ネタ帳vol.3
2025年ネタ帳213:君僕主と操縦士とエースたち
08/12 17:20
「マジで苗字さんごめん!!」
そう言って頭を下げる。彼女は気にしなくていい、と笑って見せたが。いやぁ、死にかけて意識を飛ばしてた、らしい。らしいというのは俺の認識が違うからだ。俺は意識だけ異世界に行き、悲しいかなデータ上の演習データ、という建前で好きなゲームの主人公をしてーー目が覚めたのである。で、まぁ、大学に入ったの、だが、なんか知らない人が降ってきた。なんでだよ、と思うかもしれない。でも、存在がなくなった神ゲーの知識を持つ俺はいくつか会話をしてすぐにわかった。この人ら全員過去のパイロットじゃねーか!と。まぁ、それにしたって、問題は言語と部屋とか、である。ゲームでも俺の記憶でも、言語はまぁ統一されていた記憶があるのだが、現実は違うらしい。オーシア側が英語なのに対し、エルジアなどの国が他の言語なのである。まぁ、なんとなくニュアンスはわかるっぽいし、大人しくしてくれてるからまだいいのだが。それにしたって狭すぎる。そこで、多言語を話せる上にマンションを持っていると噂の苗字さんに頼むことになったのだ。いやー、冗談と思われても、頭がおかしくなったと思われても仕方のないことを聞いてくれる彼女は神なのかもしれない。
「いや、気にしないでくれ。困った時はお互い様だ」
授業が一緒なだけであまり話さない彼女だが、うん、なんというかクールな感じの喋り方である。どっちかというと、軍人っぽい、気も、する。とりあえず話してみるか、ということでスタバに集合させたのだが、まぁなんというか外国人ばかりなのである意味目立つ。
「彼女?」
「違う違う違う、通訳とか色々頼んだんだよ」
「何か飲み物を買ってくる。全員コーヒーでいいかな?」
そう尋ねた彼女に俺が出すと言えば、いい、と言われる。昔から空の男の話を聞くのが好きだからな、と軽くウィンクしてそのまま彼女は買いにむかったが。はわわわ、イケメンか。まぁ、彼女は人数分のコーヒーと自分だけフラペチーノを買って持ってきたのをみるに、フラペチーノを飲みたかっただけかもしれないが。そしてやっぱり英語以外の言語に対応してるんだよなぁ。念の為に意思疎通できる言語で、色々と教えてくれているらしい。残念なことに、今度はこちらがわからないのだが。
「とりあえず今は根持のところにいるのか」
「そうです、めちゃくちゃ狭い」
「まぁ寝泊まりする場所を紹介はできるんだが……」
うーん、と彼女は目を伏せる。
「……だが?」
「あと一週間待てるか?ちょっと許可を取ってくる」
「許可?」
「今住んでる場所は私の持ち物にはなってるんだけど、親周りに説明をしないといけないから……」
彼女はそう言って少し苦笑いをした。君ってお金持ちのお嬢様?と聞いたスカイアイに、彼女は違う違うと首を左右に振った。
「ちょっと色々特殊な生まれなだけ。父親が三人いてみんな過保護なんだ。最近四人目ができそう」
「えっ」
「母親が恋多き女だから仕方ない。母親は母親の人生を歩むし、私は私、父親達は父親達の人生を生きてるだけ」
彼女はそう言って肩をすくめる。
「……話を聞くに、本当に知らない国々の名前がでてる。ということは、逆に貴方達もそうでしょう?」
それはそうだ。
「英語は読めるだろうか?世界史の資料なんかも用意はするが」
「世界史……」
そう言って俺も周りも身構える。いや、俺も世界史苦手だしな。
「あぁ、いやそんな身構えなくていい。常識的な情勢と……地理と航空史くらい」
彼女はそう言ってからミハイに違う言語で説明をした。まぁ、ミハイは肯定してるっぽいけど。トリガーが爺さんじゃない……!とめちゃくちゃビビってたのはいい思い出だ。
「とりあえず、色々とこちらで手配する。生活費とかはまだ大丈夫か?」
「ダイジョウブ……」
俺の反応に彼女はちょっと眉間に皺をよせる。
「わかった、3日でなんとかするから頑張ってくれ」
そう言って背中を叩いた彼女はかっこいい女なのかもしれない。
==
航空史と地理だけって言ったじゃん。それくらいならフォローできると思ったけど、専門的過ぎて無理。と思うが、めちゃくちゃ詳しい資料を色々教えてくれる。最近の資料も見せてくれる。助かる。なんかイヤホン型の翻訳機もくれた。助かりすぎる。そんなこんな過ごしていたらと三日はすぐ過ぎた。これからどうするかという話である。
「さて、今後のことなんだが」
彼女はそう言って腰に手を当てた。空きの構堂を借りての話だ。めちゃくちゃ作戦会議っぽい。
