2022/12/31
2022年度没ネタ整理124
だって、それはある意味生きていくためには捨てなければいけないことだったのだ。とは言うものの、好きなものであるがために簡単に捨てることなどできず自分が扱えるほんの少しのお金でサッカーボールを買ったのであるが。毎日毎日扱っていれば、頭にある経験というものは次第に体にも還元されていく。
元女子代表、そして女王様として君臨していた私の記憶を俺が思い出してはや一年ほど。サッカーボールもぼろぼろになり、俺の人生も岐路にたっていた。
ある意味人気勝負のような。そう思いながらぴょこぴょこと動く。いやー、周りに勧められて受けたオーデションに受かり、とりあえずある意味副業のような仕事を手に入れた。中学卒業してすぐの働き口はあまりにも狭く、また妹弟の世話がある為に新聞配達くらいしかできなかったのであるが、これなら家からできるのでなんとかなる!という算段である。モニタに映る俺は犬耳が生えた少年である。自己紹介をしつつよろしくなーとにっこり笑えば、リスナーのコメントが流れていった。
いや、まともな大人の方が多いですね、と言えばまともな大人……?とコメントが流れて行ったが。まともというか、人間できてる人が多い。両親に比べたらだいぶまともである。にいちゃーー!!いたーー!!と部屋にくるなりはしゃぐ妹と半泣きの弟に、苦笑いする。にいちゃん今お仕事中ー、と返したが完璧に目が覚めた二人は居座る気満々らしい。というか必要にペタペタされたが。一応リスナーに断ってから口を開く。
「なに?どうしたの?なんで半泣き?」
「ゆんのゆめでねー、にいちゃおっきいおさかなさんにたべられてた!それをゆうくんにいったらねー、ゆうくん泣いちゃった!」
「えぇー、にいちゃんたべられるはちょっとやだなぁ。にいちゃん何に食べられたの?サメ?」
「このまえ、てれびでみたやつ!!こーんな顔のやつ!」
「んー……ジンベエザメかな??……」
「じんべざ?」
「言いにくよな〜。じんべーさん」
「じんべーしゃん!」
「にいちゃ、じんしゃにたべりゃれちゃう……」
「ゆうくん、じんべーさんは人は食べないから大丈夫。優しいサメさんだかんねー」
「にいちゃ、たべられない?」
「大丈夫だよー、じんべーさんはにいちゃの味方だかんなー」
そう言ってほっぺをうりうりする。きゃー、と喜んだ二人であるが、その後の自由に過ごして去って行ったのだが。
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「鷹丸は給料とかはやっぱり親に預けてんの?」
「いや、自分で管理してますよ。
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「鷹丸ー、大丈夫か?」
そう尋ねたその人に、大丈夫なのだ、と言う。笑みを浮かべて、大丈夫なのだ、と言えば、大丈夫じゃなさそうだよ、と他から声がかかる。うーん、参ったなぁ、と降参ポーズをした。そろそろ色々限界かもしれない。同い年くらいの人に色々言われたのが多分応えたし、貰ったボールがダメになったのも応えた。ポロポロ涙を零すのを見て、ダサいとか言った奴は気にしない。はーー、と息を吐く。
「お前さー、俺がなんで進学してないか理由わかる?」
「はぁ?」
「というか、同い年のやつが同じような家庭環境の上にいるって無意識に思ってない?」
そう言えば何言ってんの?みたいなことを言われたが。高校進学は当たり前だろ?みたいなのはやめた方がいい。機材を壊さないようにゴシゴシと目元をぬぐい、もう一度息を吐く。空気が悪くなる。笑って返せば良い。たしかにそうだろう。でも、どうしてもそれはできかねたのだ。
「もうちょっと世界にはいろんな奴がいるって学んだ方がいいよ、お前。そういうことで揶揄うの、俺は好きじゃない」
そう言って相手にベッと舌を出してから空気悪くした、ごめんなさいと事務所の先輩に告げる。そこは怒っていいところよ、と言われてホッとしたが。わしわし頭を撫でられるのは好きである。はー、ちょっと落ち着いた。大人になれ。相手はただの子供だ。私みたいに転生したわけではなく、ただの大人だ。
「鷹丸くんなんで高校行かないの?」
