ネタ帳vol.3
2023ネタ帳127:君僕主if
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この世界には二種類の人間がいる。
双方ともに外見は変わらない。どこにでもいるような外見をしていて、世界中のどこにでもいて、それぞれがそれぞれで暮らしている。しかし、一方はそれを隠す。差別され危険視されることが多々あるからだ。人権擁護団体が声をあげたりもするが、それでも変わらない。就職先も限られる場合が多く、何かと制限がつきまとうのである。
世界には二種類の人間がいる。今の自分とは違う、死んだ誰かの記憶を持っている人間とそうでない人間である。
元はそれを前世と言ったらしい。まるでお伽話のような騎士や令嬢、町娘。そんな記憶を持っていたからだろう。そのような記憶を持つ人間は圧倒的に少なく、神様に愛された子とも言われ、200年以上前では重宝されたらしい。しかし、今ではそんな扱いはされない。かの大戦を引き起こした戦犯が記憶持ちだったからだ。記憶の時代は選べない。未来の記憶を持って過去を生きた人間もいれば、その逆もある。かの大戦の戦犯はそのパターンだ。また、かつての部下が年上に、かつての上司が年下に。そう言ったパターンもある。そうして年上になった部下が、恨めしかった年下となった上司に危害を加える事件も稀にあれば、敵同士がなかよくやっていることもある。
WHOはそんな記憶を二重に持つ人間を解離性精神障害の一つである「Dual Memorys Holder(二重記憶保持者)」と名称を定め、一種の集団的精神病だと公表した。また、カウンセリングによりその症状は落ち着くものとされ、発病者達は共にカウンセリングはうけることを義務付けさせた。それは、今の俺が生まれる前のことだった。
俺は昔からそんな感じだ。日本の学生だった俺は事件だったか事故だったかわすれたが、そんなものに巻き込まれーー気づいたら子供になって戦場にいた。現実感がなく、夢だと思った。戦場を彷徨っていれば、まぁ現実だと気づいたのだが。いやでもやっぱり夢かもしれないと思った。目の前に現れたのが、俺が好きなゲームにでてくる蛇の一人だったからである。俺を拾った彼は他と一緒に俺に訓練を受けさせた。食事のガンパウダーはご遠慮して違うものを混ぜて食べたけど。いずれ主人公となる金髪を揶揄い、俺に訓練という名の虐殺行為を強いた蛇を父と仰いだ。まぁ,彼ら、とはソマリア内戦終結後は関わらなかったし、知らん間に父親は大統領になったり世界は混乱したりしたがまぁ俺はそんなことに混ざらずに普通に生きて普通に病気で早死にしたのである。
普通はここで元の世界に戻るはずと思うじゃん?ところが、俺が目を覚ました時、そばには両親ではなく女性がいたのである。灰色の瞳を持つその人は推しキャラの一人だ。彼女は俺が起きたことに安堵し俺に現状を伝えた。また俺は子供に戻っていたわけだ?
それから5年は経とうとしている。
というか、5年経った。当時13歳だった俺は無事に成人したし高校を卒業もし、まぁ色々あって今である。目の前にいるのは推しキャラのふりをする女である。あろうことか推しキャラの振りをして別の推しキャラにモーションをかけているらしい。で、周りは困っているパターンだ。
「惚れたか?」
「いやあれこっちでもあるんだなぁ,って」
というか、先生をしている推しキャラに推しキャラ擬きが会いに行っては締められて信者になっている気はする。まぁ先生は警察にポイっとしてるけど。最初は先生が殺されるのでは!?と不安になっていたが、逆に相手の心配をする今日この頃である。まぁ、隣にいる男こと、イケメンこと、ジャックは「ビッグボスは特にな」と告げたが。
「俺たち基本本能的な感じでわかんのにご苦労なこって、とは思うよな〜」
うむうむと頷いていればジャックは「だな」とだけ告げた。まぁそのまま俺たちはどうあがいても新人研修組なのでそちらに行ったが。
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「マジでかー」
