2022/12/31
2022年度没ネタ整理81
曹操様、と呼びかけて口をつぐむ。あぶない、違う世界でも曹操様のカリスマ性は一級品だった。李子はどう思うと尋ねられたので危うく献策をしそうになったが私も国主な今、提案という形になる。
「相手は虎牢関で待ち構える形を取るでしょう。そうなると、むやみに突っ込めば被害は大きくなりましょう。ここは中央を陽動とし包囲、またはこちらが有利な場所まで誘い出すのが定石かと」
「そんなまどろっこしいことをしてられるか!」
「袁紹殿、貴方は相手を侮りすぎです。相手は呂布に加え、華雄という猛者もいます。用心に越したことはございません」
そうは言ってもこの人は止まらなさそうである。ぽっと出の城主の分際で、と告げた彼らに私は口を紡ぐ。これは言っても聞かないな。痛い目を見ても他人のせいにして理解できないタイプだろう。前ほど人員が揃っているわけではないのである。となると、こちらの援護もなかなかしにくい。そのまままばらに解散した彼らに地図に置かれることなく机に散らばるコマをみた。考えろ。恐らく中心には華雄または呂布がくるはずだ。総軍入り乱れてしまえば、何をするにも難しい。相手の陣形を知識として知っている形にする。恐らく虎牢関はこのような形であったはずだ。
「関羽殿を華雄に。それに倣い陽動を劉備殿に。曹操殿に右翼、孫堅殿に左翼で包囲……したとしてもどこからか呂布がくるか……となると、やはり華雄を挑発して誘い出して戦った方が有利……」
「主さん、挑発して華雄がくるものなの?」
「彼は恐らく来ます。前に話をした際にと思いましたが、彼は武勇に優れますが傲慢で尚且つ短気な面があります。怒りで周りが見えなくなるタイプです。なので、挑発に乗るでしょう……が、」
「が?」
「今日の様子を見ていると何も考えず袁家が乗り込む気がします。混戦となれば撤退も難しい上に逸れられては見つけるのも困難です。盟主であるが故に袁家のお二人に倒れられては困りますし、誰かが華雄を抑えその間に探し出すなどをしなければならないかもしれませんね」
星辰や文姫殿に言うつもりでそう言ったのだが、曹操殿や孫堅殿、劉備殿がいた。一緒にはけたと思ってたのだが。苦笑いして駒を撤収させる。
「李子よ、お前は本当に才は見どころがある。お前が城主でなければ招き入れたいところだが」
「もったいなきお言葉です、曹操殿。しかし、私のような半端なものではなく、きっと貴方達の元には優秀な人材が集まりましょう」
そう言っておく。お主が半端か、みたいなこと言われたけど、私本当に半端だからな。
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ほーら、こうなる。と思ったが絶対に言わない。淡々と他の諸侯に協力してもらい、袁紹殿を助け出してから攻勢に転じれるように兵や将を誘導したりして、なんとか虎牢関は突破した。主さんの言う通りだったじゃないとぽこぽこしている星辰とぎんぺーちゃんをとめ、ご無事でようございました、と袁紹殿に告げる。まぁ、彼の言葉を聞くに自分が悪いとは思ってなどいなさそうである。あちらの袁紹殿の方がなんというかまともだったな、と思いながら彼を見送った。
「李子、大丈夫か」
「劉備殿、お気にせず。彼の言うこともまた事実ですから」
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「李子よ、郭嘉をさけているそうだな」
この世界の郭嘉さんは儚げである。あの人から酒宴と戦、あと女成分抜いたらこんな感じになるのだろうか。そもそも荀ケ殿に似ている感はすごいするのだ。違和感しかしない。いや、他にもアル中元直とか仮面で顔を隠す士元とか色々いて違和感がするのだが、二代トップが賈詡と郭嘉さんなのである。違和感を感じないスリートップは関羽殿劉備殿趙雲殿であるため、ある意味蜀の方がいいのかもしれない。隣で酒を飲んでいた曹操殿が私を見る。
「いえ、避けてるわけではないです。ただ、知り合いに同じ名前の人がいまして」
そう言って私は盃をみる。近くにいた人が視線を寄越す。
「その人がですね、ある意味碌でなしといいますか、郭嘉さんに酒宴戦女好きを継ぎ足したような人なんですよね。どうしても、その人を思い出してしまって。避けているつもりはなかったのですが」
「良い人か」
「幼馴染みの延長線上ですよ。向こうは私の世話を焼きますし、私も向こうの世話をしました。そんな仲です。……もうずっと会えてませんが」
この世界からどうやって戻るかなんて検討もつかないのだ。まだ帰る気でいると言えばいいのかもしれないが。自嘲するように笑って盃を煽る。お酒の味が口の中に広がった。
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とんだヒロインムーブかましてしまったな。