「二通り選択があって、一つは私のマンションに引っ越すこと。ただ、こちらだとなんていうかまぁ色々うーん……」
彼女はそう言ってめちゃくちゃ渋った。
「嫌なら仕方ないが」
「嫌じゃないんだ。私は嫌じゃない。空の話を聞くのは好きだから。ただ、私のマンションにくると、もれなく私の養父その1から陸や海の特殊部隊並みに扱かれる可能性があって……」
彼女はそう言って目を逸らす。なんで??と俺は口に出ていたらしい。
「言っただろう、私のまわりはちょっと特殊なんだ。そもそもあんまり公表することじゃないので公表してないが、実父の関係で……私の周りはちょっときな臭い、から、護衛扱いが一緒に住んでる」
彼女は渋い顔でそう告げる。そういや何度か彼女に迎えがきたが、確かに軍人っぽい人だったと思い出す。実父の関係できな臭いとはどういうことだろうか、と思ったが、彼女の様子を見るにつっこんでほしくなさそうだ。
「一緒に住むと、実父的には護衛扱いになるからもれなく生活費は補填されるが、定期的に顔を観にくる元特殊部隊の養父その1がバチバチに扱いてくる」
彼女はそう言ってめちゃくちゃ嫌そうな顔をした。
「今一緒に住んでる人は大丈夫なのか?」
「彼らは特殊部隊出身や技術者だから問題ない。でも養父1は戦闘機も戦艦も潜水艦も動かせる人だから、多分話は通じると……思う」
彼女はそう言って彼女はなんとも言えない顔をした。おすすめしない、らしい。そりゃあそうだ。
「もう一つは?」
「養父その2のもとで働きながら暮らす」
「養父その2」
「これは私より本人に聞いた方がいいから連れてきた」
彼女はそう言って構堂の扉をあける。扉の外には爆笑している男がいた。明るい茶髪の彼は愉快そうにケラケラ笑っている。父さん、と彼女が呼んだあたり養父その2らしい。
「君のクラウディアへの認識面白すぎるんだが!」
「笑わないでほしい……この間襲撃ごっこされて、驚いたんだ……」
「それは……勝った?」
「クラウディアさん以外にはね。こっちも向こうも被害は出た」
「それは素晴らしいね」
男はそう言ってバインダー……ではなく、タブレットで彼女の頭を軽く小突いた。
「彼も彼なりに君を心配してるのさ。些か周りに厳しすぎるけれどね」
「……わかってます」
「さて、俺は俺で有能な人をスカウトするかな」
彼はそう言って彼をみた。緑色の瞳だ。
「じゃ、君たち、選んでくれ。空に戻って生活をするか、このまま地上で生活をするか」
早過ぎないか。色々と。あとその選択肢はいったい。彼女はなんとも言えない顔で、父さん早すぎです、と告げた。
「いや俺たちみたいなのはそれで通じるんだよ。ほら見てみろ、顔つきが変わった」
「名乗るくらいはしたほうがいいんじゃないですか……」
「俺は元フランス航空宇宙軍の飛行機乗り。まぁ色々あってね、今は、彼女の実父の組織にかんでるってところかな」
彼はそう言って肩をすくめた。
「生憎、我々は万年人手不足でね。だから、狂ってるわけじゃなく俺の部下になってくれるならどこの誰でも大歓迎ってわけだ」
ははは、と笑った彼はタブレットを何かに繋ぐ。現れた紋章は国連の物だ。そのあとにツバメのマークが現れる。何かの紋章かチームのマークだろうか。
「と、いうことで、軽く自己紹介しておこう。私の名前はユーリス・シードル。国連が持つ唯一の軍でありーー国際支援及び対テロ組織swallowにおいて、空を管轄する業務のトップだ。まぁ軍でいう司令管制官教官あたりを兼ねてやってる」
それってやばい人なのでは。
「国連については?」
「彼女に教わりました。この世界の国々が加盟する組織、ですよね」
そう尋ねたメビウス1に彼はうなずいた。
「その通り。まぁ我々swallowがどんな組織かというと、難民支援医療支援なんていう人道的な支援から、テロ組織との戦闘及び国連総会にて承認を得て停戦監視や戦闘支援も行う幅広い組織だ。だから、一重に空と言っても人員や物資を運ぶ輸送機やヘリの部隊もある」
「戦闘機の部隊も?」
「あると言えばあるし、ないと言えばない」
彼はそう言って肩をすくめた。
「訳あって俺は教官程度ならできるが、長時間のフライトは無理だ。もう二人いるが、二人はひよっこだ。心許ない。で、何人かスカウトして本格的に稼働させていこうと思ったところに娘から連絡が入った訳だ」
「ほぼ新設ってことですね」
「あぁ。で、重要なことを言うけれど。君たちみたいな存在はたまに現れるが、困ったことにテロ組織と取り合いでね。」
category:君僕主if(mgs /+ヨルムン/+にけ/+AC/+逆)