そう言って隻眼の彼を見る。え、模擬だからめちゃくちゃ相手してほしいが、どうも昔の癖でパーリーしそうである。かと言って俺が押さえ込むと彼女のままの動きだしなぁとは思ったりするが。適当に二人組作れと言われたので適当な奴に声をかけようとしたらジャックがウジウジしてたので声をかける。
「ジャックー、やろうぜー」
「あ、あぁ」
「なに?かわい子ちゃん狙ってた?俺で我慢しとけ」
ははは,と笑いながら背中を叩く。彼はいたい、いたい、というが俺は気にしない。あたりを見渡してまぁみんな緊張した面立ちなこと、と思いつつ近くのやつの背中も叩いとく。
「いっ!?」
「ワリワリ、緊張してんなぁ,って思って。まぁほら誰にでも最初はあるじゃん?」
と言ったところでアキバくんジャーンとは思った。顔がいいねー。まぁ適当に数人で話したらだいぶ緊張が和らいだし、俺は教官に怒られた。
「何使ってもいいんです?」
「ああ」
「ふぅん、ジャックは銃より刃物……ナイフ……よりは刀だっけか?あれ、お前一刀だったっけ?」
「一刀だ。そういうナナシは……」
「きょうかーん、組み立てあり?」
「話を聞け」
ジャックの言葉に、いやお前と俺は口を開く。
「俺二刀つかってお前を相手にすると超楽しいーッてなる可能性あるから初見でそれはみんなに引かれる。よろしくない。あのバーサクはとっておきにしとかないと」
「組み立てれるなら構わん」
教官の言葉に組み立てる。というかカズヒラミラー教官四肢揃ってんな,と思いつつ、組み立てのはペイント弾2丁拳銃兼銃剣である。ジャックが見るからに嫌そうな顔をした。そりゃそうだ。子供の頃、少年兵隊長になったコイツとは違い俺はこれで大人の部隊に紛れたからだろう。
「準備オッケー!」
そう言って合図したら元気いいなって言われたけど。俺は今日も元気なんで。まぁ、表情消すけどな。
あぁ、やばい、血が沸騰してきた感じがするな。あんまりやると周りが引くんだけどなぁ,と思っていたら俺はビッグボスに止められ、ジャックはデイヴィッド上官に止められた。
「おおーっと……ちょっと待ってくださいよ……10秒カウントする……」
そう言って息を吸って吐く。心の中で10秒カウントして、よし、と頬を叩いた。
「ありがとうございます」
「いや、」
「ジャック、わるいー、大丈夫かお前」
「大丈夫だ……」
そう言ったジャックに、結構あいつに攻撃はいってんだなぁと思う。
「お前の凶暴さを忘れてた俺が悪い」
「ひどくね?俺まだあそこで理知司ってただろ」
そう言って周りを見る。周り引いとる。
「え,困る。みんな俺にビビるの困る。友達できないの困る。先生にかけがいのない仲間作ってくるわ!って俺宣言してからこの国きたのに超困る……」
冗談めかしてそう言って困惑顔を浮かべておく。まぁ俺はそのまま学生気分かいい度胸だ、と推しに絞められたが。く、くるしい。
「いでででで、いたい、いたい!絞められるなら綺麗なお姉さんがいいんですけど……いででで!」
そう言っていれば周りがホッとした。それを確認して彼は手を離す。ロシア語でお礼を言えば彼は目を瞬いたが。
==
目の前にいるのは推しである。ロシア語でお礼言ったのが悪かったかーと思っていれば、通りかかったサチさんが「え、セツくん」と俺をみた。
「もう問題おこしたの!?」
「いや、未遂っす。未遂。コンビ組んでやるやつでジャックと盛り上がっちゃって。いや、本当なんで先生に報告だけはなにと……」
と言って止める。いやこれ報告したら目の前の人先生に会いに行く気がするんだよな。デイヴィッドさんが彼女をみあげた。
「知り合いか?サチ」
「うん、同じところからきたから。あーー、待って、なんか変なことした?」
「ロシア語でお礼は言った」
「迂闊にそんなことするからじゃん」
「うぐっ」
そう言って俺は心臓あたりに手を添えてみる。いやほんと、ロシア語喋れるくらいいじゃん。それでアウトなら大体ダメじゃん。
「庇って、サチさん」
「嫌だよ。だってナナシくん庇うとめちゃくちゃ健全なあたしも怪しまれるじゃん」
「人手なし……」
メソメソしてやる、と、メソメソする。慰めてくれるのボスしかいない。デイヴィッドさんはジャック見たけど。
