ネタ帳vol.3
2023ネタ帳17:三国史とあと田中
01/14 16:55
「ナマエ、いいかな。普段ナマエは李姓を名乗っているようだが、父さんの知り合いの前では章姓を名乗るように」
とは、父の発言だ。あとは粗雑に振る舞えだとか髪をぐちゃぐちゃなままこいだとか色々と言われて首をかしげる。なんでだ?と思っていながらついていけば、なるほど父親は父親で似たような感じらしい。で、私を巻き込みたくないが上にそう言ったことをするように告げたようだ。まぁ人質みたいな風に扱われているのだが。恐らくは所属の関係だと思われる。見張りは田家の人とその奥方らしく、こちらが動くたびに何かびくつかれるのだが。粗雑だからな。
どうやら父親も似た経緯を持つが故に似た組織、正しくは同じ組織の違う管轄にいるようである。父親が名乗るのは章邯、三秦の1人である。ということは、私との血縁はどうなるんだ??時代のすり合わせをするにも三百年くらい時代が違うわけであるが。仙人のせいにしておくのはありかもしれない。とりあえず、郭嘉さんというか他国も巻き込んでいる軍師グループメッセージに、父親の姓が章であることが判明したと送れば爆速で既読ついたが。暇人か。
「あのぅ」
そろそろと尋ねてきた田中殿に端末を隠しつつああ?と素行を悪くガンつける。
「章邯殿……ええっと、お父さんから何も聞いてない?」
「なんも聞いてねーし。大人しくしてろって散々言い聞かされただけ」
当たり前かぁ、みたいな感じなので私はムスッとしたまま胡座をかいておく。女性が云々みたいなことは理解しているのでスルーするが。まさか章邯殿の娘がこんな感じだとは、隠すのもをわかるだとかまわりに言われてるが素無視だ。まぁ、おっかなびっくりではあるが説明してくれるあたり優しいが。
どうやら大規模侵攻が秦から漢に切り替わるタイミングで発生しているようである。その余波が私たちが管轄する三国に流れてきているのだろう。それが顕著に現れているのは蜀であるが、どこも漢という時代を通るあたりここで食い止めなければもっと大変なことになる。というか、父親は秦国家から項羽軍に降った、ような。ということはここには田家、劉邦軍、項羽軍が混ざっていることになる。いや、父親がどちら側としてここに参陣しているのかはわかりかねるが。
「誰と喧嘩してんの?」
率直に馬鹿っぽく尋ねれば、田中殿がケンカと苦笑いする。まぁ、張良殿っぽい人が口を開いたが。
「趙高という人物ですよ」
「だれだそれ」
ということはやはり楚軍として参陣してる可能性がある。
「早く家帰りたいんだけど」
「それはできかねます」
「もともとお前を送り込むつもりだったんだがな。妙齢で婚姻していない娘などお前だけだ」
ああー、なるほど、形だけでも帝の嫁に与えるつもりだったのか。一時だろうが死ぬほど嫌である。父親に感謝するしかない。ふむふむと内心で考察を重ねる。張良殿がこちらを見て口を開く。
「それにしても、貴方は無知ではないようですね」
「なにが」
「貴方の言葉は漢代の共通語ですから」
やばぁ。まぁそんな内心は隠して「はぁ?」と言っておくが。これだから軍師は。
「章邯将軍……貴方の父上がお教えに?」
「父さん家にあんまいないし、近所のにいちゃんが教えてくれたんだよ」
ここは誤魔化しても仕方はあるまい。そう答えれば、まぁ納得はされたが。
父親が帰ってきて、解放されるかと思えばそうじゃなかった。解せぬ。はぁーー、と内心ため息をつけば父親が話が違うと怒っている。が、仕方がない。大人しく人質するかぁ、とぐんと伸びをする。スマホを見れば、有休消化にはするけど状態が状態なのではやく帰ってきて欲しい旨が書かれていた。そりゃそうなる。
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いや、何で負けかけてんの??そう首をかしげる。普通に田家劉邦軍楚軍合わせたら勝てるくないか。秦の兵士の補充どうやってるんだ。と、陣地にいたら、遡行軍側の兵士の奇襲にあった件。これは仕方あるまい。完全に不意を取られた田中殿を引っ張り、落ちていた剣でそれを防ぐのだが。
