ネタ帳vol.3

2025年ネタ帳155:君僕主は指揮官たちを救出する

08/12 16:39 

どうしろと。どうしろと!!私はそう思いながら、慌てて立ち上がる。冗談じゃない、ナマエちゃんは3ヶ月意識がなかった身だ。1人で潜入なんて馬鹿げてる。でも彼女にジョン達には黙っといて、と言われてしまった為、話すことはできない。そもそも私はアレだ、オタコンの補助はしたけど私1人でスネークを案内したことはあんまりないのだ。というか彼女の送ってくるデータの解析に対応していたら何にもできない可能性がある。ああああ、と私は叫びながら資料やパソコンなんかを揃え、なんでも器用にできる同級生を捕まえに行く。
「ごめん、イーライ、マンティス、桜くん借りていく!!」
と言って彼を押す。セツくんがついてきたけどそれはいい。
「なになに?どした?」
「ナマエちゃんが!病院抜け出して!潜入してくるって聞かなくて!」
私は無線とかを乱雑に整える。は?という声がダブった。
「ジョンさん達には!黙っとけっていうし!私はオタコンの補助してただけだし!!というか、ナマエちゃんから送られてきたデータ解析で補助できないしから!!」
そう言ってベッドフォンやらなんやらを渡す。セツくんが嬉々としながらつけ、桜くんがため息をついた。
「なんでまた」
「ナマエちゃんが見といてって言われてる誰にも使われてないし誰も使ってない無線の周波数があって、そこにモールス信号がきたの」
「モールス信号?」
「そう、平和達を助けて指揮官、コーカサスよりって」
「行き先はコーカサス地方か?」
「ううん、太平洋のどこの国にも属さない場所だよ」
そう言って地図を表示させる。
「あの人が独自に持ってる回線で、あの人が知ってる人間という可能性があるか」
「姉御また意識ぶっ飛んでたし、どっか行ってたんじゃね?」
そう言ったセツくんに、私は否定できない、と思う。桜くんはその辺り聞いといてくれ、と告げた。
「到着まで時間があるなら、色々用意してくるから、お前達で苗字の話を聞いておけ」
「イエッサー!」
と、私達は桜くんを見送った。ちなみにその推測はビンゴで、恐らくそこで知り合った人がヘルプを送っているらしい。道連れはヘイティさんである。ヘイティさんはナマエちゃんには激甘なので、その辺りで恐らくは選んだんだろう。
「状況は?」
桜くんが戻ってきた、と思ったらジョンさん来たんだけど。デイヴィッドも心配そうにこちらをみた。は??と思っていれば、桜くんが肩をすくめた。
「嬢ちゃんは口止めされたが、俺はされてない」
「……それはそう!」
「あと、巻き込まれてこの世代にキレられるのはゴメンだ。俺もたまにイーライやウルフに対してはやったが、慣れた人物がやった方がいい」
「それもそう!」
「え、俺やってみたかった!」
「お前は賑やかし担当でいろ」
桜くんはタブレットを叩きながら、私がした説明をした。使われてない無線?と聞いたジョンさんに周波数をいえば、彼は目を瞬いた。
「懐かしいな」
「知ってるんですか?」
「ボスの元にいた時、2人で使っていたものだ。そのあとは……まぁお互い別の場所にいたから、生存確認用だな。たまにアイツからコールバックがきた」
おああ。例の作戦の時使いました?と桜くんが躊躇なく聞いた。ああああ。ジョンさんは、「俺はな」と告げたが。
「そもそも俺が毎晩コールしても、アイツが返してくるのは10回に一回くらいだ。寝る邪魔をするなとキレられたことがある」
この人やっぱ豆というか細かいんだよな。ナマエちゃんは任務に対しては細かいが、そういうところが結構雑というか大雑把というか、マメではない。
「そのあとは……二度なった」
ジョンさんはそう言って目を伏せた。
「俺がバンダナを捨てた時とーー俺が死ぬ前に目が覚めた時だ」
私は顔を覆う。ナマエちゃんいわく、こちらで目を覚ましてから2回だけ鳴らしてみたらしい。それがそのタイミングだったんだろうか。
「で、状況は」
「到着して潜入を開始しました」
私はそう言って状況を告げる。オウくんが世界中から集まっている情報をみて整理した。ナマエちゃんから通信が入ったりするたびに私はデータを解析する。
「ナマエ、俺にいうことがあるんじゃないか」
「……サチ?」
「あたしは言ってない言ってない」
「嬢ちゃんに誘われた俺が言いましたが?」
桜くんの言葉にナマエちゃんはため息をついた。
「一週間で治してソ連に来た男に何も言われたくないが、帰ったらデートでもしようか?」
「姉御それ死亡フラグ」
「悪い。これが済んだらきちんと療養する」
「俺に行かせればよかっただろう?」
「これは私が行かなきゃダメだ」
ナマエちゃんはそう言った。どうして?と聞いた彼に、彼女は平然とつげる。
「あの子たちに約束したからだ、助けに行くと」
「……」
「今度は約束を破ることはできない」
「そうか」
「帰ったらジョンとデートするから帰る」
「だから姉御それ死亡フラグ」
「死なないようにサポートしよう」
と、いうことになった。


