ネタ帳vol.3
2025年ネタ帳10:オンラインゲー設定な李子たちと魏
08/12 14:18
「いやぁ、アンタがいて助かったぜ」なんかいい予感はしてたんだよなぁ。
そう告げたのは李典殿、だろう。私の記憶とは少し違う格好をした彼と楽進殿だ。二人が劣勢だったのをみて私は兵を率いて加勢に入ったのである。しかし、彼らの様子をみるに、彼らは私を知らないのだろう。少しの失望を隠すため、わたしはそっと目を伏せてそれを閉じ込めると緩やかに笑う。
「いえ、たまたま間に合いうまくいった、それだけのことです」
「謙虚だねぇ……俺の名は李曼成。こっちは……」
「楽文謙と申します。ともに魏の将をしています」
そう名乗った彼に、私は、魏、と繰り返す。知っている、とは言わない。李典殿は勘が鋭い方だ。変に嘘などつかないほうがよい。
「……生憎、屋敷からあまり出ぬ身ですので、世俗のことはあまり詳しくございません。この数日、屋敷の外が知らぬ場所になっていたのでこうして護衛をつけて外に出ていたのですが」
「その身なりを見るに異界から来た方、でしょうか」
「んー、だろうなぁ。詳しく説明した方がいいか」
そんな会話を聞いていれば、水蓮様!!とあたりを見回っていた若い護衛が声をかけてくる。
「これ以上の長居は貴方のお体に触ります!ただでさえ瘴気は貴方の命を蝕むのです!そのように血に汚れた者達と話すなんてひとたまりもない!!戻りましょう」
そう言った彼に数人の護衛が馬を引いてくる。私が連れ出されているあいだ、年長者の護衛が二人に頭を下げたが。
「……申し訳ござらん。貴公たちを蔑ろにしたいわけではないのだ。戦場の血や瘴気は水蓮様の身や命を蝕むゆえ、若いのは心配なのだろう。水蓮様と話されたくば、屋敷まで来るといい。水蓮様は人が好きな故、拒むことはせぬ」
と言って、屋敷の場所を伝えていないのではあるが。まぁ元いた場所では私の屋敷の位置は有名なため仕方ないのかもしれないが。
「水蓮様、顔色が悪うございます」
「これくらい平気ですよ」
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オンラインゲー的な設定のやつ
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「いや、それが屋敷の場所を教えてくれなかったんですよ……」
李典はそう言って頭を抱えた。おってはみたんですけど、見失ってしまって、とは楽進の言葉である。先の戦で加勢してくれた謎の勢力について問いかけられたわけであるが、二人もわかっているのは戦術に長けていることや、護衛がつくほどの身分であること、水蓮様と呼ばれていたことぐらいなのだ。
「あとは、麗人と言えばいいのか、性別はわかりませんが、とても美しい方でした」
楽進の言葉に、李典は確かにと頷いた。
「あと、もしかしたら人じゃないのかもなー、なんて」
そう笑いながら告げた李典に、妖魔ということでしょうか?と荀ケが尋ねる。
「いやどっちかというと、仙人っぽいーー」
「おい!!人間!!」
いきなりである。そんな声が聞こえて李典は肩を揺らした。その声には聞き覚えがある。水蓮の君を連れ帰った護衛の声だ。警戒する周りをよそに、ツカツカと大股で近づいてきた青年は李典と楽進の前にたった。なるほど、蛇のような吊り目ではあるが整った顔をしているまだまだ年若い青年である。青年は息を吸い込んだ。
「なぜ水蓮様の元に来ない!!水蓮様や炉水様がお待ちしているのに!!」
「あー、お前あの時の護衛、だよな?」
そう言った李典に、いかにも、と青年は胸を張った。
「僕は水蓮様の護衛だ。お前たちが来ないから様子を見てこいと炉水様に使われてここにきた」
「屋敷の場所を聞いていませんでした」
「何?水蓮様の屋敷の場所を知らないのか?……貴様ら、扶桑国の人間ではないのか?」
眉間に皺を寄せた青年に、扶桑国、と今度は李典たちが繰り返した。その様子を見て、青年は少し空気を和らげて彼らを見る。
「扶桑国も知らないとなれば、貴様ら西の大陸の人間か?よく人間族が生き残っているものよ。なるほど、通りで腕が立つ……」
勘違いしている、らしい。李典がそれも違うと言いかけてーー郭嘉が先に口を開いた。
「うん、我々は扶桑国を知らなくてね。教えてくれるかな?」
「東の大陸、その果てにある巨木が聳える国だ。様々な民族が穏やかに暮らす国よ。ただの人間が築いたというのに、素晴らしいものだな。もちろん、水蓮様も治世に尽力されている。お前たちは何処から来た?西から来たとて東に侵攻してきたわけではあるまい」
青年はそう尋ねる。我々は魏という国だね、と郭嘉が告げる。魏、と繰り返した青年は、聞いたことがないな、ともう一度彼らを見た。荀ケが説明する。遠呂智と呼ばれた仙人によって作られた世界であること、各地から強者が招かれていること。恐らく青年たちもそういうふうに招かれたこと。それを聞いて青年は少し考える。
「確かに数日、霧が濃く身動きができん時に地震があった。それ以降、水蓮様の屋敷の外が知らぬ場所だ。水蓮様をよく思わぬ龍人族の仕業かと思っていたが……違うのか」
ホッと息を吐いた青年に、龍人族?と郭嘉が繰り返す。
「お前たちの国には……いや、違う世にはおらぬのか?」
「いないね」
「僕たちの世には六つの種族がいる。水蓮様は種族という言葉を好まぬゆえに民族と言っているが。まずは人間族、貴殿らと何ら変わらない。百年足らずで死ぬ癖に意志が強く、たまに秀でた者が生まれる種族だ。他の種族と交配することで力を得ようとする奴も多いがな」
青年はそういうと彼らを見た。
「見た目でわかりやすいのは獣人族と鬼人族、侏儒族だな。獣人族は獣の耳と尻尾を持ち、火を司る。鬼人族は角をもち、雷を司る。侏儒族は大人でも子供ほどの背丈で地を司る。わかりにくいのが鳥人族だ。奴らは風を司るから空を自由に飛び回るが外見は何ら人間族と変わらない。まぁ、人間よりは長く生きるがな」
「火、雷、土、風、となれば、あとは水、かな?」
「滅多に見つからないのは龍人族だ。清らかな水を生み出すことができるが、それゆえに瘴気や血など穢れのある地で生きてはいけん。あの時は貴公らは血で汚れていたから急ぎ引き離すしかなかった。僕も普段ならあのようにはせん。水蓮様は純血の龍人族に珍しく人間に好意的だからな」
「では、龍人族は基本的に好意的ではない、と」
「当たり前だ。人間にとっては古い過去かもしれんが、人間は龍人族の角や血が不老不死になると出鱈目を吹いていたずらに龍人族を捕まえて殺したこともある。その容姿の美しさを狙って捕まえることもあるからな。また戦禍も人間が引き起こす。龍人族にとって人間族は穢らわしい存在だ。だから隠れて暮らしている」
青年は目を伏せてそう告げる。
「アンタは龍人族ではないのか?」
「僕は違う。混血だ。父にあたる人間の男が龍人族の母を攫って孕ませた子だ。寿命の差で男は死んだが、人のお手つきである母も混血である僕も、龍人族の住む隠れ里には行けぬ……途方に暮れていたところを水蓮様が拾ってくださったのだ。」
category:中華組関連(msu・oa)