そう思いながら目を覚ます。いやー、だって敵に操られてるのが見るからに私が知る荀攸さんだったから、傷を負うのを覚悟で目を覚ましてくれって言いながら抱きしめたら意識アウトである。手当てされているのを見ると誰かが手当てして運んでくれたらしい。ノロノロと起き上がり、いつもの服をきてそのまま自室から出る。まぁ、私が姿を現せば、李子殿!と周りがそりゃあもう騒ぐのだが。よかったようと、私に抱きついた星辰とぎんぺーちゃんの二人に謝り、背を撫でる。私は元気である。
「主よ、いけません、お身体に触ります」
「これくらいは大丈夫です。曹操殿、捕らえた方は?」
「牢に繋いでいる。今は大人しいがな」
「賈詡はいますか。彼は天刑宗の新丸を用いてああなったのだと予測したのですが」
「御明察通り、だろうねぇ」
ひょっこりと現れた彼に、そこにいたんですか、と返す。アレは普通の人間には毒だけれど、どうもあの人間は普通じゃないらしい、といった彼に周りは酷く荀攸殿を警戒をした。
「彼は私の知り合いです。神丸を口にしただけでああなっただけで、元は人間ができた方です。少し話をしてきます」
「あるじ、いくらなんでも一対一はいけない。相手は君の暗殺を企んだ人物だ」
「彼はそれに失敗しています。気にすることはありません。正気に戻っているのであれば、彼は味方です」
「……李子殿、そうであっても我々が心配なのだ。話をするにも誰かをつけてくれ」
劉備殿の言葉に困った顔をする。私の事情を知る人はこの世界の師である左慈殿ぐらいなのだ。何か都合が悪いことでも?と尋ねた龐統殿に、いえ、と首を左右にふる。
「郭嘉殿、申し訳ありませんがご同席いただけますか」
「……わかりました」
頷いた彼をつれて、私はとりあえず地下の牢に向かう。他もついてくるだろう。まー、そこにいた荀攸さんは俯いているのだが。意識はあるのだろうか。そっと牢の鍵を開けて入れば、近くの兵が止めたが大丈夫だと告げた。
「李子殿、彼は沈黙を貫いています。何も話しません」
郭嘉殿の言葉に大丈夫だと告げる。私の声に反応した彼は顔を上げた。
「……李子殿?」
「よかった、意識が戻られたのですね、公達殿」
そうホッと息を吐く。彼は私を見上げると口を開いた。
「貴方は今までどちらに……いえ、その問いは我ながら愚問でした。アレは夢ではなかったのですね」
「……そうですね」
「意識を失っていたからとは言え、貴方を手にかけようとしたことも、貴方に深い傷を負わせたのも事実です。今の現状はいまだに理解できかねますが、処断されても仕方のないことです」
そう傍若無人に告げた彼に私は困った顔をする。私はそれをする気はまったくない。
「……李子殿の知り合いで間違いなさそうですね」
「はい。この様子を見るに、彼の神丸の効果は切れています。彼を牢から離します。公達殿、詳しく話をいたします」
「李子殿、話を伺いたいのはやまやまですが、今ここで俺を離すことは貴方にとって得策とは言えません。貴方の身に危険が及びます」
本人がそうさらっと言うんだもんな。私は眉尻を下げる。
「そんな顔をされては困ります。ただでさえ、俺は貴方を傷つけた。郭嘉殿にどう申し開きをしたものか……」
そう告げた彼に、この世界の郭嘉殿が目を少し見開いた。そして彼は恐らく曹操殿から聞いていたんだろう。私を見下ろした。
「主殿、貴方には家族のような方が五人いたとお聞きしています。その中に、私と同名の方がいらっしゃったことも。彼はそのうちの一人、なのですね」
そう告げた彼に私は頷く。理解がはやい。彼はわかりました、と頷く。
「貴方を暗殺しかけた方です。彼の言う通り簡単に牢から離せば、暗殺者に対してもぬるい対応をとるのだと貴方を狙う諸侯から刺客が差し向けられる可能性が増えます。ならば、降将という扱いとし、誰か一人腕が立つ方を見張りとして彼につけるのが良いでしょう。彼の疑いが晴れるまで」
「ありがとうございます。人選はあなた方にお任せいたします」
「わかりました」
郭嘉殿はそう言って枷を外すようにつげる。その際も前にいてくれるのだが、荀攸さんからはもう嫌な気配はしないから大丈夫だと思う、のだが。彼を立ち上がらせれば、彼は多少よろけたもののすぐに起き上がった。
「公達殿、色々お話したいことがございます。が、ややこしいが故に申し訳ございませんが、李姓をお名乗りください」
「ややこしい?」
「私の前にいる方は郭嘉殿。同じ名前に心当たりがあるでしょう?」
そう笑えば、彼は数秒止まって、理解しました、と返したが。
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似た服を整えたりもしたいが、とりあえず平服が必要だろうと平服を買いに行き、服を整えたら、昔の荀攸さんの出来上がりである。ちなみに監視には徐晃殿か趙雲殿が割り当てられていて、彼は私の補佐をしてくれている。内政できる人めちゃくちゃありがたい。
「徐庶殿、あまり公達殿をいじめないでください」
「ははは、李攸殿が思っていたよりとても面白くてね。最初はびっくりしたけれど」
「お酒臭い」
