ネタ帳vol.3

2025年ネタ帳200:君僕主とif軸息子ズ

08/12 17:12 
ナマエちゃんの後ろにいるのは中学生くらいの男の子である。誰だろう?と思っていたら、その後ろにいた男の子はすいませんすいませんと頭をさげ、さらに後ろにいる女の子はあたりを見渡している。……。誰かに似てる気がする。
「いや、気にしなくていい。上階に大浴場があるから行ってきなさい。服は……私の服でまだいけるか。サチ、悪いが女の子の服借りてもいいか?多分君のサイズの方がいい」
「いいよー。一着で大丈夫?コンビニ走ろうか?」
「いや、道すがらよった。ありがとう……逃げないからゆっくりあったまっておいで」
ナマエちゃんがそう言えば四人は頷いてそのまま大浴場に向かったが。なんかナマエちゃんに似てる、気がする。しまったエレベーターを眺めてからーーナマエちゃんは頭を抱えた。珍しい反応である。彼女は特大なため息をついてから、椅子に座るとーー珍しく「ジョン」とジョンさんを呼んだ。
「どうした?」
「前のアレあったでしょ」
「前のアレ?あぁ、アレか」
「なんでか知らないけど来た」
「は?俺たちみたいに、か?」
「そう」
「見たことないぞ」
「ジョンがいないからジョンは会ったことないのは当たり前」
ナマエちゃんはそう言ってまた顔を覆った。誰だあれ、と再度聞いた彼にナマエちゃんは顔を上げた。
「息子」
その言葉に私たちは戦慄する。え、は、ナマエちゃんの息子!?と驚いていれば、私たちをまるっと無視してジョンさんが口を開く。
「そっちのリキッドとソリッドか?」
「そう」
「名前は?」
「ウィリアムとルーカス。明るい茶髪がウィリアム、暗い茶髪がルーカス」
「父親は?」
「君」
「なんで俺なんだ」
「知るか。ゼロを父親にしたかったらしいが合わなかったらしい。適合を探した時にダメもとが君だったとは人伝に聞いた」
「あとの二人は?」
「お友達だ」
そう言った二人は黙る。そうして、ナマエちゃんが珍しく机に伏せた。
「ジョンがあんなことするから」
「お前がやったことをしただけだろう」
「そうだな、そうなんだ、けど……」
「仲悪いのか?」
「いや、あの四人で動いているから仲はいいはず。仲良くしろと釘を刺しまくった。君たちから話を聞いといてよかった」
「ソリダスは?」
「ジェーンは私の娘だ。私より賢くて私より上品。いや本当に……子供とジェーンはいい」
「何が」
「あの子達は可愛いし、罪はないから。君は私の仕返しもわかる。エイハブもいい。彼は優しいし頼れる男だ」
「そうか」
「問題は他なんだよなぁ」
ナマエちゃんはそう言ってまた顔を覆った。なんとなく話の筋が読めてきた、気がする。
「カズか?」
「カズは……カズは、友達だったんだ」
「あぁ」
「弟みたいな感じで可愛かったし、気さくだった」
「あぁ、そうだな」
「でも、なんだろうな、いつからかわからないがそれがずれて……アンタが手に入らないから仕方ないだろ?って言われた」
「おい待てなんだそれ」
「待って待ってナマエちゃんそこ詳しく教えてほしい」
マスターミラーと同時に私も口を開きーー私はナマエちゃんのとなりにすわる。デイヴィッドが止めたが、こちとらマブダチの危機じゃい、と返した。
「えーと、話を要約すると、ナマエちゃんがビッグボスになった世界線ってことだよね」
「そう」
「だから、ビッグボスに起こったことだいたいナマエちゃんも経験済みってことだよね」
「うん」
「拗らせてた?」
「私が?」
「いや、周りが。だってナマエちゃんジョンさん一筋でしょ」
「うん」
そう頷いた彼女に、私はとりあえず、周りに今から聞くのif!if世界線!言うなればバーチャスミッションの世界線だから!!と宣言してからまた座った。とりあえず私は彼女に話を聞くことにする。
「恋愛感情拗らせた周りによる被害者なんだよなぁ……」
が、話を聞いた結論だが。
貴方がいれば問題ありません系オセロットさん、貴方は私のヒーロー系エヴァさん、俺のものにならないならいらない系マスターミラー、閉じ込め監禁系少佐、エクセトラ……。ヤンデレのオンパレードかな??流石に引くわ。子供できない体質になってて良かったがホラーなセリフすぎる。
「まぁ、一番のホラーが理由聞いた途端だまるガヤなんだよなぁ」
「こら、カズさんとアダムスカはそんなことしない。あっちがちょっと困ったさんだっただけだ。な?」