「ジャックの知り合いだったか」
「あぁ、前はシアーズプログラムにいた」
「ということはジョージ関係か」
「呼んだか」
そう言って沸いてくるのよろしくないと思う。スーツを着た彼は俺をみて目を瞬く。というか、少しだけ喜びを宿して口を開く。
「ラフメイカーか?」
「うっはー!わか!!父さんわかっ!!超イケメンじゃん!」
そう言えばゲンコツ降ってきたが。いたい。なんでだよ。褒めたじゃん。推しが彼をみて口を開く。
「三男坊、知り合いか?」
「あぁ。元は少年兵だが、まぁまぁ筋が良かった。コイツは面白いから私の部隊にいた」
「あの時にはいなかったな」
「内戦が終わった後は知らん。アメリカにいなかったようだ……お前どこにいた?」
その言葉に俺は口を開く。
「どこだと思う?」
「質問に質問でかえすな」
ペチと頭をまた叩かれる。いたい。
「父さんとスキンシップを取りたいがための、俺のスキンシップ案じゃん!懐かしいだろ!」
「……あぁ、そうだな。で、どこにいたんだ」
ペチペチと永遠に頭を叩かれる。手加減されてるから痛くはないが。
「レーションが上手かったからフランス」
「また適当な理由だな……」
ジャックがそう言って変な顔をした。いやでもほら推しはわかるみたいな顔してんじゃん。
「いや、それだけじゃないよ。あそこ国籍くれるじゃん。フランス国籍欲しかったんだよ」
「年齢はどうしたんだ」
「アジア系なんで若く見えまーすで通した。なまじ俺が優秀だから周りに黙認されてたんだけど、まぁリベラル派に見つかってやめさせられた。3年勤めたからフランス人になる目的は叶ったしオッケー」
「そのあとは?」
「当時の上司に紹介されて医師団で楽しくしてた」
イエーイとピースをする。真っ当な人生だろ、とは思うが口にはださない。ジャックが落ち込む気がしたので黙るが。いやでもすでにジャック落ち込んでんな?しゅんとしてるジャックの背中を叩く。
「いたい、いたい、なんなんだ!」
「元気出た?」
そう言って覗き込んでみる。まぁ、と言われたが。
「父さんその服見るに内勤してんの?もったいなくね?」
「兄弟ができないから私がやるしかあるまい」
「兄弟?」
「正面と左にいる男だ。後一人いる」
その言葉に目をパチパチまたたく。そういやさっき三男って言ってたなとは思うが。まぁ別の部下っぽい人に声をかけられてそのまま父さんは後にしたが。その後ろ姿に「父さんまた色々教えてくれなー」と言えば、覚悟しとけって言われたけど何教わるんだろうな。
「セツは……ソリダスが嫌いじゃないのか?」
「ソリダス?」
「ジョージのことだ」
「あぁー、お前らと俺の意見の相違がおこるぞそれ。俺はあの人に感謝してるからな」
「感謝?少年兵にされたのに?」
「あの人がいなきゃ俺は世界の広さを知らないままだったよ」
そう言ってジャックをみる。
「俺たちに戦闘技術を叩き込んだのはあの人達。ほぼ無理矢理な。でも、俺に教養を、知識も言語も文化も教えたのもあの人。銃を持っていた時に俺を生かしたのも、銃を手放したあとに俺を生かしたのもあの人の教え」
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「いや待って,それはダメだ。実態調べてからにして」
そう言ってしまったのは仕方がない。気づいたようにカズさんが「そういやセツはそこ出身だったか」と口を開く。役人っぽい人が「ほら、貴方のところにも手先がいる」とか言っているがそれどころじゃない。
「お前何言ってんだ、日本で珍しくあそこにはdmhや難民、内紛地の奴らがいるって行っても、おおよそ子供しかいないんだそ。何が戦犯だよ。国連から連れてこられた奴らしかいないだろうが」
「それを貴方のような危険分子に育てているのでは?」
「あのな、あそこは戦場にいた記憶を持つ奴らが政府や親によって集められるんだ。忌避されるがちな記憶を持つ奴の安全装置みたいなもんなんだよ。俺みたいな奴は一部で、多くは普通の人間として社会に溶け込めるようになる。あそこはアンタが言うような施設じゃない」
