2022/12/31
2022年度没ネタ整理78
なんで私が巻き込まれた上に妬まれたり殺されかけたりしなきゃいけないんだ??不条理すぎないか??
「いかん、李子さんが不条理に直面しすぎて宇宙猫になってる」
「宇宙猫?」
「私達の世界の概念なんだけど、自分の理解を超える現象に出会ったとき、何かを悟った時のことをいうというか、まさに李子さんのこの状態を表す画像なんだけど、あ、みます?」
そう言ってゴソゴソとスマホを取り出したカグラちゃんに私はそれを見つめる。不思議な機械ですね、なんでもカグラの世界では一般的に持っているものらしいよ、これが宇宙猫、という会話に意識を戻し彼女をみる。
「え、もしや、スマホが通じる?」
「なんか知らないけど、通じるよ今回」
「李子さん持ってないのか?」
「私は恐らく巻き込まれた時に落としました」
「連絡先わかってるなら身内の人と連絡取れるけど」
「まぁ、向こうからしたら表示が出鱈目な番号になるらしいけどな」
その言葉に、ちょっと考える。自分の番号はわかるが、他人の番号となると難しい。郭嘉さんの職場の連絡先を教えてるといっても、英語か中国語ができなければ会話は難しい。いや、郭嘉さん達は日本語と英語も器用に話すけども。そもそもこちらの時間=あちらの時間かは不明である。電話をかけたら夜間で留守もありえるし、出鱈目な番号であるなら悪戯だと思ってとってくれない可能性もある。
「貴方と巻き込まれていた彼彼女らと連絡をとっているのですか?」
「うん、あっちでどうなってるか知りたいし、資料とかもそっちだしね」
「解号はあちらにしかない?」
「それは調べてる途中だな」
ふむふむと考える。郭子殿?と尋ねた元直さんに、いえ、と口を開く。
「貴方達の友人で英語か中国語を話せる方は?」
「いる!」
「では、その方に私が今から伝える番号及び内線にかけていただき、郭子殿が事件に巻き込まれてしまったのでと告げて私の経緯を話してくださると助かります。向こうが何時なのかわからない以上、私から連絡をとるのは憚れます」
そう言って持っているメモ帳とボールペンで電話番号をかいて渡す。荀攸殿が仕切りに不思議そうにしているので、首を傾げれば徐庶殿が口を開いた。
「あれは郭子殿の世界の文字らしいですよ」
「文字というよりは数字ですね。画数が少ないので、途中計算などはあちらでしてしまいます。まぁ、あの数字の場合、元の世界では『電話』と言うものを使って、あの番号を指定すれば離れていても指定した人に連絡を取れるという絡繰があります。その為の番号です」
「それは何かと便利ですね。こちらでも作れないものでしょうか」
「技術的にかなり難しいですね。平和になって各国の技術者が集まっても難しいと思います。色々な発明や技術が高まって作られたものですから」
「そうですか、それは残念です」
諦めてるのか諦めていないのかわからないが。でもぶっちゃけ戦国の技術と名無君の知識、月英さんと満寵さんいたら作れる気がする。元の世界の満寵さんは平気で小型カメラとか通信機作ってたし。
「しかし、郭子殿達の世界の知識は少し興味が湧きました。彼女らはあまり教えてはくれないので。お互いの国に負担がかかるといけないと定期的に交換していくことも視野に入れてるそうですが、郭子殿が曹魏にいらっしゃるのが楽しみですね」
さらっと告げた彼に、私は何よりも先にお酒飲みました?と聞いてしまったのは仕方ない。徐庶さんが驚いているのは初耳だからだろう。私も初耳である。ちなみに荀攸さんはちょっと飲んでたらしい。だから当社比おしゃべりなのか……
==
「郭子、髪はどうしたんだ!?」
帰還してすぐに劉備様にあったのだが、その瞬間これである。周りもざわざわしている。毛利殿の陣で多少は整えたのであるが、まだおかしいだろうか。とりあえず説明をする。
「他の子たちと会ってる最中に妖魔に襲われまして。髪を掴まれたのでバッサリきりました。あまり良くないのはわかっているのですが……」
と劉備様にいえば、法正殿が徐庶殿に貴方がついていながらどうしてそうなったんですか?といじめてるのが見える。やめてほしい。ただでさえ毛利元就さんの陣に着くまでちょっとそれで落ち込んでたのを励ましたのに。
「いや、徐庶殿は他の子を庇ってくださっていたので。まぁ、私が助けを待つより私が反射的に髪を切って妖魔を追い払ったといいますが……」
「郭子さん一瞬で判断してましたもんね」
「命があれば髪は伸びますからね」
「僕もこう身を守るぐらいはできた方がいいかなぁって思ったので、何かしら練習していきたいです」
