ネタ帳vol.3
2023ネタ帳38:李子幼児化
01/14 17:16
荀攸殿と手を繋いで、子供がぴえぴえと泣いている。なんでも妖魔に囲まれてしまったらしい。周りに親と思われる人物はおらず、とりあえず話を聞けば人間の兵に追われていたとのことだ。その時点で私たちは首をかしげる。人間の兵に追われたとなれば、どこかで戦があったのだろうか。なぜ人間の兵に追われなければならなかったのか。俺としてはめちゃあ見覚えがあるのだが、まさかとは思うのだ。荀攸殿に尋ねれば、荀攸殿が困った顔をする。
「言葉がですね」
「言葉?」
「長安やそちらの方の言葉なので、俺も全て聞き取れるわけではないのです」
なるほど、方言ということだろう。向いたのは賈詡殿と龐統殿である。賈詡殿はやれやれと息を吐きながら、ぴえぴえないている子供に近くと、子供にあわせて屈んだ。
「おーい、泣き虫、名前はなんていうんだ?」
「李子です……章李子といいます……」
その言葉に賈詡殿がぴたりと動きを止める。周りも名前を聞き取ったのか子供を見下ろした。子供はそれをみてまた怖がったらしい。びくりと肩を揺らして、ぴえぴえとまた泣き出す。
「李子は、なにもしていません、罪などおかしていません、父上様も、母上様も、おじさま達もなにも……」
ああー、これは。俺は頭を抱えた。通りで見たことがあるのだ。俺からしたら別ゲールートとでもいうのか。賈詡殿と龐統殿、ついでに近くにいた法正達が顔を見合わせた
「李子殿なのだろうか……」
「確かに確かに面影はある……が、俺はそもそも李姓で名が子だと思っていたし、章姓だとは聞いたことがないな。郭嘉殿や荀攸殿の方が付き合いが長いが、何か知ってるか?」
「いいや、李子は曹操殿に助けられる前のことをよく覚えていないし、こんな話は私もはじめて聞いたね。でも、確かに幼い頃の李子にそっくりだ。寵沙は何か知ってるかな?」
そう俺に尋ねた郭嘉さんに俺はあたまをかく。これいうか、言った方がいいのか?と思えば荀ケさんたちに逃げ道を潰されたし、郭嘉さんが笑顔で知っているようだねと俺の肩をたたいた。逃げ場がない。魏軍怖い。
「多分、それ、李子さんが幼少期ちょっとだけ仙界にくる前のーー」
「寵沙ー、陸治が子供の姿になっちまった。なんか知ってるか?」
「あーー、あーー、」
俺は李子さんを背中で隠す。陸治さんを連れてきている孫策さんと周瑜さんに俺は後で行くんでと言おうとしたら陸治さんがぴえぴえ泣いている李子さんを発見したらしい。盛大に舌打ちをした。李子さんは目を見開いて、荀攸さんに隠れるようにぴえぴえ泣いた。
「あーー」
「寵沙?」
「この時代、俺の記憶では陸治さんが李子さんめちゃくちゃ嫌ってた」
そう言って頭を抱える。李子、と孫策さんと周瑜さんが子供化した李子さんをみ、魏軍師が子供化した陸治さんをみる。孫策さんが首を傾げる。
「なんで。いつもなら仲がいいだろ?」
「このふたり、所属、違う……その関係でめちゃくちゃ仲悪い……一方的に陸治さんが嫌ってる感はする……」
陸治さんが恐らく楚とかそっちの言葉を使って罵る。李子さんはもう泣くまいと口を真一文字に結んだ。
「孫策さんたちのとこには、後で行くので、ちょっと、あの二人を会わせない方がいいですよ」
そう言えば、まぁ双方頷いて、陸治さんは狩りでも行くか!と孫策さんに連れて行かれた。
「それで?」
「ああーー、あの、李子さんも陸治さんもちょっとだけ仙界にいた記録があって」
俺の言葉に周瑜さんが目を瞬いた。
「ちょっとだけ、とは?」
「少しだけっていうか。多分、信じないだろうしそんなこと言ったら怪しまれるから黙ってたんだと思う」
「確かに突拍子もない話にはなるか……」
「子供がそんなこと言うと、確かに信じないね。大人でも怪しいし」
満寵さんの言葉にうむうむ頷く。荀ケさんが首を傾げた。
「二人は何年くらい仙界に?」
「あそこ迷い込むと時間あべこべになるからなぁ……でも、うーーん、これ……うーーん、仕方がない、後で怒られるかもだけど」
「まぁ怒られるなら許可なく聞いた私たちも怒られるだろう」
周瑜さんの言葉に俺は頷く。
「陸治さんは楚の国の人。李子さんは秦の国の人」
