ネタ帳vol.3
2025年ネタ帳220:君僕主と家族
08/12 17:26
またか、とは思う。少し見ておいてほしいだのなんだのと言って私が1番小さな子を抱き上げれば最後、母親は私に子供を預けたままどこかに行くのだ。何人かいる弟妹達も私のそばで母親が去った後を見つめている。もうしばらく待ってみて、来なかったらこのまま私の家に向かうしかないのだが。すやすやと眠っているまだ赤ちゃんとも言える年の子供にため息をつく。
「みんなの持ち物をチェックしよう」
私がそう言えば、彼彼女達は私を見上げた。パスポートはある。持っている書類を確認すればビザはちゃんと取ってあるようだった。と、なると完璧に戻っては来ないだろう。この子達実父家族に連絡。あとは、ジョン達に連絡をするしかない。一応空港職員に声をかければ、該当者はもう空の上らしい。仕方ない、と腹をくくる。
「帰ろうか」
と、私は子供を見つめる。
「どこに?」
「私の家に」
そう言えば彼らは本当に嬉しそうな顔をするのだ。さて、車できたがいいが、チャイルドシートやジュニアシートなんてものは積んでいない。と、なると車を取りに来てもらってタクシーで帰るのが正解だろうか。いや人数が多い。仕方ない。近くのショッピングセンターに移動し、抱っこ紐をまず購入する。スタッフに話せば快く選んでくれてーーそのまま使えるようにしてくれた。これでようやく両手が空いたので、オムツを買ったりする。疲れたと言った弟妹を休ませるためにフードコートにいき、ハンバーガーを食べさせながらジョンに電話をかける。どうした?と聞いたジョンに、私は口を開く。
「ジョン、悪いんだがアダムスカかエイハブに車に乗せてもらって来てくれないか?」
「何かあったのか?」
「母さんに弟妹の面倒を見るように頼まれたんだが、荷物を揃えたりするのに人手もいるし一人じゃちょっと無理だ」
私はそう言いつつ弟の口についたケチャップをぬぐう。弟妹、と繰り返した彼に私は弟妹と繰り返した。
「わかった。今からそっちに行く」
「ありがとう」
と、言ったらわりかとはやくに合流できた。ひらりと手を振ったジョンが現れたのは靴を選んでいる時だった。
「ありがとう助かった」
「いや、一応人数が乗れる車できたが……」
ジョンがそこで私が赤ちゃんを抱っこしているのに気付いたんだろう。子供を覗き込みながら口を開く。
「ぐっすり寝てるな」
「さっきまではご機嫌斜めだったんだ」
「そうか……その子がか?」
「あぁ。この子はアマナ。後三人いる」
「三人も?」
「マミー!ライクこれにする!!」
そう言った妹は、なんかでっかい人がいる!!と告げた。その言葉に弟達がやってくるのだが。ジョンの周りに集まって、デカいやら、なんやら騒ぐ三人に私はあたまをぐしゃぐしゃ撫でた。
「マミー、この人、誰!?」
「ジョンだ。私と一緒に住んでる。挨拶しなさい」
と誘導すれば全員ジョンの周りから私の背後の方に回り込むとコソコソ話をする。
「……マミー?」
「あぁ、この子みたいに小さな頃から面倒を見てるから……」
「あぁ、そういうことか」
「……ねぇ、マミー、ライク達邪魔?」
と見上げた妹達に、そんなわけない、と私は目線に合わせて告げる。
「でも、母さんが……」
「あの人はあの人。私は私。まったく邪魔じゃない。賑やかになっていいなって思ってる」
ね、とジョンを見上げる。同じく屈んだジョンは「ああそうだな」と笑った。
「随分と賑やかになる。俺はジョンだ。お前たちは?」
「ライクだよ」
「ウィリアム」
「……ルーカス」
とちゃんと三人名乗ったのでジョンは「そうか」と三人の頭を撫でる。
「よろしくな」
と手を差し出せば三人とも握手に応じた。と、いうことで買い物を続行すれば、オセロットとエイハブもカズも来てくれた、らしい。
「産んだのか?」
「そんなわけないだろ」
==
「最近ナマエちゃん共有スペース来ないじゃん?」
そう言いつつ私はとりあえず原稿をすすめる。来ないな、と桜くんは何かの資料を見ながら告げた。
「たまに赤ちゃんの泣き声とか子供の泣き声とかするんだけど」
と、私が言えば桜くんが珍しく動揺した。というか他も動揺するの笑う。ちなみにしってるだろう他も来る回数が減っている。何かあったのでは、と思っていればナマエちゃんがきた。なんかクッションと抱えて。
「悪い、サチ」
「え、なに?」
「1時間だけ仮眠とらせてくれ」
そう言ってナマエちゃんは共有スペースにクッションをおくと何かを寝かせた。なんだろうと思ったら多分赤ちゃんである。ナマエちゃんはそのままソファに直行するとーージョージさんを気にせず寝た。
「おあああ!?ナマエちゃん!?」
「……なんだ……」
「赤、赤ちゃん、ベイビー!!」
「泣いたらオムツかミルクだ……」
「そうじゃなくてどうしたの!?」
「姉御産んだ!?」
「……産んでるわけないだろ。妹。ジョン達は他の弟妹と公園行った。限界なんだ、寝させてくれ。おやすみ」
ナマエちゃんはそう言ってまた目を伏せた。私は桜くんをみる。彼は首を左右に振った。
「見たことあるわけがないだろ。あっても小学生くらいだ」
じゃあ、と、セツくんをみる。赤ちゃんを見つめていた彼は動いたことにびっくりして後ずさった。これは無理である。
「お前達は?」
「サニーはおっきかったね」
「プレジデントパパは!?」
「赤ん坊はない。騒ぐと起きる」
確かにそれはそう。すやすやと眠っている。ナマエちゃんも寝たらしい。こちも微動だにしない中すうすう寝息を立てている。
「随分と年が離れた妹だな」
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