ネタ帳vol.3
2023ネタ帳16:三國とあと田中
01/14 16:54
「ナマエ?」
「父さん?」
職場である。正しくは夏休み中に中国にて郭嘉さんや曹操さんのてだすけというよりは三国時代の歴史を正す仕事の手伝いをしているのだが、そこでまさかの父親とあった。おや?と首を傾げれば、向こうは向こうで少し考える。
「名無さんからこちらに研修で来ているとは聞いていたけれど、まさか私の職場とは……噂に聞いてたのはもしやナマエか……」
「噂?」
「あぁ、ここにいるということはここがどういう場所か理解はしていると思うが……国籍の違いをよく思わない人間もいる」
ふむ、と考える。それはそうだろう。父は飲み物でも奢ろうと言って隣に並んだ。缶ジュース買ってくれるらしい。私はオレンジジュースを指差しておいた。
「それで、ナマエはどこに?」
「三國時代です」
「三國……ナマエ、少し話そうか。こちらにおいで」
そう手招いた父に首を傾げてついていく。そういや母親にはパニックになって告げたが、父親には三國の記憶云々は話していなかったような。
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「時たまいるんだ。家族がわからない人物同士の結びつきが」
「そうなんですか?」
「あぁ、そうだ。そしてその関係で血筋に関係なく瞳の色や髪の色に変化がおこる」
父親の個室である。曹操様の私室みたいなものなので、恐らく父親はある程度の地位がある人だったのだろうとは思っていたが。まさか、秦末期にでてくる章邯だとは思っていなかった。そりゃあ部屋に兵法とかそういう書籍があるはずだ。
「しかし、父さんと母さんはどこで知り合って?」
「この際だから話しておこう。名無さんも日本で同じような組織にいてね。そこで知り合ったんだ。まぁ私も名無さんもお互いの文化の調整をする立場だからね」
ふむ。文化の調整という仕事もあるのか。オーバーテクノロジーを持ち込まない的な?と聞けば、そうなると頷かれたのであるが。
「大変な仕事では?父さんの場合、三秦の一人のはずたから出陣関係の仕事もあるよね?」
「理解してくれる娘がいて嬉しいよ。だからあまり家に帰れなくてね。できないふりをしてもいいんだが……他がいる」
はーーとため息をついた父親に、苦労してるなぁと彼をみる。しかし、なんというか。
「こちらで働くと父さんに会えるんですね」
私が大きくなってからあまり話せなかったので嬉しいです。
そうニコニコすれば、彼は動きを止めた。
「私は普段ここにいるから、いつでも会いにおいで。今はどこに住んで?」
「上司がルームシェアをしているので、その部屋を借りてます」
「そうか。ナマエさえ良ければ俺の家に来たらいい。もともと呼び寄せるつもりはあるから、色々本はある。写しにはなるが」
「えっ、行きたいです」
即答してしまった私は悪くない。父親は目をパチパチしてから笑った。相変わらず知識虫、か、とぐしゃぐしゃ頭を撫でられる。郭嘉さん達に相談するしかない。
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「あぁ、ナマエ、探したよ」
と、飛んできたのは伯寧殿である。様子を見るに私を探していたらしい。それは悪いことをしてしまった。
「あまりこちらの方は違う時代の管轄だから行かない方がいいね。私も初めて入ったよ」
そう言って伯寧殿は父親を見下ろす。父親は伯寧殿をみた。
「ナマエの知り合いか?」
「はい。というより、同僚です。名は満伯寧といいます」
「ナマエの知り合いかい?」
「私の父です」
そう言えば満寵殿は父親をみて、私をまたみるを2回繰り返した。珍しく二度見である。
「君って、生まれも出自も謎の人だから、結びついたのかな……それとも、元々ナマエは名のあった一族だったかとか?たしか、李というのは姓がない君が自分でつけた姓で李将軍の血筋とかいうのも周りが勝手に言ってただけだろう?」
「はい、そうですね」
「ナマエはなんと名乗って?」
「私は李子です」
すももに子供の子とかいて。
父親は私の言葉に目をパチパチと瞬いて、ふはっと笑った。
「ナマエは間違いなく私の娘だ」
そう言って父親はまた頭をぐしゃぐしゃと撫でる。二人で首を傾げた。どうやら記載が残っていないがら李子という娘が夭逝していたことが判明したのであるが。
