ネタ帳vol.3
2025年ネタ帳210:君僕主はパイロットを救出する(+AC)
08/12 17:18
もったいないことをしている、と思う反面、納得もする。通常は精神疾患持ちは空を飛ぶことは許されないからだ。俺たちのように、前世とも別の人格とも取れる記憶がある存在は解離性人格障害とされ、空を飛ぶ手段を奪われる。ここにいるのはそう言った面々だった。懲罰部隊にも似ている気はする。軍における空を飛べないお荷物の存在。その実彼らはゲームの主人公やライバル機といった優秀なパイロット、またはその管制官達の記憶がある集まりというのを知っているのは俺に三つの記憶があるからだろう。彼らはたまにこの世界には存在しない前世の所属のことで話しーーあるいは喧嘩をしながら過ごしている。そんな中で、俺だけが輸送機のパイロットだった。しかも架空の国の記憶があるわけじゃない。話が合わないので黙っておくしかない。
ーーなんと言っても運が悪かった。隠し通せる自信はあった、が、そうかもと告げた仲間がいたのである。そこで査問をうけーー仲間云々や懲罰と言われて仕舞えば俺は素直になるしかなく、ここにやってきた、というわけだ。どこの所属だったかを聞かれても俺一人違う世界の記憶なのだから、誤魔化すしかなかった。
そういえば、昔も一度こんな目にあった。仲間に騙されて懲罰部隊にいかされーー死にかけたのだ。その時は推しではないが推しに似た立ち位置の女性達が助けてくれーー俺は彼女達の隊に加わったのである。
その時と同じような展開にため息をつきたくなる。この国は内乱状態ともいえた。反政府軍との戦闘の悪化、それに伴いこの基地も標的にされーー鳴り響いた警報音に俺たちはどうしようもなくーー一箇所に集められている。人質として機能しそうな女子供も含めて。前世の経験上、近接がいけるので監視をどうかしてもいいがーーその後が問題だった。
ーー夜だ。明日になればこの中の誰かは見せしめとして殺されるだろう。静かな夜だ。いや、静かすぎる夜だ。俺はただ、柵の手前で通路にいる監視に声をかけた。
「いつも馬鹿騒ぎしているのに静かすぎないか?」
俺が声をかけたことに中も監視も驚く。いや多分これは英語がわかってない。彼らの普段の会話を思い起こす。
「この言葉ならわかるか?」
と、ラテン系の言語を話せば、彼は「お前兄弟だったのか……!どおりで浅黒い肌だと」と俺を上から下までみた。
「本棟の方を見に行った方がいいんじゃないか?静かすぎる。いつも陽気に騒いでるだろう」
「それは……」
男はそう言って先を見る。確かに静かだと思ったのか、上司に相談してくる、と彼は持ち場を離れる。
「何を言ったんだ?」
「静かすぎると話しただけですよ、連中の馬鹿騒ぎがない」
俺の言葉に、周りは耳を澄ましたんだろう。確かに静かだ。奥で先程の兵士が誰か相手に話しーー5、6人兵士がでてきた。そのうちの一人、偉そうな奴がこちらに来て俺を見下ろす。まぁ脱走するつもりか?と、殴られたけど。ついてない、と俺は柵にガシャんと持たれた。そこで耳にコツ、と何かをノックした音が聞こえた。定期的な音だ。ああまじでこれは昔みたいである。俺は六人、と同じく柵を叩いて返答した。目の前にいるのは三人、多分後の三人は離れた、と音を鳴らせば、相変わらず不運だなぁ、と告げられる。俺はそこで音を立てるのをやめた。
「うるさいぞ!!!!」
「お前こそうるせーよ、俺と上司の感動的再会を邪魔する奴は地獄に堕ちろ」
俺の発言に気を取られた男に対しーーその人は相変わらず通気口から降ってきた。その誰かを下敷きにすると、近くにいた他の男達もダウンさせる。そうして騒ぎを聞いて駆けつけた残りの三人の男達冷静に銃で対処した。はやい。というか、やっぱり強い。
「待たせたな」
その人はそう告げてーー暗視ゴーグルを上げた。灰色の瞳が俺を捉え、それは嬉しそうに細められる。
「相変わらず不運だな、モルフォ1!またそんな場所に閉じ込められてるのか」
ははは、と笑った彼女は若い。ハイティーンくらいだろうか。起きあがろうとした男に容赦なく引き金をひいたが、血が出ない。麻酔弾というわけだ。
「ボス、勘弁してくださいよ……その名称……」
「君は普段の不運を引き換えに絶対的な危機から味方共々生き残るからな」