「しません」
「しない」
「ナマエちゃんはジョンさんのそばにいた方がいいと思う」
「うん」
ナマエちゃんが素直に頷く。ジョンさんがなんとも言えない(というよりちょっと怒った)顔をしてたが、私の言葉に「あぁ」と告げた。ナマエちゃんは服とか置きに行くのも律儀についてったけど。


しばらくしたら上がってきたらしい二人がダッシュしてきた。いる!と確認した二人に、髪は乾かせ風邪を引く、とナマエちゃんは注意する。
「確認しないとすぐいなくなる」
「髪は自然に乾く」
おお、年相応少年ボイス。ナマエちゃんはため息をついて二人をて招くとそのまま二人にタオルを被せた。ふふ、と笑った彼女はさっきのダメージが受けた感じはもうない。大人しく髪を乾かされている。素直だ、と私はデイヴィッドとイーライコンビをみる。めっちゃ顔顰めてるけど。
「お友達は?」
「おいてきた。エマを待ってくるって」
「エマ・エメリッヒ博士だったか?」
ナマエちゃんの問いかけに私とオタコン、デイヴィッドは目を見開く。今なんてーー。彼は頷いた。
「ああ。肝が据わった女だ。シャドーモセスからずっとついてくる」
「女の子にそんなこと言わない」
そう言って小突いたナマエちゃんに、少年はまた口を閉じる。
「母さんそれはルーカス的には褒め言葉だから」
「エマはたいへん……」
「たいへん?」
「精神が逞しい女……?」
黙ったと思ったら褒め言葉をさがしていたらしい。可愛いなこの子。と思っていたらエレベーターから降りてきた女の子が周りに目を向けずにズカズカ歩いてくる。本当にエマちゃんである。少しだけ幼いけど。
「誰が精神逞しいよ!!たいがい貴方達のせいでしょ!!」
わかる。めちゃくちゃわかる。
「貴方達が、やれどこぞのやばいページさぐれ!だとか!戦場とか!テロとか!おかげさまでテロリスト扱いされて離脱できなくなった!」
「おいおい、エマ。それはルーカスだけだ。君は、すでに、FBI、ブラックリスト」
「それはアンタもでしょ!」
「そもそもナオが悪い」
「あぁ、ナオが悪いね」
「そうね、ナオが悪い」
「昔から思ってたけど、お前らの最終的に俺のせいムーブすんの何?いやだいたいそうかもだけど。ああ、えっと、にどめまして、ボス」
「ナマエでいい。君と会うのは3回目だ。君が小さくて覚えてないだけかもしれないが。ナオもエマもこの子達がお世話になった」
「はわわ」
そう言った彼は固まった。はわわわ、クソガキの俺を覚えてらっしゃる、らしい。
「あれ、名前……?」
「知ってる」
「もしかして私CIAに目をつけられてた?」
「君じゃなくて君の父親だ。君の一族は何かと目を引きやすくってな。君が生まれた話は聞いたんだ。君のお兄さんが子供の頃にあったことはあるが、君とははじめて。よろしく、エマ」
「はい!」
「さて、事故で亡くなったお兄さんとそっくりな人がいる。先に紹介しておこう」
ナマエちゃんはそう言って彼女の視線をオタコンの方に向ける。
「彼はハル・エメリッヒ博士。もしもの世界の、君のお兄さんだ」
ナマエちゃんのセリフに、エマちゃんが目をまんまるに見開く。
「君の世界じゃ、ヒューイは君のお兄さんを巻き添えにしたが、彼の世界ではヒューイは君を巻き添えにした」
それは彼女に向けた説明だと思うけれどーー私たちも理解した。といっても、私とオタコン、デイヴィッドだけかもしれないけど。
「並行世界のお兄ちゃんってこと?」
「そうだ」
「待ってくれ……エマがシャドーモセスに?」
「こちらではそうだ」
「そんな、まだ幼い子供じゃないか」
「そうだ。父親に連れてこられたようだが……父親は助からなかった」
確かルーカスくんがそう言って足を組んでナマエちゃんのとなりに座った。
待って待って、ええっと、ってことは、ヒューイさんがオタコンと死のうとして、ヒューイさんは助かったってこと!?ナマエちゃんは多分把握してたんだろうけど。オセロットさんとカズさんが「あのギーク」と小さく呟く。
「悪い、もっとはやくに君たちの保護に走るべきだった」
「……それは……うん、いいの。それに多分、貴方のそばにいた方が危険そうだし、嫌だったわけでもないの。お兄ちゃんが増えたみたいだったから」
エマちゃんの言葉にナマエちゃんは、そうか、と言って笑うとハグをした。頑張ったな、と告げて。それをみてーー私は原初の蛇を思い出す。