また昼から呑んでたなこの人と思う。休みな公達殿も目が据わっている。へにゃりと李子殿、と告げた彼は口をひらけばマシンガントークである。私の褒め言葉と自分の至らない点の羅列だある。近くにいた星辰が目を白黒させている。ちなみに近くにいる郭嘉殿たちも驚いていた。
「わかりました、公達殿、わかりましたので、少し酔いを覚ましましょうか」
「いえ、それはかまいません」
「私がかまいます」
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めっっちゃ忙しいな??なんで曹操様たちや臥竜鳳雛と郭嘉殿、ついでに賈詡殿陸遜殿達加えて荀攸殿がいるのに忙しいんですかね??いや、新しくきた将兵を気にかけたり政務したり郭嘉殿休ましたり徐庶殿や張飛殿達のお酒多少嗜めたり龐統殿褒めたり諸葛亮殿と話したり陸遜殿に教えたり呂蒙殿の相談乗ったり賈詡殿の報告きいたりぎんぺーちゃん達と遊んだり武人組と手合わせしたり……軍師ばっかだな。たまの休みも市内見回ったりもするし、これってもしかして:休みがない。
ワーホリワーホリと息子氏や周りに言われるが、あちらの郭嘉さんがいないとこうなるのか……と文字をみつめていれば、失礼します、と声が聞こえる。そちらを見れば、私の縁戚に位置する兄代わりであるとなっている荀攸殿と徐晃殿がやってきている。
「公達殿、徐晃殿、おかえりなさい。いかがでしたか?」
「はい、やはり推測通り天刑宗が絡んでいました。時代は鎮圧させましたが……そこにある紋章については賈詡と丁殿、あとは諸葛亮殿が調べられています」
「そうでしたか。天刑宗なれば、徐晃殿も大変だったでしょう」
「いえ、これくらいとなればなんとも」
「その件に関しては彼らの報告を待ちます。お二人ともお疲れでしょうから、ゆっくりお休みください」
そう言えば、徐晃殿ははっ、と頭を下げた。荀攸殿がまぁ私をじっと見たが。うっ。
「李子殿、これはあくまで縁戚の兄としての発言ですが」
「……なんでしょう」
「最後にゆっくりとおやすみになられたのはいつですか」
うっ。
「どうしてですか?」
「貴方は気にかけないと限界以上に働くという話は以前から縁戚の間でお聞きしております」
「この間休みました……」
「この間、とは、いつでしょうか。市中を見回り民の話を永遠と聞いていた日でしょうか、子供に学を教えた日、将兵らの訓練に付き合った日、貴方がゆっくり身を休める休日はいつでしたか」
「人生は有限です。天下の為に才の限りを尽くさなければ」
「人生は有限だからこそ、貴方は無理をしないべきです。昔は騙されていましたが、今は騙されません。今日は体調がすぐれないのでしょう」
貴方が認めない限り、俺はここから動きませんが。
強気だー、と半分死んだ目をする。荀攸殿の生活からしてこれは認めた方がはやい。いや認めたが最後多分これ熱出すというか倒れる。数日間再起不能になる。荀攸殿がため息をつく。
「曹操殿、劉備殿、孫堅殿、申し訳ございませんが、しばらく李子殿の政務を肩代わりしていただいても?俺もお力添えをいたします」
「構わんぞ」
「体調が悪いのか」
「素直に頷かないとなると、数日間寝込むことになると思われます」
見抜かれている。頭を抱える。それは大丈夫なのか、と告げた劉備殿に目を泳がせる。大丈夫ではない。
「大丈夫ですが……今日は部屋で休みます」
そう言って筆をおき、立ち上がろうとするが、無理だった。これはやばいと本格的に自覚する。あと涙腺が崩壊した。
「主殿!?」
「……立ち上がれません、無理です、休みます、全然大丈夫じゃありません、攸兄様のいう通りしばらく再起不能です」
ぐすぐすしてしまう。周りがとてもオロオロしている。
「徐晃殿、申し訳ありませんが、李子殿を部屋までお運びください。あとは将の方数名で人払いをある程度お願いしてもよろしいでしょうか。政務を振り分け、中途なものを終わらせ次第顔を見に行きます」
「……わかった。失礼する」
そう言って抱き上げられる。大人しくしていれば、意識が吹っ飛んだが。
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「あそこまで体調が悪いとは思わなんだ」
「李子殿は例えが悪いですが限界を超えても走る馬のような方です。誰かが異常に気づき、休ませるべき、なのですが……俺も長年共にいますが、正確にはその線がわかりません。わかるのはたまに話題に登る郭嘉殿と同名の縁戚または一番年上の縁戚だけです」
「なぜわかった?」
「……李子殿は休みの日には静かにお過ごしになられることがお好きですから。ただ最近はそのような姿を拝見しなかった、ということだけです。昔は日当たりの良い場所でよく書を読みながらうたた寝などをされていましたから。皆様が好きだからこそ誘いを無碍にはできないのでしょう」
「ううむ、気にかけるか」
「そうしていただけると幸いです」
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