ネタ帳vol.3
2025年ネタ帳6:中華組が遠呂智入り
08/12 14:14
李子さんがキラッキラしてんなーと思っていたが、多分曹操殿がいるからだろう。わぁ、みたいにちょっと目を輝かせてるようにみえる。まぁ、陸治さんが首根っこ掴んだが。「李子殿、俺たちは保護されたとはいえ後ろ盾がないと理解しているか?」
「それはもちろん」
李子さんの声が心なしが嬉しそうである。犬であれば、耳をずっと曹操殿にむけ、チラチラと気にしているような感じではなかろうか。遠呂智という混沌とした世界に巻き込まれている今、である。色んな勢力がひしめき合っている陣営ではあるが、恐らくある程度まとまりがあるのだとはわかる。経験からするとこれは2の下りかもしれない。俺たちは迷い込んだ人間扱い、ということだ。まーー、こうなると、元いた場所の関係で俺たちは基本別れて士官にはなりそう。と、なると俺たちの部下的な人達も分けなければならないだろう。
‥‥と思ったが、李子さんがそのあたりきちんとしてくれていた。
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「曹操殿がどうかしたか?」
「あぁいえ、私を助けてくださった方にとてもにていらっしゃいますので、よく目で追ってしまいます」
賈詡殿の問いかけに素直にそう返す。アンタを?と聞いてきた彼に私は頷いた。
「昔、幼少の頃にはなりますが同じように異界に流されてしまったことがあり……野盗に襲われた時に助けてくださったのがあの方に似た方でした。その方にいつか仕官できるよう努力したものです」
ふふ、と笑いながら言えば、荀ケ殿が、ならば殿に仕官されますか?と間髪入れずに聞いてきた。
「貴方はとても優秀な方ですから、殿もお喜びになるでしょう」
「ええ、今後のことがあります」
うーん、荀家の取り込みがはやい。
「ありがとうございます。しかし、私はかの方に仕えるには後ろ盾がありませんし、異界のものをよく思わない方もいらっしゃるでしょう。あとは私が去ってしまうと他の二人も恐らくそれぞれ仕官したい先があると思うので瓦解してしまいます。部下達に示しがつきません」
そう言ってちょっと困った顔をする。郭嘉殿が私の肩をだいて、では私の妻になるのはどうかな?といってきた。近くにいた徐庶殿が「えっ」と言う。なんの「えっ」だ。私は丁寧に彼の手を離しながら、それはお断りしたいですね、と返す。
「貴方には奥様がいらっしゃるのでは?」
「生憎いないね」
「いなくてもお断りいたします。貴方の妻となるなら、街中の女子の敵意を買い、呪殺されそうですからね」
まぁそれほど彼の浮き名が通っているともいえるのだが。郭嘉殿は連れないな、と告げた。
「もしや、噂通り陸治殿とそんな関係なのかな?」
「まぁ私達の部下達はそう思っている方も多いですね。お互い色恋は興味がないので、あえて噂を否定せずそのままにしていますが」
そう返せば賈詡殿が「あっははぁ!」と笑った。
「困ったお嬢さんだ。アンタほどの年頃なら色恋に興味がでる年頃だろうに」
「生憎、助けてくださった方の役に立つことしか考えていないもので。人生は短いのですからその方のために余分なものは取り除かねば」
「おっと、色恋を余分なもの、ときたか」
賈詡殿はそう言って苦笑いをする。私は表情を特に変えずに書類をしわけていく。
「あくまで私にとっては、です。色々見てきましたからね」
「……親御さんは困るのでは?」
「生憎、私は兄がわりや父がわりがいても、元より孤児ですから守る家もないもので」
私は肩をすくめる。郭嘉殿がこれは落としがいがある、と言ってきたが、それはスルーだ。さっきから徐庶殿が困惑した顔しかしていないが、何かあるのだろうか、と首を傾げる。
「どうかされましたか?徐庶殿」
「いや、なんでも……」
「貴方は遠慮せず、もっと思ったことをおっしゃってもいいと思うのですが……」
「えっ、ありがとう。でも、大丈夫」
「そうですか。なら追求は致しません」
そう言って話を戻す。もう一回曹操様を見て気力回復しよう、と彼を見れば目がかち合ったので、笑っておいたが。よし、元気になった。
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「うーーん、いや、俺たち小さい頃に同じ異界に流れ着いて、それぞれ違う国でほごされた経緯があるんですよね」
「違う国に?」
そう首を傾げた劉備様に俺は頷く。
「そ。まぁ、同じ異界でも流れ着いた年に開きがあるんですけど、まぁ、そこで会えば敵同士、みたいな。俺としては仲良くしたいし、あんまり戦いたくはないんですけど、あの二人仕事と私情は完全にわけて考える人だから。俺なんかは私情に結構引っ張られがちです」
そうがっくしと肩を落とす。
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「おい誰だ、李子殿に酒を飲ませすぎたやつは」
そう言ってスマホのカメラを構えた陸治さんに俺はそちらを見た。なるほど李子さんが酒に酔ってぽやぽやと上機嫌になっている。こうなると詩を吟じ出したり舞をさしたり誰かにひたすらスキンシップしたりするのだ。この前は曹操様大好き、魏大好きみたいな私を謳っていた記憶がある。よくよく見るとひたすらに荀攸殿の手で遊んでいて、荀攸殿が無表情でいる。
「にいさまの手は李子のものより大きいですね。墨の香りがして好きです」
そうしてそのまま李子さんは荀攸殿の手を自分の頭におくと、ちょっとしょんぼりした。
「今日はお酒を飲まれているのに、いい子ですとたくさん褒めてくださらないのですか?」
荀攸のきゅうしょにあたった!効果は抜群だ!