彼女はそうケラケラ笑う。いやそれは……色々考えるとそうなんだけど。
「……貴方はお一人でこちらに?」
「いや、三人だ。残りは本棟にいった。私はこっちに女子供がいると聞いてきただけだ。まぁ、実際は色男の方が多いみたいだが?」
彼女は揶揄うようにそう告げる。この人はまたこんなことをいう。そのまま彼女はピッキングで鍵をあける。
「ダクトの中きら見た時、ここにいる人数が多くて一つ問題にぶち当たったかと思ったがーー君がいたことで解決した。よかったよ」
そう言った彼女は柵の扉を開ける。
「あらかた敵はおやすみ中だ。出ても大丈夫」
「……ボス、悲しいことに俺たちみたいな二重持ちは精神疾患持ちに指定されているので飛べません」
「いい、飛べ」
彼女はそう言って俺の肩をたたく。
「いやだから……」
「そんなもの些細な問題だ。WHOの調べによると二重持ちは1%いるんだぞ。世界で何人いると思ってる」
「些細っていうのは貴方の主観で……」
「また卑屈になってるな。わかった、じゃあ選べ。死ぬ可能性があるここで違う助けを待つか、私と一緒に来るか」
そう言った彼女に、俺は即答する。そんなもの。
「ボスと行くに決まってるでしょう!」
「じゃあ、周りがなんと言おうと飛べ。君達の身は私が守るし、責任は私がとる」
そう言った彼女はどこかと通信をはじめる。またこの人はそういうことをいう。恐らく輸送機が飛べることなどを報告しているんだろう。あと視線が痛い。まーー軍規違反という理由が半分、後多分羨ましさ半分というところだろう。
「知り合いか?」
「昔の、ですよ。彼女は上官だった。年上のね。今は年下のようですが」
「今はどこの所属だ?」
「さぁ?そのあたりは俺はどうでもいいので。前もあの人は国のパラミリと傭兵団の二足の草鞋履いたりしてましたからね。多分今も潜入してきてるあたり、正規軍じゃない。多分国外の組織でしょう」
彼女は周りを見て俺をみる。
「カヅキ、先程の発言をきくにーーここにいるのは二重持ちだな」
「……ええ」
「AWACSや戦闘機に乗れる人員は?」
「います」
それを聞いた彼女はまた誰かに連絡をした。わかった、伝えて協力を仰ぐ、とかえした彼女は俺を見上げる。
「カヅキ、悪いが人を紹介してほしい。AWACS関連の人員と戦闘機に乗れる人員だ」
「……何かあるんですか?」
「正規軍が予想より早く来る。爆撃機を連れてな」
おっと動きがないと思ったら味方ごと殺す気だったらしい。思わず眉間に皺をよせる。
「それと同時に反乱側から大量の無人機が飛び立つ可能性がある。その中での撤退だ」
「難しいのでは?」
「まぁ、この基地とこの基地近くの無人機は無力化したが、離れた場所から飛んでくることも予想される。別の救助ヘリも……いくら君が操縦するとしても、輸送機も危険だ。だが、陸路よりはマシ、と別に動いている仲間が判断した」
「フルトン回収はしない?」
「子供がいなかったらそれも視野にいれていたんだがな」
彼女はそう言って肩をすくめた。
「ともかく、全員が無事に脱出するには護衛機などの人員がいる」
「……そちらのAWACSは?」
「安全空域にいたがーー無人機が近づいて退避した。無事は無事だ。よって、この基地のものを拝借することにした。なに、君たちの上司も脱出するためなら目を瞑るといっている……いやあのタイプは手のひらをすぐ返すタイプだろうから、君たちは我々の基地に着陸してもらうことになる」
彼女はそこまで言って、で、誰が腕がいい?と俺の背後をみながら尋ねた。俺を選ぶよな?っていう圧がすごい、圧が。みんな空に飢えているから仕方ないだろうが。
「……ボス、選べません。彼らはみんな優秀です」
俺はそう言って両手をあげて苦笑いをする。彼女は目を瞬いてーーそうか!と嬉しそうに笑った。
「と、なると全員に頼むしかない」
彼女はそう言って目を伏せると、すぐに対外用の姿勢になった。
「失礼いたしました。私の名前はナマエと申します。国連下にある支援組織swallowの一員です」
彼女はそう言って俺たちをみる。swallowといえば、国連が唯一持つ軍隊の名前だったはずだ。それも、表向けには支援業務を遂行しているはずなのである。
