー、いい、お腹くくった。私名義かユージン名義で決闘申し込みます。そうしたら基本的に一対一になるはずです」
「いや、名前は書かないでおこう」

==

「わー、彼がジョシューかい?心なしか荀攸殿に似ているね」
「似てないです。攸さんの方がかっこいい」
「……」

==

「……ユージン、貴方ですか。名も書かずに決闘の申込みをするなど礼儀に欠ける行為です。それに一対多数はいけない。きちんと教わっているはずでしょう」
「えっと……」
「私たちはただの公正な立場にいる判定人だよ。手を出す気はない。どうぞ、お気になさらず」
「……そうですか」

「貴方、あざはどうしたんです?なおすきになったんですか。気変わりが早いことで。貴方はあの時もそうでしたね。彼女に当てがわれた最後の鞘だったのに」
「……」
「あの時も……彼女を表立って守ることができたのはあなた達だけだったというのに……」
「……ジョシューさん、俺は違う。俺は武器としてここに来た」
「……貴方は、貴方は本当に、俺を怒らすのが得意な愚かな鞘だ。王家の鞘は鞍替えなど許されていない……彼女から鞍替えなど許さない……!……どうせ貴方も有罪です!!その剣、俺がおって差し上げましょう……!!」
彼の胸元から青いレイピアのようなものを取り出すのを見て、私はユージンの胸元から白い剣を取り出した。彼が若干動揺したのが見える。まぁ、私はその隙に近づいて切りかかるのだが。綺麗に流した彼に私はそのまま追撃をする。うーん、戸惑ってるのが見てわかる。
「そんなはずは、」
攻撃をしてこない。動揺している。それもそれで、鞘から取り出す剣は役目を与えた人間に準拠するからだ。私の場合どこかに薔薇の紋章が入るのである。いやー、張遼さんとかに教えてもらってよかった。というか、彼は動揺してるから攻撃をしないだけだろう。目をぎゅっと伏せて、眉間に皺を寄せた彼は攻撃する為に足を踏み出す。私はそれを見て刃を思いっきり弾く。くるくる回って近くの地面に刺さったレイピアに彼は動きをとめた。そのまま彼に私は彼の首元すれすれに刃を向ける。
やめ、とかかった声に私は切っ先をさげる。そのままユージンに剣を返せば、
「あなたは、誰ですか。彼女は、死んだはずです。戻ってこないはずです。何故、貴方は、彼女の剣を……貴方達の国には、死人を蘇らせる術があるのですか」
そう言ってジョシューは郭嘉さんを見た。
「その話は置いておいて。決闘はこちら側の勝ち、ということでいいのかな?」
「……あなた達が誰であろうと、動揺した俺の負けです。決闘で負けた方は命令に従うのが掟。どうぞお好きにしてください」
彼はそう言って膝をつく。私はとりあえずフードを被ったままレイピアを取りに向かう。うーむ、一部装飾の色がくすんでいる。興味津々という風に満寵さんがやってきたけども。
「君にはいくつか選択肢を与えよう。私達の国に降るか、君が憎む人間達がいる場所に帰るか、だ」
「私に与えられた役目を裏切れ、と」
「アンタにとっての国はなんだ?『魔女』……いや、『お姫様』の居場所か?」

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