俺の頭の中でそんなテロップが現れる。荀攸殿がさらに固まった。えっ、と李子さんの近くにいきたかった徐庶殿が戸惑ったような反応をしている。ジメジメきのこがまた生産される気はする。荀ケ殿がさっと割って入ったが。
「李子殿、まわりにつられて飲みすぎてしまったのですね」
「……?……………?」
「公達殿が困っています。少し離れましょうか」
「では、にいさまが一緒にのんでくださるのですか」
少し首を傾げた李子さんに荀ケ殿も固まった。たぶん年上の魏軍特攻すぎる。ひたすら賈詡殿と陸治さんが笑っている。……郭嘉殿どこ行ったよ。
「李子の杯にたくさんお酒を入れたこちらのにいさまは、ひざのうえからおきるけはいがないですね」
「あっははぁ、アンタが逆に酒を杯に注いで、潰したからな」
賈詡殿の言葉に李子さんがじっと賈詡殿をみた。
「……?」
「なんだ?俺は生憎アンタの兄くらいの歳ではないな」
「あにでないのなら、李子のとうさまでよいとおもうのですが」
李子さんの発言に賈詡殿が噴き出す。あっははぁ!と特徴的な笑い声をあげた。
「俺が父親ねぇ。李子殿は年上の惑わし方を心得ているようだ。どうしてそうなる?」
「だめですか。にいさまがわたしのとうさまになるよりは、まだしぜんにみえるとおもったのですが……」
上機嫌だった李子さんがしょんぼりする。というか、みるみるうちにはらはらと涙をこぼし始めた。コレは珍しい。彼女は基本的に呑んでも上機嫌になるだけで、このようなことはないのだ。
「兄様たちがほめてくださらないのも、ようしになれないのも、李子が失敗したからですね……後手にばかりまわってしまい、勝てなかったから……ほんらいならば、兄様にあわせるかおなどないのです……やはり、わたしには、兄様の変わりなど、」
「李子殿」
陸治殿が遠くから静止をかける。よく通る声だからか周りは彼を見たが。
「その先を言うのは違うだろ。アンタにその任を任せたやつはアンタが代わりになると思ってそこに置いた。それを貶すことになるぞ」
その言葉に李子さんが口を噤む。
「飲み過ぎだ、膝のやつは落としてアンタはさっさと寝ろ。兄様に似た奴にでも連れてってもらえ」
「……ひとりでもどれます……」
「馬鹿言うな。荀攸殿か荀ケ殿、申し訳ないんですが、送ってやってくれますか?寝たふり決め込んでそうな郭嘉殿は論外で」
「おや、ひどいな……私が連れて行こうとおもったのに」
「アンタは寝込みに手を出しそうだからダメに決まってるだろ」
陸治さんがそう言って杯を傾ける。荀ケ殿が口を開く。
「貴方でなくていいのですか?」
「そうなった李子殿に、俺や寵沙では対応できかねます。下手に言うと喧嘩になるんでね。あれで失敗だと言われると流石に腹が立つ」
陸治さんの言葉に俺は眉尻を下げる。この人もまた赤壁に参加していた人だ。
「何かあったのか?」
「流れ着いた違う異界で違う国にいた。李子殿がいた国と俺がいた国、寵沙がいた国で戦がたびたびあって、不安定な世界だった。そんな中で、とあるでかい戦があったんだよ。俺たちの国が同盟を結んで、李子殿がいた国との戦だ」
「初耳だな」
「寵沙が言っていたこと、か。しかしそのような戦があったとは……」
「そもそも今は関係ない話だから俺も李子殿も話さないし、このぼんは迷い込んだくらいで子供だろうから参陣はしてない。結果はしるが、知らないから言わなかったんでしょう」
俺は刻々頷く。まぁ俺も劉備様にしか言ってないしな。
「軍師だった李子殿の兄の一人が他界したあとに起こった戦で、兄の後をついで軍師をまとめる立場についたのが李子殿だった。まぁ、李子殿は後任の仕事が忙しいようで、その戦には遅れて参陣したみたいだが」
陸治さんはそう言って杯を煽った。孔明殿が陸治殿をみる。
「李子殿の国は負けたのですね」
