ネタ帳vol.3
2025年ネタ帳165:君僕主たちは会っているのでは……?
08/12 16:46
ちょっと待ってほしい。デイヴィッドに聞いたジョンと呼ばれる彼の休み。毎年数日間休みをまとまってとって、どこかに行っているらしい。旅行といえば聞こえがいいが、行き先は帰ってきてからしかわからず、連絡も取りにくい。その過去の行き先、日程を聞いて私は動きを止めた。もしかしてだけど。もしかしてだけど!聞いた行き先は確かナマエ先生も行っていた場所である。彼女もまた休みをまとまって取り、旅行に行くことが毎年に一度あった。行き先はまばらであるが、どこぞのクルーズ船などに乗っていた気がする。その立ち寄り先にデイヴィッドがあげた国はあった。今年も行くと言っていて、その日程はみごとに被っている。
ーー私たちは会ってないと仮定している。
同じ世界の記憶を持つDDであっても、彼女に批判を向ける人は多い。何より彼女の養父がアメリカや彼を毛嫌いしているのもあった。彼女は徹底的にアメリカ支部には秘匿されていた。アメリカ支部にやってくれば、彼女は一部の人には探されているものの、最近ではいないのではないかと諦められている節がある。私も言わないように念押しされているため、変には言わない。が、できれば2人にあってほしいな、と私は思っていた。だって、彼彼女らもきちんと話すべきだと思ったからだ。
でも、実は会っていたとしたら?
2人だけで。秘密に。お互いがどこにいる誰ににも利用されないように。もう同じようなことが起きないように。
それを私は邪魔するなんてできないわけで。いやこれはただの推測だけど。
「でも、ジョンさん普段結構休みなしで働いてるんでしょ?文句は言えなくない?」
私はそう言ってコーヒーをのむ。デイヴィッドは私を見て、少し笑うと相変わらずポーカーフェイスが下手だな、と告げた。
「何か知ってるのか?」
「いや知らないけど、休みにどこいたかなんて誰にも突っ込まれたくないじゃん。デイヴィッドも私やオタコンに無理矢理連れられてどこかに行ったこと教えたくないでしょ。たまに1人で部屋にいる時とか」
そう言えば彼は口を真一文字にした。私も下手かもしれないが、デイヴィッドも人のことは言えないと思う。
「そういうことだよ、そういうこと」
と、言っていたんだけどなぁ、と、私は頭をかかえる。なんで。いや今までこうなってなかったことが奇跡だったのかもしれないけど。
多分占拠されているクルーズ船に2人はいる。私が事前に聞いてた船がそれである。長男がいない時に、とぼやいたデイヴィッドには悪いけども、その長男は件の船に乗っていると思われるのだ。これどうしたらいいんだろ。中にいる人に情報を送るにも守秘義務的にアウトである。
休憩、と言われたので、私は資料を持ってとりあえず外に出た。飲み物を飲んで思考を落ち着かせた方がいい。いやこれ。これ……デイヴィッドに……いやこれはオセロットさんの方がいいか?と私はぐるぐる考えながら缶コーヒーを買う。そうすれば、デイヴィッドが私を追ってやってきた。
「サチ、お前どうした?」
「デイヴィッド、ごめんちょっとこっそりオセロットさん呼んできて」
「は?」
「いやごめん、ほんとにごめん、私あのメンツの中に割り込む勇気はないから」
と言いつつデイヴィッドに缶コーヒーを渡す。彼はそれを見てため息をつくと、しぶしぶそちらに向かった。
しばらくしたらオセロットさんを連れて戻ってくる。「どうした?サチ博士」と言った彼は美丈夫である。が、そんな感想をのべるような今は時間がないわけで。
「あの、私の知り合いが恐らく例のクルーズ船に乗ってるんです」
「君の知り合いが?」
「はい。たまに旅行に行く時とか留守にする時にどこにいるからねっという連絡がきたりするんです。去年だと7月2日から7月21にちとか、一昨年だと8月5日から8月25日とかに。今年はちょうど今で、あげられた船名が同じものでした」
