ネタ帳vol.3

2025年ネタ帳204:if軸に飛んだ君僕主は思い当たる

08/12 17:13 
あぁ、そう言うことか、と、腑に落ちた。私によく似た妹の存在も、別の妹の赤いベレー帽も、末の妹がどことなくジャックに似ていることも。弟達が私を守ろうと躍起になっている理由も、彼らが総じて私を母と呼ぶ理由も。ただそれぞれどちらの世界かは私にはわからなかった。いや、おそらくはーー今の状態で面識のない真ん中の妹と末妹はジョンが生きている世界の出身に違いない。ここにいるカズも、オセロット、エイハブもそちらだ。代わりにいるのが、私の知るエヴァとパス、クワイエットだった。
ーーややこしいことになっている。思っているよりずっと。私は黙って口元にてをおく。だから父親達が私に護衛をつけろだなんぞうるさいのだろう。
まだ決定的ではない、から、大丈夫?だなんて声をかけたサチを見た。ジョン達に聞くべきじゃない。聞くべきはこの子達である。
「サチは、ウィリアムとルーカスという名前に心当たりはある?」
私の問いかけに彼女はうーーん、と考えた。特にない。それは他の二人も一緒だ。やはり、ジェーンもない。じゃあ。
「ライクとアマナは?」
そう尋ねれば彼女は目を瞬いた。それは他の二人も同じだ。おそらく知ってる反応である。ということはやっぱりあの子達はジョン側ということになる。
ジョンの戸籍がどうなっているか調べた方がいい。ジョンとデイヴィッド、イーライ、ジョージしか兄弟はいないのか、とか、色々と。連絡も取らないと行けない。多分私が倒れたことは向こうに連絡がいってるはずだ。そもそもあれはーー。
私を狙ったもの、じゃ、ない。あれは私が庇っただけで。的確に、ジョンを、狙ったものだ。おそらく危害が及ぶのは私じゃない。周りだ。わかってた。だから日本に来た。一人で。友達なんてつくるものじゃない。だって、そうだ。いつも危害が及ぶのは私じゃない。私の周りだ。
「ナマエちゃん、どうかしたの?」
そう心配そうに見上げた彼女に、私は彼女を見下ろす。遠ざけないと行けない。姉御?苗字?と口々に私を呼ぶ。
「ーー引っ越さないといけなくなる。大学も辞める」
「え、なんで?」
私は困った顔をする。あぁ、だめだな、昔みたいになれそうもない。でも、巻き込みたくない。だから、正直に告げる。
「サチ、私がいると、君に、君たちに危険が及ぶかもしれない」
私はそう言って彼女の髪をよけた。
「どういうこと?」
「そういうこと。ここももしかしたら出た方がいいかもしれない」
「なんで?」
「なんでも」
私は手を離す。様子を見てたデイヴィッドが口を開く。
「理由くらい話せ」
「あれは、私と親しいジョンを狙った銃弾だった」
彼にはそれで通じるのだ。彼は案の定目を見開く。彼らの視線はジョンにむきーージョンは肯定する。
「ナマエが庇ったから俺は比較的軽傷だっただけだ」
「なんで?」
「いつもそうなんだ」
私は困ったように笑う。
「いつも?」
「うん、本当にいつも。五年間見つからなかったのは運が良かったかな。でも、まぁ、いつかは見つかるかなとは思ってたし、見つかってほしくないとも思ってたけど」
「誰に見つかったの?」
彼女は私を見上げて問いかける。
「私の方にいたーー私の古い友人、かな?ジョンの方にいたジョンの古い友人なら良かったんだけどね」
私はそう言ってまた困った顔をして笑った。
「友達?」
「私にとってはね。でも、彼にとっては違う」
「ナマエ!!」
そう言ってやってきたのはエヴァである。周りにいた彼らは目を見開いた。彼女はそれを気にせずこちらにやってくる。
「ナマエ!!聞いたわよ!!何馬鹿なことしてるの!!護衛を庇う馬鹿が……ここにいるわね」
そう言った彼女に、私は「仕方ないだろう」と告げた。
「思い出してないジャックだった」
私の返答に彼女は私をみて、目を見開いた。
「思い出したの?」
「残念ながらな」
そこで彼女はようやく周りを見てーージャックをみた。まぁ、オセロットとカズも見たが。すぐに敵意を見せようとした彼女を私はとめる。
「エヴァ、あの二人は違う。あの二人はジャックの二人だ」