その言葉に周りはピシリと固まった。は?と周りは声に出す。確かにそうなる。ちなみに俺の父親も行ったっていってた。なんでだよ。荀ケ殿が頭を抱えながら告げる。
「ちょっと待てください。理解が……」
「では、李子はだいたい四百年前から来た?」
郭嘉さんの言葉に俺は頷く。
「二人は仙人に迎えに来られたわけじゃなくて、二人はたまたま仙界に迷い込んで仙界からでてったわけだから時間があべこべなんだよ。二人からしたら知らない場所に迷い込んで数日したら時代が変わってたっていう……盛大な迷子というか、迷子になったから助かってるというか……」
俺の説明に周りは小さな李子さんを見下ろした。その視線に李子さんはぎゅっと荀攸さんの手を握っているが。荀攸さんめちゃくちゃ懐かれてんな。
「李子さんの場合、一族郎党処刑から逃げたというか逃がされたんだとは思う。聞いたことはないけど」
賈詡殿が李子さんに向かって口を開く。
「お嬢さん、ここは秦じゃないから安心して大丈夫だ」
その言葉に李子さんはまたぴえぴえ泣いた。安堵からかと思えば、荀攸さんの手を離したあたり違う。
「父上様と、敵になっちゃう……」
「あぁー、今度はそっちか……」
やれやれしながら俺は李子さんにかがむ。仕方あるまい。
「阿李、大丈夫です。章邯将軍と李嘉殿に頼まれてこの人達はあなたを助けたので」
「……ちちうえさまと、ははうえさまに?」
「そうです。周りは国が違えど、味方です。貴方の父上は……」
「父上様達が、秦を裏切るはずがありません……父上様達は、秦を憂いておいでです……国の為に戦に出て……周りが言うような裏切り者などでは……」
あああー、俺もやってしまった感がする。
「阿李もわかっていると思うけど、阿李の父上はもうあの国には帰りません。いや、帰れないんだよ。貴方の父上は確かに国の為に戦に出たけど、その活躍を趙高が気に食わず、謀反者として触れ出してる。だから、阿李は秦の兵に追われたし、将軍達は国を捨てざるを得なくなった」
「……でも、」
「賢い貴方はわかっているでしょう。きっと、章姓を名乗らないようにお母様の血縁者に言われているはずです」
「……はい、」
「こちらにいれば貴方は安全です。貴方の父上が迎えに来るまで、この方達と過ごしましょう。幸い、彼らは貴方にとても友好的です。貴方に手をかけたり、人質にするような真似はしません」
俺の言葉に李子さんは泣くのを我慢しながら刻々と頷き、荀攸さんたちによろしくお願いします、と頭を下げた。さて、ここからが問題である。子供の李子さんをみるために一番重大な問題だ。
「魏軍で誰が面倒みるんですか?」
「ナマエのことを考えると荀攸殿や荀ケ殿、言葉が通じる賈詡かな?もちろん私や満寵殿が見てもいいけれどね」
「俺や郭嘉殿、満寵殿は子供の面倒をみるのは不向きだと思うがな。荀攸殿でいいだろう」
「ええー、心外だな。私には妹がいるんですよ。子供の世話くらい……」
「まぁ、文若殿は忙しい身ですし、俺が面倒をみます。乗り掛かった船ですし」
「荀攸殿、ちょっと」
そう言って少し離れた場所に荀攸殿を呼ぶ。李子さんが荀攸殿についてとてとて歩いていく。そして荀攸殿の方に手をおき、小さい声で呼びかけた。
「荀攸殿、子供な李子さんの面倒をみるにあたいして、李子さんの重大な秘密を荀攸殿に言わなきゃいけなくなります」
「ナマエの秘密を……?」
「李子さん、男装してるだけで女の子だから」
そう言った俺に、荀攸さんは目をまん丸に見開いた。それはもう。珍しくめちゃくちゃ驚いているのがわかる。
「えっ?」
「ほんとだから。助けてくれた曹操殿に仕官したくて男装してるんだよ」
荀攸さんが李子さんを見下ろす。李子さんは不安気に見上げた。
「……郭嘉殿や徐庶殿はそのことを?」
「いや、多分郭嘉さんは察してる部分ありそうだけど徐庶さんは知らないと思う」
「ということは」
「多分知らない」
その言葉に彼は頭を抱える。しかし、なんとか飲み込んだらしい。
「……わかりました。ナマエ殿の知勇は我々に必要なもの。ナマエ殿の秘密は守ります」
「あー、でも、李子さんについてた一部の侍女とか兵士は知ってるって聞いたから、一番年長の世話係の人尋ねたらいいかもしれない。あと本人がバラす可能性はある」