「内部情報の提供者になりうる、ということか」
彼はそう言って私を見た。それはそうなので、頷く。
「そのクルーズを楽しんでいる人はどういう?」
「あー、えっと、小児科医です。難民キャンプや戦地にいったり、私たちみたいな子供や、戦争孤児とか元少年兵の面倒をみてます」
「戦闘経験は?」
「あると思います」
「そうか。では遠慮なく作戦に組み込まさせてもらおう」
と、告げて去ろうとした彼の腕を掴む。おっと、と告げた彼に、デイヴィッドがさらに何とも言えない顔をした。
「意外に激しいな、お前は」
「いや、あの、話には続きがあってですね……!これは多分オセロットさんだから話していいかなと思うんですが」
私がそう言えばデイヴィッドがまた不機嫌そうな表情をしーーオセロットさんが私を見下ろした。
「何だ?」
「ちょっと待ってください」
私はスマホをさわる。ナマエ先生の写真めっったにないから。でも数年前のがあるはずだ。と、見つけた写真を彼にみせる。彼は目を見開いてーー私を見た。
「彼女をどこで」
「その小児科医の先生です。で、ですね。私がさっき言った日付を思い出してもらって……いや、もう一回言いますね。去年だと7月2日から7月21にちとか、2年前は8月5日から8月25日、3年前は9月10日から9月24日。彼女旅行に行くんです。貴方も覚えがあるでしょう」
と、いえば、彼はすぐに思い当たったらしい。すぐにハッとした表情を浮かべて私を見た。
「一緒にいる?」
「確信じゃないんです。確信じゃなくて私の予想なんですけど……!!ついでにいうと、小児科医の先生は私の出身支部でこちらの支部に黙っとけ圧がすごくて、あの、ですね!オセロットさん器用だからいけるかなって!」
「わかった。博士からの情報は俺が丁重に扱う。ジョンと先にコンタクトをとる。そちらから医師に連絡は?」
「独自の回線持ってるのでいけるんですが、先生にお世話になった人が全員聞ける!読める!なので、ヨーロッパ支部とかにも筒抜けになります」
ちょっとした教え子トークルームみたいな感じである。そう言えば彼はちょっと何とも言えない顔をした。
「アメリカは除け者か」
「いや多分先生を利用されないためのセーフティだと思ってるんですけど」
「それはそうだ。そちらからでも仕方ない。連絡してくれ」
ちなみに多分私が作らされたもう一つの回線はあれだ。今思えばジョンさん専用っぽいな。
「いやまて、長男はこの期間連絡がとれないんじゃなかったか」
「周りはな。さて、デイヴィッド、お前がお呼びになる可能性は高いぞ。博士、名や容姿を伏せて情報提供協力をしてもらうことにはなる。その連れは、ただの『その連れ』だ。許可をとってくれ」
彼はそう言ってひらりと彼は曲がり角に消えた。デイヴィッドはため息をついて私をみる。
「日本支部とかややこしそうだが、大丈夫そうか」
「最悪デイヴィッド匿って」
「オタコンにも言っておこう」
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とりあえず教え子ラインに投げたら、周りが盛り上がった。やめろ、先生が過去にいくら危機的状況に陥ってもアクション映画さながら5体満足帰還しててもお祭り騒ぎはやめてほしい。わざわざ18歳以上がいる方に投下したのに。私は!先生と!話したいの!と、思っていたら、普段あまりトークルームに投下しない(だが既読になるのをみると律儀に確認はしてる)イケメンのヨハンさんが静かにしろと投下した。それで盛り上がる周りに、お口にチャックしろ、と彼は再度投下する。これで黙るのがまた。状況は?と聞かれたので、アナウンス表示されてる休みの期間中であること、先生がクルーズに行く予定だと聞いていたことを投下する。アメリカに近いからアメリカがうごくよ!先生が信頼できる山猫さんに相談して、先生とその連れを匿名情報提供者として扱いたいなという旨を書いておいた。すると、先生が既読になった。匿名情報提供者、了解、と返ってくる。書かれたのは無線だろうか。