「俺の事情じゃないだよなー、俺の事情なら笑って流せたんですけど、違うしなんか腹が立ったから怒ってしまった。悪かった、ごめんなー」
そう相手に謝っておく。向こうはちょっと拗ねてツンツンしてるが。
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えれぇことになってしまった。隣の達海監督がペチペチと私の頭を叩く。なんか知らないが、某掲示板の人が悪ふざけで私に投票し、私が選ばれてしまったが故に鷹丸(のリアル世界にいる友人)として参加するサッカーの祭典である。マジで高校生ぐらいだとは思わなかった、とは会う人会う人に言われる言葉だ。達海監督も第一声若いねーいくつ?だったし。とりあえず妹と弟はマネージャーさんに預かってもらって会場にいる、わけであるが。まー解説とかそっち系の飾りだろと思ってたらメンバーに組み込まれていたのだ。多分これは接待プレーされるやつである。
「やっぱり俺邪魔じゃないですか?俺がサポーターだったら何不純物混ぜてんの?ってキレてそうな気がする。マスコット対戦に混ぜて貰った方が……」
「大丈夫大丈夫、周りのおっさん達がどうにかしてくれるから」
達海監督軽いなーー。ペチペチと相変わらず私の頭を叩く。おっさん、と一部が凹んだの面白いなー、ハナちゃんとか見るからに凹んだが。凹んでる隙があるから今のユニフォームにサインくれ。
「鷹丸そのままバイトにくる?ちょうど戦略補佐欲しかったんだよなぁ」
「マジすか。いっていいなら行きたいですね〜!」
嘘でもわーいと喜ぶ。サッカーに関することで働けるの最高かな??しかしまぁ、サポートが充実している真ん中インされてるんだよなぁ、とボードをみる。両脇というか、後ろが越後さん、隣に花森選手と持田蓮がいるのか。いやーー、これは楽しくなるなーー。佐倉監督がこちらをみおろした。
「鷹丸くんはどこかのチームに?」
「ユース試験受けたり登録料とか遠征費とか払えないので今は近所の社会人チームに混ぜてもらったりとかはしてます」
JFリーグの下部あたりなのか社会人チームなのかはわからないが、新聞配達先で混ざっていいと言われたのだ。ありがたくサッカーする場になってるわけであるが。
「ん……稼ぎ悪いん?なんか意外やわぁ」
「稼ぎが悪いというか、鷹丸の仕事の給料はほとんど妹弟の学費代として貯金してるので。大学生までで二千万くらいは必要だし、それが二つって考えると俺にとっては途方もない金額なので。人気勝負みたいなものですしね、しっかり貯金しないと」
うむうむいいながらそう言えば、しっかりしてるなぁ、と言われた。持田蓮に親何してんのお前と言われたが、肩を竦めるだけである。ただ、それだけでは不自然なので「夜中に帰ってくるから知らないですねー」と告げてぼーどをみておく。まーー年が離れちゃってまぁ。
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接待プレーをやめてほしい時どうするか?サポーターのなんやかんやを打ち消したい時何するか?それは昔から決まっててぶち抜いたプレーするしかないんだよなぁー、と見えた隙間からミドルシュート蹴ったら若干外れたがそこにいたアレック選手が決めてくれた。周りが一瞬の静まった。私は頭をかきながら口を開く。
「はーー、思ってたコースからちょっとずれたけどこれはこれでよし。アレック選手合わせてもらってありがとうでしたー。ナイスプレー」
そう言って手を振れば、ハナちゃん選手達がこっちにきたが。
「鷹丸……」
「はーいー?」
そう首を傾げれば、持田蓮がゲラゲラ笑った。
「えっぐー。何お前、面白いことするじゃん」
「いやだってサポーターのブーイングやますのと接待プレーやめさせるにはこうするしかないでしょ。俺出来れば技術とかそういうのしこたま盗んで帰りたいんですよ」
「ってことはわざとかー!お前生意気だな!!」
ぐしゃーとジョーさんに頭を撫でられたが。
「ぎゃーー!縮む!!俺は越後選手くらい身長あってガタイ良くなりたいんですよ!!ついでに越後選手くらい顔も良くなりたいんですよ!!」
「顔は生まれ持ったもんやで〜」
「ワンチャン!ワンチャンあるので!!」
きゃいきゃいと言いながらプレーが再開しそうなので元に着く。