「swallowがなぜこちらに?」
「ノンオフィシャルに近いですね。貴方がたの国に元々いた同胞から頼まれてーー事態を飲み込んでこちらに。我々は支援を主にしますがこのような人道的な救援も仕事としています」
「なるほど。当初の予定は?」
「当初はポイントまで誘導し私たちが乗ってきたヘリで脱出でした。しかし、この人数で退去するには事前想定していたヘリでは無理です。往復する時間ももったいない。幸い、作戦の変更はできますので、彼の輸送機を併用しての脱出になります」
彼女はそこまでいうと、また説明をはじめる。
「しかし、先程彼と共有したようにこの上空は正規軍の爆撃機と反乱軍の無人機の応酬になるでしょう。その前に貴方達をつれて脱出します、が、恐らく追いつかれる。戦闘機護衛機及びAWACSに協力していただいた方が手堅い。シングルだのダブルだの色々とうるさい司令官などは我々にお任せください。皆様ご協力いただけますか」
彼女はそう言って手を差し出す。まるで鳥を籠から出すように。その手を取らないわけがない。彼らは空に焦がれーー空に飢えているのだから。
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「あのですね、あの人、皆さんが思ってるよりヤバい女なんですよ」
俺はそう言って地上をみる。爆撃機を対処した反抗勢力の最新の地上兵器は彼女が引き受けた。フルトンか何かで帰ると告げた彼女は一人残って対処中というわけだ。空だけ引き受けてほしいって言われたので、護衛機以外で空中戦してるわけだが。で、まぁ、あの人を知らない周りは心配しかしないわけで俺はこう返したわけである。
『いや、しかしだな』
「あの人は一人でいろいろ破壊工作を……」
地上で爆発が見える。それと共に地上未確認兵器の撃破を確認、とAWACSから連絡がはいる。
『彼女は……』
「こちらの無線を伝えてありますが」
そう言って無線の呼び出しを鳴らす。しばらくして、『最悪だ、口に砂が入った、じゃりじゃりする』と彼女の声が聞こえた。その瞬間全員が声を上げる。賑やかである。彼女もそう思ったんだろう。賑やかだな、と笑ったが。
『Ms.ナマエ、怪我は?』
『ない。かすり傷程度だ』
かすり傷。周りがそう返すので俺が口を開く。
「ボス、普通の人間はああいうのと対峙したらかすり傷どころか死ぬんですよ』
『……そうかな?』
「そうかな?、でなくて。俺たちは半ば当たり前みたいな対応ですけど、皆さんは違う場所の記憶の持ち主なので、貴方がやれ一人でヘリを落としただとか戦車壊しただとか巨大ロボット兵器倒したとかそういう話は知らないんです」
『それもそうだ。心配をおかけした』
「あと、今回ばかりは航空隊がいるんです」
『対空兵器もあるから……客人にこれ以上協力を求めるのはちょっとな。ご心配をおかけしました』
「迎えに行きましょうか?」
『いや、降りるのも面倒だろう。フルトンで帰る』
彼女はそう言って通信をきる。フルトン?フルトンってあの回収システムか?みたいな会話が聞こえる。
『Ms.ナマエ、回収用の飛行機がないようだが……』
『あぁ、ヘリがあるから大丈夫だ』
ヘリ。と周りが口を開く。笑った。そりゃあそうなる。普通は飛行機だ。どこからか来たーーいや、近くにいたヘリが浮き上がった彼女を捉えるとーー彼女は回収されーーなんの抵抗もなくヘリの淵に座って手を振った。AWACSの面々が苦笑いしてる。
『力技すぎる。あれは最悪死ぬぞ』
「ははは、いつものことです」
彼女がこちらに向かって敬礼をしたので返す。うん、やっぱり陸軍式の敬礼だ。
『こちら、国連支援組織swallow管制機。彼女から話をお伺いしました。不測の事態にご協力ありがとうございます』
『こちらoo軍管制機。こちらこそ感謝を。我々がこうして空にいるのは彼女のおかげだ』
『皆さんをこのまま我々の元へご案内いたします。位置情報を送信しますのでそちらに向かってください』
『了解』
という声が聞こえてレーダーに更新がかかる。まったく長い一日だった、と息を吐く。綺麗な朝日、と告げた子供に、俺はそちらに向かって飛行をするのだが。