従業員用の無線だ。船内では使える。クルーズ内は人質がいる、部屋に閉じ込められてはいるし怪我人は多少いるようだが、今のところ死人はいない、と書かれーー。
まぁいつもの選ばれた人間だと錯覚したDDのテロだ、と書かれた。そこからは早い。情報のやり取りが、ヨハンさん(ヨーロッパ支部)と桜くん(日本支部)と私(アメリカ支部)、ナマエ先生(クルーズ船内)になるからだ。山猫の件は日本支部の上層部には黙っておく、山猫が一番マシと書かれ、先生が叱ったが。先生からの情報をざっとみてまとめ、最悪の場合ヨーロッパ支部がスタンバイしてることも合わせて私はオセロットさんにその情報を持っていく。これだけあれば充分らしい。まぁ、潜入デイヴィッドに私も巻き込まれるのだが。
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はわわ、先生が一貫して敬語キャラになってる。キャピってしてる。それに加えて年下設定をしている。はわわ。可愛い。聞いてると先生ってわからないかもしれない。声がワントーン高い。
「はい、無事です。これでも医師団としていろんな場所に行ったことがありますし、多少は護身術の心得もあります。何と言っても、ヒグマみたいな方が一緒にいてくださってるので私はしばらく大丈夫そうです!」
ヒグマ。確かにヒグマっぽい。デイヴィッドがだまる。いや誰かわかってるからだろう。彼女の言葉にオセロットさんが、眉間の皺をほぐすふりをして顔を伏せた。絶対笑ってるよアレ。と、思っていれば、ザボスと呼ばれた彼女が目を見開いているのが見えた。一瞬だけ。彼女は口を開く。
「貴方は本当に大丈夫なのね?」
「はい。ご心配ありがとうございます、お会いしたことがない方。私は今日も元気ですか、ら!」
……多分蹴り入れたな。
「……もう少しお話ししてみたいところですが、ヒグマさんが交戦し始めたので、一度通信を落とします。ヒグマさんと新しくきた潜入員さんと合流して団結してみましょう!Sok lúd disznót győz!オーバー!」
と通信が切れる。可愛い、となってるカズさんに私もうなずく。先生のあの敬語キャラ可愛いすぎる。ちなみにそのあとも、的確な情報提供とともにナマエ先生が「ヒグマさんが『後でお話が』って言ってました」とか「合流したらヒグマさんが二匹になってしまいました、以後グリズリーとアラスカヒグマってよびます」とか飛んでくる。可愛い。どっちがグリズリーでどっちがアラスカヒグマなのかは……まぁわかるか。そんな中、結構サクサクと制圧などはできているらしい。
「お嬢さんは小児科医だったか。どちらの学校で?」
「日本です!」
「年は?」
「アラスカヒグマさんくらい?」
と、彼女はつげる。可愛い〜〜。なんか叩く音がした。これ多分ジョンさんが多分実年齢に関する茶々入れて殴ったな。デイヴィッドが虫がいたな、と流したが。まぁのらりくらり嘘と本当を混ぜて彼女はゼロ少佐の問いかけをかわしている。ハンガリー語のこととか。まぁ彼女は世界を転々としてるのは事実だし、調べるにも時間がかかるだろう。
「ふふ、知りたがりさんには日本のコミックにでてくる台詞を教えてあげましょう。友達に教えてもらって、一回言ってみたかったんですよね」
彼女はそうクスクスわらう。
「A secret makes a woman woman。まもなくヒグマさん達が交戦します。Over and OUT」
通信がきれる。
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