「越後選手ー、申し訳ないんですけど、多分守備疎かになる可能性があるので頼んでいいです?体力ないッス」
「……仕方ないな」
「わーい」
そう手を上げる。まぐれだと思われたので何人か抜いたりまたぬきしてハナちゃんにパスしたり、持田選手やFWにドンピシャパスしたりする。向こうが流石にガチできて抑えられても他の位置がわかりやすいというか判断早くすればなんとかなるし。
「おっけーい、俺めちゃくちゃうまーい」
「俺に比べたらド下手」
「お、俺の足元にも及ばないがな……お前の世代では恐らくは……」
「いや、二人に比べるには年の功があるでしょそれは。経験値ほしい」
「守備越後に任せてる奴がなんか吠えてんなー」
「椿来たらすぐボール離す奴がなんかいってら」
「あちゃーー、バレてらーー、守備までやったら多分もっとへばるし、椿選手鮫映画みたいに背後から一瞬でくるんで。対処考えてる間に多分ボール取られます」
ケラケラ笑いながらそう言う。そろそろ交代よな〜と思って監督コーチ陣をみれば、達海監督にサムズアップされたが。違う。嬉しいけど違う。交代しなくていいのか。
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「うーーん、スタミナつけてもっとフィジカル強強にしたい」
そう言ってもらったドリンクをのむ。楽しかったが反省点も色々である。もっと食わないといけない気がするが、筋肉量と食事量とかのバランスを考えるのが面倒なのだ。前半も30分くらいで私はとりあえず撤収である。まぁ、相手もやりづらいだろう。プレーを見ててもここがああであの蹴り方は、動き方については録画を見ながら反省会をするつもりである。
「あー、もうちょっと椿選手と向き合ってみたらよかった。でかくて上手い相手にどう動くか考える機会逃した」
やってしまった、と頭を抱える。それを見てすぐそばにいた平泉監督がこちらを見たが。
「真面目だな」
「だって一流の人と対する機会って俺みたいなのからしたら奇跡的ですからね。見えない誰かの悪ふざけであっても今回は奇跡的にラッキーってやつです」
そう言ってからピッチをみる。もう多分ここにはたてまい。働かないと生きていけないわけであるし。いいなぁ、と小さくぼやいたら彼らはなんとも言えない顔をしたが。まぁ、平賀さんに頭をポンポンされたが。
「お前みたいな奴なら来そうだけどな」
「え、まじ?皆さんみたいなレベルまでいけたら嬉しいですねー」
まぁそれは諦めたものなのであるが。
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ご両親はきてないのかと各チームの監督だったりスタッフに言われるのだが、あれだ。両親は来てないんだよなぁ。なんか一部は君は日本じゃなくて世界に出た方がいいって言われるけど無理。あと、鷹丸はてっきり大人だと思ったって言われたが知らん。公式プロフィールにはちゃんと十五歳って書いてある。というかこの人日本代表のブラン監督では?にいちゃー!と走ってくる妹と弟と一緒にいるのはお隣さんなのである。ご両親?と尋ねられたので、マネージャーです、と告げる。
「ナマエくん、やっぱりサッカー上手だね」
「ふふん、もっと褒めていいですよ!」
そう言って抱っこをねだる弟を抱っこする。あと記念品のタヌポンやらぬいぐるみは妹に渡した。たぬき!とぎゅーっとする妹は可愛よ。
『ご両親はきてないの?』
『来てないですねぇ』
『うーん、そうか、残念だなぁ。君の両親がいたら色々サッカーチームの話をしたかったのだけど。何処にも属してないんだって?勿体無いなぁ。君は高いレベルのところに身を置いてほしいんだけども』
そう言ったブラン監督に困った顔をする。それができたら嬉しいですけども。外国語堪能なお隣のおっちんが私を見下ろしたが。
「ナマエくん、両親はいつ帰ってきそう?」
「んー、いやわかんないですね。夜中に帰ってきてるみたいですし」
嘘であるが。とりあえず困った顔をすれば彼らは顔を見合わせたが。とりあえず帰ってきたら連絡してねーと言われて名刺もらったが。
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「ナマエー!テレビみたぞーー!」
お前すごいな!!びっくりしたわ!!