「どういう意味?」
「混在してる記憶が……発表されてはない呼称はD.M.Hか。D.M.Hの中でも同じ世界だと思っているが、些細な食い違いがあるだろう」
「えぇ、あるわね」
「その原因だ。彼が偽装亡命するか、私が偽装亡命するか。それまでの役回りも違う。それから先も大筋は似ているかもしれないが些細に違う。だからあの子達の記憶が食い違うんだ」
私はそこまでいうと、息を吐いた。
「君がきたということは、ナイトクラウンがきたな」
「……ええそうよ」
「わかった。記憶を戻してすぐ出なかった私が悪い」
私はそう言ってサチを見下ろしーー肩に手を置く。
「君には……君たちには悪いことをする。私の事情に巻き込むことになる。が、必ず私が守る」
「……ばっちこい!!」
サチはそう言って私の手を取った。
「よくわかんないけど!!ばっちこーい!!危険は誰かさんのせいで慣れてる!!!」
彼女の言葉に、私は目を伏せる。
「そうか、頼もしい……オセロット、車の運転いけるな」
「ええ」
「桜、悪いがバイクじゃなくこっちの車に乗ってくれ。イーライ、デイヴィッド、ジョージ、エメリッヒ博士とサチを頼む。エイハブ、セツはこっちの車に乗れ。双方防弾仕様だ。途中で合流する二人乗りのバイク2台は味方だから撃つな」
「日本だぞ」
「そうだな、日本だ。一般車両に当てるな。問題になる。派手な運転は多少撮影だと勘違いはされるだろうから可」
「銃は?」
「車と一緒に地下にある」
私の言葉にエヴァはため息をついた。
「君はバイクだな」
「ええ、当たり前でしょ」
「怪我はするなよ」
そう言って髪にキスをおとす。彼女は満足げに笑った。
「しないわ、誰かさんに叱られちゃうもの。私は先に行くわ」
「到着は?」
「先回りしたけど、15分後にはくるんじゃないかしら」
「集合場所は?」
「飛行場よ」
そう言って彼女はレーダーをくれる。二つだ。
「準備がいい人は好きだ」
「ふふ、三つ持ってきて良かったわ。気をつけてね」
彼女は私にハグをした。
「情報は?」
「ナイトクラウンはpmcだ」
「pmc?」
「形式的にはな。私兵ということにはなってるがーー実際は特殊部隊出身が多いCIAのパラミリ出ばかりだ。すなわち、パラミリとの戦闘になる。細かいところは切り抜けてから説明する。5分やるから必要なもの持ってきて」
「退避予定場所は?」
「飛行機に乗って海外だ。親への連絡はうまくやる人がいるからとりあえずそのままでいい」
「地下ってどう行くの?」
「ここからしかいけない。ほら、はやくいく。時間がない」
そう急かせばみんないく。私はジョン達のパスポートとかだけを持っていく。
「さっきのは……」
「エヴァだ。美人だろう?」
そう言って私は肩をすくめる。
「君が悪いんだぞ、と言いたいが、それはまるっきり私に降りかかってくるな。だが……うん、腑に落ちた」
「何がです?」
「君が……喧嘩はしたが仲良しだったゼロはCIAにいる」
「……!」
「たまに牽制してくれたりするし、私を日本に逃がしてくれたのは彼」
「いるのか?」
「私が小さい頃にはすでにいた。まぁ、紳士的な謎のおじさんだったんだけど……まぁ彼に敵意はない。今思うとジョンと話したいとも謝りたいともいってた。そのうち会いに行くか?」
「……ああ!」
「まぁ彼はおいといて……私と仲良しだったがまぁ色々拗れたゼロはpmcを率いている」
「それがナイトクラウン?」
「そう」
「何故貴方に?」
「私に、じゃない。私の周りに、だ」
「余計になんでなんだ」
「孤独に漬け込む、私の意志を挫けさせる、優位な立場に立つことができるあたりか?」
「……?」
「昔、ジョンのことも何も知らない時に言われたことがある。私たちは一緒になる運命だとか、子供がほしい、だとか、そういうことだ」
私はそう言って肩をすくめた。ジョン達がめちゃくちゃ顔を顰めている。
「えっと……ジョンの代わりにナマエがいたということか?」
「そうなる。偽装亡命をしたのがジョンでーーヴァーチャスミッション及びスネークイーター作戦をしたのが私だ。それにともない、カズ、君を助けたのは君より年上のまぁ未亡人風な私だ」