そう告げた名無くんに成長したな……と思う。劉備様も特に止めはしないだろう。うむ、いい心がけだな、と頷いた彼に、諸葛亮殿が仲の良い張苞殿や関興殿に聞いてみてはと言われていた。頑張ってほしい。
「ところで、劉備様、諸葛亮様、私達を交代させる話が出ていると魏の荀攸殿からお伺いしましたが」
「えぇ、私達の元にもそのような内容の文が届いてはいます」
「なんです?その話」
「三国の負担を均等にする為だと聞きましたが……」
「私としては定住させていただける方が嬉しいですし仕事も順調なので蜀にいたいのですが……恐らくは断れない状況になりかねませんし、行けとおっしゃるなら私は行きます」
いやー、だって魏……曹魏……他人の空似に似た状態だとしても私は多分曹操様を気に留めるだろうし、なにより郭嘉さんもいるのだ。大変やばい。行くなら呉がいい。徐庶さんが不思議そうにしている。
「もしや、他の国に何かあるのかい?荀攸殿にちょっと困っていただろう?」
「……顔に出ていましたか?」
「いや、ただなんとなく困ってそうだなって」
「いえ……法正殿とこの前一緒にいらっしゃった方がいたでしょう?」
「この前?」
「私が救援に向かった時にいらっしゃった髪の色が明るい方です。確か魏軍だと思うのですが」
「あぁ、郭嘉ですか」
「違う世界の方なので、他人の空似でしょうけれど、雰囲気も夫に似ていたので私はあまり会いたくないと言いますか……」
「確か貴方の旦那は酒宴と戦と女と遊ぶことが好き、でしたか。そっくりそのまま奴ですね」
はっきり言う法正殿である。私は片手で顔を覆う。ですよねぇ、この世界は違いますなんてことはないですよねぇ。はーー、とため息をつく。
「会いたくないというか、できるだけ関わりたくないです」
「旦那が嫌いなんですか?」
「いやそう言うわけではなく……」
首を傾げてみんな私を見る。私は両手で顔を隠して蚊の鳴くような声で告げる。
「その、元の世界の家族が心配になりますし、寂しくなるので……」
周りは無言である。笑いたいなら笑ってほしいのだが、劉備様はうむそうだなと心配そうに告げた。
「私も異世界に投げ出されて見知った人ににた人物に会えば、寂しくなるだろう」
貴女の夫も郭姓を名乗るのであれば、違う世界の一族なのかも知れませんね、と告げた諸葛亮殿は察しがいい。寂しく思わないように仕事をたくさんご用意しましたよ、と告げる法正殿にはお気遣いありがとうございます、と返す。様子を見ていた名無くんが口を開いた。
「ナマエさんも同じでよかったぁ、ぼくだけが寂しいのかと思っちゃった」
これは名無くんが可愛い部門優勝では?
==
またしばらく蜀の仕事に戻ることになる。あとはかぐらちゃんの知り合いが郭嘉さん達と会って説明してもらい、外から解決策を探してもらうしかない。……。
「仕事か何かをしないと余計なことを考えてしまう」
今日と明日は休むように言われたが、そんな気にはなれないのだ。日が暮れてるから子供と会う時間でもない。お酒に逃げればいいのかもしれないが、お酒は人前で飲むなといわれている。
==
「お久しぶりです、郭子殿、名無殿。お待ちしておりました」
そう言って出迎えてくれた荀攸殿にお久しぶりです、とこちらも礼を返す。
「だいぶ髪がお伸びになられましたね」
「括れるようにはなりました。もう一踏ん張りというところでしょうか」
そう言って髪をつまむ。あれから時間は経ったものの、進展は特にはない。まぁ、私に向けられた刺客もアレと蜀で一度ぐらいだ。それ以外は仕事したり色々していたのだが。
「貴方達の部屋は用意してあります。長旅の中申し訳ありませんが、先に殿にご挨拶を」
「わかりました」
曹魏様に挨拶かー、と思いながら荀攸殿に続く。なーんかヒソヒソうわさされてるけども、なんだ?と内心首をかしげる。名無くんが眉尻を下げて周りを伺った。
「名無くん、気にしてはいけません。恐らく何か噂が流れているのでしょう」
「噂……?」
「はい、それもありますが、貴方達のような方々をあまりよく思わない方もいらっしゃいますので」
これは参ったな、と思いながら荀攸殿に続く。やはり実力主義な面があるというか。実力がある人にはある意味公平であるが、そうではない人へのあたりは強い。そうして通された先に向かえば、なるほど名だたる将や軍師が勢揃いときた。
「殿、お連れいたしました」
「うむ、苦労をかけたな荀攸」
そう言った曹操様に、私は頭を下げる。名無くんも合わせて下げた。
「お招きいただきありがとうございます」