そう言ってやってきたのは一番目のパパンである。すなわち私の血のつながった父親である。ちなみに、私と妹、弟はそれぞれ父親が違う。多分一番目のパパンは確か私しか知らないと思う。そんな感じで二番目は私と妹、三番目のパパンは三人知ってるという。三人の共通点はあれだ。母親にガチギレして全員離婚したということだ。基本的に坊主憎けりゃ袈裟まで憎い方式で嫌われてると思ったのだがそういうわけではなさそうだ。とりあえず入ってもらう。ちなみに同じように一番目から三番目のパパンが勢揃いしているし、同じようなタイミングで来るとかコントなわけですが。ひょこりと顔を出した大人二人に、一番目のパパンは固まったが。
「一番目の父さんと三番目の父さんはじめましてかな?あれ?二番目もはじめてだっけ?」
そう確認したら二人とも頷いてて笑った。
「は?ちょっと待て。どういうことだ?」
「父さんと母さん別れるじゃん」
「おう」
「そのあと母さんが再婚したのが、手前の人」
「再婚したのは聞いてた。えーと次」
「母さんが浮気して離婚して、浮気相手とも関係絶ったあとに再婚したのが奥側の人」
「……ちなみに母さんは?」
「浮気して三番目父さんと離婚後、数ヶ月後に消息たった」
「は?」
みず知らないはずなのに、言葉が揃うのめちゃくちゃ面白いなこれ。ケラケラ笑っていたら三人はこちらを見た。
「消息をたったってどういうことだ?」
「多分残ってた通帳記入しにいったら父さんズが養育費とか振り込んでくれてるけど下された形跡があるからどっかで生きてはいるとおもう」
そう説明すれば一番目父さんが私の肩に手を置いて目線を合わせる。
「ナマエ、きちんと話せ。母さんはいつからいない?」
「いつからは正確じゃないけど、一年半前くらいには確実にいない」
「お前学校は?俺は学校の費用もなんならサッカーとかの費用も振り込んでるが」
「月には行ってない。二人の面倒見なきゃいけないし。お金も母さんがすぐ下ろしてたりカードがないから下ろせないから生活費稼がなきゃだし」
飄々あてそう言った瞬間、あの女ァと怖い声が聞こえましたけども。誰だ。まあ一番目の父親には良く頑張ったなーー!とハグされて頭ぐしゃぐしゃされたが。いかん、泣く。泣かないけど。ごめんな、とグスグスしている父親の背中をポンポンする。
「気にしてないよ。父さん達に連絡するにも俺三人の連絡先わからんし、できなかっただけだし。最近何をするにも正直保護者介さないといけないこと多すぎて困ってたんだよなぁ。父さんだ現れてラッキー」
そう言えば二番目の父さんが口を開いたが。
「ラッキーじゃないんだよ、ナマエくん。ラッキーじゃ。下手したら君たちは死んでるし、君が捕まってる可能性もある。ナマエくんがしっかりしてる子供だったから助かっただけだよ」
「周りには言わなかった?」
「だって言って妹と弟と離れ離れになるのはヤダったし」
まぁ多分でもなんか察されてたと思われるが。三番目のパパンが眉間のシワをほぐしたが。
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結論から言うと、めちゃくちゃバタバタした。警察介入したり引っ越したりとめちゃくちゃバタバタした。それが落ち着いたのが数ヶ月経った後である。とりあえずマネさんと会社と父親と私でバタバタし、弟妹は子供園に通い出した。助かる〜〜!!ということで、久しぶりの収録がコラボである。久しぶり〜から始まった会話に、私はケラケラ笑った。
「なんかさー、あの後めちゃくちゃ身辺が慌ただしくて」
「でしょうね!こっちも鷹丸の友達やばくね?ってなってたからね!」
「いやでもあれ結構反省点があるんですよ。鷹丸の友達ダメ出し回と言う反省会するつもりだったのに、慌ただしすぎてそれする暇なかったです。明日やります」
「反省点あるの!?」
「めちゃくちゃありますよ。なんでそっちを選択したのかとかなんでそっち!?みたいなことが多々あるんですよ。明日反省会します」
決定事項である。うむうむと頷いたら、色んなチームから声かかったんじゃない?と言われたが。
「チームにも色んな人にも声かけてもらいました。そのあと父親が帰ってきて、思う存分サッカーしていいよっていう話になりましたね」