そう言ってはみるが、相手はないことばっかり言ってくる。頭に血が上るがこれで殴ればこちらが厄介なことになるのはわかっているので、相手が勝ち誇った顔して外に出た瞬間机を思いっきり殴ってしまったが。
「ないことばっかり言いやがって……!日本政府もクリーンっつってんだろうがよ、クソがっ」
「落ち着け」
そうオセロットさんにドードーされて10秒カウントする。はーっと息をはいた。俺はボスとジョージさん、後はザボスとかゼロ少佐に向かって罰を作った。
「ダメ軍事的に攻めるの絶対ダメ。というか武器を携行していくのは絶対ダメ。子供がパニックになる」
「軍事的には日本政府からの要請がないと動けない。が、日本の施設にあそこまで言うのは珍しい」
「腹いせだと思う。先生……代表がアイツの指揮下に入らなかったか、了承しなかっただけだろ。あーー、腹立ってきたな。……でも動かなきゃボス達がヤバいとかそんななら、軍事行動は絶対ダメ。代表殺すのがダメ」
頭の中で妹分が「ダメダメ星人あらわる!」というが、俺はダメダメ星人になる。
「代表がストッパーになってるところあるから、代表殺したらガチで報復でテロ組織作り上げる可能性があるからダメ」
「それを聞いて安全というやつはいないだろ」
「デイヴィッド、あのね、多分代表殺したらホントにやばいよ」
サチさんはそう言ってNGと罰をつくる。
「そういやお前もか」
「そうだよ。腹立ちすぎてなんであの人がそう言ったのか調べてたんだよ」
「いつものパターン?」
「代表ってすごい求心力があるんだよね。で、代表は軍事的な なことはやらないし施設にいる人もやるなって教えられるしみんな代表大好きで困らせたくないから誰もしないけど、やろうとしたらジョンさんと同じことできるから。代表が死んだらほとんど全員復讐方向に舵切るよ。だからこれは今後円滑に処理するためにジョンさんとかオセロットさんとかが視察に行くしかないと思う!」
そう言って手を上げたサチさんに、俺も目を瞬いて、その手があったか、と手を上げる。
「それ、賛成!めちゃくちゃ賛成!」
「なんだ急に……」
「偉い人同士で話すべき。会ったらわかるって!」
「その間に私はアイツが何しようとしたか探るんで!」
「そんなに誰かに会わせたいのか?」
オセロットさんがそう告げる。サチさんが口を開いた。
「会わせたい!本人達会いに行く気……いや、あの子はあるのかな?」
「アイツでも心配だからそば離れたくないからなーってこの間言ってたぞ」
「あーー、大好きっ子筆頭だからね」
二人でうむうむしてたら話が見えないんだが、とカズさんに言われる。まぁそりゃそうだ。サチさんは両手をパーかなして口を開いた。
「真っ赤な手袋つけた女の子がいるんだよね、お母さんと妹と一緒に」
そう言ったサチさんのセリフに、周りがきょとんとした。理解してないな,と思ったオセロットさんは理解したらしい。
「わかった。急ぎで視察の日程を組む。ジョン、スケジュールをずらします」
「?あぁ。オセロットの知り合いか?」
「ライクが母親といる。その意味が貴方にはわかるでしょう」
オセロットさんの言葉に、ボス達は目を見開いた。そして、すぐに、わかった,と頷いた。
「容赦なくずらしてくれ。少佐、カズ、ジョージ、イーライ、デイヴィッド。悪いが俺のスケジュールをずらす関係でお前達に迷惑が向かう。カズ、少佐、ジョージ、あの男は泳がせてくれ」
「あの男はしつこいぞ、ジョン」
「しつこそうだ。だが、何か言われたらこう返せ」
そう言って彼は彼らを見る。
「『嫌悪』は俺がどうにかするから、国は黙っていろ」
「理解した。通りでお前が慌てるわけだ。こちらからもあの男の情報を洗おう」
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「ばぁ!」
そう言って急に現れたのはセーラー服を着たライクである。赤い手袋と赤いベレー帽を好んでつけている彼女はいたずらっ子のようにこうやって来客を驚かせる……というよりは測っている気はする。
「こんにちは!施設の案内役のー、ライクだよ。お兄さんたちびっくりしちゃった?」