そう言って二人で李子さんをみる。李子さんは不安気に首を傾げた。
「……そちらもできるだけ対応しましょう」
うむ、荀攸さんなら頼りになる。あとは陸治さんの説明をしに孫呉に行かなければならない。俺が子供化しなくてよかった。いや、ほんとに。三つ巴になるから。
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荀攸さんの服を選ぶチョイスがいい。いや、侍女の人の尽力かもしれなぅ。男とも女ともとれる服装を着せて、髪も緩くゆっているくらいである。李子さんはもうだいぶ慣れたのか聞きなれない言葉を聞いては、どういう意味ですか?と賈詡さんや郭嘉さん荀攸さんに問いかけて、もうずいぶんと郭嘉さん達と会話できるようになっている。最近はよく蔡文姫さんや曹操さんのところにも出入りしているらしい。
「母上様は剣舞を舞われます」
「女性なのにですか?」
「母上様は……うーん……お転婆なのだとお祖父様がおっしゃっていました。やれ狩りにいくやら、やれ剣術やら……しまいにはお祖父様や父上様には内緒で兵に紛れたこともあるのだとか」
李子さんの言葉に、荀攸殿がなんとも言えない顔をしている。まぁ、李子さんも同じような感じだしな。
「でも、きちんとした舞も舞われます。阿李は祓え歌をお勉強中です」
「祓え歌?」
蔡文姫さんが首を傾げる。魏にはありませんか?と李子さんは首を傾げる。
「ありませんね。秦の歌でしょうか」
「魔を祓い国のあん……あんた?」
「安泰ですね」
「安泰を願う舞だと聞きました。李の花を持って舞います。それを舞う時は母上様はとても綺麗です」
李子さんの発言に普段は?と悪気はない感じで曹休さんがきく。普段は美男子と間違われますと李子さんは違う感じで返す。
「阿李には優しいです。でも、兄弟の中で一番手を出すのが早いとお祖父様が笑っておられました」
李子さんの話におっかない母ちゃんだな、と李典さんが告げる。李子さんは刻々頷いた。おっかないと思ってはいたんだ……と俺は思う。いやー、李子さんのお母さんはめちゃくちゃ快活なのだ。しかもぱっと見美青年。李子さんとは違う方向で女からもモテるタイプだ。まぁ確かに短気な節があるようではあるが。
「阿李、宜しければ今度その舞を見せていただけませんか?」
「阿李はまだ練習中です……母上のようには舞えません……」
しょんぼりしながら李子さんが告げる。それでも良いのです、と蔡文姫さんが微笑めば李子さんは頑張りますと頷いた。
まぁ、その次の日、李の花と共に李子さんが舞歌い、曹操さんが気にいるのであるが。
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「李子さん今子供の姿になってるからなぁ」
と告げたことをちょっと後悔する。目の前にいる仮名さんと名無さんは目を輝かせ、匿名さんと水鏡同門、あとは蜀軍はそれを聞いて目を瞬いた。子供の姿、と繰り返した彼らに俺は頷く。
「記憶とかもぜんぶ……というか、事象が逆転したっていうのか……司馬徽先生に拾われる前の姿で尚且つその前に起こったことが起こってるというか……」
俺の言葉に周りは首を傾げる。説明が難しい。訳知りが俺の仮名さんが、なるほど!と声を上げた。
「李子さんif分岐前に戻っちゃった感じか」
「わかりやすく言えばそう」
その言葉に匿名さんは納得したが、あの人if分岐なんてあったっけ?と変な顔をする。そりゃそうだ。一部のコアなファンがやっつけだ。公式は否定していないが。
「えっと……?」
「李子さん、無意識に昔ちょっと仙界に迷い込んで自力で出ちゃったから記憶の混乱起きちゃった人なんだけど」
「えっ」
「おや」
「……なるほど、だからナマエは盗賊に襲われる前のことをよく覚えていないんですね」
孔明さんの言葉にそういうことと頷く。士元さんはなるほどねぇ、と頷いた。徐庶さんが口を開く。
「じゃあ、今ナマエにあいにいっても、ナマエは俺たちのことを知らないのか」
「そういうこと。今は荀攸さんに面倒をみてもらってる。言葉も勉強中」
俺の言葉にああそうかと納得したのは徐庶さんである。
「俺が会った頃でもナマエは長安側の言葉をたまに使ってたし、やっぱり生まれはそっちなんだね」