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「章邯殿、この前話していた美少女はいったい……」
コソッと問いかけてきた田中殿に、美少女?と首を傾げる。あの灰色の瞳の、とつげた田中殿に、ああ娘だなとわかる。だが、それを知られたところで厄介な人間に目をつけられることになるのだが。
「内密にしてくれるかい?」
そう日本語でこっそりと尋ねれば、彼は目を瞬いた。
「えっ、日本語……」
「私の妻は日本人でね。私は話せる。ちなみにあの子は私の娘だよ」
「えっ……」
「こちらで働く為に研修を受けているようだけれど……あまり巻き込みたくはない」
だからわかるだろうというふうに言えば彼は刻々と頷いたが。
「田中殿は三國時代は詳しいかな?」
「三國時代ですか?」
「娘はそこに配備されているようだけれど、俺は今の時代以外はあまり詳しくなくてね」
「ああ、日本では人気ですもんね。俺もそこそこですよ」
「李子という人物を知っているかな?」
「あぁ、曹魏の郭嘉の補佐ですよ。確か、幼い頃に曹操に助けられて男装して支えていた軍師だったかと……」
「そうか……」
彼はそう言って少し考える。まぁそのまま仕事の話にうつっていたが。
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めちゃくちゃ破壊音がするなぁ、とそちらを見れば、曹操様が恐らく他の時代が騒いでいるのだろうと答える。
「他の時代ですか?」
「うむ、我らと同じような部隊が時代ごとにいる。ここはよくそう言った連中が集まる店だ」
「この前なんか呂布が暴れたって聞くぜ。でもご覧の通りだ」
そう言った夏侯淵殿にふむふむと頷く。仙術などの発展したものだろうか。壁などを見てもそう不思議な感覚はしないが。
「李子よ、率直に聞くが最近誰とあっている?」
曹操様の言葉に最近?と首をかしげる。荀ケ殿がやんわりと、最近は引っ越したいとおっしゃっているでしょう?とつげた。そこで、ああ、と手を叩く。
「最近、父とこの前施設でばったり会いまして、父がこちらで働いていたことを知ったのですが、最近は父が食事に連れて行ってくださいます。もともと父も私や母を呼び寄せるつもりだったらしく、一緒に住まないかとおっしゃってくださっています。曹操様や皆様達をご紹介できればと思ったのですが、お互いの都合がつかずで……今日も職場の方々と会議の後に飲むのだと、か……」
いやまさか父親がこの破壊音がする隣にいるわけがないよな、と思う。いや、まさか、そんな。父親と繰り返した周りにこくこくとうなずく。
「自慢の父なので、いつかご紹介したいです」
そうニコニコしていれば、曹操様はうむと頷いたのだが。
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章邯殿が娘さんを連れてきた。目元が見えないボサボサの髪、整えられていない服、何よりも口元もへの字になっていてみるからに不機嫌そうである。醜女、というのが正しいような。しかし、章邯殿の娘さんといえば、この間見た聡明そうな美少女ではなかろうか。背は似ているが、なんというかよく言ったふくよかすぎる。
「見ての通り、私の娘はこうでね。今は不満を漏らさないだけでマシだ。使えない」
そう告げた章邯殿に、ああ確か誰か女性を送り込むという話になっていたのだ。蒙琳さんにしろ、虞美人にしろ顔などが割れているからだろう。当の本人は如何にもかだるそうに枝毛を探している。
「ねーえー爸帰っていい?」
野太い綺麗とは言い難いである。こりゃ無理だな、と周りが判断するのは早かった。
「なんか足もどろどろだし、マジ最悪なんですけど」
「悪かった。すぐに返すから」
そう言って章邯殿が帰還のためのコマンドを入力する。が、それは弾かれたようだった。
「……え?」
「は?」
そこからはパニックである。帰還できないのであれば、恐らく傷病者の強制帰還もままならない。俺たちは改変されたこの時代の人間と全くのイコールになるのだ。
「慌ててて超ウケるんだけど」
「ことの重大さわかってます!?」
「知らなーい。でも、慌ててやってもいいことなくない?」
それも、そうなのだが。だが、彼女の一言でパニックは少し落ち着いた。劉邦がなるほどと言うふうに彼女をみた。
「嬢ちゃん見た目通りに肝が座ってんなぁ」