ニッシッシ、と笑ったのはライクである。まぁ、そのあと、まわりの顔をみてから珍しく目を見開いて驚くと、泣きそうな顔をしてからシャラシャーシカ!とオセロットさんに飛びついたが。
「嬉しい!ここにきた、なぜ!?」
「相変わらずだな、お前は。ジョンと視察だ」
そう言ったオセロットの視線をライクがたどる。
「ジョン……元祖ヒグマだ!!!」
そう言ったライクに元祖と俺たちは繰り返す。そうだなと言ったボスはぐしゃぐしゃと頭を撫でたが。
「元祖ヒグマ、マミーにあいにきた!?」
「そうだ、話にきた」
「残念無念!マミーお疲れ中!さっき見た時、中庭ですやすや!でも、ヒグマならいっか!こっち!」
そう言って二人の手を引いてライクは歩き出す。で、なにか思い出したらしく、撤収撤収〜と握り拳を頭上で回せば周りに声をかければ似たような歳のやつらが現れたのだが。ライクの知り合い、怪しい人じゃないから大丈夫!の声掛けにわらわら撤収していく。
「まて、結構物騒なことしてないからお前ら」
「やっほー!セツ兄。あのねー,最近、マミーに会いにくる人、変な人ばっかでねぇ、マミー疲れてるよ!しゅーげきされる頻度高々!」
そう言ったライクにジョンさん達が眉間に皺をよせた。
「襲撃?」
「わかんないけど、日本とかいつも来てるような人じゃない人。マミーが穏便に追い返そうとしても向こうが暴力的来ることがざらにあるから、マミーはお疲れ。ライク達が警戒中!」
「それはいいのか?」
「ライク達はまだ「悪戯」で済まされる年!」
ニッシッシ、とまたライクが笑う。確かにな、と思ってしまったのは仕方ない。ふと、ジョンさんが足を止める。そちらを見れば中庭がみえた。オオアマナが満面に咲いた庭である。そうして中庭につけば、その景色はよくわかった。オオアマナが満面に咲いた中庭、その中心にある一本の大木の下に安置されたベンチの上に先生はいた。恐らく眠ってるっぽいが。フラッシュバックしないだろうか,と思ったが彼は特にそんなそぶりもない。ただそれを見つめて、ジョンさんは中庭に足を踏み出した。ライクは別に止めることはない。しばらく遠目で伺っていれば、彼は隣に座った。ただ眠りを邪魔することもなく。ただ彼女の寝顔を見つめている?
「ライク、大方の施設の案内はおれがきこう」
「ライクもそれがいいとおもう!」
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白い花が揺れる中に相変わらず彼女はいる。違うのは彼女は腰掛けて眠っていることだろう。目を開けなくても、ああ彼女なのだとしっくりくる感覚がする。それは何度も起こった現象だ。彼女を見下ろす。あの時のように。でもこの手には銃口なんてものはないし、彼女は寝そべっていない。恐らく今は、ナマエ、と彼女を呼べば起きるだろう。起こしてもよかった。無理にでも。しかし、ただ、そばで時間が過ぎても良いと思ったのだ。白い花が揺れる。風が花弁を巻き上げて。彼女の髪をくすぐる。そんな些細なものを,隣で見ていたいと、ただ。
「……ジョン?」
そう目を軽く開けて名前を呼んだ彼女に、その声に、涙でにじむ。
あの時、ここによく似た場所で俺は彼女を殺した。殺すしかなかった。任務だった。彼女は俺を嫌いだと告げた。なんども。だから、あの時できると思ったのだ。俺は彼女の額に銃口を向けた。そんな俺に彼女は、ただ、それを見て穏やかに笑って、俺を愛していると。俺は撃った。撃つしかないと思っていたからだ。何度も彼女との思い出を辿っては、何度も彼女に責任を転嫁し、彼女を嫌った。それが間違いだと気づいていながら。あの時とは違い、彼女の手がこちらに伸びる。そうしてその手が俺の涙を拭うと、彼女はまた穏やかに笑った。
「また雨が降ってきた?」
それはいつか俺が彼女にかけた言葉であるし、彼女が俺にかけた言葉でもある。些細な思い出だ。記録にも残らないで、記憶の片隅で輝くような。彼女と俺だけが知っている数多の思い出の中の一つだ。手を伸ばして彼女を抱きしめる。彼女はそこで恐らく意識がはっきりしたのだろう。体を離してこちらをみようとした彼女に嫌だと首をする。