「慣れてない君には怖かっただろうに」
「……平気よ、平気。だってみんながいるもの」
彼女の言葉にナマエちゃんは離れた。
「本当に?」
「……ちょっとだけ怖かったのは怖かったけど……ウィリアムとルーカス、おまけにナオがいたしね」
エマちゃんの言葉に、「おまけに、ってなんだ、おまけにって」とナオくんが告げる。そうか、と少し困ったように微笑んだナマエちゃんが完全に離れた後、小声で「ナオ、やばいよ、ナオ。なんかいい匂いするし、あれはイケ女だよ、数多くの男女を落とした実績がある人だよ」と訴えていた。笑った。私やオタコンと同類である。
「並行世界ってまぁ映画みたいだけど、実際に映画みたいなことが起こってるからほっといて、ザックに似てるのは並行世界のザック?」
ウィリアムくんがそう尋ねる。ナマエちゃんは違う、それはあっち、とエイハブさんを指差した。なるほど、ザックという人がエイハブさん位置だったらしい。
「ウィルにわかりやすく言えば、こっちはたった一つの私の対極」
「……まさか、鏡面の先?」
「そうだ。あの時君が会いたがっていた本当のお父さんだ」
ナマエちゃんのセリフに、ウィリアムくんはジョンさんをみると、マジかよ、と告げた。
「マジでアイツと似てんのかよ」
彼はそう言って胸ポケットから二枚の写真をとりだす。一枚は古い写真だからか黄ばんでいて、もう一枚は破いた写真を貼り合わせた感じではあるが。
「いやでもアイツは目の色が違うのか?……身長もちょっと違うか?……写真がセピアだからわからない情報が多すぎる。……いや、でも……」
彼はそういうと、すん、と鼻を鳴らす。そうして、ふは、と息を吹き出した。
「はははは」
「おい?」
「母さんしかわかんねーはずだよ。そんな情報の最後のひとかけ、この人と長く接してなかったらわかんねぇって」
彼はそう言ってケラケラ笑う。ナマエちゃんも、ふは、と息を吐く。
「バレちゃったか」
「あぁ、わかった。本物はかすかに葉巻の匂いがする。あー、長年の謎がわかってスッキリした、」
そう言って伸びをした彼は、ジョンさんを見上げて、アンタが生きてたら、と口を開く。
「俺はアイツと別の出会い方して別の終わり方だったんだろうけど……まぁそれはそれ、これはこれ。残った事実が結果だ」
「……そうだな」
ナマエちゃんはそう言って目を伏せて、くしゃくしゃと彼の頭を撫でた。まぁもう片方は黙ってるルーカスくんの頭にむかい、同じように頭を撫でーーそのままハグした。ごめんなさい、と告げたのが聞こえる。
「そうだな、アンタは悪い」
「ルーカス」
「だが、アンタの周りがもっと悪い。そばにいるのが気に食わないというのが事実なくせに、もっともらしい理由をつけてウィルにアンタの唯一の味方だった男を殺しに向かわせた奴が、戻ってこないことを嫌ったくせにもっともらしい理由をつけて俺にアンタを殺しに向かわせた奴が、アンタを丁寧に蘇生させて閉じ込めた奴が、アンタを崇拝した奴が、アンタの考えを読んだふりをして変な動きをした奴が、もっと悪い」
言ったルーカスくんは少しだけ体を離して口を開く。
「アンタは味方が少なすぎだ。俺より友達が少ないんじゃないか」
「……困ったな、言い返す言葉がない」
「……仕方ない。俺たちが味方になってやる。形がどんな形であっても家族は助けあった方がいいってのは……家族を名乗ってくれなかったアンタが、最初に教えてくれたことだ」
あああああ。私は顔を覆う。それマジでこちら側の道筋を知ってるナマエちゃんの釘刺しすぎる。もしかしてだから二人は一緒にいるのかもしれない。ナマエちゃんはもう一度思いっきりハグするとーー顔をあげた。まぁいつもの私たちに見せる表情であるが。
「養う」
「おい」
「こんないい子たちを放り出せるわけないだろう。デイヴィッドとイーライ、ジョージだってこのくらいの歳なら当然養って……」
ナマエちゃんはそう言ってから、いや今も養ってるに近いか……と呟いた。そのあたりの生活費問題は謎が多い。マジでどうやって生活してるのかが謎。一定の謎の給料でるし。
「あの金の出どころはお前か」
静観してたデイヴィッドがそう尋ねる。
「お前あれなんだ?」
「……」
ナマエちゃんは黙る。なんで黙るんだこの人。




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