「なにそれ?」
「……元の場所に戻れないと貴方は理解していますか?」
「はぁ?最悪なんだけど。あたし今日バイトあるって。爸なんとかなんないの?」
「なんとかしようとはしてる」
眉尻を下げる章邯殿の言葉に、彼女はため息をついた。
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元の時代に戻れないエラーが発生している。なんでも予期できないらしい。とりあえず父親ほかがその対処を行うようなのでとりあえず私は末端あたりがパニックになるのを防いだり、兵糧をのぞいてみたり物見役の話を聞いたりする。秦の終わりだが、改変されている世界。自然に閉じられたとは考えにくい。恐らくは故意だろう。とりあえず仕事に行けない旨を郭嘉さんたちに伝えたいが伝えることができない。というのも私は端末を渡されていないからだ。だから私は二人組を組まされて……。……。
「爸、スマホ貸してくんない?」
「駄目だ。それどころじゃない」
「けち。じゃあ後で貸して」
誰かの端末なら連絡を取れるのでは?と思ったが、父親以外は流石に欺いてる手前頼みにくい。というか、戻れないのであればはやく拠点を作ったほうがいい気はするが。
「ねーねー、なんもこんな森の中でやることじゃなくない?街とか出れないの?」
「それは難しいよ。今は俺たちが圧倒的に劣勢だから、街に出ると殺されてしまう」
その言葉に首をかしげる。いや、だって恐らくは秦終わりぐらいにいる英傑が揃っているのだ。負ける要素があるのだろうか、と考える。ちょっとそこらへんうろちょろしてくる、と言えば父親が完璧に困惑した声を出したが。とりあえず無視だ。パチリと目があった女の子に一緒に来るか聞いたら首を左右に振られたが。
水源などを確認しつつ少し離れた場所にいけばなるほど高台である。坂落としに使えそうな。城が近い。これなら城を攻めれそうな気もするが。いや、攻城兵器がないから少し難しいのかもしれない。ちらほらと農民らしき人も見える。痩せ細っているのを見ると食糧が足りていない。とりあえず安寧の地をえなければならない。とりあえず異国から来た旅人のふりをして近くにあった農村で話を聞けば、どうやら秦は続いていることや、趙高が実権をずっと握っていることもわかる。他の諸侯はときけば、趙高が殺した為にいないそうだ。無名であるはずの劉邦殿達も。
「旅人さんよ、早くこの国から出たほうがいい。あそこの城主ももう駄目だ。俺たちも払えない税で皆死ぬ」
「……そんなことをおっしゃらず」
「いいや、皆死ぬ。若い男は徴兵され、若い女はみな献上される。残るはわしらのような老人と子供じゃ」
「貴重な話をありがとうございました。この国を抜けるにはどちらに進めば?」
そう尋ねれば方角を教えてくれる。私はとりあえずお礼を告げてその方角にむかい、途中みつけた小屋に入り術で父親達がいる場所近くにでてくる。あとは父親達がいる場所に戻った。
「ナマエ」
「無事無事ー、知らん場所ってワクワクするよねぇ」
「つけられてないだろうな」
「じいちゃん眉間の皺やばいよ。たぶんねー」
そうケラケラわらえば、一人が私の近くによってきて肩を抱いたが。やめなさい。
「嬢ちゃんどうだった?」
「近くにお城と農村あったよ。なんかさー、女の子はみんなけんじょーされるし、わかい男はみんなちょーへいされるから年寄りと子供しかいないっていってた」
私の言葉に隣の人の手を離した父親がわたしをみる。
「……待って、話したのか?」
「話した。国抜けたほうがいいよって言われたからどっちに?って聞いたら、丁寧に方角教えてくれたからさー、そっちに行ったらご丁寧に休める小屋があってさー、入るふりしてこっそりこっちに戻ってきた」
そう言えば一部が周りを警戒する。私はとりあえず父親に話しかける。
「爸、たぶん夜になれば小屋にお城の兵がくるんでない?」
「……なんでそう思う?」
「わかんないけど、たぶん密告したら税を免除とかあるんじゃないかな?じゃないとその日暮らしも難しそうな貧しい村なのに、見知らぬ人を親身にしたり歓迎しないと思う」
ぶっちゃけ、そいつら絞めて服取ったらあのお城入れると思うんだけど。
私の言葉に周りは顔を見合わせたが。
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もしかして、この子はものすごく頭がいいのでは?