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この人マジで映画みたいなことたまにするな。助けに行く手前で敵に遭遇しーー彼女はコートを脱いで視界を覆うと早撃ちでしとめた。また現れた敵に彼女は変な場所に撃ちーー跳弾で相手は気絶した。まぁ彼女に支給される弾は殺傷能力はなく、所謂スタン用の弾だ。近くに他の敵の反応はない。セツくんが興奮したように叫び、桜くんとデイヴィッド、イーライはオセロットさんをみて苦い顔をする。オセロットさんと同じことをしてるからだろうか。ナマエちゃんはそのまま捕まっている人たちをみて、口を開く。
「待たせたな」
これは初恋待ったなしでは??私はそう思いながら画面をみた。電子ロックをサクッと開けた彼女にたいして、金髪の女の子が抱きついた。ナマエちゃんはそれを受け止めて、くるりとまわした。銀髪の男性がため息混じりで告げた。
「本当にな」
「全員無事か?」
「無事に見えるのか?婆さん、視力が落ちたんじゃない」
婆さん。私は繰り返す。周りも繰り返す。ナマエちゃんはケラケラ笑って、「ヨハンは無駄口を叩けるくらいには元気なことはわかった」とつげる。こちらがコールをかければ、彼女は無線に気づく。
「ナマエ、合流できたか?」
「ああ。だが、人数が想定より多い。連れ出すのは一苦労しそうだ。色々あるからもう少し調べたいところではあるが……」
「それは後で誰かを送ればいい。優先は救助だ。フルトンは?」
「想定より多くは持ってるが、足りない。私がフルトンで回収された方がはやい」
「わかった、エイハブの部隊が近くに停泊した。ピークォードとモルフォがいる。ヘイティも待機しているなら彼の力も借りよう。他を回収しだいお前を回収する」
「ありがとう」
そう言ったナマエちゃんは彼彼女らをみた。
「今から脱出ポイントまで移動する。君たちをヘリ輸送し……まぁしばらくは船旅にご同行願おう」
「銃をお借りできますか」
そう尋ねた女の子に、ナマエちゃんは首を左右にふった。
「いいや、それはできかねる」
「なんで」
「理由は二つある、が、理由を話す時間が惜しいし、私の推測でしかない」
ナマエちゃんはそう言うと、ヨハンと呼んだ青年をみた。
「歩けるな?」
「歩ける」
まぁ、しばらくしたらエイハブさんが合流して、別のポイントで帰還させた上に、ナマエちゃんはそこの施設を荒らせるだけ荒らしてデータも私たちに送った上で消去などなど手配した上で、フルトン回収されたのだが。

ちなみに後日、そこは警察に摘発されることになる。


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「貴方は療養中のはずですが」
「今日も元気だが?」
「今はね。貴方の旦那や家族、部下に泣きつかれるのは俺です。3ヶ月間、ひどい空気でしたから。金輪際やめてください」
「善処はしよう。で、検査の結果は?」
「送った通りです」
「医者としての意見が聞きたい」
「怪我はありますが、何か後遺症が残る範囲ではありません」
「……」
「検査の数値、スキャン結果などをみても、医学的には彼らは普通の人間です。特に数値が悪いものもいません」
「……そうか。それを聞いて安心した」