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たどり着いた場所は島にある基地っぽい場所だ。いや、基地というか街だ。相変わらず色んな国の人が働いているらしい。戦闘機達が順次着陸をし、ヘリから彼女が降りるのも見える。マジでかすり傷ぐらいである。俺たちがなんとなく集まっているところに、彼女は子供や女性陣をつれてこちらにやってきた。まぁ家族とか仲間とか色々というわけだ。
「流石の腕前すぎる。カヅキが腕がいいというわけだ」
「でしょう?」
「カヅキ、これからどうする?」
彼女はそう言って俺を見上げる。これは多分所属の関係だろう。
「あちらを辞めてきます」
「決断が早いな。私たちは慢性的な人手不足だから、君がきてくれたら助かるが……家族はいいのか?」
「俺は独り身ですし、両親も他界してるので」
そうサラッと言えば彼女は眉尻を少し下げた。悪い、と告げた彼女に、気にしてません、とかえす。
「貴方のもとで働くほうが好きです。空も飛べそうですしね」
「……そうか。また世話になる」
彼女はそう言って俺の背中を叩いた。めちゃくちゃ痛い。そんな様子を見ていた面々が寄ってくる。
「失礼ですが、Ms.ナマエはおいくつですか?」
「18です」
「18!?」
「まぁ前の記憶を合わせるとお婆さん並みですよ」
彼女はそう言ってケラケラ笑う。誰かが近づいてくる。タブレットを持った金髪の男性は、そのタブレットで彼女の頭を軽くこづいた。
「いてっ」
「君が18になったのは今日だ」
金髪がそう言って彼女を見下ろす。この声、無線で聴いたな。こちらのAWACSのスタッフだろうか。
「インサイドの半分がいないし、いくらクラウディアがいるからって、本来なら子供の君があんな無茶な作戦にはいるべきではないよ。まぁ、結果、壊し方を知ってる君が行って正解だったようだけど」
彼女はなんとも言えない顔をする。
「報告書はヘイトが書くから資料をくれたら渡しておく。ちなみに何で壊した?」
「RPG。脚部の装甲が薄い箇所を狙ってから口に入れた」
「わかった、伝えておくよ。君は休暇に戻れ」
「皆さんの腕が素晴らしかったから、ぜひ話したい」
そう言った彼女に彼は首を左右に振る。
「だめだ。ナマエ、お前はもう休みなさい。事後処理は大人の仕事。彼らも休ませるし彼らの国との手続きがある。そのあたりはウィンタードがするだろうけど」
金髪の言葉に彼女は「わかりました」と少しだけ複雑そうな顔をした。
「父さん、彼らはダブルです」
父さん……と俺は金髪をみる。あまり似てない、気がする。そんな視線に気づかず、彼は俺たちをみた。
「あぁ、なるほど。通りで……」
そう納得した彼は彼女をみた。
「わかった。それなりの手をウィンタードと打とう。医務室によるんだ、いいね」
「ザックに怒られたくないから行く」
彼女はそう言って、またなカヅキ、と俺の背中をまた叩いて消えた。それを見送って彼は口を開く。
「皆さん、娘達の無茶ぶりにご協力いただきありがとうございます。私はクルーガ・シードル。管制担当です。まず、貴方達の戦闘機および輸送機ですが、軽い整備や補給を行いたいと思っています」
「えぇ、それは頼みたい」
「整備に関しては皆さんに許可なく手はだしません。貴方達が簡易なメディカルチェックを受けた後にはペンギン……整備隊の者達が改めてチェック項目の確認に参ります。今時点で体調が悪い方は?」
「特にはいません」
「事前の確認助かります。貴方達の泊まる場所などの準備を同時にしていきますが……さて、貴方達が腕がいいダブルと言うことなので、これからありうる可能性をお伝えします」
「ダブル?」
「二重に記憶を持ってる方をそう指してるだけです。差別という意図はありません」
彼はそう言ってタブレットを下げた。
「貴方達の共通認識ですが、我々swallowの要請を受けて離陸および戦闘に参加、戦闘許可を出した、とご認識を。軍で万が一、査問された際は必ずそうお答えください。貴方達に理不尽な罰がくだらないよう、我々が尽力いたします」
「万が一?」
「ええ。これは、貴方達が選ぶことです。元々の国に戻り、ダブルだからと空を飛べない生活に戻るかーー我々に手を貸し、空に居続けるか」
彼はそう言ってから肩をすくめた。
