ネタ帳vol.3

2023ネタ帳49:李子の願い

01/14 17:21 



そいつらを殺したら君の願いを叶えてあげるよ。
そう言った神もどきに李子さんは目を見開く。そして、ちらりと現代人たちを見た。現代人達は李子さんがそんなことをするはずがないといったり、その目に怯えたりする。神もどきは口を開く。
「君には願いがある、他の人にとってはささやかな願いだね」
ニヤニヤと笑う彼に、李子さんは剣を握った。
「私なら君の父親にもう一度会わせてあげるし、なんなら一緒に暮らせるよ」
その言葉に李子さんは顔を覆った。様子がおかしい。李章殿、と周りが声をかける。まぁ、李子さんはそれでも神もどきに抵抗したのだけど、見るからに動揺していた。それに一部は怒ったのだが。欲にくらんだのだと非難した。するとどうだ、李子さんは泣きそうに表情を歪ませるではないか。その珍しさに俺と陸治さんだけでなく、周りも黙った。
「私だって家族に会いたいのです」
そう言った李子さんはポロポロ泣いた。李子さんが泣くところなど、初めて見た。
「元の世界に帰ればーー」
「元の世界に戻っても、もう会えないのです」
「なんで?」
「みんな死にました」
彼女は剣を落としさめざめとなく。きっと彼女はずっと絶えていたのだ。
「私がいけません。貴方達が非難するのは正しい。わかっています。死んだものは蘇りません。誰かの命と自分勝手な願いを天秤にかけるなどいけないことです。でも」
でも、私は家族にもう一度会いたいのです。
彼女は弱々しくそう告げた。無理やり涙を拭い、剣を拾うと彼女は小さく頭を下げて、頭を冷やしてきますとだけつげて走っていき、徐庶殿達が追いかけていく。
俺は隣にいた陸治さんを見上げる。陸治さんは眉間に皺をよせるとそれをもみほぐしてため息をついた。
「あいつ相当疲れてんな……しばらく寝かせとけ。勝手に解決して出てくるから」
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