「見ないでくれ」
くぐもった声だ。それに彼女は理解したのだろう。俺の肩のあたりに彼女の額が触れる。雨が止むまでだぞ、と告げた声もまたくぐもっていた。
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職員が一斉に書類やらなんやらを落とした。何事だ!?と思っていれば、全員窓際をみている。は?は?という困惑、のち、俺を見て誰あの人と言った職員や学生に俺はサムズアップする。
「本物連れてきた」
その言葉に周りは崩れ落ちたり忙しい。俺はそれを見下ろして、ま、ハッピーエンドってやつ?といってみる。その賛同は少ししか得られなかったが。
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「あのな、ひとつ言っておくが、その女も案外凶暴だぞ」
そう言ったジョンさんに、相手が驚いたすきにーー先生が一本背負をきめる。そうして背後からきた敵に回し蹴りをすると、近くにあった壁を利用して相手を乗り越えーーそのまま頭を掴んで地面に叩きこみ、その背後に立っていた敵に飛び移ると、バク転の応用で地面にたたきつけ、別の人から銃を回収した。ひゅう、と口笛をならしたのは恐らくは父さんことジョージさんだろう。恐らく大体はこう思ったはずである。彼女を怒らせてはいけないと。立ち上がってフラフラと先生を捕まえようとした人はノールックグーパンがいった。K.O.。相手は倒れた。ナマエちゃんは恐らく危ないものを持っていないか確認しているんだろう。理解が追いついてなさそうな周りをおいて、ジョンさんが「ほらな」と周りに告げたが。
「ナマエ、怪我は?」
「見ての通りだ。あとボスには黙っておいてほしい」
「まぁ、怒られるだろなあの派手な戦い方は」
「日本ではこうでもしないとまわりを不安にさせるんだ。君たちがきてくれて助かった。流石にこの人数の対処は面倒くさい」
その言葉に、ジョンさんが「だろうな」と告げた。え、面倒くさいで済むことなんだろうか。そう思っていれば、同じことを思ったのだろうデイヴィッドさんが口にだしてた。
「とりあえず子供と職員は無事だ」
「ありがとう。施設にトラップは仕掛けられていなかったか?」
「確認しよう」
ジョンさんがそう言ってこちらに目配せする。カズさんとオセロットさんが頷いて、こちらに指示を出しはじめた。
「ああ,やっぱり君に会うとしっくりくるな。君を名乗る男が結構きて鬱陶し……愉快だったんだが」
先生はそう言って肩をすくめた。
「俺もお前と名乗る女がよくくる。全員お前より美人だがな」
その言葉にデイヴィッドとイーライさんがなんとも言えない顔をした。ナマエちゃんはそりゃあそうだろうという。
「君を口説く為に私じゃない私は作られるんだろうから、とびきりの美人じゃないと」
ケラケラと笑った彼女に彼は目を伏せてから、意味はないがな,と告げて、笑う。私達が見たことがないような、年相応の男性の笑顔で。嬉しいのだというふうに。
「俺を口説くならお前じゃないと意味がない」
そう言った彼女はジョンさんの顎に指を添えた。
「ハニートラップはあいにく苦手なんだ。ひっかけるのも、引っかかるのも」
彼女はそう言って笑うと手をぱっとはなす。
「私的にはエヴァがとても可愛らしいから、エヴァを口説いてほしいんだが……美女と野獣感がして」
「……誰が野獣だ」
「君以外に誰がいるんだ。あぁ、でも彼女は今は既婚者か。残念」
そこにまるで彼女という選択肢がないようにナマエちゃんはそう告げる。そのまま二人は雑談にうつるようだ。
「……エヴァとは会ったのか?」
「その様子を見るに君には黙ってくれていたらしいな。彼女は学生時代から知っている。お互いボランティアで顔を合わせたんだ。私も彼女も記憶を思い出してすぐだった」
「アイツ、どうして俺に黙ってたんだ」
「彼女を責めるな。私が頼んだんだ。彼女は君に会うべきだってずっと言っていた」
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category:君僕主if(mgs)