「あぁ。李子殿の国は撤退し、李子殿は自分の君主を逃がすために殿をつとめーー川に落ち、元の世界に戻ったそうだ。だから、撤退した、負けた、自分は失敗してしまった、と言う印象しかない。酔っ払った状態で兄に似た人を見たもんでまああなったんだろ」
陸治さんはそう言って眉間に皺を寄せた。孫堅殿が陸治さんをみた。
「まるで違うような物言いだな。お前たちは勝ったんだろう?」
「勝ちはしましたがーー我らは戦に勝って勝負に負けた」
「どう言うことだ?」
「俺たちは大勝だと思った。瓦解した軍団、炎上した戦場、全てがうまく行った上で勝ったのだと。全てが俺たちの想定でいけば、相手に痛恨の一撃になるはずだった、が、あの女のーーいやその時点でアイツは男として生きてたからあの男かもしれないがーー策が尽く上手く作用していたらしい」
陸治殿がそう言ってまた杯を傾ける。
「いわば李子殿は俺たちは派手に負けたと見せかけて自国の戦力を温存させることに成功しており、そのあとを率いた奴らもそれを利用して力を蓄えた。蓋を開けてみれば大勝ではなく、削げた戦力は俺たちと同じくらいしか犠牲者がいなかった」
「手のひらで泳がされましたか」
「あぁ。まるまるな。その後の想定外の事態に苦しめられた俺からすれば、ああ言った発言は腹が立つもんで」
なるほどなー、と俺は思う。確か、正史の十分の1に李子さんが被害を留めちゃったんだっけか。そりゃあない事件色々起こるよな、とうむうむと俺は納得する。まぁ、酒が入らないとこの人達はこう言う話はしない。
「それはアンタ達が思ってるより劇物だから扱いに気をつけた方がいい」
「また陸治さんはそう言って警戒心埋め込むー、李子さんは劇物じゃないよ。てか、それ言うと陸治殿も結構劇物じゃん。単騎でお姫様迎えにきて無事に切り抜けてったし。俺李子さん云々よりそっちの方が覚えてるんだけど」
「忘れろ」
「やだよ、俺アンタに背後から矢を射たのに見ずに斬られたのいまだに意味わかんないって思ってんのに。なにあれ。陸治さん怖すぎんよ」
そう言えば口に肉まんを詰められる。この人自分に都合悪いとすぐこうやって黙らせてくる。俺も寝る、と言った陸治殿を女子が捕まえた。強い。
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「申し訳ございません、荀攸殿」
そう言って謝る。いや、起きたら荀攸殿の上着を持っていたのだ。寵沙に話を聞けば彼らを兄様と間違えて私がぐずったようである。ので、慌ててお詫びを言いにきたのだ。ちょっとした品と一緒に。私が深々とお辞儀をすれば、顔をあげてください、と荀攸殿は私を見下ろした。
「しかし……」
「お気にせず。上着は確かに受け取りました。……それにしても、李子殿には兄上がいらっしゃるのですね」
荀攸殿は私が渡した上着を着ながらそう告げる。私は頷いた。
「血は繋がっておりませんが、兄と慕う方は数人いらっしゃいました。……もう会えませんが」
目を伏せる。ぽん、と手を頭に置いた彼を見上げれば、では、と少し笑いながら口を開く。
「俺を兄と呼んでくださっても良いですよ。呼ばなれなくなって久しいので」
「では、公達兄様と」
素直に嬉しいのでニコニコすれば、彼はふっとまた笑ったが。
「ちなみにどなたがお呼びに?」
「文若殿ですね。同じ一族ですので、昔はそう呼ばれていました」
それは可愛いな??と目を瞬く。攸兄様とケ兄様もそうだった可能性はあるかもしれない。
「今はお二人からは想像がつきませんね」
「今はもうしっかりされてますからね」
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「いえ、私は貴方に意見が聞きたいんです。貴方はいつも剣を帯刀されているのを見ると、私とは違い武術に優れた方だとはわかります。だからこそ、知勇にも武勇にも優れた貴方の意見を聞くべきだと私は思いました」
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