ネタ帳vol.3

2023ネタ帳97:「あの青を纏え」の冒頭考え

01/14 17:43 


5月26日、午後7時20分。その日、その時間、俺は死んだ。
いや、正しくは俺『』の積み上げてきたものを全て失った。それは俺にとって死んだも同然だった。大人はきっと笑うだろう。たかだかたった17年の生であるのに、何を大それたことを、と。いや、命があるだけマシだと、これから未来があるのだと説教がましく言う奴もいるだろう。それは全く励ましではない。ただのうるさい小言でしかない。
5月26日、午後7時20分。通学路、飲酒運転の車。アニメや漫画、『お話し』のように転生することもない。跳ねられた俺は、17年間連れ添った右足を失った。周りと同じことも失った。物心ついた時には始めた大好きなサッカーも失った。強豪校のエースにまで上り詰めプロを目前にした俺にとって、片足を失うことは死んだようなものだったのである。死ねばよかったと医者の話を聞いて思った。呟いた言葉に母親は泣き、父親にひどく怒られたのだけど。
だから、あの日のあの時、今までの俺は死んだのだ。残ったのは何もない自分だった。それが許せなかったのである。大袈裟かもしれないが、サッカーができない人生に意味なんてなかったのだ。
そんな中で、奴は現れたのである。病室の扉をけたたましく開け、漫画なら効果音がつきそうなくらいでかい態度で。
「やぁ、長谷くん!!松葉杖で競走しようぜ!!」
「苗字さん、ここ相部屋に変わってますよ」
「え、うそ、ごめん!」

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