「我々は人手が足りないんでね、ダブルだのシングルだの行ってられないんです。本当の意味で精神的に不安定なやつでなくて、フラッシュバックもしないのであれば、飛行機には乗ってもらいます」
「フラッシュバックとは?」
「前の記憶のトラウマがでたり、もしくは現実と記憶の錯視だ。今の出来事なのに、『前』の出来事だと捉えてしまう。以前、ダブルによる一般フライトでの航空事故があったのは?」
「ええ、知っています。だから規制された」
「あまり知られていませんが、彼はフラッシュバックしたんです。特攻隊という飛行機を故意に目標に墜落させる部隊の記憶を蘇らせーー飛行中に今なのか昔なのかがわからなくなった。すんでで不時着させたけれどね。他にもフラッシュバックした結果、敵味方がわからなくなってエレメント相手にフレンドリーファイアなんて事例もある。ただ、そういう事例は稀だ。自分が誰でどこに所属しているかをきちんと把握していれば戻る。まぁこの辺りはうちに所属が決まったらおいおい説明があります」
彼はそう言って俺たちをみる。
「あえて言っておきましょう。ようこそ、国境なき空を飛ぶツバメの巣へ。我々は貴方達を歓迎いたします」
だいたいがそりゃあそうなるだろう、と俺は思う。焦がれた空に飛べるのだから。
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私服を着ていると確かに未成年だな、と思う。まぁごくごくシンプルな服で、俺たちと共にやってきた子供と話したり俺たちと話したりしてる。
「乗れないのか」
「戦闘機に?」
「あぁ」
トリガーの問いに彼女はうーんと考えた。
「『昔』ならGの耐久訓練はパスしたことがある。まぁ戦闘機用じゃなくてスペースシャトル用だけど。今の戦闘機は無理、かなぁ。かなり古い機体なら操作の仕方は知ってる」
「かなり古い機体?」
「20世紀初頭くらいの。養父が乗ってた」
彼女はそう言って飲み物を飲んだ。かなり甘そうな飲み物である。対するトリガーや俺たちは普通のコーヒーだが。
「クルーガが?」
「彼とは違う養父。あの時別同隊にいて、ヘリを操縦して帰った人。クルーガ父さんも飛行機乗りですよ。元々はフランス軍で操縦桿を握ってた」
彼女はそう言う。俺たちは首を傾げた。操縦桿を握っていた、ということは戦闘機乗りだったのか、輸送機乗りだったのか知らないが、空を飛んでいたんだろう。
「そこから管制塔に?」
「管制塔と教官だな。事故で握力が落ちたんだ」
「事故?」
「エレメントを組んだ相棒がフラッシュバックした結果、撃墜されたらしい。そのあと引き入れた」
彼女はそう言ってまた甘そうな飲み物を飲む。なるほど、当事者だから知っていたんだろう。彼が言っていた事故は公表されていない。
「彼の相棒はこちらに?」
「……連れてきたかったんだが、自分がしたことにパニックが悪化して自殺した。彼の機体だけうちにきてる。クルーガさんはそれを気にしてるから、ダブルにちょっと心配性」
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彼女が夏休み前に帰ってきた。珍しい、と、俺たち航空隊も彼女をみる。喜ぶ子供やスタッフに、彼女は挨拶を返すと俺たちの視線にも気付いたんだろう。ひらりと手を振った。まぁ、その後ろにいた隻眼達もこちらを見たが。ザックさんに似ている男だ、と、思う反面、俺が知る話で彼女と同じ位置にいる男とその息子たちを思いだす。ーー恐らく、彼女がたまに対といったり、切り分けたオレンジと称している人物だろう。まぁ彼女だけとりあえず航空隊に向かってきたが。
「航空隊には今回かなりお世話になりそうだ」
そう告げた彼女に、シラージ公が彼女を見下ろした。
「何かあるのか?」
「まだ話がいってない?」
「何も」
俺たちの反応に彼女は少し考えるふりをして、結論をだしたんだろう。
「いつもみたいに、先に私に連絡が来ただけか……君たちに話を聞いて情報を把握してる私より、君たちの自身の方が詳しいからこちらに聞いて欲しかったんだが……」
彼女はそう言って困った顔をする。どういうことだろうか、と思えば、彼女はあちらの軍団を手招いた。なんだなんだと彼らはやってくる。