遡行軍側の持っているもの、というより身につけているものが秦時代に着用するものじゃない。漢時代以降、三国史側のものだ。しばらく鍔迫り合いしたのちに蹴りを入れてぶった斬る。それが消える前に写真をとり、軍師グループラインに放っておいた。解析は勝手にしてくれるだろう。しかし、どうしてのちの時代の遡行軍がこちらにいるのだろうか。ふむ、と考えていれば、最近よくいる蒙琳殿と田中殿がこちらをみた。
「な、ナマエさん?」
「ああ、失礼しました。少し考えごとを。蒙琳殿、田中殿、ご無事でしたか?」
深い思考に切り替わる前だったのでつい元の喋り方になったのは仕方ない。蒙琳殿が刻々とうなずいた。
「は、はい」
「それはようございました。こちらは田中殿の剣でしょうか。咄嗟に使ってしまいましたが」
そう言って彼に剣をかえす。受け取った彼は完璧に苦笑いである。
「……もしかして、わざとあんなふりをしてます?」
「はい。父にそうするように言われたのです。ので、ご内密にしていただけると助かります。まぁ父の思惑は外れ私はそのまま人質になってしまいましたし、張良殿には恐らく見抜かれていますが……」
そう言って遡行軍であったそれをみる。さすが土器というか兵馬俑の応用である。土塊になってくずれている。一部残っている破片をつまみ上げれば、術式が書かれていた。やはり三国に現れるものと同型らしい。
「父の名、田家、劉邦軍、項羽軍となれば秦の時代の終わりがけだと記憶していますが、父や貴方達はこの時代を正しているのですね」
私の問いかけに田中殿が驚いた顔をした。
「ーー章邯将軍に聞いて?」
「いいえ。父は仕事のことをいっさい私に話しておりません。父の姓を聞いたのもこちらにくる少し前です」
海外出張が多いなとは思っていたが、まさか同じ仕事をしているとは思わなかったし、日本人だと思っていた。
「田中殿、蒙琳殿、こちらの土塊をご覧ください」
「……えっと?」
「このような鎧に見覚えは?」
そう問いかければ、田中殿が首を傾げた。敵の鎧ですね、とはそうなのだが。蒙琳殿が口を開く。
「味方ではあまり見かけない鎧です」
「言われてみれば……」
「はい、味方では見かけないと思われます。このような鎧は秦代の鎧ではございません。鋳造技術が発展したのちの時代のものです」
私の言葉に田中殿が少し考えて口を開く。
「……他の時代から遡行軍が雪崩れてきている?」
「可能性はあります」
「やばい、それは想定外だ、じゃあ今回の戦は勝ち目が少なすぎる!はやく他にも伝えないと!」
張良殿が読めてないのだろうか?と首をかしげる。そういや体調が悪そうだったかもしれない。
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「中よ、先程の策は見事だったな!」
とは田横殿が田中殿を褒める言葉ではあるのだが、まぁその実私がやったのは秘密である。あと襲ってきた兵を倒したのも田中殿の行いにしといた。田中殿は口が回るので何とかするだろう。私は父親に近づく。
「ふーん、無事だ」
「あぁ、なんとか……」
そう言って苦笑いした父親をポスポス叩きながら、日本語で口を開く。
「お父さん、敵は秦代のものではなさそうです」
「……というと?」
「土塊の鎧が秦時代のものではなく後漢以降のものです」
「先の時代から雪崩れてきている?」
「その可能性は否定できません」
「わかった……ナマエ、細かく調べられそうか?」
「すでに手配済みです。私は下手に動けませんが私の友人が手伝ってくれました」
「それはありがたい」
「あまりご無理をされぬよう。お母さんが心配します。私も心配します」
「気をつける」
その言葉にはーっとため息をつく。帰っていいかと喚くふりをすれば、父は苦笑いをしてまわりは困った顔をするのだが。
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また土塊をみれば、やはり鎧が違う。私が見慣れた三国のものである。
やはり他の時代の遡行軍からの攻撃をもらっているようだ。現代兵器が出てこないのは正史が逆転した時の整合性を考えているのだろうか。通じないスマホをポチポチするふりをする。いや術で画面はオフラインでもできるゲームしてるようにしか見えないようになってるんだけども。
「ええっと、ナマエさん、何して?」
「オフラインでもできるゲーム」