「未亡人……!年上のお姉様……!?一つ屋根の下……!!うらやまけしからん」
「失礼ながら私はジョン一筋だから興味なかったんだが、まぁ、エヴァがオセロットとカズを警戒したのはそういうことだな。意志うんぬんとともに私が誰のものかで拗れまくってたってわけだ」
「……貴方に危害を?」
「君はいい子だが、ガラスの棺はもうやめてくれ」


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バイクがきてーー的確に射撃してバンのタイヤを破裂させる。ひゅう、と桜くんが口笛をついた。
「うまいなアイツ。リボルバーだろあれ」
「よくみろ、撃ったのは赤いマフラーの女だ」
イーライさんの台詞に桜くんはそちらをみる。
「おいまさか山猫フリークカタコトお姉様か?」
「多分な」
「山猫フリークカタコトお姉様?」
「兄弟達は会ったことはない。兄弟がFOXHAUNDに入った頃には死んでるらしいからな」
「……本物か?」
「おそらく……いや、確定だな。あとでしばくってきた」
「イーライ、お前あいつに何いったんだ、たかがハンドサインだろ」
「あの時作ったハンドサインだ。山猫オタククソババア」
「お前な……」
「姉弟の仲が良くて結構」
「姉弟?」
「ライクと呼ばれる少女であればお前たちの姉に当たる」
ジョージさんが普通に拳銃で対応しながら口を開く。この人そういや戦場行ってる大統領だった。
「えっ」
「試作だ。試作ゆえに1番に生み出され、試作ゆえに病で死んだ女だ。お前たちや私が二人が因子を持っていた病に侵されなかったのは姉がいてこそということだな」
私はコソッと外を伺う。まぁ頭を出さない方がいいとデイヴィッドに抑えられたけど。いやでもデイヴィッドのお姉さんみたいんだもん。
「ナマエって何者なんだろうね」
「苗字は偽名だぞあいつ。いや、母親の苗字っていってたから一応は本名か」
「え?」
「日本語は当たり障りなくできるが、現地に住んでるわけじゃないから流行語やスラングは理解できないんだろう。突っ込むこともないが、アイツの所作やジェスチャーは日本じゃなく欧米だ」
「よくみてるな」
「癖だ。まぁ、まわりにバレたらどこからきたかを説明しないといけない。そのあたりを考慮して高校時代は一人でいたんだろうが……三年間見つからなかったし、ジョンが来たし、多少なら同世代と連んでも大丈夫と判断したんだろうな」
「サチがなついただけだとは思うが」
「それは私も思う。結局は何者なの?」
「俺たちと同世代に、3人やばい女がいる。しかも噂によると仲がいい」
「やばい女?」
「一人、海運の巨人と称されるフロイド・ヘクマティアルの娘。ココ・ヘクマティアル。武器商だ。FBIのブラックリストに載ってる。普通に生きてたら関わることはない人種だな。二人目は天田南博士。おもちゃ会社で研究をしているがーーその実、彼女が作ったモノは全て兵器に応用される。三人目がナマエ・ベルンシュタイン。すなわち苗字だ」
「ベルンシュタイン?」
「父親はウィンタード・ベルンシュタイン。国連事務次長の男でーー娘を旗頭に上げることで国連に武力を持ち込んだ男だな」
「武力?」
「あぁ。swallowという難民支援及び援護組織だよ。その実はPKOに変わる多国籍の軍隊だ。トップが苗字、ということになってるはずだ」
「安保理でも東西があるだろう。まともに動くのか?」
「swallowは安保理の採択で動かない。総会の採択で動く。すなわち、安保理の定石にいる国がswallowを効率よく動かすには総会の国一つ一つに掛け合うかーー」
「彼女をどうにかする方がはやいな」
「そういうことだ。だが、苗字の父親の力だけで子供がそんな立ち位置になれるわけがない。おそらく何かしらのバックアップがあったんだろう。熱心な信者がいるとかな」
「なんで桜くん知ってんの?」
「俺の父親は昔で言う財閥だ。関わった方がいい同世代の情報は揃ってる」




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