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「ずんちゃずんちゃ、いけ、にっきー、お前の行くてにはー、おれーたちのせかいがあるーー」
「とべ、にしきー、何も〜恐れぬー、お前のクールなガッツをみせてくれー」
「そこだ、にし〜きー」
「やめろ、ミュージカルやめろ。気が散るからww」
「稲妻とみまごう〜」
「どんどんいくよ」
「錦お前も乗るな!!」
「ツイストサーブできめろー」
「また決まった!」
「うれせー返せない球じゃないんだよ!」
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「加賀美社長!!!」
「力強く応えんな!!」
「加賀美社長……」
「しおらしくとかそういう意味じゃないんだわ」
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やばくなったら三三七拍子応援してほしいってTwitterに書いたら、どう突破していくかガチでやばい時に三三七拍子で応援される。それに、フハッと笑ってしまったのは仕方ない。いやー、やっぱり元気でるなぁ、と頬を叩く。よし、と気合を入れて前を見た。大丈夫、みんながついている。突破できる。仲間が信じて持ってきたボールに応えなければならない。頭の中に鳴り響いた曲に、頭を空っぽにする。楽しめ、この試合を味わいつくせ。
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「勝てた〜!!」
そう思わず言ってしまった。やったー!と喜べば、チームメイトに押し潰されたのであるが。ぐえっ、という蛙みたいな声を出してしまったが、とりあえず監督の元へ行けば頭ぐしゃぐしゃされた。わーい。あとは観客の方に行ってお礼せんとな〜と思う。まぁ友達のとこにもいくけど。
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「ナマエ、途中から楽しそうだったな」
「ばれた?」
海外の友達にそう言われたので隣に座ってケラケラ笑う。彼はフハッと笑って口を開いた。
「お前見てたらこっちも楽しくなった」
「また次こんなことあったらお互いもっと楽しみたいな」
そう言って立ち上がって手を差し出す。まぁ向こうは「そうだな!次はこっちが勝つけどな」とそれを引っ掴んで立ち上がると肩を組んだが。
「とりあえず観客に応援ありがとうの一周しようぜ」
「そうだなーー、あーー、お前小柄だからいい支えだわ」
「ひでーー!」
二人でケラケラ笑いながらそのまま観客に手を振るのだが。
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「ぶっちゃけ、勝てたのは予想外でしたけどはちゃめちゃに楽しかったです。頭空っぽにしたら、ただの楽しい試合でしたね。俺が多分一番この試合を楽しんだと思います」
「途中苦しい展開が続きましたが」
「そうですね、途中、どうにも苦しくて、どうしたらいいかわかんなくなったんですけど、応援団が三三七拍子してくれて、それきいて、俺この試合楽しめてないなって味わえてねぇやって思ったんですよね。一回頭空っぽにして、楽しもうって思えて。応援がダイレクトにきたというか」
ケラケラ笑いながらそう言って笑えばアナウンサーが首をかしげる。
「三三七拍子の意味とは?」
「俺と俺の友達とそれに繋がる人達と応援してくれる人達からの応援が直にとどくおまじないみたいな感じですかね。みなさん、ありがとうございました!これからもよろしくお願いします!また顔出します!」
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「三三七拍子の意味理解した瞬間ブワッて鳥肌立ったもんね。やばかった」
「あれは俺に対しての曲じゃ決してないんですけど、なんか、俺の今ってここに関われたからある今なんですよね。今って結構、難しいというか期待されてる分色々考えること多くて。三三七拍子聞くとここにいるような気分になるんですよ。安心するというか、なんでも楽しもうって思えて。応援団のあれなかったら多分俺ダメな方に沈んでましたよ。あの時めっちゃ負の循環に陥ってましたからね」
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「いやー、俺の実家だし」