そう思いつつ章邯をみる。章邯はため息をついて、ナマエ、と彼女に声をかける。
「あまり危険なことをしないように」
彼女ははーいと気だるげに返事をした。劉邦が少し考えてから口を開く。
「しかし、章邯の娘よ、城に入っても他勢に無勢だがどうする?」
「……なんかさ、おじさん、不思議なこというよね?」
そう彼女は俺たちをみた。
「あたし、爸の部屋の本ちょっとみたり話聞いたり昔からしてたけど、あたしの爸の名前章邯って呼ばれてるし、おじさん劉邦って呼ばれてるしあっちのお兄さん項羽って呼ばれてるし、なんか田横とか田中とか呼ばれてる人もいるじゃん。同一人物か知らないけどさー、そう呼ばれるには理由があるんでしょ?なんでそんな弱気なの?なんとかなるくない?」
「なんとかはなるけどその後の話ですよ。援軍もない状態で攻め込まれては意味がありません」
「じゃあこのまま野垂れ死ぬのを待つ?いつ帰れるかわからないし、いつ襲われるかわからないのに?あたしは別にそれでもいいけど、こんな可愛い女の子もじいちゃんもいる。山の天気は変わりやすいから、雨が降ってくる可能性もある。風邪引いても薬がないうえに、ご飯もなくなるじゃん。お腹空いたらなんもできないよ。最悪身内で揉める」
一理ある。というか、それはそうである。確かに最悪のケースを考えれば、城を取ってしまったほうがいい。彼女がいうように、武力に秀でた項羽もいれば劉邦もいるのだ。劉邦が少し考えて口を開く。
「嬢ちゃん、考えを話せ」
「劉邦殿」
「章邯よ、とんでもない育て方してるかと思えばいい育て方してんじゃねぇか。女でここまで知識ある奴は珍しいぞ」
「……それはどうも」
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一瞬だった。人質にしようとした県令が虞美人や田広をかばった彼女の髪を掴んだのは。彼女は躊躇なくその黒髪を切り落とすと、綺麗に蹴りを入れた。そうして浮かび上がった剣をとり、相手の首元につきつけたのである。す、すごい、と内心拍手をおくる。恐らく俺より強い。
「さて、こうなってしまえば貴方の道は二つあります。皇帝にこのことを報告に走るか、ここに止まって生きながらえるかです。もちろん、皇帝に報告に走っていただいても結構です。ただ、兵たちの話をきくに貴方や貴方の一族は首を刎ねられるかよくて全員生き埋めでしょうけども」
「ひっ」
「さて、どうしましょうか。私はただの娘です。将でもなければ策略を練る係でもございません。ただ、貴方の身の振り方を懇願することはできましょう。あの黒き鎧の方や赤い服をきた方、はたまた父の先鋒に加わる……」
「先鋒に加われば死んでしまうではないか!兵になどなりたくはない!私は偉いんだぞ!」
「偉いというのは兵にならない理由にも死なない理由にもなりませんよ。時に死ぬ理由にはなりますが。今肝心なのは何ができるかということです」
彼女は言葉を続ける。
「畑を耕すことは?」
「できるわけなかろう!」
「商いをすることは?」
「できない!私は偉いんだぞ!そのようなことは下賤がやることだ!」
「なら、貴方がやることは?」
「私は周りから税を徴収し、連絡を取ることだ!」
なんてこった言質をとった。こちらが唖然としてる中、いつの間にかすっかり彼女と仲良くなっている劉邦が口を開く。
「ほーう?なら、俺たちがいないっていう連絡も取れるはずだな?」
「それは」
「すこし、お話しましょうか」
そうまわりが言えば彼女は剣を下ろし、髪をかき上げる。覗いた灰色の瞳に、やはり彼女なのだと理解したが。なんというか、蒙琳さんのような可愛さとも虞美人のような美しさとも違う。どちらかと言うと、美男子のような。
「ほーお?なるほどなるほど?そんな顔をしてたのか」
「あ、しまった……父上、申し訳ございません」
そして素はこっちか。章邯殿は仕方ないと告げて彼女を呼び寄せて、頭をぐしゃぐしゃに撫でた。
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category:中華組関連(msu・oa)