2022/12/31
2022年度没ネタ整理98
唸るような地響きと、浮き上がるような感覚。それにまさかと思いながら少し高いそこから様子を見てみれば、そのまさかである。遠呂智の世界に組み込まれようとしている。天変地異ではないかとワァワァと騒ぐ周りに、なんだなんだと周りを見渡す『同郷』即ち『現代』からの来訪者に、私は算段を考える。遠呂智が攻めてくる可能性はどの辺りに組み込まれようとしているのか。
ーー私の仕えた曹操さまのいる可能性とは。
どうするべきかを考える。でもここにいるのは複合軍だ。曹操様たちは話したら理解はされるだろうが、問題はこちら側なのである。天刑宗に対する為に現状は複合軍である上に、同姓同名がいすぎる。次第に深い霧ができ、揺れが収まる。何?なんだったの!?と騒ぐ女の子達や寵沙を宥めてから口を開く。
「張郃殿、いらっしゃいますか」
「久しぶりにびっくりしたッてのに、李子様は驚いてないッすね。流石というか……」
「私は一度似たことを経験済みです。周りを見てきていただいてもよろしいでしょうか。ぱっと見で良いです。何処にどの旗が掲げられた陣営がいたか、だけで結構です」
「?よくわかんないッスけど、仕事なんでしてくるッスよ」
「申し訳ございませんが、門兵には武装した人間が来た時には無駄な戦闘をせず、私に知らせるようにお伝えください。ワザと外部と敵対するように仕組まれている可能性があります」
そう言えば、御意、と兵が頷いて走ってくれる。さて、これで敵対する様に見せていても知り合いさえいてくれればどうにかなるだろう。劉備殿が困った顔をして尋ねる。
「李子殿、何かご存じなのですか?」
「恐らく止まりで確信はありません。しかし、恐らく、寵沙達の故郷の次に私が過ごしていた場所だと思われます。ここでは場所ごと何処か別の場所につながることが度々起こり、先程ような現象、もしくは急に深い霧に遭遇して抜けた先が知らない場所である、などということが度々おこるのです」
郭嘉殿が「それは難儀ですね」と眉間に皺をよせた。
「えっ、ということは、ナマエさん元いた場所に戻っちゃうじゃん!」
「貴方が独り立ちするまではお支えするつもりではいますが……大国に飲み込まれる可能性はありますし、何より平穏を嫌う妖魔という存在がいます。それを止めるための手立てを早急に打つ必要があります」
「妖魔?」
「天刑宗のようなものではありますが、率いているものが人間ではなく悪い仙の方であったり、妖であったりしますね。残逆と騒乱を好むものが多い印象を抱きます。もちろん、友好的な方もいらっしゃいますが」
そう言えば、ぴょんっと張郃さんがきた。
「見てきたッスよ。というか、そこまで見なくてもわかるというか……見事に囲まれてるッスね」
「旗は?」
「色んな色がありましたよ。文字がなく印だけのものもあるし、何より魏呉蜀揃い踏みっスね」
その言葉に「最悪の事態です」と告げる。
「妖魔軍に悪役に仕立てられていますね、この状態。早急に話を合わせますが、囲み方はどのような?」
とりあえず仕方ないので手のひらに城のマークを書く。場所はどこどこに近いと思う、敵はこのあたりという張郃殿の言葉に、はいはい、南東から妖魔軍がくる形と理解する。
「寵沙率いる主戦力を南東方面に向けます。こちらの戦闘が激しくなれば恐らくそちらから妖魔軍がくるでしょう。相手と話をして、戦闘をしてるように見せかけねばなりません。というか、包囲している軍は私が迎えにいきます」
そう言えば張遼殿が口を開く。
「しかし、李子殿よ、それは些か危険ではないか?知り合いに会えるとは限らないだろう」
「相手のこの布陣をみるに八割の確率で知り合いです。ややこしいことには変わりありませんが」
「ややこしい?」
「はい、時期にわかりますが……いえ、先に言っておいた方が……」
そんなことを言っていれば、誰かがぴょんっと入ってくる。まぁ、こちらに向けられた攻撃を私がどうにかする前に張郃殿が弾いたが。
「何処の誰ッスか」
「しのびに名乗る名はありません、……にゃ?」
そう言った人物は私を見て目をぱちくりと瞬く。
「もしや、そこにいるのは李子さんでは?」
「はい、お久しぶりです、真田のクノイチさん」
そう言えば彼女は武器を納め、怪我ナシ、操られてる痕跡ナシ、くるくると私の周りを回る。
「……こりゃあいっぱい食わされた感じかにゃ?」
「話が早くて結構です。私が囚われているという情報で包囲を?」
「まさしく、その通り!でも、李子さん何処にいた感じです?曹魏にいる旦那や蜀の軍師がやけになって探しておりやすぜ」
そう言った彼女の言葉に、なんとも言えない顔をする。周りがは?みたいな顔をしたのだ。
「赤壁での妖魔の戦で、他を守って川に落ちたまではご存知かとおもいますが……」
「うにゃ、それは聞いてる」
「そしたら空から落ちてることになり、また違う」
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