2018/04/05

拝啓、過去の自分へ。
いくらか注意したいことがあります。

「かいぞくにいれてください!」
まず、一つ目。子供化トリップしたからって浮れてアカレッドに海賊になりたいと頼み込むのはやめなさい。それがそもそもの原因です。
二つ目、マーベラスと仲良くなりなさい。じゃないと後にマーベラスを助けた時、めちゃくちゃ気まずくなります。心の逃げ場がナビィしかいなくなります。
三つ目、モバイレーツは受け取らないという判断であってます。メンバーが増えたらならどこかの星で降りてもいいでしょう。
とりあえず、海賊になりたい!などと言わなければこうはなりません。頑張れ、過去の私。

そして頑張れ、今の私。
「お前、昔からそれを持つべきは私じゃないとかいうけどな」
目の前にあるゴーカイセルラーはガイくんのである。私に渡そうとするマーベラスに、ガイくんに返すべきといえば怒られている。
「それ、は、ガイくんが選ばれたからもらったものでしょう?」
「俺が他の手渡しても断ったじゃねぇか」
「それはそれ、これはこれ」
そんな話をしていたら、五人は出動するんですけどね。はぁ、とため息をついてソファに座る。近寄ってきたナビィを撫でて息を吐いた。
「ナマエ、大丈夫?」
「大丈夫」

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めちゃくちゃ嫌な夢をみた、ので、のそりと起き上がる。支度をして、とりあえず先にキッチンで朝ごはんの準備をしているだろうハカセに「ちょっと出かけてくるね」と声をかけて下に降りた。精神不安定?知ってる。

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「あれ?ナマエは?」
「ナマエさんなら朝早くに出かけてくるって言って出かけましたよ」
ルカさんの問いかけにそう答えれば、またか、とマーベラスさんが苦々しく口を開く。何かあるんだろうか?と首をかしげる。
「ナマエ、連絡手段持ってないから連絡取りようがないんだよね」
「あ、ホントだ」
「いつもその伝言を聞くのはハカセさんですから、無理やりついていくかモバイレーツをお渡しているんです」
「ま、時期に帰ってくるだろ」
そういう問題なのだろうか。というか、そもそも。
「ナマエさんって、なんでモバイレーツ持ってないんですか?マーベラスさんとずっと一緒だったんでしょう?」
その問いかけに、周りはピシッと固まった。

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この世界の私は、気づいたら酷い環境にいたことから記憶が始まる。まぁ、言うなれば奴隷とかそういう位置の人間で、アカレッドが助けてくれるまで、海賊になりたいと言うまで、私はずっと劣悪な環境にいたのだ。だから、助けてくれたアカレッドは私にとってヒーローだった。それでも酷く裏切られる夢をみてはこうやって飛び出して行ったな、と思うんだけど。
夢を、見る。そばにいる誰かが、私を置いてどこかにいく夢を。だから、線を引いてしまう。これが悪い癖だとはわかっているけれど。そもそも、この世界は私の居場所ではない。

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冗談はよしてくれよ、と思う。なんで捕まってんだあの六人。私生身で戦うしかないんだぞ、と思っていたら敵に見覚えがあった。う、わ、と固まった体に真っ白になったあたま。これ、は、どうすればいいかわからなくなった。ナビィが心配そうに私を見る。私が行けば六人を逃す、らしい、から、行けばいいのだろうけども。大丈夫、大丈夫、と何度も言い聞かせてナビィにどこかに待機するように告げる。心配そうにしたナビィをおいて、そこに足を踏み出した。割れたゴーミンの先にいたその怪人は私をみて嗤う。脚がすくんで立ち止まれば、その怪人が近づいてきた。誰かが私の名前を小さく呼ぶ。それを遮るように怪人が来た。
「探したぞ」
「六人、離して、」
そう細切れに言えば、殴られる。痛い。倒れ込めば脚がきた。
「奴隷の分際で!逃げるだけでなくて乞い願うとはな!お前で最後の一匹だ!!手間をかけさせやがって!」
ガチャリ、と付けられた音に、また戻ったのか、と冷静な部分が告げる。鎖を引っ張られて引き摺られる。
「誰もお前を助けやしない」
ーーそんなこと、は。
「お前は誰かを助けようとするが、誰もお前を助けようとしない。見てみろ、お前と一緒にいたアイツらだって、助けようとはしない」
顎を掴まれて、そちらを見る。見たくないので目を伏せていれば、頬を打たれた。ちらりとそちらを見れば、誰も動かない。目を逸らして、誰もこちらを見ない。その様子に目を伏せた。期待なんて、するべきでは、ないのだと、理解は、していたのに。

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私がアカレッドと出会ったのは、その船をアカレッドが襲ったからで、私はそこに乗っていた一人の子供だった。怪我をした人や病気の人がいれば看病した。恩を売る気は無かった。私にとって当たり前をしたからだ。でもそれをアイツに見つかると私はよく酷いことをされた。そんな私を見たって誰も助けない。コイツが勝手にしただけだと、指をさしてそういった。私が誰かを助けたって、誰も私を助けてくれない。助けを求めてくるくせに、みんな最後は私が勝手にしたというのだ。そうして、私だけが。その繰り返しに終止符を打ったのかアカレッドで、彼は私に手を差し伸べたのだ。助けに来たぞ、と。
――夢を見ていたのさ。
誰かがそう告げた。私はゆっくり目を伏せる。幸せな、夢を、見ていたのさ。

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夢を見ているのだろう。助けに来たぞ、というマーベラスたちはいるわけもない。手を引かれて、鎖なんかも全部断ち切られて、逃げるぞ、と告げた彼に手を引かれて走る。安全なところにいろ、と言った彼も、全て夢なのだ。ゆっくりと目を伏せれば、また現実が襲ってくるのだ。

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ナマエさんがうつらうつらとしているのを眺める。遂には眠ってしまったらしいナマエさんは小さな寝息を立てた。珍しい。とても珍しい。あの一件があってから、ナマエさんのデレというかそういうものが垣間見えるようになった。どうしてか、と思ったけれど、ナビィ曰く夢と現実が逆転しているらしい。それはその通りで、ナマエさんは眠ると魘されて数時間、下手をすれば数十分で目を覚ます。そして、誰かを見て、夢の続き、とこぼすことが多々あるからだ。比較的、誰かと寝ていれば長く眠れるようではあるけども。今も小さく「痛い」と呟いたナマエさんに、手を伸ばす。
「痛い、やめて、いたい、ごめんなさい、」
「ナマエさん、起きてください」
「たすけて、」
「ナマエさん、起きて」
「だれか、たすけて、」
そう涙を流したナマエさんに、息を大きく吸う。
「ゴーーーカイシルバーー!!ただいま参上!!ナマエさん、助けに来ましたよ!!!」
そう大声で言えば、周りが俺を見た。気にしない。ルカさんが俺をにらんだけれど、気にしない。
「ちょっとガイ、何やってんの!」
「いや、ナマエさん魘されてたんで、こう言ったら夢の中に俺が現れるんじゃないかって」
頭をかきながらそういう。ナマエさんはビクリと肩を揺らしたけども、起きることはない。それどころか、なんで、ガイが、と呟いたのを見るに、夢の中に俺が現れたらしい。とりあえずナマエさんの手を掴み、「ナマエさんを助けに来ました!!」といって見る。実際はマーベラスさんが一番に助けに行ってたけど。



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