2018/02/22


司書が酔っている。機嫌がいい司書は中庭でひらりと舞った。何を紡いでいるかはわからないが、それに合わせて舞っているのだろう。ひらり、ひらりと舞う季節外れの桜に、彼女の声を聞けないことをこれ以上悔いたことはない。しかし、不意に司書が消えた。視界から消えた、というよりは、まさに消失だった。ただニヤニヤと笑って見ていた太宰が目を見開いて、司書さん!?とそちらに駆け出した。周りも焦りからか、慌てふためいて物を倒す。ただ朝陽だけが落ち着いて口を開く。
「桜よ桜、その人を返してくださいませ。その人がいないと我らが困るのです」
「朝陽?」
若山牧水が朝陽を見る。朝陽はまた口を開く。
「何、タダとは言いませぬ。交換しましょう。今宵の酒はまた美酒なのです」
そう酒瓶を掲げた朝陽は桜を見た。
花びらが人型をつくりあげ、また司書が現れる。司書さん!と駆け出した太宰に、司書は不思議そうに目をパチパチと瞬いた。館長が朝陽を見る。
「何があったんだ?」
「桜の木にいる何かがナマエさんを気に入って隠しかけてたから酒と交換した」
朝陽が酒瓶を逆さにすれば、酒瓶からは何も出てこなかった。

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「あれはナマエちゃんが悪い」
そうズバリと言った菜乃花に、苦笑いする。
「ナマエちゃんがいきなり消えたから太宰さんが悪化したんだよ」
――でもお風呂待機とか毎日添い寝はちょっと。
紙に書いてそう見せればその場にいたオダサクさんが太宰くんを見た。
「太宰クン毎日司書に添い寝してもらってんの!?いや、顔背けても可愛くないで!」
「だって、寝てる間に司書消えるかもだろ!安心するんだよ!」


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