遠慮がちに尋ねた田中殿にそう言えば彼は口元はひくつかせたが。他の人にはこの状況であの態度はある意味大物だとか、理解していないだけだとか色々言われるが無視である。郭嘉さんから援軍を出そうか?というメッセージがとどいた。邪を持って邪を制すということですね、と返せばそうだねと返答がくる。まぁ賈詡さんが郭嘉殿が暇してるからワクワクがほしいみたいなとメッセージが続いてきたが。暇でいいのですか?と尋ねれば修正がもはや三国では手がつけられないようま。我々で今出来ることはそちらに援軍を送り、道を正すだけですからねと孔明くんからきた。蜀忙しいだろ的なことに混じって陸遜くんが行きたい!みたいな発言しててほっこりする。素直でよろしい。
「彼氏から連絡でもきたか?」
こちらの劉邦殿が暇つぶしに絡んでくる。劉備殿に似てる、気はあまりしない。
「はぁ?」
「顔緩んでたぞ。彼氏か?よく章邯が許したな」
「彼氏じゃねぇし。つーか、ここ圏外だし。おっちゃんはあっち参加しなくていいわけ?」
「こういうのは負ける時は負けるんだよ」
その言葉に目をパチパチする。負ける時は負ける。そりゃそうだ。ふはっ、と吹き出してしまったのは仕方ない。
「まー、あたしは何争ってるかわかんないけど勝負って勝つか負けるかだもんな」
「おぅ、そうだな。焦っても機を待つしかないってわけだ」
なるほど劉備殿に似ている。従いたいという気持ちをおこさせるのではなく、あくまでこの人は支えたいと思わせるのだろう。あと、恐らく私を探りに来た。
「でもおっちゃん偉い人なんだろ」
「あぁ、偉い。こうみえて漢時代の祖だ。章邯の娘よ、お前から見てこの勝負どう思う?」
「おっちゃんのいうとおり、なんか知らないけど負けてんなぁって思う」
「あぁ、負けだ。向こうのほうが圧倒的に駒が多いんでな」
「ふぅん?こっちは増やせないの?」
「増やせん」
「なんで?」
「そういうルールなんだよ」
劉邦殿がそう言って噛み砕いて説明をする。うーーん。探りと突破口を探る用件の間かもしれない。ルール?と首を傾げれば、お互いの持つ駒の数は決められている、と返された。
それは知ってる。それは三国でもそれは同じだ。どうあがいてもその時代の人口は変わらない。郭嘉殿から曹操殿達三君主から援軍の許可もらうために部隊編成するから状況教えてほしいとくる。とりあえず私も探らないといけないが、この状況面倒くさい。
「じゃあおっちゃん達も向こうの駒の数知ってるんじゃないの?」
「いや、それがそうじゃない。普段ならある程度読めるが、相手がいつもの倍量以上だ。これじゃ勝てる戦も勝てん。それで普段はあんまり巻き込まんお前の父を連れては来たんだが、それでも足らん」
「どれくらいなの、それ」
そう尋ねれば具体的な数字を言ってくれる。とりあえずそれを送れば編成すると各国鬼のような速さで連絡がきた。仕事しろと言いたいところだが、これが仕事か。大人たちがまたああだこうだと言っているが劉邦殿はもう完璧にやる気が削がれたのだろう。隣であくびを噛み締めるだけである。
「まぁ駒も足らんし人も足らんからな」
「あたしみたいに誰かを連れてこれないわけ?」
「無理だな。ここは秘匿されているし、何より特殊だ。お前は章邯の娘で用があったから連れて来ることができただけだ。まぁ結局は無駄足だったがな」
「ウケる、勝手につれてきて無駄足とか」
ケラケラと笑って劉邦殿をみる。ぐしゃぐしゃの前髪から少しだけ瞳を覗かせて問いかける。
「でも、おっちゃん、相手はどこから駒をなんでもってきたの?それわかんなかったら根本的に解決しなくない?」
「それもそうだがな、目先も対処せねばならん」
それもそうである。本来なら調査も行うべきだが、そこまで手が回っていない。というより、調査に回す人員を戦闘に回すしかないのかもしれない。ふぅん、と返事をして画面に目を映す。ピロン、という音がしてその内容をみれば申請が通った旨が書かれていた。まぁ、もっと上から叱られる可能性はあるが、ということであるが。あとはこちらの承諾具合だろう。父親が気づいてこちらを見た。
「ナマエ、例の話はどうだった?」
そう尋ねた父に、例の話?と周りが問いかける。
「黒かなー。友達とにいちゃんがさー、一緒に怒られてみる?って誘ってくるんだけどさー、どうするべきだとおもう?」
「怒られる……」
「というか、色々面倒なんだけど」
この喋り方そろそろ面倒くさい。あんにそういえば
category:中華組関連(msu・oa)