「このメンバーで恐らく同時作戦を決行することになる。今はとりあえずの顔合わせ」
彼女の言葉に俺たちは彼らを見てからーー彼女をみる。向こう側も俺たちをみてーー彼女をみた。向こう側の隻眼の男が口を開く。
「ナマエ、どういう事だ?」
「武装組織がとても厄介なものを作ったという情報がはいった」
彼女の言葉に俺は尋ね返す。
「厄介なもの?」
「ああ。しかも空と陸……ん、海もか?まぁ、それぞれに関連する。が、1番脅威は恐らく空だ」
彼女はそう言って俺たちをみた。
「それを撃ち落とすには、君たちの話を聞くにそれなりのものを用意しなければならない。君たちでも恐らくは一機なら落とせるだろうが、それでも被害が大きくなることが予想される。人的被害を最小限で行くにはこの面々でいくのが最善だ」
彼女はそう告げる。トリガーが眉間に少しだけ皺を寄せた。
「……何を落とすんだ?」
「君のいう巨鳥」
トリガーの問いに彼女はそう答える。と、いうことは、だ。
「……まさか、アーセナルバードか?」
シラージ公の問いかけに、航空隊が彼女をみた。彼女は真っ直ぐな目でーーうなずいた。
「あぁ」
「なぜあるんだ?」
「ダブルの科学者が作ったらしい」
彼女はそう告げる。
「あの時は……」
「一機はストーンエッジで壊した。もう一期はエンジンとコアを停止させて海に落とした。ただ、確かに被害は大きい」
トリガーの言葉に彼女は口を開く。
「君たち側の兵器を我々側の兵器を使用して撃ち落とす」
彼女の言葉に俺は「えっ、」と声を上げた。眼鏡をかけた少女が首を傾げる。
「アーセナルバードって?」
「航空巨大無人機だ。が、私たちの世界にはない。というか、なくてよかった」
彼女は手元にあったiDROIDを起動させる。そうしてアーセナルバードの情報をうつした。
「これは確認された機体かな?」
「ええ」
「まんたアーセナルバードじゃねぇか」
「この……細かい卵みたいのは?」
眼鏡の男性がそう告げた。
「全部航空無人機だ。ピンポイントで軍を攻撃したり、地上を破壊したり、戦闘機を落としたりする。俺たちがいた場所では、これが防空圏を作り上げていて厄介だった」
「どこかを守ってるのか?」
「今はな。だが、移動をしている兆候がある」
彼女はそう言ってマップをみせる。確かに巨大な三機はゆっくりと円を描きながらーーどこかに移動している。進路予想はーーヨーロッパ、アメリカ、アジア方面だろう。
「名だたる国の首都を攻撃するつもりか?」
「恐らくな。ちなみに一部の国の軍にはもう被害がでている」
彼女の言葉に、ロングキャスターが口を開く。
「しかし、どうやって落とすんです。ストーンエッジがない中、名だたるパイロット達がいてもこの数は」
「我々側にある兵器を使う」
「兵器?」
彼女のことに、近くにいた青年が目を見開く。
「まて、まさか」
「ーーそうだ、二足歩行戦車……すなわち、メタルギアだ」
「あれがここにあるのか?」
「まさか。当たり前だがここにはない。が、発見された」
「発見?」
「同じ武装組織が開発してたんだ。世界を恨んだダブルの集まりがな。だから、ものを奪う必要がある。よって、メタルギアの争奪、メタルギアを用いてのアーセナルバードの破壊および、メタルギアの破壊までが君たちの任務になる」
「メタルギアの種類は?」
「確認されているものでREXとRAYだ。アーセナルバードと同じく記憶持ちが開発していると思われる。どれもこの世界にはあってはならない兵器だ。そもそも、武装組織がダブル達の集まりなんだ」
「……!」
「我々が負ければシングルからダブルへの偏見も差別も酷くなり、もっと酷く慣ればお互いの迫害とジェノサイドにつながる」
「ブラックマーケットへの対策は?」
「まだだ。サチ、君を呼んだのはそれだ。君はもう四人とチームを組み、世界中からアーセナルバードおよびメタルギアの技術の存在をなくしてほしい。オタコンはデイヴィッド達の補佐をしながらの仕事になる」
「ちなみに誰?」
「マミー!!最後の一人はーー!!サチちゃん!?!?」
「わ、ほんと、だ!ハル兄さんもいる!!!」
「ほぁ、あああああ!!!!アマナちゃんとサニーちゃん!?ああああ!?」
category:君僕主if(mgs /+ヨルムン/+にけ/+AC/+逆)