顔を上げろ、と言われたので顔を上げる。
「遠いところからよく来たな。異世界の者には長距離移動は酷であろう」
「いいえ、元の世界であまり見かけぬものが多い故に中々面白い旅路でございました。私の名前は郭ナマエ。呼びにくければ、郭子とお呼びください。よろしくお願いします」
「僕は苗字名無です。よろしくお願いします」
そう言ってまた立礼をする。ふっと笑った曹操様が名乗り、夏侯惇殿と荀ケ殿、郭嘉殿が名乗る。
「お主らは蜀で何をして過ごしていた?」
「僕は月英殿の手伝いをしたり、元の世界のものを作ろうとしたりしていました……失敗してばかりでしたが」
がっくしと肩を落とした彼に私も口を開く。
「私は諸葛亮殿や法正殿の補佐というよりは雑用係みたいなものを……と言っても、さわりの部分しかしていませんが」
まぁ嘘なんだけども。蜀の情報吐けって言われても困る。
「おや、てっきり軍備も任せてもらっているのかと思ったけれど」
「この前の方ですね。あの時はありがとうございました」
「いいや、救われたのは私の方かな。あなたがいなければこちらは撤退しか取る手段がなかったからね」
「あの時は援軍に行きたいと無闇に飛び出そうとした皆様にご提案し、それを貴方と法正殿がうまく勝利にお導きになられたまでです。私に軍の指揮権はありません」
「軍の指揮権がないのは、異世界からきたそれが妥当ではある、か。貴方の知識は蜀で?」
「いいえ、私は元の世界で似た知識を得ていたというだけです。少し置き換えが必要ではありましたが」
まぁそれは名無くんに限るのであるが。
「平和な世界だとお聞きしていますが」
「平和な世界であっても優れた知識は学問として残るものです。兵法にしろ、孔子の逸話にしろ、墨子にしろ、好まれます」
私の説明に、いくつか尋ねられるのでスラッと返す。というか文官勢みんなで投げかけてくるな。刑の制度とかも投げかけるな。私はそこまで知者じゃない。「やっぱりナマエさんはすごいなぁ」とぼやいた名無くんに、文官の矛先が彼に向いたが彼はバッサリと「僕は兵法はわかりませんし、論語も数個しかわかりません」とバッサリきっていた。
「元の世界と方法は違いますが、この世界でいう九章算術?は得意です」
と言ったので、私が適当な例題を与えれば暗算してスパッと出してみせる彼はえぐいのだ。荀ケ殿が同じように投げかけても素早く答えるし。曹操様が口を開く。
「蜀が返事を渋るはずだな。いっそのこと二人とも我が軍門に加わる?」
「申し訳ございません、そういうことに関しては諸葛亮殿を通すようにと口酸っぱく言われていますので、諸葛亮殿と交渉をお願いします」
困り顔でそう言えば、まぁ向こうは手放す気はないだろうね、と郭嘉殿が告げた。
「しかし、そうか、あれらが諸葛亮の入れ知恵でないとなると、貴方の描く策というのは面白い。本当はあの時に美酒と共に話せていたらよかったのだけれど」
「申し訳ございません、色々都合がありまして」
淡々とそう答える。まぁそういうことにしておこう、と言われたけども。
==
==
やっぱり同じ人物なんだよなぁ、と郭嘉殿をみる。声が彼の方が少し低めであったり、彼の方ががたいが良いのであるが。熱心に見つめられると照れてしまうな、と彼はちっとも照れていないくせに告げた。荀攸殿が郭子殿?と首をかしげる。
「いえ、いつ見ても色男だな、と。女性に人気がありそうですね」
「まぁね」
さらっと告げるあたりは彼は大人っぽいとおもう。旦那はドヤ顔するから。もしや結構性格が違うのか、と考えていれば、満寵殿が口を開いた。
「そういや郭子殿の旦那は郭嘉殿に似ているらしいけど、どこがどうにてるんだい?」
「……名無君に聞きましたか」
「あぁ、この前少しそういう話になって」
そう告げた満寵殿に、荀ケ殿が「驚きました」と声を上げる。
「郭子殿にはそういう方がいらしたのですね」
「元の世界に置いてきているのでこの世界にはいませんが。まあーー、酒宴と戦みたいなことが好きな人ですね」
「あっははぁ、まんま郭嘉殿だな」
「年上かな?それとも年下?」
「五歳年上です」
「郭嘉殿に似てる人が一人の女性に入れ込むなんて想像がつかないなぁ」
「私もそう思ってましたよ。まぁ、でも紆余曲折があってそうなりました」
嫌だって三国史ピックアップだけしていると、そういう関係ではなくどこまでも仕事の補佐あるいは世話をお互いやく幼馴染みみたいなものなのである。遠呂智編や現代編でそうなっただけで。
5/28
Comment(0)
次の日 top 前の日