「ああー、まさにそこのあたり」
「家族のこと覚えてるなら李将軍の家系かわかるのか」
趙雲さんの言葉に、いやー、と頭を抱える。
「あの、李将軍違いなんですよね、たぶん、それ」
「李将軍違い?」
「李子さんの母親が李家の出なんですけど……李信の子供なんですよ」
その言葉に匿名さんが頭を抱えた。キングダムかよ……と突っ込む彼に苦笑いする。仮名さんが首を傾げる。
「キングダム履修してない……推しのお爺ちゃん知りたい……」
「待てよ、李信って言ったら秦……はぁ!?」
そう声上げた匿名さんに、俺はやれやれする。
「李子さん、もしかして、仙界に来る前、秦所属だったのか!?」
これまた仙界迷い込むと時間あべこべな話しないとだよなぁ。
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子供の李子さんは最近遊びに来る徐庶さんが大好きである。困った顔しながら遊んでくれたりするからだろう。荀攸さんも大好きである。攸先生と慕っているし、寝つきが悪い時や夢見が悪い時はぴえぴえ泣いてい荀攸さんのところに来るらしい。というか兄呼びさせたり先生呼びさせたり色々している。そもそも魏軍の人達が好きなようで、ニコッと笑ってはその人のもとに行くのだ。
「大人の李子殿はよく顰めっ面していますが、そう表情豊かであってほしいものです」
張郃さんの発言に郭嘉さんが李子は案外表情豊かですよと返していたが。
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「あ……あ?!章邯さん!?」
そう言えば、その人は殺気を込めて振り向いた。こわっ。まぁ、俺の姿をみて、彼は眉間に皺をよせる。現代の記憶ないのか、と内心焦っていれば、彼は頭を抱えて君は確か……寵沙くん?と戸惑ったように返された。なんか中途半端に術がかかってるらしい。現代の記憶と昔の記憶が混ざってるのかもしれない。とりあえず李子さんに教えてもらった術の解号をすれば、彼はまたこちらをみたが。
「……ありがとう、助かった。ここにきてからどうも記憶が曖昧になってしまってね」
「いや、俺で解ける程度のかかり具合でよかったです。李子さん今こう言うことできないので」
俺の言葉に彼は目を見開くとおれをゆすった。
「阿李は!?どうしたんだ!?」
「いえ、幼児化しちゃって」
「幼児化……」
「昔帰りしてるというか。章邯さんみたら嬉しくてぴえぴえなくと思います」
「……無事は無事なのか……」
「はい。ちょっと妖魔蹴散らしつつ説明しますね」
「李嘉さんは?」
「逸れたようだ。まぁ、李嘉さんは心配は心配だが、阿李ほどではないかな。うまくやるだろうから」
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「!!!」
陣地でのんびり遊んでいた李子さんが誰か見つけたらしい。ぐにゃりと表情を泣きそうに歪めて、ととさまといいながらかけ出すものだから私たちの視線はそちらに向いた。寵沙くんが男性を連れている。男性も李子さんに気づいて、阿李!!と言って李子さんを抱きしめた。はわわ。李子さんがぴえぴえ泣いている。
「ととさま、こわかっ、」
「……あぁ、もう大丈夫だ」
そう言って男性はぽんぽんと頭を撫でる。李子さんはぎゅっと男性に抱きついたままである。ぐすぐすしている。
「しばらくはこのままかな……」
「章邯さん、幸せを噛み締めてるところ悪いんですけど、李子さんがお世話になってる人に挨拶に行くんで」
「あぁ、そうだね。そちらが先だ。阿李、父上は挨拶に行くから」
「阿李もいきます……」
「阿李、ならそんなに泣き虫ではいけない。目上の方と会うんだ」
「はい……」
ぐしぐしと李子さんは顔を拭く。よし、と頭を撫でた男性は軽々と李子さんを抱き上げた。
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頭が良いんだよな。結構すぐに説明すれば理解を示していかいから。李子さんが魏にいる関係で魏に所属することになった章邯さんである。
category:中華組関連(msu・oa)