「実家」
「毎年オフシーズンの時に一回は里帰りするので実家。いやー、色んな兄ちゃんと姉ちゃんいて楽しいし、お前いるし」
「はぁ??」
「あいぼーー、なんか冷たくない?」
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「シーズン中はあいつのチームの試合日程見て調整してますね。オフシーズンはあいつこっち優先してくれるんで」
「仲良し〜」
「仲良し!!」
「仲良くない」
「なんで(´・ω・`)」
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「サッカー部から編入しろオラッ」
「監督、野球のルールがわかりません!!」
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「俺よりウサギ見てほしい。ウサギ!!soCUTE!」
「お前ホントヒバニー好きね」
「好き!!可愛い!!可愛くない!?可愛いといえ!!」
「だからと言って六体ぜんぶヒバニーにして、遊んでる様を見るのは引く人は引くぞ」
「俺の癒しだから仕方ない」
「それは仕方ない」
「映画でお前の友達がウサギって名前のエースバーンとちびうさって名前のヒバニー連れてんの見てブレねぇ……ってなったんだけど」
「可愛いだろ!!ウサギ達を強くて可愛いといえ!!」
「お前のそのヒバニーに対する意気はなんだよ」
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「鷹丸ってなんでにじの面接受けたの?」
「色んな人におすすめされましたねぇ。あの頃は色々ありまして」
「やっぱり?」
「えっ」
「あの時かなりトゲトゲしてたもんな。いや、見せないんだけど、なんとなく信頼あんましてないだろうなって。平よりある意味問題児だもんね」
「ええ〜」
「平はあの年頃によくいた生意気ボーイ、鷹丸は優等生タイプだけどなに考えてるかわかんねぇもん。手の内見せない感じ」
「今だから言えるんですけどあの頃はあんま大人好きじゃなかったので……」
「そうなの?」
「いいや、ぶっちゃけよ。事務所からも父親達からもオッケーでてるし。あの頃お金に困ってて、バイトとバイトの間なおかつ妹弟の面倒見つつできる仕事が欲しかったんですよ!!」
「あの頃って高校生くらいだっけ」
「15くらいですねぇ。そこから遡ること二年前くらい!両親が3回目の離婚を決めたんですよ。で、片方が家から離れて」
「ほう?」
「そこから半年!もう片方が失踪して、実質15歳にて二児のパパしつつ生活費稼がんといかんってなりまして」
「は?」
「新聞配達とかめちゃくちゃしてたんで、生活費はなんとかなるんですけど、妹弟の進学用の学費がですね、貯められねぇっなって思って妹弟の学費貯めるためだったんですよね」
「だからお前身長ちっさめでガリガリだったし、平にキレたのね」
「うん」
「なんで言ってくれなかったの?」
「大人に変に言って弟妹と引き離されたくなかったのと、舞元さん達は絶対助けてくれるだろうなって思ってたから限界きた時の最後の切り札にしたかったんですよね。はじめてめちゃくちゃ俺的にはまともで俺的には信頼できる大人でしたから。でも今はもっとはやくにSOS入れたらよかったなとは思いましたね」
「そうだよ、今まで育ててたの?」
「いや、オールスター出たじゃないですか」
「うん」
「あれ見て片方三人同日ほぼ同時刻に訪ねてきたんですよ。それでバレてことなきを得ましたね。で、そこで三人がそれぞれの家族に引き取られることになって、俺は仕事でヨーロッパに住んでる父親のとこに引っ越してトントン拍子ですね」
「あーー、だからENと兼任なったのか」
「そうなんですよ!」
「なんだろうな、だから皆さん事務所の先輩後輩でもあるんですけど、みんな親戚の人みたいな。ほら、サマーウォーズで親戚一同集まってるシーンあるじゃないですか」
「あるある」
「あれがここですね」
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「ここら辺叔父ゾーンね」
「叔父ゾーン」
「ここは従兄弟とか」
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