ネタ帳vol.3
2023ネタ帳24:三國とあと田中?
01/14 16:59
李子さんが珍しくすごい嫌そうな顔をしている。というより顰めっ面をしている。なんでだ?と思っていれば、李子さんの視線の先には数人の男性がいた。先程合流した新しい転移者だろう。服装はこちら側というよりは古代中国側である。まさか、といいながらうろちょろしだした李子さんに俺たちは首を傾げた。しまいには後ろをむいた彼女は珍しすぎる。陸治さんが声をかける。
「どうした?李子殿」
「いえ、あの……あのですね、私の父は中国から母の家に婿入りした人なのですが」
そう言って李子さんは困った顔をする。それは初耳である。仮名さんが首を傾げた。
「それがどうしたの?」
「あの癖っ毛の方がいらっしゃるでしょう?」
李子さんの台詞にそちらを見る。確かに男性の中には一人癖っ毛の人がいる。彼もめちゃくちゃこちらを見て考えているが。
「従兄弟にそっくりなんです」
「えっ」
「本人とは限らないですが、本人だと従兄弟の名前が名前ですし、ややこしいですし、過保護なのでなんというか……」
困った顔の李子さんには悪いが、彼はそばにいた数人に断ってこちらを完璧に見た。俺は苦笑いをして口を開く。
「李子さん、それフラグっていうんだぜ」
李子、と曹操殿が呼んだその言葉に李子さんは肩をはねさせて振り返る。手招かれている為に、李子さんは観念してそちらに向かった。俺たちも追ってそこにいく。男性は「阿李!」と呼ぶと一目散に李子さんを抱き寄せた。はわわわ。仮名さんもはわわと声を上げる。
「よかった、無事だったか……叔父さんから君が行方不明になっていると聞いたのだけれど、まさかこんなことに巻き込まれているとは」
「……その物言いは、邯兄ですね……」
「あぁ」
そう言って少し離れた邯兄という人に、李子さんはがっくしと肩を落とす。李子殿の知り合いかな?と尋ねた郭嘉さんに、李子さんは頷いて肯定した。そして李子さんはムッとして彼を見上げる。
「その服や武器、兵の方はどうしたんです?」
「……仕事中だった」
「仕事中とは?あなたはいつもサボっているでしょう?」
「っふは、」
「っぶっ」
李子さんの一言に近くにいた二人組が吹き出す。本人は困った顔をしたが。
「サボってはいない」
「章邯よ、ひどい言いようだな!」
章邯、と俺と陸治さんは顔を見合わせる。なんか聞いたことがあるような。
「章邯殿の……えっと?」
「従兄弟です」
「従兄弟さん?……章邯殿は君が行方不明になったと聞いて内務から外務に動いてすごい働いているんだ。それはもう転戦状態で……」
「そのうち背後取られて痛い目見ますよ」
ぽこぽこと怒る李子さんに、章邯殿が困った顔をしている。陸治さんが乾いた笑いを浮かべてとんでもないブラックジョークじゃねぇかと漏らしたが。ガタイがいい男性が口を開く。
「それがだな、章邯の従兄弟殿。俺たちと少し共同戦線を張っていたらあの妖魔?という妖仙に章邯は背後を取られた」
そのセリフをいなすように章邯殿がムッとしたが。
「田横」
「事実だろう?」
「喧嘩はよしてください。曹操様達の前です」
バッサリときった李子さんに、ヒョロイ男性が伺うように告げる。
「ええと、曹操?」
「はい。こちらは曹操様です。私を助けてくださいました。今は召し抱えて頂いております。曹操様、郭嘉殿、こちらは私の親族である章邯と申します。漢より以前に同名の人物がいらっしゃいますが、他人です」
同名の人物?と首を傾げた仮名さんと匿名さんに俺はあーーと納得する。
「楚漢戦争で秦側に出てくる人か」
「楚漢戦争?」
「秦から漢に切り替わるタイミングの乱世」
その発言に二人は納得したようである。章邯殿は阿李がお世話になっていますと挙礼をしたが。ふむ?と納得した曹操殿は口を開いた。
「いや、李子の才覚に世話になっているのはこちらの方よ」
「……よかった、召しかかえるとはそういう意味でしたか」
ホッと息を吐いた章邯殿に、周りが首を傾げる。
「従姉妹が後宮などで傷物にされたものでしたら、どうやって連れ帰ろうかと思案しておりましたので」
「このようにいとこは私に対してかなり過保護です」
李子さんが間髪入れずにそう言えば、曹操殿はフッと笑った。
「李子、積もる話もあるだろう。話すが良い。今日は宴席をもうける」
「感謝いたします、曹操様」
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「昔もいたのか?」
そう尋ねた田横に、誰が?と尋ねてしまうのは仕方がなかった。恐らくは従姉妹であるナマエーー私達は李子と呼んでいる人物のことなのだろうが。案の定従兄弟だと告げた彼に、いたよ、とかえす。あの子は昔からいた。私の前世に当たる時からいたのだ。私の後をついてくるような子供だった。顔をのぞかせるだけで喜び、自分は邯兄様に嫁に行くと言ってはあの子の両親を困らせていた。でも、しかし、あの子は。
「趙高に殺された中にいる」
そう、殺された。一族は皆殺された。あの子はその中にいただろうし、運良く逃げれたとしても食べていくことなどで気やしない。奴隷のように扱われて生きるか、死ぬかの二択である。
「だから、あまり目を離したくない」
そう言って苦笑いする。自分もこの男の家族をうっている。あの子はいつだったか私の問いかけにこう返したことがあった。全て乱世が悪い、と。確かにそうなのだ。だからこそ、平和であるはずの今、あの子を?
category:中華組関連(msu・oa)