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「ヨハン、シキ、アンダーソン、ちょっといいか」
そう言って顔を覗かせたのはナマエさんである。コンテナ船と聞いてはいたが、まさか病院のような設備があるとは思わなかったし、こんなに穏やかな海の旅は初めてとも言っていい。他の面々もあんな環境にいたからと検査をうけてーー今だ。アンダーソンの調子は良さそうである。
ーー夢かと思った。あの世界の時のことは、全て。意識を失った俺がみていた、ただの夢だと。でも、ラピ達や彼らがきて急に現実感が出た。俺もよくわからない状態だった。
「さて、君たちにはいくつか話さないといけないことがある」
「だろうな」
「君たちがあった私と、今の私は厳密に言えば別人だ。体は」
彼女はそう言った。体は?と告げたアンダーソンに、彼女は続ける。
「あちらでは……パラサイトセラピーの結果、悠に100歳は超えていたわけだが……私はまだ二十代だ」
「……どういうことだ?」
「ヨハンはD-waveに関することを知っていたか?」
そう尋ねた彼女に、俺は軽く手を挙げる。
「俺が教えた。ちょっと一部いたから……」
「あそことは異なる世界を観測したラプチャーにより、異なる世界の記憶がある人間が作り出される、だったか?」
「あぁ。その異なる世界だと思ってくれるのが一番はやい。前提としてそうだと記憶してくれ」
「前提?」
「この世界の人間は、どういう条件を満たしたらかはわからないが、事故や事件などが原因で意識を長期間失った場合、ごく稀に意識だけを他の世界のーー『死ぬはずだった』自分に移らせることがある」
ナマエさんの言葉に、俺は息を詰める。
「私は最近3ヶ月ほど意識を失っていたから、まぁそれで君たちと会ったり色々したわけだ。向こうで死んだらこっちに意識が戻る」
「だが、俺たちはそうじゃないだろう」
「ヨハンとアンダーソンはな。恐らくシキはほとんど記憶がなくてもーーこちらの世界の人間のはずだ」
「……わかるのか?」
素直に俺がきく。彼女は「君だけ国籍も戸籍もある」とつげる。
「さて、そういう風に飛んだことがある人間は、そこで関わった人間を無意識にこの世界に引き寄せる力がある」
「え、俺のせい!?」
「いいや、あの施設の概要をさらったが、君がそうである可能性に目をつけて君を攫っている。君の場合は恐らく科学な的力が作用した結果だ。大所帯をこちらに招く鍵とされたわけだ。最近そう言ったことが多々増えてきている。こちらにない技術がほしい、こちらにない技術を補填する、もしくは世界をひっくり返す戦力として欲しいか、理由を探せばどれかに行き着く」
「ニケの技術を?」
「恐らくはな」
彼女はそう言って肩をすくめた。
「ここからが本題だがーー」
「まだ本題じゃなかったのか?」
「あぁ。この世界に来た異世界の人は、人間に戻る」
彼女はそう言ってまっすぐに俺たちをみた。
「記憶はある。身体能力も普通よりは上だろう。だが、普通の健康体の人間だ」
俺は目を見開く。
「アンダーソンも普通の健康体であるし、ヨハンも人間に戻っている。まぁそれは君たちが一番よくわかっているだろうが……」
「ーーニケ達も?」
「あぁ、彼女達もまた人間だ。人間じゃなかったら今の私じゃピースを抱き上げることはできかねる」
「ーーお前が銃を渡さなかったのは」
「普通の人間だからだ。そうであることを自らの意思で選んでいない『普通の女の子』に私は銃火器を渡すことはできない」
彼女は優しく笑みを浮かべてそう告げる。
「この世界の事情を色々学んでもらう必要はある。が、学んだ後は好きに生きていい。国籍や戸籍はなんとかできる。犯罪に染まらなければ好きに生きてくれ」
「…………」
「各自元ニケ達の伝達は各々に任せる。一週間もすれば私の拠点に戻るから、君たちはそこまで養生してくれ。今後のことは一週間後また話そう」
そう言った彼女はひらりと手を振って歩き出す。途中で、どこから来たかわからない女の子がコラーー!!と彼女を叱ったが。
「コラーー!!マミーー!!!!基地で安静にしてなきゃだめでしょ!!!」
「そーだそーだーーー!!」
「いいぞ、ライク、アマナ、もっと言ってやれ」
「私は今日も元気だが?」
「言ったな?」
「……。……いや、ちゃんと休む」
「うむ!よろしい!」
「よろしー!!」
「おい、さっきまでの威勢はどうした」
「さて、ライク、アマナ、新しいお友達を紹介しよう」
「おい」
「しつこいぞ、ジャック」
そんな会話が聞こえーー話していたと思われる男性がこちらをみた。来た男性とよく似ている気がする。
「お前たちもよくわからない状況で疲れただろう。とりあえず休んで考えを落ち着かせた方がいい。食堂に行けばコーヒーか何かをもらえるはずだ」
明るい声でそう言った彼は彼女に続いていく。ヨハンが俺を見る。アンダーソンも俺を見る。俺は、あ、はい、と覚悟をきめる。
「説明しろ」
「あ、はい……」

迷うことはなく、俺はみんなに話した。まぁ俺のことは置いておいて、異世界であること、一方通行であること、ニケでなくなっていること、エクセトラ。恐らくは他もそうなんだろう。俺たちは考えなくてはならない。これからを。


==


隻眼の男性にはちあった。いくらかラフな格好をした彼は、俺をみて「よく眠れたか?」と尋ねる。俺はおかげさまで、と、頷いた。
「ええと、貴方は……」
「ジョンだ。もう1人似ているのは親類のエイハブ」
そう言って手を差し出した彼に、俺も手を差し出し握手をする。


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